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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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『眼鏡克哉』

 俺が刺された日から一ヶ月後の土曜の朝の事だった。
 傷の状態はまだ不安定な状態だが…一応、退院の許可が下りたので
そのまま…荷を整理して、退院することにした。
 早朝の内に看護婦や医者から長ったらしい説明を受けたのには辟易したが
これで…安静にしていなくてはいけない退屈な生活からは解放された。
 それでも激しい運動や、腹部に強い衝撃を与えたりするような行為は念の為に
後二週間くらいは控えておいてくれ、と注意は受けたがな。

 …目覚めてから二週間。その間に起こった仕事上の流れは…御堂、片桐、本多とかが
見舞いに来てくれた時に必要な書類を渡してくれたり、口頭である程度説明してくれた
から把握は出来た。
 …まさか、あんな事態になったにも関わらずに…俺が意識を失っている間にプロト
ファイバーの目標値が達成出来た事だけが意外だったがな。
 それ以外の流れは概ね…予想通りだった。

 一ヶ月ぶりに部屋に戻ると…何故か、鍵が開いていた。
 …その時点で、おかしいとは思ったんだがな。
 もう一人の俺は確かに抜けている部分が多いが…どれだけ急いで焦っていようと
鍵を忘れて家を出て行くなんて真似は滅多にやらない筈だからだ。
 それに、確か一度…目覚めた当日に本多に着替え用のパジャマや下着などの類を
取りにいくように頼んだが…幾らアイツでも、人の家に物を取りに行って…鍵も掛けずに
帰ってくるようなマヌケな事をやるとは考えられない。
 常識の範囲としてな…なら、この鍵はどうして開いているのか…理由が考えられなかった。

「…何で、鍵が…?」

 訝しげに思いながらもドアノブに手を掛けて中に入っていくと…部屋の中は静かだった。
 だが…ベッドの上に、何やら人の大きさくらいの膨らみがあった。
 …何でそんなものが、無人である筈の俺の部屋にあるのか理由は判らず…近づいてみると
何故か、太一が寝ていた。
 …人の部屋に無断侵入した上に、堂々と寝ているとは良い度胸だ。
 思いっきり布団を引き剥がして…床に勢い良く落としていってやる。
 …何だって、コイツが俺の部屋にいるんだ?

「起きろ! …人の部屋に無断侵入するとは良い度胸だ!」

「…何で、また…あんた、何だよ…!」

 最初、寝起きでトロンとした表情を浮かべていたが…次第に視線が定まって来て、
開口一番、利いた口がそれだったので、次は勢い良く掛け布団を投げつけていってやる。
 
「…ほう? 人の部屋に無断に入り込んでいた奴が最初に言う言葉がそれか…?」

「…そ、その件に関しては…俺の方に、確かに非があるけど…さ。だからっていきなり
この扱いは酷いんじゃないのか!」

「…一言でも、俺に許可を求めた上で寝泊りしていたのならともかくな。…勝手に
自分の部屋に上がりこまれてベッドを占拠されて…良い気持ちをすると思うか?
もう少し常識の範囲で考えてから物を言え…」

 そういって、問答無用で叩き出そうとした。
 …今はコイツの顔を見たくなかったから。
 見た途端に…俺の中で、何とも言えない感情が滲み出て…極めて、不快になったからだ。
 何で『もう一人の俺』の方ならともかく…俺まで、こんな気持ちに陥らないといけない。
 認めたくなかった。
 信じたくなかった。だから一刻も早くコイツを叩き出して、平静な気持ちに戻りたかった。

「待って! 克哉さん! …その件に関しては俺の方が悪かったのは認めるから…御免!
だから…せめて理由だけでも話させてよ! …今、俺…アパートの方に戻れる状態じゃない
のは確かだから…!」

 太一の首根っこを捕まえて、そのまま引きずっていこうとしたら…破れかぶれな口調で
こいつはそんな事をのたまい始めた。
 ただ、一応…こちらに「御免」と一言、言ったから…話だけは聞いてやるか、という
心境になった。

「…判った。理由だけは聞いてやる。話してみろ…」

 …厄介なものだと思う。
 俺とあいつは独立した意識の癖に、根っこでは繋がっているらしい。
 だから苛立ちながらも…腹が立ちながらも、俺の方も…コイツの事を心の底まで
嫌うことは出来ない。
 だから一旦、気持ちを抑えて…こいつの話に耳を傾ける体制を整えていく。

「判った。…けど、うん…驚いたり、引いたりしないでね…克哉、さん…」

 何かそういった太一は、視線が定まっていない…迷っているような顔を浮かべていた。
 …何でこんなに悩んでいるような態度になっているんだろうか?
 それを少し不思議に思ったが、まず聞いてみなければ…始まらないだろう。

「前置きが長い。…出来るだけ簡潔に話せ。その上で判断させて貰おう…」

「…ほんと、あんたって…何だってそんなに高圧的な言い方しか出来ないんだよ。
…これから、話すよ。よ~く…聞いてね…」

 そして、やっと決意した太一が…ゆっくりと俺に説明を始めていく。
 …そして、コイツの口から語られた内容は…俺を驚かせるのに充分なものばかりだった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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