鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※2012年9月6日より開始した眼鏡×御堂に克哉が絡んでくる
形式の話になります。
三角関係や恋愛主体ではなく、眼鏡や克哉の心理や葛藤に
焦点を当てた話になりますので了承した方のみ目を通して
下さいませ。
ずっと長い夢を見ていた気分だった。
深い海底に沈んだままだった自分の元に、眩いばかりの白い光が
差し込んで来た。
其処に黒い人影かゆっくりと落ちていくのと同時に、自分の方が海面に
引き上げられていく。
それはまるで、天秤の秤が反対側に傾いていくのに良く似ている感じだった。
そして黒い人影が完全に海の底に消えると同時に克哉は白い光に包まれて
いったのだったー
朝、目覚めて佐伯克哉は驚いた。
白いシーツの上で目覚めると、すぐ隣には裸の男性が横たわっていた。
かつて、経験した事があるシチュエーションと被ったがあの時は相手が須原秋紀
という金髪の美少年だったのに対して、今回は御堂孝典という…以前、一時期だけ
とはいえ一緒に働いた事がある男性だった事だった。
「えっ…あれっ…?」
克哉は、戸惑った。
長い長い眠りから覚めた途端、こんな状況に置かれて混乱しない訳がなかった。
(ちょ、ちょっと待ってくれよ…! どうして、オレはこんな所にいるんだ! それに
何で御堂さんが裸で一緒のベッドに横たわっているんだよー!)
一応、克哉は自分はノーマルだと思ってきた。
何人かの女性と付き合った経験があるし、男を恋愛対象にした事は今までの
人生の中ではない。
なのに、もう一人の自分が目覚めた時から…歯車は大きく狂い、目覚めたら同性が
横に裸で寝ているなんて事態を二度も経験する事になってしまった。
「あれ、もう一人の『俺』…?」
ふと、銀縁の眼鏡のイメージがよぎると同時に…鏡に映っていた傲岸不遜な
男の顔を思い出す。
そう、何度も鏡を通して見た事があった。
自分ではなく、鏡を見る度に…眼鏡を掛けた万能な能力を持ったもう一人の
自分が映っていた。
あの眼鏡を頼れば頼るだけその現象は顕著になり、そして…いつしか克哉は眠っていた。
ふと、寝室の端にあったカレンダーに目をやっていくと瞠目せざる得なかった。
「あれから…二年が、過ぎてる…?」
そう、少なくとも克哉が覚えている西暦よりも、二年以上の歳月が確実に経過していた。
気分は浦島太郎だ。おとぎ話では竜宮城で過ごしていたら何百年も過ぎていた訳だが、
克哉の場合は寝て目覚めたら二年が経過していた。
「えっと…思い出せない。…その間の事は、何も…」
最後に起きていた日の記憶を、その前後の出来事の記憶を思いだそうとしても、
真っ白いモヤが掛かったみたいになって何も判らなかった。
考えれば考えるだけ、混乱が深まっていた。
(それに…何で、御堂さんがオレと同じベッドの上に…?)
その疑問が蘇った瞬間、雪の日に…もう一人の自分と御堂が抱き合って深く
キスをしている場面が鮮明に蘇っていった。
自分が体験したのではない、もう一人の自分に起こった出来事と…生々しい感触
まで一瞬に脳裏に浮かんで言葉を失っていく。
(何だ、今のは…? これはあいつの方の…記憶なのか…?)
ジワリ、と何かが滲むように自分であって、自分でない時の記憶が思い出されて…
余計に訳が分からなくなりそうだった。
御堂から背を向けて、口元を覆っていく。
妙にリアルな感覚まで一緒に伝わって来て息が詰まりそうになり、激しい動悸を
繰り返す羽目になった。
(オレは一体、これからどうすれば良いんだろう…?)
周囲をざっと見回していくと、部屋の内装も自分が知っているものと
変わっている気がした。
いや、部屋そのものが違っていた。
大学時代から自分が長年慣れ親しんでいたマンションの部屋とは明らかに
広さそのものが違う。
自分が眠っている間に、もう一人の自分が引っ越してしまっていたのだろうか。
その疑問を覚えると同時に、唐突にまた…相手の記憶がドっと流れ込んで来る。
ー自分が知らない筈の、もう一人の自分の体験
御堂と恋人になってから、精力的に一緒に住む部屋と…自分たちの会社の
オフィスを探していた。
そしてその条件に合致する此処が見つかって、満足そうに…幸福そうに
笑っているようだった。
(何だよ、これ…オレの知っているあいつと…全然、違っているじゃないか…)
克哉はかつて、恐怖していた。
もう一人の自分の残酷さを、酷さを…人を人とも思わない性格をしている彼が
自分の中に目覚めた時、恐れと忌避する感情しか湧かなかった。
だから、自分は…其処まで思い出し掛けた時、唐突にこちらの肩にそっと
御堂の手が触れて来た。
「っ…!」
「克、哉…」
御堂から背を向けている格好なので、こちらからは相手の顔を見る
事は出来なかった。
寝ぼけているような、すこしはっきりしない発音で…柔らかくこちらの名前を
呼ばれて、びっくりした。
そのまま御堂の髪が、こちらの背中に擦り寄せられて来て…身動きが
取れなくなっていく。
御堂は、もしかしたら今…寝ぼけているのかも知れない。
自分が知っているこの人は、こんな風に無防備な姿を晒すようには見えなかった。
硬直したまま身動きが取れないでいると…その体制のまま、背後から安らかな
寝息が聞こえて来た。
「…オレ、これから一体…どうしたら、良いんだ…。こんな状況に急に投げ出されても…
分からないよ。何で、今更…オレが出ることになっているのか…」
そう小さく呟きながら、深く溜息を吐いていく。
この朝こそが、二年ぶりに目覚めた…眼鏡を掛けてない方の克哉にとっては、
受難の始まりに繋がっていったのだったー
形式の話になります。
三角関係や恋愛主体ではなく、眼鏡や克哉の心理や葛藤に
焦点を当てた話になりますので了承した方のみ目を通して
下さいませ。
ずっと長い夢を見ていた気分だった。
深い海底に沈んだままだった自分の元に、眩いばかりの白い光が
差し込んで来た。
其処に黒い人影かゆっくりと落ちていくのと同時に、自分の方が海面に
引き上げられていく。
それはまるで、天秤の秤が反対側に傾いていくのに良く似ている感じだった。
そして黒い人影が完全に海の底に消えると同時に克哉は白い光に包まれて
いったのだったー
朝、目覚めて佐伯克哉は驚いた。
白いシーツの上で目覚めると、すぐ隣には裸の男性が横たわっていた。
かつて、経験した事があるシチュエーションと被ったがあの時は相手が須原秋紀
という金髪の美少年だったのに対して、今回は御堂孝典という…以前、一時期だけ
とはいえ一緒に働いた事がある男性だった事だった。
「えっ…あれっ…?」
克哉は、戸惑った。
長い長い眠りから覚めた途端、こんな状況に置かれて混乱しない訳がなかった。
(ちょ、ちょっと待ってくれよ…! どうして、オレはこんな所にいるんだ! それに
何で御堂さんが裸で一緒のベッドに横たわっているんだよー!)
