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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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この話は御堂×克哉のクリスマスネタです。
切なさとほんのりとした甘さが信条の話と
なっておりますので了承の上でお読みください。

いつかのメリークリスマス    
 
 
車内に乗り込んだは良いが、非常に気まずい雰囲気だった。
それまでと関係が激変して、正式に付き合うようになったは良いが…
やはりこうして二人きりになるとたまにこういう重苦しい空気になる事はあった。
 御堂はどうやら運転に集中しているらしく、殆ど言葉を発さない。
 何となく張りつめたものを其処から感じて、克哉もまた口を噤むしかなかった。
 
(ううう…やっぱり、まだ御堂さんと二人きりになると気まずい…。セックス
している時はこんな事を考えないで済むけれど…)
 
 御堂と一緒にいて、こういう空気を感じないで済むのは抱き合っている時ぐらいだ。
 その時間は熱くて激しい上に、快楽に翻弄されているおかげで…こんな
気づまりを感じないのだが、こうして平常の状態だとまだ…何を話して
良いのか判らない部分があった。
 
(何ていうか仕事の話以外、まともにした事がないしな…。本当に、正式に
恋人同士になっても…セックスと仕事以外でしか、オレ達って繋がって
いないかも知れない…)
 
 御堂に気付かれないようにそっと溜息を吐きながら、窓の外の流れていく
風景を何気なく眺めていった。
 やはり街中の景色は、クリスマス色が濃いものになっている。
 街路樹には華やかなイルミネーションが輝いて、闇の中にフワリと
浮かび上がっている様は酷く幻想的だった。
 きっとこういう処を恋人と一緒に腕でも組んで歩いていけば、外気の寒さ
など吹っ飛んでしまうだろう…とふと考えた時、自分と御堂がそうやって
歩いている様を夢想し…すぐに否定するように首を振っていった。
 
(何を考えているんだろオレ…。オレ達は同性同士で、基本的に関係を
隠さなきゃいけないのに…。そんな風に堂々と腕を組んで歩くなんて
ありえる訳がないのにさ…)
 
 すぐに首を左右に振ってその考えを否定していきながらも、きっと実現
したら自分は満たされるだろうな…と思った。
 そうしている間に、御堂の車は滑らかに目的地に向かって走り続けて…
そして、大きなデパートの中に滑り込んでいく。
 屋上の駐車場に車を停めて行けば、御堂がポツリと呟いていった。
 
「…着いたぞ。君も一緒に来てくれ…」
 
「えっ…? 此処に何の用があるんですか…?」
 
「…一緒に見たいものがあるんだ。だから来てくれ」
 
「あ、はい…判りました…」
 
 どうして今夜に限って、真っすぐに御堂の自宅ではなく此処に連れて
来られたのかその意図を測りかねて克哉は首を傾げていったが…素直に
従って、すぐに車を降りていく。
 そして御堂の後をついていくように階段を下りて、下の階へと向かっていった。
 そうして辿り着いたのは…雑貨などを扱っているフロアだった。
 現在はやはりクリスマスシーズンという事もあって、目にも鮮やかなぐらいに
クリスマスに関連したグッズや飾りなどが並べられていた。
 中にはパーティーグッズを豊富に扱っている一角もあって、仮装用の衣装が
ズラっと並べられている。
 メイド、バニー、ピエロ、サンタクロース…定番とも言える商品の他に、
面白系の色物の衣装も沢山あって…見ているだけで結構楽しめそうな感じだった。
 御堂はいきなり克哉の手を掴んでいくと、その一帯を駆け足で突っ切っていった。
 
「うわ、御堂さん…」
 
「良いから黙ってついて来い…!」
 
 余程テンパっているのだろうか。
 交際し始めてから多少は優しくなっていた筈の口調が、以前のように命令
口調に戻ってしまっていた。
 しかし背後からついて来ている克哉からは、現在の御堂の表情は窺い知れない。
 そうして駆け足で抜けていくと…其処に並べられている商品を見て、克哉は
軽く目を瞠っていった。
 
「あ…これ、は…?」
 
「ああ、ここが目的地だ…。これを一緒に君と見たかったからな…」
 
 そうしてようやく御堂が立ち止まったのは、やや小ぶりのクリスマスツリーが
沢山並べられている一角だった。
 光ファイバーの様々な色合いに変わるものから、手のひらに乗るぐらい小さな
ミニチュアサイズのもの、スノーマンなどの飾りが添えられているものなど…
多種多少なものが存在していた。
 そういうものとあまり縁がなさそうな御堂がまさか、こんな処に連れて来た事に
対して驚きを隠せないでいると…御堂は、非常に照れくさそうに咳払いを
一つしながら答えていった。
 
「…君の、今年のクリスマスの予定が空いているようなら…その日の為に、
ここで私の自宅に飾るツリーを一緒に、選んで欲しい。良いか…?」
 
 まさか御堂の口からこんな言葉が出るなんて予想もしていなかっただけに、
一瞬驚きの余りに即答出来なかった。
 けれど数秒経ってようやく言われた言葉を理解して心に染み込んでいくと…
克哉は本当に嬉しそうに笑みを浮かべていった。
 
「ええ、オレで良ければ…喜んで…」
 
 ぶっきらぼうに見せて来た御堂の本心みたいなのを感じて、口元が
ほころんでいくのを感じていった。
 そうして二人であれこれ言葉を交わしながら意見を述べた上で…
光ファイバー製の、30センチ程度の大きさのツリーを選んで、
購入していったのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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