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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※お待たせしました。
 6月25日から新連載を開始します。
 今回のCPは御堂×克哉となります。
 テーマは酒、(「BAR」&カクテル)です。
 鬼畜眼鏡Rで、太一×克哉ルートで克哉が軌道が乗るまでアメリカで
BARで働いていたという設定を見て、御堂×克哉でもカクテルやバーを
絡めた話が見たいな~という動機で生まれた話です。
 香坂自身が下戸に限りなく近いので、(アルコール度が低いカクテル1~2杯
飲むのが精いっぱい)出てくるカクテルの味の描写及び知識は調べたもので
補っております。
 その点をご了承で、お付き合いして頂ければ幸いです。


―それは御堂と克哉がMGNで一緒に働くようになって半年程が経過した
秋の初めの夜だった
                          
 二人はその夜、年季の入った雑居ビルの中にひっそりと紛れて
存在しているジャズバーに足を踏み入れていった。
 最近、御堂が注目している若いピアニストがこの店で専属で曲を
弾いていると聞いて…克哉が詳しく調べて…今夜、下調べの為にこうして
二人で訪れたのだ。
 まだ二十半ばのそのピアニストが以前手がけた曲を最近聞いた御堂は…
彼が手がける曲は、自分が手掛ける新商品のCMに使いたい
メロディのイメージに近い…と関心を持ったからだ。
 現時点ではあくまで候補の一人に過ぎないが、判断材料の
一つとして視野に入れておきたい。
 そういう意図で今夜の下見は決定され、恋人としてではなく…
仕事上の彼の右腕として克哉はこの場に身を置いていた。

 真剣そうな御堂の横顔を見て、克哉も緊張を高めている。
 プロトファイバーが大成功を収めてから、MGN内での御堂の評価は
随分と高くなって…次に彼の企画する商品にも注目が寄せられている。
 そのプレッシャーに負けることなく、精力的に仕事をこなし…
自分の思い描いているプランを実現させる為なら、貪欲に各地を飛び回る
御堂の姿は、恋人としてだけじゃなく…共に仕事をしている上司としても
尊敬していた。
 
(カクテルとかは結構好きだから、普通のバーはともかく…ジャズバーには…
初めて来たな。しかも御堂さんと…こうして一緒に訪れる日が来るなんて…
想像してもいなかった…)

 克哉自身はウィスキーやブランデーなどの蒸留酒、及びカクテルの類を
好む性質なので…御堂と付き合う以前は、良く一人でバーに飲みに行ったり
していた。
 だが、この人は何よりワインを愛好しているから…最近は飲むと
すればそればかりで…その他のアルコールは殆ど口にしていなかった。
 久しぶりに飲んだラフロイグは、藻のような…海藻のような独特の
風味がある。
 かつては頻繁に飲んでいたウィスキーも、ワインに飲む事に慣れてから
改めて喉に流し込むと趣きが深い。
 やはり、場の雰囲気というのがあるのだろう。
 シャレたレストランや、清潔さと整頓さが行き届いたようなバーなどでは
ワインは良く似合うが…このどこか古めかしさが漂う店内では
蒸留酒やカクテルを飲む方がしっくりと来る。
 チラリ、と御堂を見つめてみると…やはり、もうじき始まるコンサートの
方に意識を集中しているのが見て取れた。

―コンサートが終わるまで、私はアルコールを注文する
つもりはない。だが、それだと向こうとて商売だからな。
君の方は…好きなのを一杯頼んでおいてくれ…

 その告げられたので、御堂が何も注文していないのに
飲むのは気が引けたが…克哉だけ先にオーダーする
形となっていた。
 今回はそのピアニストの、実際のピアノの腕前はどれくらいかを
知る為にこうして…二人はお忍びで来ているのだ。
 確かに酒に酔っていては正しい判断が下せなくなる可能性が
あるから…聴き終わるまで飲まない、と毅然と言い切る姿に…
相手の真剣さを克哉は感じ取っていた。
 御堂の中にある、次の企画商品のイメージはすでに克哉は詳しく
聴かされている。

