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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※2話で完結させる筈が伸びたー!! 眼鏡がムダに
エロくなりすぎだー! 頑張りすぎだー!
 という訳で三話形式になります。許してください…(ヨヨヨヨ)

 ―その後の克哉を宥めるのは並大抵の苦労ではなかった。
 いかんせん、勝手に克哉の口座から必要経費を引き落としておけと
いう言い方が非常にまずかったらしい。
 Mr.Rが立ち去っていってからも半端じゃないヘソの曲げっぷりで…
眼鏡はいまだかつて、もう一人の自分に対してここまで苦戦を
強いられた事はなかった。

 ベッドの上で膝を抱えて眼鏡に背を向けている克哉からは
何か黒いオーラが大量に滲み出ている。
 ここまで大いに拗ねまくっている克哉に遭遇したのは眼鏡も
初めての経験だけに…どうすれば良いのか判らなくなった。

「…おい、お前。いつまで拗ねているんだ…。新年早々、あまりにその顔は
景気が悪すぎるぞ。もう少しにこやかに笑ったらどうなんだ」

「………」

 しかし、さっきから幾ら声を掛けようと何をしようと、克哉がこちらを振り向く
事すらなかった。
 二人の間にかなり険悪な空気が流れていく。
 眼鏡はその現状に正直、舌打ちをしたくなりながら…どうすればもう一人の
自分が機嫌を直してくれるかを必死になって考えていった。

(考えろ…俺はこいつにこれを贈りたくて…あの男に手配を頼んだ筈だろう…?)

 この状況を打破しよう、という意識が強まった時…男の目には、
さっき黒衣の男から受け取った桐の箱が目に止まっていった。
 それをそっと手に取って開いていくと…其処には実に目にも鮮やかな一枚の
青い振袖の着物だった。
 それは…京友禅、全てが絹糸で仕立てられた見事な一品だった。
 青い生地の上に…赤や桃、紅や白の鮮やかな桜の花が舞い散って
流れている文様は…見ているものの心をくっきりと捉えていく。
 細かい絹糸の一本一本が鮮やかに染められて作られたその着物は…克哉の
肌の色の良く映えた。
 本人は女物など嫌がるかも知れないが…眼鏡はこいつにならきっと
似合うだろうと確信して選んだ品だ。
 この上品な蒼の生地なら、きっと…。

「おい…『オレ』」

 そうして、眼鏡は乱暴に桐の箱から晴れ着を取り出していくと…克哉の
肩にそれをそっと掛けて、彼と合わせていった。

「な、何だよ…!」

「…これが、俺がお前に贈りたかったものだ。…お前に良く映えているだろう…?」

「何を考えているだよ! 男のオレにこんなに贈ったって、何にも…!」

「いいや、お前なら立派に似合う。何故なら…この俺自らが直々に見立てて
選んだ品だからな…これの代金は今はお前に立て替えて貰うがその内、きちんと
俺が責任を持って支払うから…心配するな」

「…本当に、後で払ってくれるのか…?」

「あぁ、俺の能力ならば50万ぐらいはあっという間に稼げる。だから心配せず
これを受け取ってくれ…」

 相手に瞳を覗き込まれながら、きっぱりと言い切られて…思わずドキリ、となった。
 こうやって何かを断言する眼鏡の表情を、不覚にも克哉は格好良いと思った。
 こいつの真剣な顔なんて基本的に滅多に見れないし…自信たっぷりに笑みを
浮かべる姿は妙な色香すら感じてしまう。

(…こんな顔をされながら、断言されるのって反則だよな…)

 苦笑しながら頷いていくと、克哉はようやく…機嫌を直して、もう一人の
自分の手から晴れ着を受け取っていった。

「…これ、どこからどう見ても女の子が着るものだよな…」

「…心配するな。同じ顔でも俺には似合わないが…お前なら絶対に似合う」

「…それ、どんな保証なんだよ…まったく…」

 そう言いながら、もう一人の自分の手がこちらの衣服を脱がしに掛かる。
 眼鏡の手に脱がされるのは正直、恥ずかしかった。

「…お前に、着せてやるよ…俺、手ずからな…」

「うん…」

 そうやって自分の身体に触れる相手の手がとても優しかったものだから
克哉はつい…素直に頷いてしまっていた。
 そうして…さっき、応対する為に身を纏ったシャツとジーンズが遠慮なく
剥ぎ取られていって、ベッドの上で再び全裸にさせられていく。

「立てよ…お前に、これを着せてやる…」

「あっ…」

 耳元で、腰に響きそうなぐらいに低い声音で囁かれていく。
 そのまま…まるで催眠術に掛けられたかのように、克哉は
フラフラとその場に立ち上がり…相手に全身を晒していった。

(死ぬほど…恥ずかしい…!)

