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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※これはCDドラマに収録されている克克の「特別な日」の
翌日という設定で書いてある克克の姫初めSSになります。
 それを聴いていない方には不親切な内容になっているので
予め断っておきます。すみません

 ―もう一人の自分に誕生日を祝ってもらった翌日
  克哉が目覚めた頃には初日の出はすっかりと昇り切っていた

 窓の外から、眩しい光が差し込んでくる。
 それでようやく…克哉が目覚めていくと、自分の隣にはとても
暖かい感触を感じた。

「えっ…?」

 一瞬、克哉は我が目を疑った。
 大晦日の日に彼と会えただけでも一種の奇跡だと思っていたのに
何故、自分がこうして起きても彼の姿が存在しているままなのだろうか?

(どうして目覚めても…もう一人の『俺』が隣に…?)

 そのことにびっくりしつつも、初めて相手の無防備な寝顔を目撃して
克哉はフっと瞳を細めていく。
 彼はいつだってヤルことをやったら…幻のように自分の前から消えて
いく癖に…何たって今回に限って、こいつが…。

「んっ…」

(しかも寝言漏らしているよ…案外、こいつ…睫が長くて整った顔をしている…
って、オレと同じ顔の造作している筈なのになんで見とれているんだよ!)

 心の中で大いにツッコミをしつつも、自分も相手もしっかりとベッドの上で
裸の状態で眠っていた事実に気づいて、ボっと顔が赤くなっていく。
 昨晩、どれだけ自分が相手に『愛されたか』を思い出してしまって
克哉は居たたまれない気分に陥っていく。
 もうこいつに好き勝手にされるのも多少は慣れて来たし…何だかんだ
言いつつもセックスをするのは気持ちよくて蕩けそうになる。
 …辛うじて、イク寸前に除夜の鐘を遠くで聞いていたようなそんな
記憶が残っている。
 
(まあ…シャンパンもケーキも美味しかったけど…誕生日プレゼントに
『プレゼントは俺で良いな』って言う奴は初めてだったな…。しかもオレが
食われる側になった訳だし…)

 何というか昨日の誕生日は、色んな意味で思い出に残るというか…奇妙な
一日でもあった。
 不思議な夢のような感覚。だけど…それが現実である事を示しているかのように
自分の傍らには、今も…もう一人の自分が存在していた。
 確認したくて、克哉は無意識の内に…彼の方へと指先を伸ばしていく。
 相手を決して起こさないように、慎重に…静かに触れようとした瞬間、ガシっと
眼鏡の手に手首を掴まれてしまって、克哉はぎょっとなる。

「うわっ…!」

「…俺を起こさないように撫ぜたかったのなら、もう少し気配ぐらい絶て。
…相変わらずお前は愚鈍な奴だな。…まあ、新年明けましておめでとう…
『オレ』 良く眠れたか?」

 手首を捉えられた次の瞬間には、相手が自分の指先をパクっと咥えて甘噛みなんて
したものだから、ついビクっと肩を揺らしてしまった。

「こら…人の指を噛むなよ! ちょっと痛いだろ!」

「…痛いだけか? お前のことだから…俺にこうされたら、指だけでも感じて
しまうんじゃないか…? こんな風に…」

 そういって、今度は掌の中心の辺りをペロリと舐められて、克哉はキュっと唇を
噛み締めてその感覚に耐えていく。
 そうしている間に、眼鏡は克哉の右手を両方の手で覆っていき…指の又や
先っぽの部分を…まるでペニスを口に含んで愛している光景を連想させる
ような淫靡な雰囲気で…舐めたり、擦り上げたりを繰り返している。

(って…何で指先を弄られるだけで、こんなエロい気持ちにさせられないと
いけないんだよ…! 本当にこいつって…!)

 チュポン…!

 わざと大きな音を立てるように指先を吸い上げられていく。

「こらっ!そんなに新年早々、いたずらするなよ…! もう、
やめろって…! あっ!」

 克哉がついにこらえ切れずに相手の口元から指を引き抜いた瞬間、まるで
見事な技の連携が決まった時のように鮮やかに…相手の腕の中に自分は
引き込まれてしまっていた。
 さっきまでちょっと距離があったのに…あっという間に詰められていく。
 トクントクン、と相手の鼓動をごく身近に感じてみるみる内に克哉の耳元まで
真っ赤に染まっていく。
 相手の顔が至近距離に寄せられて、克哉はどうすれば良いのか判らなくなって
つい眼鏡の顔を凝視してしまった。

「…くくっ、新年早々…俺の顔に見蕩れたか? お前は本当に…ナルシストなんだな。
俺とお前の顔は、基本的に一緒だろう?」

「…そんな事言ったら、新年早々…自分と同じ顔の奴にこんなエッチな
ちょっかいを掛けてくるお前は何なんだよ…。オレをそんな風に扱って、お前は
楽しいのかよ…」

「あぁ、楽しいが悪いか?」

「…即答なんだ」

 眼鏡の答えが一瞬も迷いも見せずに、即効で返って来たので…逆に克哉は
毒気が抜かれてそれ以上、何も言えなくなってしまった。
 相手の顔をチラチラと見ながら、軽く頬を染めていく克哉の姿は…本人にその
自覚はないが本当に可愛らしくて…眼鏡の嗜虐心を大きく煽っていった。

「…あの、悪いけど…そろそろ、離して。オレ…このままお前の腕の中にいたら、
何か、ちょっと落ち着かない気分になってきたから…」

 こうやって裸の状態で相手と抱き合っているだけでザワザワザワ…と
自分の中で何かがざわめき始めているのを自覚していった。
 このまま寄り添っていたら確実に自分はヤバイ事になってしまう。
 その本能的な危険を察して、俯きながらもう一人の自分に頼み込んでいったのだが
そんなのはこの男に限って言えば逆効果以外の何物でもない。

