忍者ブログ
鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
[899]  [898]  [897]  [896]  [895]  [894]  [893]  [892]  [891]  [890]  [889
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

※某鬼畜眼鏡アンソロジー様に寄稿させて貰った原稿です。
 すでにその本が発行されて一年が経過しているのと、その本自体が
今は販売されていないこと。
 それと…ちょっとした手違いで私の作品が掲載されていないバージョンの
本もあるとの事で掲載しておきます。

 …執筆したのは2007年で、ドラマCDの特別な日が出る前でしたが…
か~な~り内容が被っていたので当時はシクシクと泣いたいわくつきの
一作です。克哉誕生日アンソロジーだったからそれにちなんだものと
思ったら本家もそれ来るとは思っていなかったので(汗)
 …一応、CD発売前に書いたと断っておきます。パクリじゃないです。
 たまたま被ってしまっただけでございます。トホホ~。
 …そしてビジュアルファンブックも出る前だったので裏設定その他も
ロクに知らない頃なので今読み返すと色々痛い話ですが宜しくです。

 興味ある方のみ、「つづきはこちら」をクリックして読んでやって下さい。


今年も終わろうとしている十二月三十日の夜の事だった。
夕方から八課のメンバーだけでこっそりと片桐部長の家に集まり、
こんな夜遅くまで和気藹々と酒を飲み交わしていた。
殆どのメンバーはそのまま片桐の家に泊まらせてもらう事になったが、
克哉は三十一日には家の片付けや正月の準備をしっかりとやりたいと
思ったので…帰る事にしたのだ。
 
(と言っても家には誰もいないんだけどな…)
 
白い息を吐きながら、アパートの階段をゆっくりと登っていく。
克哉には兄弟もいないし、両親は栃木の実家の方にいる。
 完全に自由気ままな一人暮らしを大学時代からずっと続けている。
大晦日になる三十一日は自分の誕生日に当たるのだが、物心ついた
時から当日に祝って貰った記憶はない。
慌ただしく年越しの準備をして、年が明けた頃にお年玉と一緒に
プレゼントを渡されていく。それがずっと続いたし、当たり前の事だと思っていた。
 
「…えっと、鍵は…」
 
コートのポケットの部分をガサゴソと探りながら、自室の鍵を探していく。
鍵はすぐに見つかり、そのままゆっくりと開錠していく。
ゆっくりと…いつものように扉を開閉していくと…。
 
「うわっ!」
 
真っ暗な部屋の中で―何故か幾千万もの星光がチカチカと瞬いていた。
当然、本物の星光ではない。恐らく室内用のプラネタリウムが
作り出している光景だ。
しかし、克哉はそんな物を買った記憶も、本日家を空ける前に
使用した記憶などまったくない。
ただ、面食らってその場で立ち尽くすだけだった。
 
「…とりあえず、電気だけでも点けないと…」
 
 暫く呆けていたが、いつまでもこうしてもいられない。
 まずは部屋に入って、明かりを点けない事には始まらないだろう。
そう考えて、意を決して足を踏み入れていく。
いっそ豪勢なほどの星に見守られながら、克哉は電灯のスイッチを
探していく。
確かキッチンの隅の処と、自室の入り口付近の壁のどちらかにあった筈だ…
と目星をつけて手探りで自室の方へ進んでいく。
 
「確か…この辺りに…っ! うわっ!」
 
 克哉一人しかいない筈なのに、何者かに急に腕を捕まれてそのまま
思いっきり床に転がされて、組み敷かれた。
 まだこの星光が瞬く中では、克哉の眼は慣らされていない。一瞬、
状況が判断出来ずにただ瞠目するしか出来なかった。
 
「…こんばんは<オレ>。この星空は…少しは気に入って貰えたか…?」
 
 ふいに、上に圧し掛かっている人物が口を開いていく。
 この低い声も、物言いも…はっきりと覚えがある。そして自分を佐伯、
でも克哉でもなく…「オレ」となどと呼びかける奴はこの世に一人しかいない筈だった。
 眼鏡を掛けた時にだけ現れる、自分とはまったく違う人格を有した
もう一人の自分以外に該当者はいなかった。
 
「って…もしかして、<俺>…なのか? どうしてお前がここにっ?」
 
「…おいおい。随分な言い草だな。せっかくの自分の誕生日なのに…
一人きりで寂しく過ごしているお前の為に、俺がわざわざ準備して…
こうしてこんな寒い部屋でお前の帰りを待っていてやったというのにな…?」
 
 その一言を聞いて、一瞬力が緩んでいく。
 この誰よりも傲慢で、マイペースで意地悪な筈のもう一人の自分が…
誕生日にこちらを部屋の中で待っていた?
 
