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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※この話は現時点ではタイトル未定です。
 今日明日中に正式につけますので少々お待ち下さい。
 後、キチメガの年代設定がはっきり判らんのでこの話の日付設定は
2008年のもので合わせます。予めご了承下さい(ペコリ)

 佐伯克哉と晴れて結ばれて、一緒に新会社を設立してから二週間。
 御堂孝典は自分のマンションの中で、目の前に立ち塞がった最大の試練に関して
…カレンダーと睨めっこしながら思いっきり唸る羽目になった。
 男の視点は真っ直ぐに2月14日の処に釘付けとなっていた。

「…バレンタイン、か…」

 グムム、と唸りながら…自分の部屋の壁に飾られていた日本の美麗な四季折々の
写真が印刷されているカレンダーの日取りを眺めていく。
 2月7日、週末を前にして…彼は思いっきり焦るしかなかった。
 御堂孝典、33歳。
 …MGNでも、知り合いが興した会社でも早々と部長クラスの役職を得てエリート
街道をまっしぐらに生きて来た。
 だから恋人の佐伯克哉に、新しい会社の共同経営者として求められた時だって…
自分の実力なら、それくらいの事は出来ると思っていた。
 だが…これはあまりに未知すぎる世界だったので、困惑するしか―なかった。

「あの一言は…やはり、求められていると判断した方が良いんだろうな…」

 溜息を突きながら、夕方の事を思い出していく。
 本日の業務が完了し、一段落が着いてそろそろ帰宅準備をしようとした時…
いきなり克哉が勢い良く扉を開けて入って来て…いきなり、部屋の中で
キスをされたのだ。
 まだ会社を興したばかりで、自分と彼しかこのフロアにはいない事は
判り切っていたが…突然の事過ぎて、御堂の頭は真っ白になった。

(…幾ら終業時間間際だったとは言え、会社の中で…あんなキスをするのは
反則過ぎるぞ…まったく、あの男は…)

 …克哉のキスは情熱的で、酷く甘くて。
 熱い舌先で口腔全体を、優しく撫ぜ擦っていくかのように…ねっとりとして
深いものだった。
 チュパ、と大きな交接音を立てながら…こちらの瞳を覗き込んで、あの男は
一言…耳元で低い声音で囁いていったのだ。

『…御堂、来週…お前がどんな物を俺に贈ってくれるかを楽しみにしているぞ…?』

 ―それだけ囁いて、さっさと上にある…自分の部屋へと引き上げた残酷な
恋人の事を思い出し…御堂はカ~と赤くなった。
 あんな…腰砕けになるような、甘いキスだけして…それ以上の事を何もせずに
引き上げるなんて…生殺し以外の何物でもない。
 その時の事を思い出して、腰の奥がズクン…と疼く感じがした。
 顔を赤く染めながら…ベッドの上に横たわり…はあ、と溜息を突いていく。

(あの言葉が指しているのは…バレンタイン以外には、ないな…)

 自分の誕生日が九月二十九日。
 そして克哉の誕生日は…未だに知らない。
 
 そもそも自分達の関係は、あんな形から始まっているので…普通の恋人達のように
お互いの誕生日を祝う事も、季節イベントを一緒に過ごした事はまだ、皆無だ。
 クリスマスだって、新年だって…克哉は新しい会社を興す為の準備で忙しくて
自分に連絡を殆ど寄越さずに、途中で一回逢いに来たかと思えば…ミーティングルームで
ヤル事だけさっさとヤッて…会話もせずに立ち去ったりしたぐらいだ。
 そんな自分達が、初めて迎える季節イベントは…ようするに、今年のバレンタインが
最初になる訳だ。

(節分の時は…アイツ、元の会社の人間の飲み会に誘われたっていうので…
逢えなかったしな…)

 毛布を引き寄せて、自分の身体の上に掛けていきながら…天井を何気なく見遣っていく。
 ぼんやりと室内を照らす蛍光灯の明かりを眺めながら…脳裏に、あの…意地悪で傲慢で
身勝手で…こちらを振り回すだけ振り回す、自分の恋人の顔を思い描いていく。

「…男にチョコを贈るなんて経験、初めてだぞ…私にとっては…」

 そう、毎年…学生時代でも、MGNに勤めていた頃も…前の会社でも、御堂はその容貌と
実力の為に沢山のチョコレートを贈られる立場にいた。
 近寄りがたい雰囲気があった為に、対面しながら贈ってくる女性こそあまりいなかったが…
当日ともなれば、自分の私室や…自宅に直接、チョコレートが届けられていた事も
かなりの回数あった。

 あんまり甘い物を食べる習慣がない御堂にとっては、どうやって処理するかが毎年の
頭痛の種になっていて…良い印象がなかった日。
 それなのに…今年は、初めて自分がチョコレートを相手に贈る立場になってしまって…
どんな準備をしていけば良いのか判らなかった。

「…豪華なチョコレートをどっかから取り寄せるか…? それとも…自分で作れば
良いのか。…こんな事、今までやった事がないから…どうすれば良いのか本気で
判らない。私にどうしろって言うんだ…アイツは…まったくっ!」

 ベッドの上でゴロンゴロンと転がりながら…思いっきり恋人に向かって悪態を突いていく。
 
「…だが、楽しみにしていると言うのなら…やはり、私が自らの手で作るべきなのか…?」

 自分がキッチンに立って、チョコレートを作っている姿を想像して…寒い気持ちになった。
 …エプロンをして、佐伯の為にチョコを作ってラッピングして―
 この年になって、そんな恥ずかしい真似をしろと…そう言いたかったのだろうか…アイツは。
 そう考えると…自然と額に青筋が浮かび上がっていた。

『御堂、楽しみにしているぞ…?』

 無理だ、と思って否定しようとした瞬間…鮮明に昼間の彼の声音が…自分の頭の中に
再生されてしまう。
 その瞬間…顔がカァっと熱くなって…押し黙るしかなかった。

「うぅ…ううっ! 本当に…あの男は…目の前にいない時さえも、どうして…こんなに
私を惑わせるんだ…!」

 再会するまでの間だってそうだった。
 こっちが忘れようと必死になっていたのに…何かの拍子に、最後の…自分に対しての
労わりながら告白した時の記憶が思い出されて…結局、出来なかったのだ。
 期待されているのに、出来合いのチョコレートを渡して…がっかりしたような顔を
浮かべる克哉の姿を想像してしまい…ズキン、と胸が痛んでいった。
 そこら辺で御堂は…思いっきり開き直るしかなかった。

「…くっ…! 仕方がない! …私が自ら、今年は…作るしか、ないか…」

 瞳をギュっと瞑り…目元に掌を宛がいながら…ようやく観念していく。
 特に…まだ自分達の関係は極めて不安定で、危うい。
 せっかく想いを確かめ合って…新しい会社まで設立して、公私ともに大切な
パートナーになったばかりの時期なのだ。
 …相手との関係を固める為の努力はした方が良い。
 自分に何度もそう言い聞かせて…これから、目標に向かって…どんな行動を
取れば良いのか…自分の中で何度もシュミレーションしていく。

 ―あの男はどれくらい、自分に変革を齎せば気が済むのだろう

 そんな事を考えながら…暖かい布団の中に包まれて…御堂の意識はゆっくりと
…眠りの淵へと落ちていった―
 
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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