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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  先程の夕あ食のおかずとは一変して、酒の肴に用意されたレシピは全て
洋風の物ばかりだった。
 フランスパンにバターと、ガーリックパウダーを振り掛けて香ばしく焼いた
ガーリックトーストや、鳥のササミ肉をオーブンでカリカリに焼いて一口大に切り
ブリーチーズと共に合えて細かく切ったネギを乗せたクラッカー。
 それとカマンベールチーズを韓国海苔で挟んだ物と、どれも簡単に作れて
美味しい肴ばかりが並んでいた。

「…とりあえずネットを調べて、俺たちが好みそうな酒に合って簡単に
作れそうなレシピを用意しておいたんだけど…どうかな?」

「あぁ…一時間前後で用意した物としては上等だ。酒に合うのなら…特に
俺の方も文句を言うつもりはない」

「ん、良かった。じゃあ…一杯楽しもう。良く考えたら…お前とこうやって
飲み交わす事なんて初めての経験だしな」

 リビングの机の上に、ブランデーの瓶はすでに並んでいる。
 だが…台所を見る限りでは見慣れた寸胴のグラスは見当たらなかった。

「なあ…台所のキッチンのグラス置き場や、食器棚にはブランデー用のグラス
らしきものはなかったんだが…どこにあるんだ?」

「あぁ…それなら、リビングの奥のシェルフの中だ。其処のガラス棚の中に
酒に関連する物は一通り揃えて置いてある」

「了解…シェルフの中、ね…」

 大きく間取りを取られたリビングの隅の方に、重厚な雰囲気を醸した木製の
シェルフが置かれていた。
 言われた通り、ガラスが嵌めこまれている段を調べてみると…其処にチューリップ
型の口元の部分が狭まっているデザインのグラスと、ブランデーを飲む時には
お馴染みになっている寸胴のグラスが納まっていた。
 克哉は寸胴のグラスだけ手に持って席に戻ろうとすると、眼鏡に静止されていく。

「…どうせなら、其処のスニフターも持って来い。チューリップの形に良く似た
グラスがあるだろう。それだ」

「…スニフター? 何それ…?」

「取引先に以前、ブランデーを飲むならこのグラスがお勧めですよ、と言われて試しに
購入しておいたものだ。実際にそのグラスで飲むとなかなか楽しめたからな。
良いからそれも持って来い。お前も一度それで飲んでみれば、良さが判るだろうからな…」

「判った。それじゃ持っていくよ…」

 そうして丸く白いお盆の上に、4つのグラスを乗せてソファの上に克哉も腰掛けていく。
 眼鏡の隣に座ったせいか、微かに相手と肌が触れ合うと少しだけ緊張するような
思いがした。
 座り心地抜群のこの応接セットも、あのアパートで生活していた頃にはなかった家具だ。
   互いに向かい合いながら、眼鏡が瓶の蓋を開封していく。
 その瞬間に、芳醇な香りが部屋中に広がっていく。
 其れは克哉が今まで飲んだ事があるどのブランデーよりも濃厚で、噎せ返るような
芳香だった。

「凄い…濃厚な香りだね。それの銘柄は?」

「スペイン産のルイス・フェリベ・ヘレスブランデー・グランゼルバ60年ものだ。一度、
馴染みの取引先から譲り受けた事があってな。…俺がかなり気に入った一品だ。
お前も試して見ると良い…」

 そういって、スニフターと呼ばれるチューリップ型のグラスに…少量のブランデーを
注ぎ入れて、克哉に手渡していった。

「…ブランデーっていうと、大抵ロックか水割りでしか飲んだ事がなかったけどな…。
こういうグラスで飲むのは初めてだ…。どうすれば良いんだ?」

「…グラスの底に少量だけある酒を、自分の掌で温めるようにしながら…ゆっくりと
液体を回せ。そうすれば…今までのブランデーに対しての固定観念が変わるぞ?」

「ん、判った…」

 小さく頷き、彼に言われた通りの手順で…濃い色合いの酒をゆっくりとグラスの中で
回し始めていく。
 瓶を開いた時から、溢れんばかりの香りが立ち込めたその液体が…克哉の手の中で
暖められて、再び強烈に綻び始めていく。

「うわっ…」

 思わず、感嘆の声が漏れる。
 銘柄からして凄く厳しいというか、高そうな印象を覚えた物であったが…これだけの
芳香が鼻へと迫り来るは初めての経験だった。
 吸い寄せられるようにグラスの淵に口をつけていくと…今まで飲んだ事があるブランデー
とは格別の違いを感じさせられる。

「凄い…何か今まで、オレが知っていたブランデーとはまったく別物みたいだ…」

「…あぁ、俺も最初は感激したもんだ。ロックよりも香りが格段に強く感じられるから
結構気に入っている。だが…氷を入れて、キンと冷えた液体が喉に流れ込んで…
その後に焼けるような喉越しを感じられるのも、悪くはないがな…」
 
 そういって、もう一人の自分はククっと喉の奥で笑って見せた。
 強気で、自信に満ち溢れた一挙一動に思わず目を奪われていく。
 自分と同じ顔の造作に体型、それなのに…与える印象はまったく違い…本当に
克哉の目から見ても別人のようにしか思えない。
 
「凄く…美味しい。初めて試したけど、気に入ったよ…」

「そうか」

 素っ気無く眼鏡がそう答えると同時に、二人の間には沈黙だけが下りていく。
 無言で二人でグラスを傾けながら、用意した肴を合間に口に運んで…ゆったりした
時間が流れ始めていく。
 だが両者とも、どこかで緊張を隠せないままだった。

