鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この作品は普段お世話になっているHよさんの
誕生日プレゼントであり、リクエストで執筆した本多×片桐な話です。
ほのぼの系で、9割以上は彼女の好みや希望を
反映して作ってあります。
それを承知の上でお読み下さい。
よせ鍋☆パニック 1
誕生日プレゼントであり、リクエストで執筆した本多×片桐な話です。
ほのぼの系で、9割以上は彼女の好みや希望を
反映して作ってあります。
それを承知の上でお読み下さい。
よせ鍋☆パニック 1
予想もしていなかった御堂の登場により、本多が思い描いていた
情景は見事に散っていった。
情景は見事に散っていった。
移籍した親会社の直属の上司である御堂を克哉が連れて来た事に対して
片桐は優しく微笑みながら受け入れていったのもまた、彼にとっては
泣きそうな事態だった。
片桐は優しく微笑みながら受け入れていったのもまた、彼にとっては
泣きそうな事態だった。
―あぁ、御堂部長…こんな狭苦しい所にわざわざ来て下さって恐縮です。
大したもてなしは出来ませんが、どうかくつろいで下さいませ…
大したもてなしは出来ませんが、どうかくつろいで下さいませ…
と、穏やかに微笑みながら家主であり、今夜の鍋パーティーの主催でもある
片桐が御堂を歓迎してしまったことで本多も強固に相手を拒む訳には
いかなくなった。
片桐が御堂を歓迎してしまったことで本多も強固に相手を拒む訳には
いかなくなった。
社内ではMr.KY…空気読めない男の代名詞とまで唱われている本多だが、
それなりに有能な営業マンでもある。
それなりに有能な営業マンでもある。
多少は状況を読む能力ぐらいは持ち合わせている。
だが、鍋から立ち上る湯気は美味しそうな匂いを伴っていて早々と用意されていた
コタツの中に入れば非常に温い。
コタツの中に入れば非常に温い。
その上で御堂がおらず、三人だけでこの鍋を囲んでいればどれだけ至福の
自分になっただろうか…とつくづく惜しくなる。
自分になっただろうか…とつくづく惜しくなる。
(だからと言って、みんなのその和気藹々とした空気は一体何なんだよ~~!)
目の前には片桐が用意した鍋が携帯ガスコンロの上に置かれて、新鮮な
カキやタラの切り身や白子、、鮭などの漁魚介類に鳥の肉団子…それとくずきり、
豆腐、ネギ、白菜、櫛形にカットされたタマネギ、エノキダケなど実に
具沢山に浮かべられている。
カキやタラの切り身や白子、、鮭などの漁魚介類に鳥の肉団子…それとくずきり、
豆腐、ネギ、白菜、櫛形にカットされたタマネギ、エノキダケなど実に
具沢山に浮かべられている。
そんな大量の具材が浮かんでいても片桐がマメに水を少量差したり、
アクを掬ったりしているので鍋の中のスープは非常に良く澄んでいた。
アクを掬ったりしているので鍋の中のスープは非常に良く澄んでいた。
「さあ、そろそろどの具材も火が通って食べ頃ですよ。今夜は一応、ポン酢と
出汁醤油の二種類のタレと大根下ろしと紅葉下ろし、カボスをカットしたものを
用意しておきましたから各人の好みで組み合わせて食べて下さいね」
出汁醤油の二種類のタレと大根下ろしと紅葉下ろし、カボスをカットしたものを
用意しておきましたから各人の好みで組み合わせて食べて下さいね」
「片桐さん、色んなものを用意しておいてくれたんですね。これだけ組み
合わせるものがあると少し迷いますね…」
合わせるものがあると少し迷いますね…」
「ふむ、確かにな。大根下ろしと紅葉下ろし…どちらを選ぶか確かに迷って
しまいそうだが…私は出汁醤油と紅葉下ろし、それにカボスの汁を組み
合わせたもので頂かせてもらおうか…」
しまいそうだが…私は出汁醤油と紅葉下ろし、それにカボスの汁を組み
合わせたもので頂かせてもらおうか…」
「ああ、御堂部長…結構通ですね。僕もその組み合わせは美味しいんじゃ
ないかって思っていましたから」
ないかって思っていましたから」
「たか…いや、御堂さんが選んだ組み合わせも美味しそうですが、オレは
ポン酢に大根下ろし、それでカボスの汁を少々で食べますね。けど、どれも
本当に美味しそうです…準備して下さってありがとうございます、片桐さん」
ポン酢に大根下ろし、それでカボスの汁を少々で食べますね。けど、どれも
本当に美味しそうです…準備して下さってありがとうございます、片桐さん」
片桐、御堂、克哉の三人はまるで一家団欒をしているかのごとくごく自然に
談笑を交わしている。
談笑を交わしている。
本多はその様子を本心では苦虫を噛みつぶしたような気持ちで見守っていたが、
この場の空気を壊す訳にはいかない。
この場の空気を壊す訳にはいかない。
ぎこちなくだがどうにか笑顔を浮かべていって…どうにか皆に合わせていく。
(ううう…何でみんな、こんなに和やかそうに話しているんだ…。俺たち、
プロトファイバーの営業を担当していた時代…どれだけこいつにきつい言葉や
冷たい仕打ちをされたか忘れているんじゃ…)
プロトファイバーの営業を担当していた時代…どれだけこいつにきつい言葉や