 羞恥の余りに、唇をキュっと噛み締める仕草すらもかなりの
色香が漂っていた。
 そのまま…眼鏡は全裸の克哉の前に跪いて、足袋から履かせていく。
 桐の箱の中には晴れ着を着るのに必要な物が一揃い収まっていた。
 自分だけが脱がされている状況なのに…先に足袋だけ身につけさせられるのは
逆に卑猥に感じられた。
 そのまま…肌着をゆっくりと身に纏わされていく。
 足袋、裾よけの順でつけられていくと…ようやく下半身が相手の眼前に
晒されなくなって少しだけホっとしていく。
 そのまま肌襦袢をそっと着付けられていくと…今、自分はこの男の手で
着物を着せられているという事実を嫌でも自覚していった。

(一体どこで…着付けの仕方なんて覚えたんだろう…『俺』…)

 その事に疑問を覚えつつも、克哉は相手の手に素直に身を委ねていった。
 眼鏡は克哉に長襦袢をそっと袖を通させると、両袖の辺りをしっかりと
克哉に持たせて正しい位置へと合わせていく。
 微調整を終えていくと、胸元の辺りをしっかりと右が下になるように
合わせてから後ろから前に紐を通していって縛って止めていった。
 意外に本格的な着付けの仕方をこいつがしている事に驚きつつも
克哉は…相手のされるがままになっていった。
 襟の後ろの部分に拳が一つ入るぐらいの余裕を作るように調整を
していくと…今度は紐の上に…伊達絞め用の帯を、身体の前から
通して背中で交差させていき前で挟んでねじって止めていった。

(何か着物を着せるのって凄く大変なんだな…。見ているだけで
一つ一つが非常に細かいっていうか…良く、『俺』覚えられるよなぁ…)

 まあ、恐らくこの晴れ着も一度着せられたら確実に脱がせられるような
真似をされるのは確実なのだが、こういう事に拘るもう一人の自分に…
ちょっとだけ尊敬も覚えてしまった。
 自分にはそれだけの為にこんな細かい着付けの仕方まで覚えるなど
絶対に無理なことだからだ。
 そして…ようやく青い晴れ着に袖を通されて、ドキドキしてきた。
 長襦袢を乱さないように慎重に羽織わされていく手つきが…妙に
丁寧で優しく感じられた。
 そのまま、腫れ物を触るような繊細さで…着付けは続けられていく。
 きっともう一人の自分にとっても、着物を人に着せることなど初めての
経験なのだろう。
 そのおかげで…滅多に見れない真剣な表情のもう一人の自分の顔を見る
格好となり、克哉の心臓は高鳴り続けていた。

―着付けが終わるまでの間、二人は終始無言のままだった

 口を挟むことなく、いつもは一方的に脱がされるだけの相手に…
こうやって丁寧に晴れ着を纏わされるなど予想外の体験過ぎて。
 全ての着付けが終わって…ようやく、帯板がつけられた頃には…
緊張の余りに、このまま克哉はその場にヘタり込みそうだった。

「…終わったぞ。思った通り…その晴れ着はお前に良く似合っている。
可愛いぞ…『オレ』…」

「…そんな訳、ないだろ…。26歳にもなる大の男が…こんな、晴れ着なんて
着たって…似合う訳…」

「お前は、俺の見立てに文句をつけるつもりか…? その蒼は、お前に合うと
確信して選んだんだ…。だから胸を張っていろ…良いな?」

「えっ…あ、うん…」

 そのまま、晴れ着を纏った克哉を愛でるように…男の手はゆっくりと
克哉の髪先から、項に掛けてを撫ぜ上げていく。
 たったそれだけの動作で…触れた場所から電流が走り抜けていくようだった。

「はっ…ん…」

 どうして、この男にこうやって少し触れられるだけで自分の身体は
こんなに反応をしてしまうのだろうか…?
 そのまま、眼鏡の手はゆっくりと…克哉の首筋のラインを辿っていく。
 克哉の身体は相手の手が蠢く度にビクビクビクと震えていってしまう。
 この着物を着させられている間、熱くて食い入るようなもう一人の自分の
眼差しに貫かれ続けていた。
 そして…この指先が、こちらの肌をくすぐる度に…もっと触れて欲しいと
いう欲望が溢れ出してしまって、堪らなくなってしまっていたのだ。

