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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  その日、本多憲二は…気合満々の表情で喫茶店ロイドの扉を
克哉と一緒に潜っていった。
 この店は、いわば本多にとっては一種の鬼門に等しいものがあった。
 何故ならば…。

「あっ! 克哉さん! やっと来てくれたんだ! 俺、すっげー克哉さんの
事を待っていたよ! 今日も来てくれてありがとう!」

 店に入ると同時に、オレンジ色の髪をした青年が…先に入った克哉を
物凄い勢いで歓迎していく。
 その笑顔は正に、蕩けるかのように優しく…同時に克哉がこの店に来た事を
全身で喜んでいるのが伝わってくるかのようだ。

(…この野郎。俺の克哉に馴れ馴れしくしやがって…!)

 そしてその態度に、本多は非常に憤りを覚えていた。
 
「あっ…うん。今日は太一と約束したからね。ここでお昼を…
太一の自信作である新メニュー候補のサンドイッチの試食を
させて貰うって」

「そそ! この店、卵サンドが主力製品だけど…やっぱりいつまでも
メインが一品だけだと、しかもマスターの商品だけだと弱いじゃん?
それならそれにアレンジを加えて、味のレパートリーを広げておいた方が
良いと思ってさ。それでお得意様の克哉さんに味を見て貰って判断
して貰いたかったんだけど、マジで来てくれて嬉しかった。
今から用意するから、ちょっと待っててね」

「あ、うん…そうだ、本多の分も良いかな…? 今日、オレと一緒にご飯
食べたいからって一緒に来たんだけど…」

「へっ…本多さん? あ、其処にいたんだ」

 克哉に対する態度との余りの違いっぷりに、本多は一瞬…米神の
辺りに青筋を浮かべて内心、突っ込んでいった。

(俺と克哉の扱い、全然違うじゃねえか! 相変わらずだな…
この五十嵐って奴は…!)

 本多がこの店に初めて来たのはプロトファイバーの一件が片付いて
暫く経った頃辺りで…ついでに言うと今回で4回目になる。
 そして例に漏れず、本多がこの店に訪れるのは今日のように
克哉と一緒にだ。
 …どうもこの青年も克哉に惚れているっぽいので、こちらに対する態度は
極めて冷淡というか…あからさまに悪すぎる。
 克哉もそれが判っているので苦笑気味に自分達のやりとりを見守っているが
そのせいであまり積極的に本多をこの店に連れて来ようとしなかった。
 だが、仮にもこの男も克哉の友人に当たる訳である。
 …自分は、不本意ながら現在は『親友』扱いをされているが、同じ克哉の
友人として露骨な態度を取る訳にいかない。
 その為、片頬をピクピクと引きつらせながらもどうにか笑顔で挨拶を
していった。

「よっ…久しぶりだな。今日はここで昼食を取らせて貰う事にしたので…
宜しくな」

「あ、そうすか。とりあえずありがとうございます」

 …その瞬間、見ただけでも社交辞令とか、表面上と判るぐらいに
素っ気無い挨拶の言葉が飛び出してくる。
 どこからどう見ても、太一が浮かべていたのはさっきまでの愛くるしい笑顔とは
打って変わって、素晴らしいぐらいの作り笑いだった。

(だから俺と克哉に対してのその態度の違いなんだよ! 一応この店
喫茶店だろ! お前、接客業やっているんだろ! 仮にも客に…その
あからさまな態度をするのはどうなんだっ…?)

 …こんな態度を取られ続けているので、すでに太一と本多はすっかり
克哉を巡って犬猿の仲になりつつあったのだった。

「困ったなぁ…克哉さんの分だけなら、もうとっくの昔に準備してあるけど…
もう一人の分まで想定していなかったから、新しく作るのにすごい時間が
掛かるよ。結構サンドイッチって…中の具が用意してあればパパっと
終わるけど、今日は正午前に結構お客さん来ちゃったかんね…」

「…うん、飛び入りで一つ追加って形になってしまって…太一には本当に
申し訳ないって思っているけど、本多の分もお願いするよ。
何なら即興でお腹が満たせそうなものを作ってくれると在り難いけど
良いかな、太一…?」

「…克哉さんに其処まで頼まれたら、断われないな~。判った、この人の
分までパパっと何か作るよ。あんた…好き嫌いないよな? それならこっちの
お任せで構わないかな?」

「あ、あぁ…構わないが」

「あ~じゃあ、あんたも試作品を食べて貰おうかな。こっちのはこの店の新商品候補
じゃなくて…俺の個人的な研究結果なんだけど…」

 その瞬間、太一が何かを企んでいるような…微妙に黒さが滲んでいる笑顔を
浮かべていたのを本多は見逃さなかった。
 その顔に少し背筋がヒヤリとなるのを感じて…本多は軽く戦慄を覚えていく。

(おいおい、何が出て来るんだ…?)

 心の中でまたもやそう叫びたくなったが、年上としての最後の意地として…
どうにかその言葉を飲み込んでいく。

「わ、判った…待ってるぜ」

「ん、じゃあ…判った。その人の分作るのに十分ぐらい掛かるけど待っててね~」

 そういって明るく言い放ちながら…太一は店のカウンターの中へと入っていった。
 そのままこちらに背を向けるようにして作業を始めていく。
 カウンター席の人間には全てが見えないように視覚になっている部分も
存在しているせいで、詳細の全ては見えない。
 それから暫くしてから…妙に海鮮系の良い匂いと、大量の煙が立ち昇り…。

 ジュワワワワワ―!!

 と水に油を落としたような盛大な音が響き渡っていった。
 何となくその光景は、中華料理屋の厨房に近いような雰囲気が漂って
いたが…ここは一応、喫茶店の筈である。
 何故、こんな匂いが店内に漂っているのか理由が判らない。
 だが、真剣そうな顔で調理をしている太一の姿に…つい、克哉と本多は
目を奪われてしまい…その姿を見入ってしまう。
 そして太一は炎と盛大に格闘していき。

「はい! その人の分…出来たよ! 克哉さんの分もすぐに用意するから
もうちょっと待ってて!」

 そういって明るく笑いながら、ゴン! と大きく音を立てて…何か大きな
ドンブリみたいな物を置いていく!

「うわっ! 何これ…!?」

「何だこりゃ!」

 喫茶店という枠の中ではまったく予想もしていなかった物が目の前に
出されて、二人は心の底から驚きの声を漏らしていったのだった―

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プロフィール
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香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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