忍者ブログ
鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
[712]  [711]  [710]  [709]  [708]  [707]  [706]  [705]  [704]  [703]  [702
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


『いってらっしゃい…』
 
その月の最初の月曜日の朝を迎えて…克哉は眠そうにベッドの上から
身体を起こしていった。
 昨日夜遅くまで起きて身体を動かし続けていたせいか…全身がギシギシと
悲鳴を上げているような気がする。
 というか、肌はさっぱりしているが…やはり身体が重い。

「うぅ…あいつは、まったく…幾ら結婚したからと言っても…少しは加減するって
ことを覚えて欲しいよなぁ…」

 奇妙なことに、もう一人の自分と結婚してから…すでに数ヶ月が
経過していた。
 何故こんな流れになったのか、克哉自身にも判らない。
 けど数ヶ月前…いきなりもう一人の自分とMr.Rが現れて目隠しをされて
強引に連れ去られて、そのまま教会で挙式するついでに抱かれてから…
一緒に気づいたら自分が「奥さん」の立場で、同居するようになっていた。

 結婚してから眼鏡はキクチに勤務するようになり、克哉は家で家事を
しながら夫の帰りを待つ新妻の立場になったのだ。
 …もう一人の自分の事は好きだから、疑問は多々ありつつも…現状に
克哉はそこまで不満はない。ただ一つ困ったことがあるとすれば…。

(毎晩のように抱かれているって事だよな…。しかも結構、夜遅くまで…)

 今朝もおかげで…身体はだるいわ、寝不足だわで…ロクな状態じゃない。
 けれどそれでも、克哉は必死になって身体を起こしていった。
 どうにかYシャツ一枚だけを身に纏った状態でリビングの方に向かっていくと
其処にはすでに全ての準備を整えて、ピシっとした背広に身を固めた…眼鏡の
姿が其処にあった。

「…起きたか。身体の方は大丈夫か…?」

「あ、うん…。とりあえず起きれるようにはなったよ。…今朝も、その…朝食の
準備とか出来なくて御免…」

 一応、自分の方が妻の役割なのだ。
 他の家事の類ならともかく…朝食の準備とか、眼鏡の着替えの用意とか
そういうのは結婚してから数えるぐらいしか出来た試しがない。

「…いつも気にするなと言っているだろう。その代わり…お前を散々抱いて、
こちらは夜の生活は満足させて貰っているからな?」

「…っ! ってそういう事を平然と言うなって何度も言っているだろ…!
本当にそういう処はお前って変わらないんだな…!」

 相手の意地悪な物言いに、拗ねたような表情を浮かべていく。
 そんな克哉を愉しげに見つめていきながら…眼鏡は喉の奥で笑っていたので
余計に腹立たしいものを感じた。
 すると唐突に、間合いを詰められていく。
 身構えるよりも早く…耳元に唇を寄せられて、囁きを落とされた。

―お前のそういう怒った顔も…そそるぞ。この場で犯したくなるくらいな…?

「~~~~~~~」

 低くて甘さを帯びた声音で、こんな事を囁かれたら堪ったものじゃない! 
 ビクン、と背中を震わせながら…慌てて身体を離して、眼鏡から身を離していった。
 
「ほんっと…お前って意地悪だよなっ!」

 克哉がそう叫ぶと同時に、八時を告げる携帯の時計のアラームが鳴り響いていく。
 これは…せめて、朝の儀式だけでもこなせるようにセットしてある保険だった。
 それが鳴り響くと同時に…眼鏡は愉しげな笑みを浮かべていく。

「…お前とこういうやりとりをする時間も悪くはないが…そろそろ出勤せねば
ならない時間帯のようだ。…いつもの、は今朝はしてくれないのか…?」

「…っ!」

 ふいに背中から腰の辺りを撫ぜ擦られて、ゾクっと肌が粟立っていくような
感覚を覚えていった。
 今朝も相手の掌の中で踊らされているような気がして…克哉は大いに拗ねて
しまっていたけれど、小さく頬にキスを落とされてしまうと…その怒りもどうしても
持続しなくなってしまう。

「…バカ、ちゃんとするよ。朝の準備を殆どしていないのに…その、儀式まで
しなかったら…それこそオレ、奥さん失格な気がするし…」

 半分呆れながらも、頬を赤く染めて克哉が呟いていくと…眼鏡は満足そうな
笑みを浮かべていく。
 そのまま腰を抱かれながら玄関の方まで連れ立って向かっていくと…
眼鏡は強気な笑みを浮かべながら、克哉を正面向きの体制で抱き寄せていく。

「…行って来るぞ」

「…ん、行ってらっしゃい…『俺』…」

 眼鏡がそっと顔を寄せていくと…克哉も、その首に静かに腕を回しながら
唇に小さくキスを落としていく。
 克哉の方からは、いつも触れる程度の優しいキスしか施さない。
 けれど…唐突に背中を強く掻き抱かれて、舌を差し入れられていく。



「んんっ…!」

 息が苦しくなるぐらいに激しいキスを施されて、必死になって克哉は
相手の背中にしがみついていく。
 だが、それでも眼鏡は容赦しない。
 口腔全体を激しく舌先で刺激して…克哉の性感を煽りまくっていく。

「っ…はっ…ぁ…! んんっ…!」

 毎朝の事とは言え、抱いて貰ってこの後に身体の熱を鎮められる訳では
ないのに…こんなキスをされるのはちょっとした嫌がらせに近かった。
 それでも懸命に応えて、そのキスを受け止めていく。

「あっ…んっ…」

「ふっ…」

 お互いにキスの角度を変えようと唇を僅かに離した間に悩ましい声を
静かに零していく。
 そうしている間に眼鏡の手がそっと克哉の臀部の方へと伸ばされて
妖しく蠢き始める。
 弾力に富んだ尻肉を執拗なまでに揉みしだかれて…克哉は堪えきれずに
強請るような腰つきになっていった。

(そんな事、されたら…!)

