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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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この話は御堂×克哉のクリスマスネタです。
切なさとほんのりとした甘さが信条の話と
なっておりますので了承の上でお読みください。

いつかのメリークリスマス  

―御堂と最初のクリスマスを迎えたのは、二人が付き合い
初めて間もない頃だった

 出会った時のお互いの印象は最悪。
 そして関係もまた、今思い返すと御堂のこちらに対しての
嫌がらせという意味合いがかなり強い形で始まっていた。
 当時の克哉は、御堂に対しては敵愾心と反発心しか抱いておらず…
強要される性的な行為には猛烈な嫌悪感を覚えていた。
 それでも関係を続けていたのは…自分が三年余り一緒に働いてきた
営業八課の仲間達を、あまりに高すぎるノルマから解放する為だった。
 だが、初めてセックスをした日から…少しずつ、冷徹だった御堂が
態度を軟化させていって、たまにこちらに対して優しさを見せるようになった。

―其処から二人の関係は確かに変化していったのだろう

 気づけば、克哉の胸には御堂に対しての想いがいっぱいになり…
其れに耐えきれなくなった頃に、玉砕覚悟で告白した。
 御堂を好きだと自覚して、彼の事で心がいっぱいに満たされてしまってから
捨てられるよりも…自分の手で覚悟して終わらせた方がマシだと思ったから。
 甘い望みなど、一切抱かないで叩きつけるように自分の想いを
御堂にぶつけていった。
 そしてその日をキッカケに、御堂もまた自分を憎からず想ってくれていた
という事実を知り…二人は結ばれ、そして恋人関係になった。
 けれどお互いに誰かにその事を打ち明ける訳でもなく、ただ密やかに…
少しずつ一緒に過ごす時間を増やしていきながら、彼らはそれまでと
関係を変化させていった。

 そして、二年前のクリスマス間際のある冬の日。
 克哉は御堂にメールで呼びだされた。

『本日、迎えに行く。君の退社予定時間を教えてほしい』

 あまりに簡潔で、用件のみしか書かれていないので…最初、素直に
答えていいものか迷ったものだ。
 だが御堂がわざわざ迎えに来てくれるというのだから無下にする訳にも
いかないと考え、メールを読み終えた直後に速攻で返信していった。
 そして就業時間を迎えると…相手から指定されたキクチ・コーポーレーションの
本社の裏口に立って、御堂が訪れるのを待ち構えていった。

(うう…緊張するなぁ…。まだ付き合い始めて三週間近くしか過ぎていないから…
御堂さんと顔を合わせるのにまだ慣れてないよな…)
 
 御堂との関係自体は三カ月前からあるが、正式に恋人になったのは
先月末からの話だ。
 だからまだまだ初心者マークがついていて、お互いに手探りの状態だった。
 克哉とて、こうして御堂が迎えに来てくれる事はとても嬉しい。
 優しくしてもらえたり、気遣って貰えれば心がフワっと暖かくなるからだ。
 しかしそれ以上に密かに頭を悩ましているのが…御堂との会話が仕事以外の
話題に関しては続かないという事だった。

(まだまだお互いに変化した関係についていけてないんだろうけどね…。
本当に、御堂さんとこうして恋人同士になれるなんて…予想もしていなかった
だけに、どうして良いのか…判らないよな…)

 そうして白い息を吐きながら、克哉はひたすら御堂の車が訪れるのを
待っていった。
 つい最近まで冬になった割に暖かい日が続いていたが…12月下旬に差し掛かると
同時にグっと気温が下がったので、こうして立っているだけでは酷く寒く感じてしまう。
 けれど暖かい飲み物を買っている間に御堂の車が来てしまったら待たせる
事になるので克哉は暫く耐えていった。
 すると…何気なく街の方を眺めていくと、遠くの方で沢山のネオンが灯って
いるのに気づいていく。

「ああ…もうクリスマスだもんな…。何となく街の明かりがいつもよりも
華やかな気がする…」

 冬になると、17時を過ぎれば辺りは真っ暗になる。
 そうなると街に灯るネオンはどこか暖かくこちらを迎えてくれているような…
そんな風に感じられてしまった。

(クリスマス、か…。御堂さんは俺なんかと一緒に過ごしてくれるのかな…?)
 
 ふと、そんな不安が克哉の脳裏をよぎっていく。
 御堂はこちらの想いを受け入れてくれた。
 だからあの日、克哉を抱いてくれたし…週末も、一緒に過ごすように配慮して
身体もすでに何度か重ねていた。
 けれど…克哉はまだ、不安を拭う事が出来なかった。
 この日々が自分が見ている、都合の良い夢に過ぎないのではないかという
漠然とした思いが…少しずつ、待っている間に克哉の胸に降り積もって
いくようだった。

「まさか…この恋が…成就するなんて、予想もしていなかったからな…」

 そう、克哉はしみじみと呟いていった。
 その瞬間、こちらに一台の車が近づいてくるのを感じていった。
 間違いない、御堂の愛車だった…そう確信すると同時に、気づけば
無意識の内に笑みを浮かべてしまっていた。
 そうして克哉の前でその車は停車し、窓を少し開いていきながら
運転席から御堂はこちらに声を掛けていった。

「…佐伯君、すまないな。少々待たせてしまった…。さあ、助手席に
乗ってくれないか…?」

「あ、はい…わざわざ迎えに来て下さってありがとうございます。
それじゃあ隣に失礼させて貰いますね…」

「うむ…」

 お互いにどこかぎこちなさを感じさせていきながら、克哉は薦められるままに
助手席へと座っていく。
 そうして…克哉がシートベルトを装着したのを見届けていくと同時に
行き先を説明しないまま、御堂は車を発進させていったのだった―

 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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