一応、克哉は自分はノーマルだと思ってきた。
何人かの女性と付き合った経験があるし、男を恋愛対象にした事は今までの
人生の中ではない。
なのに、もう一人の自分が目覚めた時から…歯車は大きく狂い、目覚めたら同性が
横に裸で寝ているなんて事態を二度も経験する事になってしまった。
「あれ、もう一人の『俺』…?」
ふと、銀縁の眼鏡のイメージがよぎると同時に…鏡に映っていた傲岸不遜な
男の顔を思い出す。
そう、何度も鏡を通して見た事があった。
自分ではなく、鏡を見る度に…眼鏡を掛けた万能な能力を持ったもう一人の
自分が映っていた。
あの眼鏡を頼れば頼るだけその現象は顕著になり、そして…いつしか克哉は眠っていた。
ふと、寝室の端にあったカレンダーに目をやっていくと瞠目せざる得なかった。
「あれから…二年が、過ぎてる…?」
そう、少なくとも克哉が覚えている西暦よりも、二年以上の歳月が確実に経過していた。
気分は浦島太郎だ。おとぎ話では竜宮城で過ごしていたら何百年も過ぎていた訳だが、
克哉の場合は寝て目覚めたら二年が経過していた。
「えっと…思い出せない。…その間の事は、何も…」
最後に起きていた日の記憶を、その前後の出来事の記憶を思いだそうとしても、
真っ白いモヤが掛かったみたいになって何も判らなかった。
考えれば考えるだけ、混乱が深まっていた。
(それに…何で、御堂さんがオレと同じベッドの上に…?)
その疑問が蘇った瞬間、雪の日に…もう一人の自分と御堂が抱き合って深く
キスをしている場面が鮮明に蘇っていった。
自分が体験したのではない、もう一人の自分に起こった出来事と…生々しい感触
まで一瞬に脳裏に浮かんで言葉を失っていく。
(何だ、今のは…? これはあいつの方の…記憶なのか…?)
ジワリ、と何かが滲むように自分であって、自分でない時の記憶が思い出されて…
余計に訳が分からなくなりそうだった。
御堂から背を向けて、口元を覆っていく。
妙にリアルな感覚まで一緒に伝わって来て息が詰まりそうになり、激しい動悸を
繰り返す羽目になった。
(オレは一体、これからどうすれば良いんだろう…?)
周囲をざっと見回していくと、部屋の内装も自分が知っているものと
変わっている気がした。
いや、部屋そのものが違っていた。
大学時代から自分が長年慣れ親しんでいたマンションの部屋とは明らかに
広さそのものが違う。
自分が眠っている間に、もう一人の自分が引っ越してしまっていたのだろうか。
その疑問を覚えると同時に、唐突にまた…相手の記憶がドっと流れ込んで来る。
ー自分が知らない筈の、もう一人の自分の体験
御堂と恋人になってから、精力的に一緒に住む部屋と…自分たちの会社の
オフィスを探していた。
そしてその条件に合致する此処が見つかって、満足そうに…幸福そうに
笑っているようだった。
(何だよ、これ…オレの知っているあいつと…全然、違っているじゃないか…)
克哉はかつて、恐怖していた。
もう一人の自分の残酷さを、酷さを…人を人とも思わない性格をしている彼が
自分の中に目覚めた時、恐れと忌避する感情しか湧かなかった。
だから、自分は…其処まで思い出し掛けた時、唐突にこちらの肩にそっと
御堂の手が触れて来た。
「っ…!」
「克、哉…」
御堂から背を向けている格好なので、こちらからは相手の顔を見る
事は出来なかった。
寝ぼけているような、すこしはっきりしない発音で…柔らかくこちらの名前を
呼ばれて、びっくりした。
そのまま御堂の髪が、こちらの背中に擦り寄せられて来て…身動きが
取れなくなっていく。
御堂は、もしかしたら今…寝ぼけているのかも知れない。
自分が知っているこの人は、こんな風に無防備な姿を晒すようには見えなかった。
硬直したまま身動きが取れないでいると…その体制のまま、背後から安らかな
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「…オレ、これから一体…どうしたら、良いんだ…。こんな状況に急に投げ出されても…
分からないよ。何で、今更…オレが出ることになっているのか…」
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受難の始まりに繋がっていったのだったー
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HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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