冷たい仕打ちをされたか忘れているんじゃ…)
特にあの期間中、克哉はいつだって青ざめていて…今にも
倒れそうな様子だった。
倒れそうな様子だった。
当時の本多はその様子の変化に気づいて以来、それが御堂が大きく関わって
いる事に気づいていた。
いる事に気づいていた。
だが結局、克哉に詳細を打ち明けられる事はなく…やきもちしている間に状況が
変わって、克哉は御堂に認められる形で親会社であるMGNに引き抜かれる事になった。
変わって、克哉は御堂に認められる形で親会社であるMGNに引き抜かれる事になった。
密かに克哉を意識するようになっていた本多はそれだけで一層、御堂に
対しての敵意を強めていった。
対しての敵意を強めていった。
だから楽しみにしていた鍋パーティーに御堂の姿があった事に心底
不快感を抱いた。
不快感を抱いた。
なのに目の前では他の人間は楽しそうに鍋を囲んでいるせいで…本心を
表に出す訳にはいかなくなってしまった。
表に出す訳にはいかなくなってしまった。
(しかも克哉、何だよその満面の笑顔は…。大学時代からの付き合いだけど…
俺は今までお前のそんな幸せような顔は殆ど見た記憶ないぞ…。何で御堂
なんかの隣にいて、そんな表情を浮かべているんだよ~)
俺は今までお前のそんな幸せような顔は殆ど見た記憶ないぞ…。何で御堂
なんかの隣にいて、そんな表情を浮かべているんだよ~)
本多の心を大きく掻き乱している要因の一つに、克哉のその笑顔があった。
大学時代の四年間と、キクチ・マーケティングの営業八課で過ごした三年間…
計七年間を共に過ごしている。
計七年間を共に過ごしている。
しかし一緒にいた期間の殆どは克哉は常に自分を押さえつけているというか、
本音も感情もあまり見せない人間だった。
本音も感情もあまり見せない人間だった。
正直昔の克哉は何を考えているか判らなかったし、笑った所すら殆ど
見た事はない。
見た事はない。
なのに、自分以外の人間が克哉の心からの笑顔を引き出している現実に…
本多は軽く打ちのめされていた。
本多は軽く打ちのめされていた。
(…俺、こんなに器が小さい奴だったのかよ…! 克哉が嬉しそうに笑っている
ならそれで良いだろ! 何で俺はこんなに辛いんだよ…!)
ならそれで良いだろ! 何で俺はこんなに辛いんだよ…!)
心の中で激しく葛藤しているせいで、皆の会話の流れに入る事も目の前の
鍋を食べる喜びも感じられないでいる。
鍋を食べる喜びも感じられないでいる。
こんなのせっかくこちらを招いてくれて、美味しそうな鍋を用意してくれた片桐に
対して失礼だって判っている。
対して失礼だって判っている。
だが、本心はどうやっても偽れなかった。
「本多君…どうしたんですか? さっきからあまり箸が進んでいない
みたいですが…?」
みたいですが…?」
「えっ…あっ! すみません! 俺もちょっと…どの組み合わせにするか
迷っちまいまして…。それだけなので気にしないで下さい!」
迷っちまいまして…。それだけなので気にしないで下さい!」
上ずった声を悟られないように、大きな声を挙げて誤魔化していく。
しかしすでに行動が不審なものになってしまっているのは自分でも判っていた。
けれど片桐は穏やかに微笑みながら、それ以上追及して来なかった。
「あぁ…確かに結構こういうのって迷ってしまいますからね。僕のお薦めとしては…
ポン酢と紅葉下ろしの組み合わせに、カボスの汁を少々香り付けに落とした奴
なんですけどね。良かったらこれで試してみませんか…?」
ポン酢と紅葉下ろしの組み合わせに、カボスの汁を少々香り付けに落とした奴
なんですけどね。良かったらこれで試してみませんか…?」
「あ、はい! お言葉に甘えます!」
そういって本多は、片桐の提案に乗っかっていった。
そうして丁寧な手つきで片桐は…本多の分のつけダレを作って、その小鉢を
柔和な笑顔を浮かべながら手渡していく。
柔和な笑顔を浮かべながら手渡していく。
「はい、本多君…どうぞ?」
「あ、ありがとうございます…」
一瞬、片桐の背中に後光すら見えてしまった。
今の本多にはそれが少しだけ救いになっていく。
さっきまで嫉妬やら葛藤やらで頭がいっぱいになっていたが…こうしてこちらに
配慮して優しくされていくと、スっと胸の中のつっかえが取れていく。
配慮して優しくされていくと、スっと胸の中のつっかえが取れていく。
「いいえ、まだまだ具材は沢山ありますから…たっぷりと食べて下さいね。
本多君はきっといっぱい食べるでしょうから…魚介類も野菜類も多めに
買い込んでおいたんですし」
本多君はきっといっぱい食べるでしょうから…魚介類も野菜類も多めに
買い込んでおいたんですし」
「はい! たっぷりと食わせて貰います!」
その瞬間、ようやく御堂が訪れてから初めて作り笑いではない笑顔を
本多は浮かべていった。それで箸を動かして、猛烈な勢いで魚介類から
口に運んでいく。
本多は浮かべていった。それで箸を動かして、猛烈な勢いで魚介類から
口に運んでいく。
凄く旨かったし、心までポカポカとあったまっていくような気がした。
(う、旨い…! 何か心に染み入る味だ…!)