「えっ…その、それって…俺を祝う…為、なのか…?」
 
「じゃなければ、こんな大掛かりの物は用意しないさ。…わざわざ今夜は
演出にまで凝ってやったんだ。感謝しろ…」
 
「えっ…うん。それは…嬉しい、けど…どうして、この体制なんだ…?」
 
 こちらがしどろもどろになりながら、質問を投げかけていくと…眼鏡は
喉の奥でククッと笑っていく。
 
「…散々、すでにお前を抱いているんだ。少しは察しろ…俺がお前に
与えてやろうと思うものなど…たった一つしか、ないだろう…?」
 
 悠然と、眼鏡が微笑んでいく。その表情はどこか淫蕩で…つい、
こちらも唾をゴクンと飲み込んでいく。
 
「…それって、やっぱり…その、快楽…とか…?」
 
「…他に何があるんだ?」
 
「…そこ、否定されないのが凄く複雑なんだけど…」
 
「…何を今更。何度俺に抱かれて、この腕の中でよがってきたと
思っているんだ…?」
 
 と、言われて…今までもう一人の自分がやってきて嵐のように
抱くだけ抱いて去っていった回数を思い浮かべる。
 …すでに一度や二度じゃない。最初の頃は腕まで拘束されて無理やり
犯されたが…今では慣れっこになってしまっているのは確かで…克哉の方も
溜息を突くしかなかった。 
 
「少しは喜べ。せっかくだから少しでもロマンチックに演出でもしてやろう…
とわざわざ今夜は気を利かせてやったんだぞ…?」
 
 そのまま…眼鏡の方に唇を甘く吸い上げられていく。
 チュク、と濡れた音を立てられるとそれだけで背筋が震えそうになる。
 首筋を甘く吸い上げられながら、ネクタイを緩められて…シャツのボタンを
外されていく。下着ごとズボンも一気に引きおろされていけば…臀部が
剥き出しになっていった。
 
「ひっ…!」
 
 足を大きく抱え上げられると、いきなり蕾に容赦なく熱い塊を
押し付けられていく。
 前戯もへったくれもない。相変わらずもう一人の自分は強引で…
意地悪でこちらの意思など構った試しがない。
 しかし何度も抱かれて、貫かれた身体は克哉の意思と反して…眼鏡の
熱い昂ぶりを擦りつけられているだけでいやらしく収縮を繰り返し、
緩く吸い付いていく。
 
「…ほう? 少し俺のを触れさせただけで…早くも物欲しげにヒクついて
来ているじゃないか…? 随分と淫乱な身体だな…なあ<オレ>」
 
「…っ! 誰が慣らした、と思っているんだよ…! バカっ…!」
 
 目元をうっすらと潤ませていきながら反論していくも、眼鏡の手が
こちらの性器を容赦なく弄り上げて…先端からネチャネチャと厭らしい水音が
響いていては…憎まれ口も何の説得力を持ち得ない。
 
「くくっ…俺以外に、誰がいるんだ…?」
 
「判っている、なら…聞くなよっ! ふぁ…!」
 
 そのままズブズブと根元まで性器を押し入れられて、克哉の身体は
ヒクと大きく震えた。
 熱く猛ったペニスが無慈悲なまでに敏感な場所を擦り上げて、強烈な
快楽を引きずり出していく。
 それだけで身体はどうしようもなく熱くなり、相手の手に握りこまれている
ペニスがしとどと濡れ始めていった。
 
「あっ…はっ…! やっ…いきなり、止めるな…っ!」
 
「…ほう? 口では嫌だと言っていた癖に随分とがっついているな…?」
 
 暫く強烈な快楽を与える場所を重点的に攻められたと思ったら、
ふいに腰を止められて代わりに性器を早い手の動きで扱かれ始めていく。
 最奥に相手の熱いものを収めていきながらの手淫は…悦楽の他に、
どうしようもない疼きを克哉に齎されていく。
 何度も抱かれ、貫かれ…好きなように掻き回されてきた内部は…相手のモノが
縦横無尽に動く事によって生じる強烈な快感を覚えている。
 相手の熱がドクドクと脈動しているのが感じ取れる。
 それを自覚して、こちらの息も忙しなく上がっていく。
 