「…まだ、お前の髪やうなじに触れているだけだろ…? それなのにどうして…
もうそんなに顔を真っ赤に染めているんだ…?」

「…いじ、わる…さっきから、あんな風に…お前に見つめられ、続けていて…
こっちが冷静でなんか、いられると思ったのかよ…?」

「…そんなに、俺に見られて…お前は感じていたのか…?」

「はっ…ん…」

 眼鏡がカプっとこちらを焦らすように…耳朶を甘く食んでいった。
 軽く歯を立てられて痛いぐらいなのに、たったそれだけの刺激でもすでに
欲望が灯ってしまった肉体は過敏に反応していってしまう。

「…見れば、判る…だろ…?」

「いいや、判らないな…。だから俺を求めているのならば…きちんと声に
出して言うことだな…なあ、『オレ』…」

 そのまま、晴れ着の生地の上から…背骨のラインを探し当てられてツウっと
なぞり上げられていく。
 三枚ほど布地が隔てられているにも関わらず、それでもゾクっと肌が
粟立つのを止められなかった。
 そのままベッドの上に腰を掛けさせられると、その上に横たえられていく。
 
「…せっかく、着付けてもらったのに…もう…」

「なあ、『オレ』…知っているか…? 男が恋人に服を贈る時は…どんな意図が
込められているかをな…?」

「な、に…?」

「…それを自分の手で脱がしたいから、贈るんだ…。その為に、着付けの勉強を
今回はしたぐらいだ…。この蒼の着物を身に纏っているお前を…自分の手で
丁寧に解いて、抱きたいと思ったから…今朝も帰らずに残っていた…。
本当に、良く似合うぞ…『オレ』…」

「…ほんっとうに…そういう事だけは、労力を惜しまないんだな…お前…」

 と、思いっきり呆れたい気持ちが生じたが…相手がこちらを見る眼差しの
強さに、それ以上の言葉は封じられてしまった。

(着付けの勉強するぐらい…これをオレに贈りたいとか考えていたって聞くと
ちょっとだけ可愛く感じられるな…。それで黙って50万使われるのはちょっと
困ってしまうけれど…)

 けれど、さっき自分は必ずその分は稼いで返して…それをお前に贈る形に
してやるって聞いて、ちょっとだけくすぐったい気持ちになっていった。
 一旦、自分の口座から50万が減るのはちょっと痛いけれど…もう一人の自分なら
きっとその約束は果たしてくれるだろう。

「…本当、お前って物好きだよな…。こんなに労力を払ってまで…オレに晴れ着
なんて贈るんだもんな…」

 そう呟きながらも、克哉はまるで花が綻ぶような笑みを浮かべていった。
 それを見て…眼鏡は本当に、満足そうに微笑んでいく。
 そのままとても甘い空気が二人の間を流れていき…ごく自然に、唇が重なり合った。

「んんっ…」

「はっ…」

 お互いに短く声を零し合いながら夢中で唇を貪り合っていった。
 昨晩もセックスしている間、沢山の口付けを交わした。
 だが、そんなものでは全然足りない。
 
―もっと深く、激しく相手を感じ取りたいと思った

 キスを交わしたら、その想いが一層強まっていくのを克哉は感じていく。
 
(もっと…こいつと、キスしたい…)

 その願いに突き動かされながら、克哉は自ら積極的に舌を絡めていく。
 こんな…自分に晴れ着なんて、茶番以外の何物でもない。
 それでも…何か、不思議と嬉しく感じられた。
 もしかしたら他の人間から見たら、きっともう一人の自分の行動は滑稽に
感じられてしまうかも知れないけれど…それでも…。

 触れられる指先の優しさに、暖かいものを感じられた。
 こちらを時折見つめてくれた眼差しに熱いものを垣間見れた。
 
 晴れ着云々よりも、それを贈られた事でもう一人の自分が想ってくれている
事実を実感する事が出来たから。
 それが克哉の胸の中に確実に喜びをもたらしていたのだ…。

 チュク…チュパ…

 何度も何度も激しく口付けている内に、淫らな水音が二人の脳裏に
響き渡っていく。
 それが克哉の中に興奮を生み出していき…次第に理性も、何もかもが
どうでも良くなっていった。
 そうしてどれくらい永い間…キスを続けていた事だろう。
 ようやく解放されていくと…克哉の目の前で、眼鏡は実に獰猛で魅力的な
笑みを浮かべながら告げていった。

「さて…姫初めでも始めるとしようか…『オレ』…」

 そう告げながら、眼鏡の手はゆっくりと…克哉の晴れ着の帯板を
まずは外しに掛かったのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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