 眼鏡が知りたがっている克哉の真意。
 それを口に出すキッカケを掴めないまま…二人は、ただ旨い酒を喉の奥へと
流し込み続けていった。
 その極上の風味と、ベルベットのような滑らかな舌触り。口の中いっぱいに
ほんのりとした心地よい酒の甘みが広がっていく。

 けれどどれだけ良いブランデーを飲んでいようとも、二人は酔い切れない。
 相手の前に無防備すぎる姿を晒す事など、とても出来そうになかった。
 時折見せる眼鏡の…鋭い眼光。
 それが視界に入る度に、克哉は息を呑んでいく。
 同時に魅入られたようにその瞳に目を奪われ…気づけば、凝視してしまっていた。

「…何を見ている?」

 剣呑な雰囲気で、眼鏡が問いかけてくる。

「いや…そんなに睨まれると、落ち着かないというか…。少し、怖いかなって…」

「後ろめたい事があるからじゃないのか…? いつまでお前は黙っているつもりなんだ。
あんまり焦らされるのは正直言うと好きではない。いい加減、話したらどうだ…?」

「オレの真意ね。…大体は、昨日の夜に語ったつもりなんだけど…。ねえ、毎日毎日
破裂寸前の風船がすぐ傍にある。しかもいつ爆発してもおかしくない状況なのに…
日増しに大きく膨れ上がって、更に危うい状態になっていく。
 そんなのを目の前にし続けたら…お前はどうする? その風船が破裂してどうしようも
ない状況になる前に…それをどうにかしよう、と感じないかな?」

「破裂寸前の、大きな風船…だと?」

「…自覚ないんだ? お前、御堂さんと再会してからずっと…自分を偽り続けてない?
本当は心のままにあの人を犯して、貪りたくて堪らない癖に。
同じ過ちを犯したくないから、あの人に嫌われたり怯えられたりされたくないから…
自分の本当の欲求を抑え続けて、殺し続けてパンパンに膨れ上がっているという
自覚はないんだ?」
 
 その瞬間…どこか弱々しい雰囲気を纏っていた克哉の空気が変化していく。
 ふいに瞳の輝きが増していき、浮かべていた笑みに艶が混じり始めていった。
 眼鏡の視線は、相手の表情の変化につい釘付けになった。

(こいつ…顔つきが、変わった…?)

 さっきまでの人畜無害そうな、吹けば飛びそうな態度はすでにカケラも存在しない。
 婀娜っぽい顔に、眼差し。
 気づけば、指先からささいな仕草の一つさえも色気らしきものが滲み始めていた。
 ゆっくりとその手が伸ばされて、柔らかくソフトなタッチで眼鏡の頬を辿り始めた。
 
「…この間だって、それが破裂して御堂さんと微妙な事になっただろ? お前の本性は
酷くて意地悪で…好きになればなるだけ、その相手を壊したくて仕方ない。
 そんな強くて暗い衝動が常に胸の奥に渦巻いている。それが…お前だろ?
 だから…オレは、お前に前に現れる決意をしたんだ。毎日毎日、いつ破裂するか判らない
風船の傍で生きていくのは心理的に宜しくないから、な…」

 そうして、ソウっとその艶かしい指先が眼鏡の股間をなぞり始めていった。
 吸い込まれそうな深い色合いの双眸。
 その視線に半ば、金縛りに陥りながら…ブランデーの香りに混じって、昨晩にも
立ち込めていた…眼鏡の正気を奪った例の妖しい芳香が部屋中に満ちていた。

(この香りは…?)

 背筋に冷たい汗が走り抜けていく。
 身体の芯から火照り始める感覚と、背筋から凍り付いていくような悪寒が同時に
感じ始めていった。
 競り上がって来る強烈な衝動と興奮。
 それを必死に理性で押し留めようとするが…ほんの僅かな刺激でも、自分の
下肢はすぐに反応し始めていく。
 
「止め、ろ…!」

 本気の怒りを込めて、相手の手を引き剥がそうとするが…頭の芯が痺れて
まともに身体が動かない。
 さっき、大量に流し込んだ酒が彼の身体の反応をやや鈍くしていたのだ。

「…そんなに拒絶しなくても良いだろ。一度は…オレを好きなように犯した
事だって、ある癖に…」

 そうして、克哉の手が…眼鏡のフロント部分を寛げてジッパーを引き下げていく。
 硬くなり始めたモノを下着の隙間から取り出していくと…やんわりと握り込んで、
軽く上下させていった。
 昨日の時点でも、あれだけ御堂を貪り続けても正直、足りなかった。
 欲求不満や、吐き出し切れていない欲情が…僅かな刺激でもあっという間に
反応して、克哉の指を弾き返すまでに育っていった。
 自分の下肢がそんな有様になっているのを見て、眼鏡は思いっきり歯噛みしたい
衝動に駆られていった。

「止めろ、と言っているだろうが…!」

 身体の身動きが取れないならば、せめて眼差しだけでも抵抗の意を示さんとばかりに
強い視線でこちらを睨みつけていく。
 だが、克哉は怯む気配をまったく見せず…淫蕩に微笑んで見せた。

「…オレとこんな事したら、御堂さんに顔向け出来ないって思っているのかな…?
それなら気にしなくて良いよ。お前も、オレも…互いに相手に対して、気持ちが引き寄せ
られていないのならば…浮気、と言わない。特に同じ人間同士なんだし、な。
単なるマスターベーションだと割り切れば良い。そうすれば変な罪悪感を覚えずに…
済むだろう…?」

「…っ!」

 そうして、克哉は…ゆっくりと眼鏡の下肢へと、顔を寄せていった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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