「やっ…ぁ…! お前の…せい、じゃないか…! も、焦らすな…っ!」
 
「…あぁ、よく判っているじゃないか…<オレ>」
 
 相手の目がこちらをの痴態を射抜くように見つめてくる。
 冷たい怜悧な眼差しの奥に、こちらへの情欲の熱が感じられた。
 見られている場所に、視覚出来ない透明な手を這わされているかのようだ。
 胸の突起も、性器も…眼鏡に見られていると思うだけではしたなく揺れていた。
 
 グチャ…ヌチャ…グプ…ネチャ…
 
 眼鏡の動きが再開すると同時に、接合部からいやらしい水音が漏れていく。
 空気を混ぜるように掻き回されているせいだ。
 その厭らしい旋律が響くたびに、背筋が痺れる程の強い羞恥を覚えて…
克哉は何度も身悶える。
 首を仰け反らして、喘いでいくと…ふと、強烈に天井に瞬く星の瞬きが
網膜に飛び込んできた。
 
「あぁ…はっ…っ!!」
 
 高い声で克哉が啼く。
 それを聞いて満足そうに眼鏡も愉悦の笑みを刻んでいった。
 星空を背に強気に微笑んでいく眼鏡の顔は…何故かいつもよりも
少しだけ優しく見えた。
 
(星…凄く、綺麗だ…)
 
 心からそう感じた時、相手の熱が一際大きく膨張して痙攣しているのが判った。
 こちらもほぼ同じタイミングで登りつめて、一足先にペニスの先端から
勢い良く白濁を吐き出していった。
 そのまま相手の熱もこちらの最奥に怒涛のように注ぎ込まれていく。
 その熱を感じながら―克哉は僅かな間だけ、意識を手放していった―。
 
                  *
 
 ペチペチペチ、と何度も軽く頬を叩かれていく。
 心地よいまどろみに浸りながら、自分の身体を包み込んでいく体温を
感じて克哉は心地良さそうにゆっくりと眼を開いていく。
 
「ハッピーバースディ…佐伯克哉。…お前の誕生日を祝う言葉を贈ってやるよ…」
 
 耳元で腰に響くように低く掠れた声で囁かれていく。
 それはあまりに、もう一人の自分らしい…傲慢で強引な、祝い方だった。
 いきなりプラネタリウムを設置して問答無用で組み敷いて快楽を
与えるなんて、コイツ以外にやられたら冗談じゃないし…憤慨ものだろう。
 けれど悔しい事に…この暖かな腕の中に包み込まれていたら、そんな
怒りもどうでも良くなってしまった。
 
(ちょっと祝い方に問題があっても…祝ってくれただけ…良いよな…)
 
 今の八課の人間には、克哉は自分の誕生日を教えていない。
 毎年、この時期には会社は休みに入っているし…大掃除とか年越しの
準備をしなければいけない時期である。
気を遣って…誰にも言わなかった代わりに、実家を出てからは一度も
誰かに誕生日を祝われる事もなかった。
 こんな手段であっても…何かを生誕日に贈って貰える事が凄く嬉しくて、
心がじんわり暖かくなる事など久しく忘れていた事だから―。
 
「ありがとう…<俺>。あれ…けど、それだとお前も今日…誕生日って事に
なるんじゃないのか…?」
 
 ふと思った疑問を口にしていくと、眼鏡は不敵に笑みを刻みながら答える。
 
「…勘違いするな。今日はお前の肉体が生まれた日であって…俺自身が
生まれた日じゃない。俺が生まれた日は…お前が生まれて初めて、あの
眼鏡を掛けた日だ。後は自分で思い出すんだな…」
 
「…って、それって自分で思い出してお前の誕生日を導き出せっていうのか?」
 
「当然だろ?…それと、お前のは先に祝ってやったんだ。俺の誕生日も…
それ相応の物を頼むぞ。思い出せなかったり、忘れたりしたら…判っている、な…?」 
 
「…判ったよ。ちゃんと思い出す。…どんな形でも、お前がオレの事を
祝ってくれたのは変わらないから…な…」
 
 苦笑しながら、こちらが答えていくと…眼鏡は楽しげに笑った。
 唇がゆっくりと寄せられて、そっと重ねられていく。
 それを抵抗せずに、瞳を閉じて受け入れていった。
 
『楽しみにしているぜ…<オレ>』
 
 その瞬間、眼鏡の言葉はそっと互いの唇の間に掻き消えていった。
 そうして佐伯克哉は―26歳の誕生日を迎えたのだった―。
 
 

 
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
この記事のURL:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
[03/16 ほのぼな]
[02/25 みかん]
[11/11 らんか]
[08/09 mgn]
[08/09 mgn]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

 当ブログサイトへのリンク方法


URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/

リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
 …一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
忍者ブログ * [PR]