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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 今日のはオムニバス形式の一つではなく、
純粋に季節ネタを扱ったものです。
 つか、克克の禁断症状が久しぶりに出たので
唐突に書き下ろします。

 たまには克克書きたいんだ~~~い!!(魂の叫び)
  一話完結の予定でしたが、予想よりも長くなったので二話に
分けます。ご了承下さいませ(ペコリ)


織姫と彦星は雨が降ると会えないという

 けれど一年に一度、確実に会おうねという約束があるだけ
救いがると思う。
 長い年月を経ても、そうして気持ちが続いている事も
その日だけでも会って確認することも出来るというだけで
今の克哉は羨ましかった。

 仕事帰りの帰り道、駅前の設置された大きな笹と七夕飾りを見て
ふと、そう感じた。
 最寄駅のロータリーには今日は、町内会で設置したと思われる
大きな笹の葉と長机が置かれていた。
 いつもならタクシーや送迎の車がひしめいている空間は、今日だけは
この七夕飾りに占拠されてしまっているようだった。
 折り紙で作られた織姫と牽牛、ヒラヒラとした天の川をイメージしたあみかざりに
五角形や六角形のいちまいぼし、様々な色が組み合わさっているひしがたつづり、
笹の葉や、わっかなどを繋げて長く繋いだものなど目にも鮮やかな
飾りが笹の葉の先に飾られていて、見た目も華やかになっていた。

変なの、今まで七夕の日にこんな事を考えた事なんて
一度もなかったのに
 どうして今年に限って、こんな風に感傷的になってしまうのだろうかと考えて…
その原因らしきものに思いいたっていく。
「…やっぱり、あいつのせいかな…」
 
 そう小さく呟いた瞬間、克哉の脳裏に浮かんだのはもう一人の
自分のシニカルな笑みだった。
 我ながら本当に重症だと思い知っていく。
 
(本当に…年に一回でも、確実に会える保証があるだけマシだと思う。
相手が愛してくれているのを実感出来るなら十分幸せだと思う。俺なんて…
いつ現れるか判らないし、こっちの事をどう思っているかなんてまったく判らないし…
あいつが何を考えてオレを抱いているのかなんて、本当に理解出来ないもんな…)
 
 そう考えて深く溜息を吐いていきながら…克哉は七夕飾りを眺めていった。
 夜風に吹かれて、折り紙で作られた飾りと…無数の人々の願いが
込められた短冊が風に揺れていく。
 其れを見て、心にジワリと一つの願いが浮かびあがってくるのを感じていった。
 
「短冊に願い事を書けば、叶うか…なら、オレの願いも書けば叶うのかな…」
 
 何故か唐突に、もう一人の自分に会いたいという気分になった。
 顔を合わせれば確実に好き勝手に抱かれて、翻弄させられる事は予測出来る。
 それでもどうして…自分は彼の顔を見たいとそう思ってしまっているのか…。
 その理由に何となく気づいていくと同時に…克哉は短冊を書くために用意されたスペースへと
足を向けていった。
 机の隅にはすでに穴を開けられて麻紐を通されてすぐに吊るせる状態になった
色とりどりの短冊が用意されていた。
 その中から一枚、水色のを手にとっていくと…克哉は少し迷った末にこう書いていった。
 
『どうかあいつに会わせて下さい』
 
 相手の名前も、自分の名前も明記しなかった。
 けれど…そう書いた瞬間に強く強く、もう一人の自分の顔を脳裏に描いていった。
 次にいつ会えるか、自分の前に現れるか判らないけれど…この短冊に
願掛けをする事で少しでも
早くその日が訪れるなら良い、その程度の期待を込めて…
克哉は笹の葉にそれを吊るして
いこうとしていった。
 
(これを吊るしたら、さっさと家に帰ろう…)
 
 そう考えて、静かな動作で飾りに短冊を掛けていこうとした瞬間…背後から
誰かの腕が伸びて、克哉の手首をグイっと握りしめていった。
 
「えっ…?」
 
 突然、背後から何者かに腕を掴まれて…克哉は心臓が止まりそうになっていく。
 それだけでも十分に驚いたというのに、次に聞こえた声に…更に目を瞠っていった。
 
『これでお前の願いは叶えてやったぞ…。満足したか…?』
 
 熱い息と共に、耳奥に注がれていく声。
 途端に、心臓がドクンと荒く脈動していくのが判った。
 まさか今夜、会えるとは予想してもいあなkっただけに克哉は…動揺を隠しきれなかった。
 すると、グイっと身体を反転させられて…駅前広場という場所柄であるにも関わらず、
強引に唇を奪われていった。
 一瞬、隙を突かれてしまったせいで対応が遅れたが…少し経って、正気に戻ると同時に
克哉は全力で相手の身体をドン、と強く突き飛ばしていった。
 
「な、なななな何を考えているだよ…! ここ、公衆の面前だぞ…!」
 
「くくっ…俺はそんなのはまったく気にしないが?」
 
「少しは気にしろー! せっかく会えたって、こんな処でとんでもない事をされちゃ
たまったもんじゃない! 少しは状況っていうのを考えろよ、お前は…!」
 
 克哉は顔を真っ赤にしながら力説していくが、もう一人の自分は其れを面白がって喉の奥で
ククっと笑っていくだけだった。
 其れが無性に克哉には腹立たしくて、ムっとなっていく。
 
(…久しぶりに会えた事自体は嬉しいけれど…! やっぱりこいつって…
すっごい意地悪だ!
せっかく会えたのに、いきなりこんなに意地が悪い事を
しなくたって良いじゃないか…もう…!)
 
 悔しくてキっと相手を睨んでいくが、相変わらず相手の表情には余裕があって…
癪な気分になっていく。
 会えたのも、キスされた事自体は嬉しいのに…場所に問題がありすぎるせいで
克哉は素直になれないでいた。
 
「…こんな処では、するなよ。誰に見られるか判らないだろ…!」
 
「…ほう、お前は羞恥を快楽に変える性質だと思ったがな。今のキスだって…もし
誰かに見られていてもお前なら、燃えるネタになるだけだと思ったが…?」
 
 バシィィィィン!!
 
 相手の物言いに、つい反射的に手が出てしまい盛大にその頬を叩いていった。
 
「ぶはっ…!」
 
 その勢いで、眼鏡の身体が大きく仰け反っていく。
 克哉の方は憤りで肩を大きく上下させていきながら叫んでいった。
 
「バカバカバカ!  少しはオレの気持ちも考えろ~!」
 
 そうして、克哉は全力でその場から駈け出していった。
 その背中を見送っていきながら眼鏡は小さく呟いていく。
 
「…まったく、ついからかい過ぎたか。仕方ない…追いかけるとしようか…」
 
 そうして、自分たちのやりとりを見て立ち止まっていた野次馬の視線など全く
気にした様子もなく…悠然とした様子で、もう一人の克哉はその場から立ち去り、
消えた克哉を追いかける事にしたのだった―
 
                           
 
 
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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