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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※これは本多の親友ルート前提のお話です。本多×克哉? と表記して
ありますが…御堂さんとか他のキャラとかが絡んでくるノマ相モテ状態の
お話です。本多か、御堂さんか…他の人とくっつくかは現時点では正直
未定なので『?』マークを語尾つけておきます。
 初めての本多主役の話です。序盤は彼の視点がやや多めになります。
(他キャラの視点もチョコチョコ混ざります)
 ちょっとコメディ風というか、ギャグっぽい話です。
 それを承知の上でお読み下され…(ペコリ)

―運命とは画して、予想もしない方向に常に流れるものである

 その朝、八課に来訪してきた社員は…中肉中背の、ハキハキとした
若くてフレッシュな雰囲気を漂わせていた男性だった。
 その社員は確か営業三課とか四課とかに所属していたと思う。
 本多の記憶も定かではないのは…サンライトオレンジをこの課で
扱っていた時期ぐらいしか三課の連中とは接点がなかったからだ。
 以前は他の課の人間達から、この八課は正直見下されていたというか
馬鹿にされていた部分があったが…プロトファイバーの一件から
随分と扱いが変わっていた。
 今、片桐の前に立っている社員も随分と丁寧な対応をしている。

「あぁ、上原君ですね…お久しぶりです。それで…年末に向けての
企画というのは何でしょうか…?」

「はい! 年末に開催される社内でのクリスマスパーティーで…
今年は大食い大会を開催しようという話が出たんですよ。それで…参課
してくれる人材さえ良ければ必ず盛り上がると思いまして…。
それで今、社内でも人気が鰻上りである佐伯さんに是非参加して
頂ければと思いまして…」

「えぇ…! オレは、そんなに大食いではないですよ! それにそんな…
目立つ場になんて…」

「いえ、佐伯さんなら壇上に上ってアピールするだけで、女子社員が
相当に喜んでくれますから…是非! 例のプロトファイバーの一件以来…
社内外問わず、佐伯さんの注目度は半端じゃないですから! 聞きましたよ…
この一年間で沢山の女子社員がアプローチしたり、告白しているにも
関わらず誰にも落とされない難攻不落の城だと!」

「そ、そんな事は…あの…」

(沢山の女子社員がアプローチしたり…告白しているだと?)

 今の世間話は本多にとっては聞き捨てならなかった。
 本多はこの一年以上もの間、克哉を想って積極的にアプローチを仕掛けて
いた第一人者でもあった。
 だから克哉に言い寄る人間は、男女問わず本多にとってはライバル以外の
何者でもない。

(…克哉の奴、そんな事一言も言っていなかったじゃねえか…。あいつ、本当に
俺に言ってくれない事って多すぎるよな…)

 以前の本多だったら、女子社員に克哉がモテまくりとか聞かされたのならば
「モテモテで羨ましいな~」とか「よっ、色男!」みたいな感じで軽口で
囃し立てたりする程度はやったかも知れない。
 だが、今の本多にはそんな事をやる余裕などない。耳をピクピクピクと
動かしながら克哉の返答を一言も聞き逃すまいと身構えていくと…。

「そ、それより…大食い大会なら、オレよりもずっと適任者がいますから!
彼に話を振った方が良いですよ! なっ…本多っ!」

「なっ…何だと!?」

 しかし克哉は本多が気にしている内容を詳しく話したりはせず、むしろ
大食い大会の話の方を思いっきりこちらに振ってくるような真似をしてきた。

「だって…絶対に大食いなら本多の方が上じゃないか。大学時代だって
カレーを一人で三杯ぐらいは平らげていたし。しかも大盛りで…」

「本当ですか? 本多さんってそんなに大食漢なんですか…?」

「いや、俺はそこまで大食いって訳じゃないつもりだが…ごく当たり前の
量を食べているだけだぞ?」

「…本多の普通の量は、通常の男の人の1.5倍から2倍ぐらいは
常に行っているって自覚した方が良いよ。ついでに言うと良くお前はオレの
事を『少食だな』とか言っているけど…オレの方が成人男子の標準量だから」

 惚れている相手にきっぱりと言い切られてしまって、ちょっとだけ
本多は切なくなってしまった。
 そうか…自分は克哉の中では立派に大飯喰らいと認識されていたのだと
新たな事実が判って本多の心中は少々複雑になっていた。

「おおっ! それなら…本多さん是非参加して下さい! 絶対に沢山食べて
くれる相手がいた方がビジュアル的にも盛り上がりますから…!」

「えっ…でも、俺…」

 通常の本多ならば、恐らく二つ返事で快く引き受けただろう。
 だがこの日の彼は…長年、自分を可愛がってくれた人を失ったばかりで
少しだけ暗くなっていた。
 だから少しだけ迷いの表情を浮かべていくと…片桐と克哉、そして八課の面々が
口々にメッセージを口頭に上らせていった。

「…本多君。君の事情は察していますが…今はちょっと、そういう事に乗り気に
なれないっていうのは判りますが…ですが、このような企画には僕は本多君は
とても適任だと思っています。君なら…きっと、社内のクリスマスパーティーを
大きく盛り上げてくれる力を持っていると…。
 僕は君のその姿を見たいです…ですから、出て貰えますか?」

「うん、オレも同じ意見…。ご近所の方の事はとても残念だけど…だからと
言っていつまでもお前が暗いままでいちゃいけないと思うんだ。明るくて、
豪放磊落なのが、お前だろ? そんなお前なら必ず会を大きく盛り上げてくれる
ってオレも信じている。だから…本多が参加して欲しいな」

 さりげなく克哉は自分が参加したくないものだから…柔らかく微笑みながら
本多にお鉢を回しているのだが、好きな相手にこう言われて…断りなどしたら
男が廃ると思った。

「…片桐さん、克哉…」

「本多さん! 僕からもお願いします! 佐伯さんにもどうせなら一緒に出て
頂きたいですけど…本多さんの人気も充分ありますし! 貴方が大食い大会に
参加して下さればきっと場は盛り上がります! ですから…!」

 そんなに面識がない若い社員でさえ、こうやって自分を買ってくれているのだ。
 克哉が…期待するような眼差しでこちらを見ているのが良く判る。
 この状況で断わることは、漢としては絶対に出来なかった。

「よっしゃあ! 任しておけ! 絶対に優勝するぐらいのつもりで参加させて
貰うぜ…宜しくな上原さん!!」

 そうして本多は体育会系の男子らしく、盛大に吼えながら自らの胸を
叩いて承諾していく。
 その場にいた全員が「おおっ!」と言いながら本多のその一言を歓迎して
くれていた。

―しかしこの時、彼はまだ…この後に予想外の参加者がこの会に飛び込んで
来る事をまったく予測してもいなかったのだった―
 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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