 そして御堂が現在考えているのは…天然素材で作られた淡彩飲料、
その透明な曲のイメージを若手の無名の人間に任せるか、否か。
 現在の進行状況から見れば…来年の春頃にはほぼ製品も完成をして、実際に
流通に乗せるかどうか詳しく打ち合わせをしたり、検討する時期に入るだろう。 
 CMとして放送する際、使用するタイアップ曲の準備は…早めに準備
するに越したことはない。
 …そして、御堂の候補のアーティストの中に…今夜演奏する
ピアニストも入っている。
 そう思うと、少し緊張してしまった。

(…そう考えるとちょっと緊張してしまうよな。…御堂さんはきっと、オレを
信頼してこうして同行させてくれたんだろうけど…果たしてオレが
その判断の役に本当に立てるんだろうか…)

 すでに本日の仕事も終わり、今はアフターファイブの時間帯。
 こうして二人きりで週末の夜を過ごしているのならば、甘い時間を
とうに過ごしていてもおかしくないのだ。
 だから…視察の為に今夜はこの店を訪れたのだというのに
酷く緊張してしまっていた。
 御堂と克哉が座っている席は、小さな舞台のすぐ手前。
 これから今夜、この店内で開かれるコンサートを見るには
特等席に近い位置にあった。
 店内の照明はすでに落とされ、落ち着いたBGMがゆったりと
流されている。
 老若男女、様々な年代の客が…これから開かれるジャズの
コンサートを楽しむために酒を飲みながらその時を待ち構えている。

(良い雰囲気の店だな…)

 克哉はそう思いながら、自分の手に持っているグラスを眺めていく。
 御堂は…何かを検分するように、鋭い眼差しを浮かべながら舞台の
上に立つ若いピアニストを見つめている。
 今夜の演奏はトリオ編成らしく、ピアノを中心に二人の
中年の男性がそれぞれベースとドラムを担当していた。

 …残り二人の年齢に比べて、ピアニストの年齢が圧倒的に
若いせいか…酷く目を引いていく。
 外見的に目を奪われる程の美貌、という訳ではないが
整った風貌と、しなやかな体型だった。
 指先の細さは本当に同じ男の指かと疑う程だった。
 いっそ、御堂が注目しているこの男性がもう少し年を取っているか
またはあまり美形な方ではなければ、こんなにヤキモキした
気持ちを覚えなくて済んだのだろうか…と漠然と感じた。
 コンサートが終わるまでは、幾ら週末の夜と言っても…
今夜は仕事の延長だ。
 それなのに、余計なことばかり考えて心がモヤモヤしている
自分が凄く情けなく感じていった。

(…完全に仕事モードに入っているな。御堂さん…目が本当に…
真剣で、食い入るように眺めている…)

 本来なら、今…こんな事を考えるのは不謹慎かも知れないが
御堂が鋭く食い入るような眼差しを自分以外の誰かに向けていることに
チリリ、と胸が疼いていった。
 あくまで仕事で来ているのだから…と言い聞かせても、嫉妬めいた
感情が湧き上がる自分自身に少し苛立ちが募る。
 だから邪魔をしないように、密かに息を潜めて…コンサートの開催を
待ち構えていく。
 開催が近づくにつれて、店内の照明は徐々に落とされ…舞台の
上だけがそっと淡い光に照らし出されていく。
 トリオを編成する三人が、それぞれ持ち場についていく。
 もうじきコンサートの幕が開けることを伝えていく独特の
緊張感が店内中に広がっていくと…。

 バッタン! 

 これから音楽が始まろうと観客全員が身構えたその瞬間、
入口の方から盛大な扉を開閉する音が聞こえていった。
 そして二十二時丁度を迎えて、一人の若い男性客が息を切って
店の中に滑り込んでくる。
 そして彼が、舞台から離れた席にそっと座っていった瞬間…
最初のピアノの旋律がその場に鳴り響いていった。
 それと同時に、鮮明に舞台上はスポットライトが灯り…そして静かに
ジャズのコンサートは開催されていった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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