そういって一瞬涙ぐみそうになりながら、他の三人の会話が耳に入っていく。
「そういえば佐伯君…MGNに移籍してからは…最近はどんな感じですか?」
「えぇ、御堂さんに大変良くしてもらっています。…まだ正直、仕事に慣れて
いなくて足を引っ張ってばかりですけどね…」
いなくて足を引っ張ってばかりですけどね…」
「いいや、佐伯君は正直言うと…あっという間に仕事を覚えてくれているし、
失敗しても必ずそれを生かして同じ間違いをしない…その努力を常にしてくれている。
だから…有能な人材を得られてこちらは非常に助かっている。本当に、こちらの
引き抜きの件に関して…快く受けてくれたキクチ側にも私は感謝している」
失敗しても必ずそれを生かして同じ間違いをしない…その努力を常にしてくれている。
だから…有能な人材を得られてこちらは非常に助かっている。本当に、こちらの
引き抜きの件に関して…快く受けてくれたキクチ側にも私は感謝している」
「いいえ、佐伯君は実際に非常に有能ですから…。そちらで活躍してくれて
いるなら…僕は充分ですよ。頭を上げて下さい…御堂部長」
いるなら…僕は充分ですよ。頭を上げて下さい…御堂部長」
(…何か気のせいかも知れないけど…このやりとりって、嫁を貰った旦那が…
嫁の親に頭を下げて感謝している図のように見えるの…俺の気のせいだろうか…?)
嫁の親に頭を下げて感謝している図のように見えるの…俺の気のせいだろうか…?)
この妙にあったかい、アットホームな空気は一体何だというのだろうか。
「ふふっ…いつもありがとうございます、片桐さん。前に伺った時も美味しい
夕食をご馳走になりましたし…。何かオレにとってもう一つの実家のように
さえ感じられます…」
夕食をご馳走になりましたし…。何かオレにとってもう一つの実家のように
さえ感じられます…」
「うむ、片桐さんが作ってくれたほうれんそうの胡麻和えや…肉じゃがは
確かに絶品だったな。あぁいう和風の味には飢えている部分があるから…
ほっと出来た」
確かに絶品だったな。あぁいう和風の味には飢えている部分があるから…
ほっと出来た」
(つか…お前らいつの間に片桐さんに夕食までご馳走になっているんだよ!
俺の知らない間にどうしてそんなに仲良くなっているんだよ!)
俺の知らない間にどうしてそんなに仲良くなっているんだよ!)
心の中で盛大に突っ込みつつ、この和やかな空気を壊したくない一心で
余計なことをいう前に豪快に鍋の具を自分の口に放り込み続けていく。
余計なことをいう前に豪快に鍋の具を自分の口に放り込み続けていく。
「うぉ! うめえっすよ! 片桐さん! マジで最高っす!」
そうしていつもの自分のキャラを崩さないように頑張っていって、猛烈な
勢いでご飯と鍋の具を掻き込んでいく。
勢いでご飯と鍋の具を掻き込んでいく。
そんな本多に対して、暖かい眼差しを浮かべていきながら…片桐はおかわりを
そっと差し出して、鍋の具を注ぎ足していく。
そっと差し出して、鍋の具を注ぎ足していく。
それでどうにか終止…その暖かい空気を壊さぬよう本多が努力し続けたおかげで、
片桐の家でのささやかな鍋パーティーは無事に終わりを迎えていったのだった―
片桐の家でのささやかな鍋パーティーは無事に終わりを迎えていったのだった―
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香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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