 我慢しきれなくなってしまう。
 危機感を覚えながら腰を引いていくが…眼鏡は強く押さえつけて決して
逃してはくれなかった。

「ふぅ…んっ…」

 こんな濃厚なキスをされながら、尻肉を掴まれたりしたら堪ったものではない。
 なのに…決して容赦はして貰えない。
 耐え切れずに頭を振っていくと、駄々を捏ねている克哉を制する為に…眼鏡の
太股が足の間に入り込んでいった。

「っ…!」

 硬くなり始めたモノを太股で刺激されて大きく身体を震わせていく。
 深いキスのおかげですっかり硬く張り詰めたものを弄られたら、理性なんて
粉々に砕け散ってしまいそうだ。
 けれど退路を絶たれてしまった克哉は…その行為を享受する以外になかった。

 そしてきっかり五分…甘美な攻めを続けられていくと…ようやく解放され
互いの口元から銀糸が伝っていった。

「…今朝も、良い味だったぞ。それじゃあ…行ってくるぞ。…良い子で
夜まで待っていろよ…」

「もう…判っているよ…。いってらっしゃい…『俺』…」

 そういって、そっと身体を離しながら軽やかに踵を返して…眼鏡は
そのまま出勤していく。
 克哉の方は半分腰が砕けて…耳まで真っ赤にしながら、その場に
尻餅を突いていった。

「…バカ。こんなキスされて、夜まで一人で待てって…本当に、もう…」

 今朝もまた、口元を押さえていきながら…つい、そんな文句が
零れていってしまう。
 それでも…恐らく、自分は今日ももう一人の自分が帰って来るのを
心待ちにするのだろう。

―これだけ克哉の心も身体も熱くさせるのはもう一人の自分だけだから

 だから、跳ねる鼓動をどうにか落ち着くまで…その場に座っていきながら
克哉はただ…もう一人の自分の事だけを考えていく。
 本当に惚れた弱みというのは厄介だと実感させられた。

―今日もまた、克哉にとって長い一日が始まろうとしていた…
 

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
新婚!
先日はお世話になりました^^
何だか…本当に…有難う御座いました!!
鬼畜眼鏡の絵茶に初めてお邪魔して、まさか小説をいただけるなんて…あばばばば。
ノマが可愛すぎます。眼鏡がエロ過ぎます。
眼鏡帰宅後の妄想が止まりません。
佐伯克哉の夜はきっと長いことでしょうね!(笑)

本当に素敵な小説を有難う御座いました!
絵茶でも構ってくださいって有難う御座いました!
すべてにおいて有難う御座いましたー!

そしてですね…あの…
香坂さんの小説に触発されて突発サイト作って…みました…
いや、何だかまだ何もないサイトなのですが…!!!
そこでですね。
もし香坂さんが宜しければサイトに頂いた小説掲載しても宜しいでしょうか?
何ともおこがましいお願いで恐縮なのですが…!
本当に宜しければで結構ですので^^;

一応サイトのURL記載しておきます~
本当に何もないのですが…げふんげふん!

ではでは、これにて失礼致します。
コメントに長々と失礼致しました;;
また遊びに来ます~><

※香坂さんの眼鏡×克哉←太一小説が大好きです!
 眼鏡とノマは結婚すればいいと思います!(挙手)

おしげ URL 2008/09/08(Mon)02:15:22 編集
こちらこそ…(ドキドキ)
 先日の絵茶ではお世話になりました。
 …というか、おしげさん達とか…素敵絵師が紡ぎだす絵にこちらも触発されて、あの日は途中からウズウズしていまして。
 それで勢いでこちらも一本書き上げてしまった訳ですが…喜んで頂けたなら書いた甲斐がありました。
 こちらこそ素敵リクをどうもです!

 …ちなみにあの日から、新婚ネタでの妄想は止まらなくて…第二段の「目玉焼き編」を携帯で書き上げてしまいました。
 ビバ! 新婚ネタという感じですね。
 克克のこれはヤバイです。ご飯何杯でもイケるって感じですね!

 取り急ぎ、そちらの拍手の方に短いですがメッセージ残させて頂きましたが…あの新婚SS①はおしげさんに差し上げたものなので、お好きなようになさって下さいv

そしてサイト開設おめでとうございます!
 というかおしげさん仕事早っ!
 ブログの方も拝見させて貰ったけど本気で萌えイラスト多くて素敵です。
 …時間取れましたら、近日中にこっそりとリンク貼らせて貰うので宜しくです(笑)
 また良かったら構ってやって下さいませ。

 そして眼鏡×克哉←太一を気に入ってくれてありがとう。
 私も克克の二人は結婚すれば良いと思うよ。つか、12月合わせで新婚①にもチラっと触れた二人の結婚式編書くよ。
 甘々じゃなくて、ちょっとほろ苦いものも混じっているけどすでに挿絵あるから(笑)
 こんな奴ですが今後とも宜しくです!
 では…今回はこの辺で!
 
 
香坂 幸緒 2008/09/12(Fri)00:01:04 編集
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
この記事のURL:
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[03/16 ほのぼな]
[02/25 みかん]
[11/11 らんか]
[08/09 mgn]
[08/09 mgn]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

 当ブログサイトへのリンク方法


URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/

リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
 …一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
忍者ブログ * [PR]