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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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「本田憲二」


 その日の目覚めは、かなり気分の良いものだった。
 もうじき冬が近づこうとしている頃だというのは判っていたけれど、ポカポカと
天気が良くて暖かくて、身体を動かすには絶好の日だと思った。

「ん~! こんな日は…思いっきり身体を動かすに限るなっ!」

 窓を開けて、深く深呼吸をしていくと…清々しい空気が胸の中でいっぱいに
なって満たされたような気分になった。
 明日には公園でバレーの練習試合をやる予定も入っているし、今日から
しっかりとウォーミングアップをしておかないとな!
 そうして朝からメラメラと気力が湧いてきてなっ!

 家に置いてあったトレーニング機械を片っ端から使って、日頃のディスクワークで
すっかり鈍ってしまっている肉体に活を入れていった。
 …汗を流すのは本当に気持ちがいい! 日頃にたまっている鬱憤とかストレスが
全て洗い流されていくような心持ちになれるからな!

「うお! もうこんな時間かっ!」

 夢中で運動していたら、あっという間に昼に近い時間になっていた。
 朝飯も食っていなかった状態にも関わらず、これだけ没頭して身体を動かし
続けていた自分をマジですごいと思ってしまった。
 …まあ、ここ最近は…随分と精神的に溜め込んでいたからなぁ。

(克哉がいない分の穴を埋める為に、ガムシャラに働いていたしなぁ…)
 
 ここ一ヶ月ぐらい…克哉が入院してしまった頃辺りから、書類の確認や作成
作業等をかなり俺も担当するようになっていた。
 今まで俺が営業に専念して、殆どディスクワークをやらないで済んでいたのは
さりげなくアイツがやっていてくれたからなんだな~と、嫌でも思い知らされる
毎日だった。

 …本当に縁の下の力持ちタイプって、克哉とか片桐さんみたいな人の事を
言うんだろうな。
 …普段は当たり前のように思っていたけど、いざ…あいつの分の仕事が
こちらにも割り振られてくると…どれだけ、黙ってたくさんの仕事をこなして
くれていたのか…その有難みをヒシヒシと感じていた。

(そういえば…アイツ、今日…午前中には退院って言っていてな…)

 その件に関して、すっかり失念してしまっていた自分に舌打ちしたくなった。
 ようやく自分の同僚が退院するというのに、出迎えに行くのをすっかり忘れて
しまったなんて…仲間なのに薄情だよな。
 とは言ったものの今から病院に行っても入れ違いになるだろうし…せいぜい、俺に
出来る事と言ったら…。

「そうだっ! あいつだって病院の味気ない飯が続いていたんだし…がっちりと
腹に溜まる物を食べたいに決まっているだろうしな! それならアレを作るしか
ないよなっ!」

 そうして、俺は…食通も唸らせる味わいと信じてやまない、自慢のカレーを
克哉の為に作成して、持って行ってやろうと決心した。
 そうなれば…善は急げだ! 大急ぎでシャワーを浴びて身体だけはさっぱりと
させていくと、ドドンと豚足を一キロ程大鍋の中に放り込んでいく。

 これこそ…俺特製カレーに欠かす事が出来ない重要な味のファクターだ。
 グツグツ煮込むことによってトロリとした食感と、骨から滲み出る濃厚な
ダシの味が堪らないんだよなぁ!
 後はニンジン、ジャガイモ、タマネギの類を…キチンと洗って泥だけは
綺麗に落としたら、豪快に放り込むべし!!
 これを2~3時間ほどたっぷりと煮込みこみ、俺のお気に入りの市販のカレールウを
放り込めば完成だ!
 …と、其処まで作業を終えた時…俺は一つ、重大なことに気づいた。

「…っって、それじゃあ…今の、この空腹はどうすれば良いんだ…!」

 そう、自分がカレーを食いたい気持ちだったのと、克哉に持っていってやると
いう想いだけが先行して勢いで作り始めてしまったが、カレーは簡単な料理では
あるが…「煮込む」時間が加わる為に、時間だけはかかってしまう代物だった。
 しかも俺流の「丸ごとカレー」の場合、通常よりも中まで火が通るのに時間が
掛かってしまう為にすぐに空腹を満たしたい場合には向いていないメニューだったのを
すっかり失念してしまっていた。

「ううっ! 後二時間…俺はこの空腹を耐えるしかないのか…!」

 目の前にグツグツと煮え立っている鍋を前にして…俺は強い誘惑に負けて
しまいそうだった。
 朝から夢中で運動していたのと、部屋中に漂う強い豚足の匂いに触発されて
俺の食欲はまさにピークを迎えようとしていた。
 今なら差し出されればどんなにマズそうな物でも、勢い余って口に放り込んで
しまいそうなくらいに飢え捲っている。
 二時間我慢するか、もしくは近所のコンビニにひとっ走りをして…腹を満たせる
ものを買ってくるか。
 その命題を前にして…俺は暫く考え込んだ末に。

「よしっ! ひとっ走りして来よう!」

 そう決意して…俺は鍋の火をそのままに、近所のコンビニへと走って
いったのだった-
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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