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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※この話は7月いっぱいに連載していた『在りし日の残像』の後日談に当たる話です。
  その為、克克の夏祭りのお話でありますが…その設定が反映された会話内容と
描写になっています。
 それを了承の上でお読みください(ペコリ)


―屋形船の中で佐伯克哉は非常に緊張していた。

(ど、どうしよう…意識するなって言われても、この状況で無理だよな…)

 目の前には、二人分にしては相当に豪勢な料理が立ち並んでいる。
 鳥の唐揚げに、焼き鳥盛り合わせ。枝豆に揚げ出し豆腐、それにタイやマグロ、
ホタテ、ヒラメ、トビウオなどを盛り込んだ刺身の盛り合わせに…サーモンが乗った
シーザー風サラダ。
 どの料理も見た目が綺麗なら、味も抜群なのだが…自分の前にこれだけの
品が並んでいても、眼鏡の事を意識しまくっている克哉には普段の半分も
味覚を堪能することが出来ないでいた。
 
 元々小型の屋台舟であった為、宴会場の広さは12畳程度といった感じだ。
 それでも5~10人分の宴会をするのなら充分な広さがあった。
  両側の障子は開け放たれていて、その上に祭を感じさせる朱色の提灯が
ぶら下がって室内を暖色系の明かりで照らしてくれている、
 宴席の卓は部屋の中央に設置されていたので…少し移動すれば、窓際から
花火を楽しむ事が出来る状況はなかなかの贅沢だ。

―だが克哉を其処まで緊張させている要因は他にあった。

 部屋の隅の方に、流麗な柳の絵が描かれた屏風で覆われているスペースがある。
 そこには恐らく…一応隠されているが、先程のMr.Rと眼鏡の会話から察するに
寝具、ようするに布団が敷いてあるに違いない。
 その先の展開をどうしても想像してしまい…嫌でもソワソワしてしまう。

(あぁ…もう! こんなんじゃまるで新婚みたいじゃないか…!)

 眼鏡に抱かれる事を想像して、こんなに落ち着かなくなって。
 悶々としながら一人で百面相をしているなんて…凄く恥ずかしくて居たたまれない。
 しかしそんな克哉の葛藤を知ってか知らずか、こちらをやきもきさせている張本人は
シラっとした顔をしながら、悠々とお猪口で酒を楽しんでいた。
 黒い生地の、粋な浴衣を着ている今の彼には…そんな仕草も妙に様になっていて、
それが悔しい事に格好良いから余計に克哉は腹が立った。

「…どうした? さっきから落ち着かない感じだが…?」

「…べ、別に…何でもないよ…」

「…嘘をつくな。今から…俺に抱かれる事を想像しているんじゃないのか…?」

「…っ! 判っているなら、聞くなよ」

 図星を突かれてしまって…克哉はプイ、と拗ねたような顔を浮かべてソッポを
向いていく。
 今の火照っている顔をどうしても、直視されたくなかった。
 だが…眼鏡が喉の奥で笑っている気配を感じるとどうしてもムッとしたくなる。

(…こんなんじゃ、オレばかりが…あいつを好きみたいじゃないか…)

 こういう男だっていうのは、今までにも散々思い知らされている。
 眼鏡の意地悪な部分は、時々ムカっと来る事もあるけど…それが同時にこちらを
誰と応対するよりもハラハラドキドキさせるのも、判っている。
 けれど…こっちがこれだけ意識しているのだから、向こうも少しくらいは…緊張
している素振りを見せたって良いのではないか?

「…心配しなくても、後で存分にお前を可愛がって…沢山、啼かせてやるさ…」

「…っ! だから…そういう恥ずかしい事をシレっと言うなってば…!」

 今の一押しで、完全に克哉は拗ねモードに入ってしまったらしい。
 だが、眼鏡はどこまでも面白そうにこちらを眺めてくる。
 それが余計に癪に障って…克哉は一旦立ち上がり、窓際の方へと移動していった。

「…夜風に当たってくる!」

 しかしすでに屋形船は動き始めてしまっている。
 この狭い船内において、克哉が逃げられる場所も…身を隠せる処もない。
 それを承知の上でも…良いようにからかわれているのが悔しくて、少しでも
離れたくて…克哉は左側の、開け放たれている縁側に移動していった。
 
―その時、丁度最初の花火が打ちあがっていった。

「あっ…」

 食事を食べている間に、どうやら七時半を回ったようだ。
 夜空に鮮やかな花火が広がっていく。
 最初の一発目は…鮮やかな赤。
 そして、緑、青、紫…金色と、まずは小さい華が紺碧の空に広がっていく。

「綺麗、だ…」

 花火をこうやってゆっくり見るのなど久しぶりで…克哉はつい、それに
視線と意識を奪われていく。
 本人は気づいていないが、その横顔はとても綺麗で…見ている人間の
心を大きく煽っていく。

「………」

 だからいつの間にか、眼鏡が同じように宴席から立ち上がってこちらに忍び寄って
いた事など気づいていなかった。
 そして…唐突に背後から、強い力で抱きすくめられていく。

「っ…!」

 克哉が声を詰まらせていくと…ふいに首筋に暖かく柔らかい感触を感じていった。
 そして間もなく、鈍い痛みがそこに走っていく。

「あっ…ぅ…」

「…相変わらず、イイ声だ…」

「そ、んな事…な、い…! うぅ…」

 そのまま脇の下に両腕を通されて、浴衣の合わせ目から手を差し入れられていく。
 眼鏡の指先が、克哉の胸板全体を的確に撫ぜ擦り…微かに色づいていた胸の突起を
探り当てていく。

「…触れる前から、硬くなっているな。早くも…俺の指を弾き返している…」

「…バカ。言うなよ…」

 そう反論していくも、その抵抗は弱々しい。
 男の指先が執拗に尖りを弄り上げて…左右同時に快楽を与えられていくと
早くも小刻みに克哉の肩は震え始めて、唇から甘い吐息が零れ始めていく。

「あっ…はっ…」

 たった、それだけの刺激。
 しかし克哉の身体を熱く疼かせるにはそれで充分だった。
 身体の奥に、早くも火が灯り始めていく。
 相手の腕の中に抱きすくめられて、胸を弄られる。
 それしきの愛撫でも…下肢を硬く張り詰めさせるには充分で…。

「…花火を見ながら、お前を抱くのも一興かもな…」

「ふっ…」

 耳朶に舌を這わされながら、熱っぽく囁かれて…ゾクンと震えた。
 そのまま、窓際の木製の手すりを掴まされる格好で…眼鏡に背後から
覆い被さられていった。

「…忘れられない一夜にしてやろう…」

 そう告げながら、眼鏡は背後から…克哉の顎を捉えて、強引に振り向かせていくと
熱いキスを交わし始めていった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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