「…お前は、俺とこうしてベッドで裸で抱き合っていて…何もないままで
いられると思っていたのか? 随分と俺に関しての認識は甘いものだったんだな…」

「えっ…だって、昨日…あんなに、されたのに…今日までされたら、オレ…
本当に、その…死んじゃうよ…」

「まあ、新年早々…腹上死するぐらいに激しくヤルのも悪くはないかもな…」

「うわうわっ! だから抱き合った状態のまま…そんないやらしい手つきで
オレの身体を、あっ…! 弄るなってばー! やっ…あっ!」

 克哉は必死になって眼鏡の腕の中で暴れまくるが…相手はただ愉しそうな顔を
浮かべるばかりでまったく容赦するつもりなどなかった。
 赤く色づき始めている胸の突起や、脇腹の敏感な部分を遠慮なく攻め立てて
克哉の性感帯を攻めていく。

「くくっ…口では嫌がっている割には、お前はこんなに反応しまくっているじゃないか…。
胸がこんなに赤く色づいて、硬く尖っているぞ…?」

「やっ…バカ、其処を舐めない、で…んんっ!」

 唇でもその赤く染まった箇所を攻められて、軽く歯を立てられていくと耐えられないと
ばかりに鋭い声を克哉は漏らしていった。
 このままでは確実にセックスに雪崩れ込まれてしまう…とその危機感を抱いた瞬間、
部屋中にチャイムが響き渡っていった。

 ピンポ~ン!

 その音を聞いた瞬間、克哉は思いっきり眼鏡に頭突きを食らわせる勢いで
身体を起こして、一気に正気に戻っていった。

「ぐおっ!」

 その瞬間、眼鏡の顎に克哉の頭がクリーンヒットしていった。
 顎を押さえて相手が怯んでいる一瞬の隙を突いて…克哉は慌ててベッドの周辺に
大雑把にたたんで置かれていた自分のシャツとジーンズを引っ下げて、それに
袖を通し始めていった。

(確か…昨晩、オレは鍵を掛けた記憶がない…! もし、本多とかが新年の挨拶に
顔を出したのなら…出ないと、中に黙って入られる可能性がある…!)

 長年の付き合いである本多のみ、もし家の鍵が掛かっていなくて自分が
応対しない場合は…中に入って様子を確認するぐらいはされる可能性があった。
 克哉が一人暮らしと判っているから、風邪とかで倒れているということも
ありうるから仕方ないと判っているが…今朝に限ってはそれをやられたら
もう一人の自分を目撃されてしまう訳で。
 その危機を回避する為に克哉は高速で着替えを終えて、そのまま玄関へと
駆けていった。

「はい! どなたですか…?」

 先程の情事の匂いなど、絶対に表に出さないように気をつけながら…
克哉は慌てて玄関の扉を開けて応対していく。
 普段の克哉なら、もう少し用心して対応するのだが…今は動揺しているので
少し大胆な出方になってしまっていた。

「…新年明けましておめでとうございま~す。清々しい新年の朝ですね。
そんな貴方がたを祝うべく…お祝いの品をご持参させて頂きました~」

 歌うようなしゃべり方に、新年の爽やかな朝の全てをぶち壊しにしかねないぐらいに
胡散臭い格好をした男が其処には立っていた。

「み、Mr.R!?  ど、どうして貴方がここに…?」

「嫌ですねぇ。たった今…申し上げたばかりですよ。佐伯克哉さん…貴方と
我が最愛の鬼畜王となられる資質がある御方の為に、ささやかながら…新年の
お祝いの品をご持参させて頂きましたと…」

「えっ…? 我が最愛の…何て、言ったんですか…?」

 あまりも聞き慣れない単語がスラスラと黒衣の男の口から紡がれていった為に
とっさに聞き取れなくて、克哉は問い返していく。

「…別にこの男が俺をどう呼ぼうとどうでも良いだろう。…で、お前は一体…俺に
大してどのような貢の品を持って来たというんだ…?」

「お、『俺』…!  そんな風に出て来て…誰かに見られたらどうするんだよ!」

「…心配するな。この場にはこの男しかいない筈だ。こいつが…自分が目の前に
いる時に他の人間と俺たち二人が出くわすようなそんなミスを犯す訳がないからな…」

「あぁ、流石に我が王は…私のことを良く理解して下さっているようですね。
それでは…貴方様が佐伯様に対して、贈りたいと願っていたものをここに…。
これで宜しいでしょうか…?」

 そうして克哉のマンションの玄関先にて、男は恭しい仕草でもう一人の自分へと
立派な桐の箱を一つ…手渡していった。

(どうして桐の箱なんて…? 普通それって…着物とか、高い生地とかで出来た
ものを入れるものだよな…。どうしてあいつがそんな物を所望したんだ…?)

 ついでに言えば、もう一人の自分が好むのは外国のセンスが良いブランド物の
スーツやコートの類だ。
 それらの物を収めるには桐製の箱は若干、合わないというか不釣合いだ。
 その事で疑問を覚えていると…眼鏡は満足そうに微笑み、それを受け取ってから
黒衣の男に対して労いの一言を掛けていく。

「…ご苦労だったな。確かに…良い物を選んでくれたようだ。購入に掛かった
費用は適当にこいつの口座から引き落としておけ」

「了解しました」

 眼鏡の言葉に、Mr.Rは快く頷いていったが…その言葉の意味を少し遅れて
理解した克哉は、思いっきり叫んでいった。

「ちょっと待て! 今…オレの方を指差して言わなかったか? それ…一体
幾らぐらいするもんなんだよ!」

「50万ぐらいでございますよ」

 そして恐ろしい金額を、Mr.Rはサラリと口にしていった。
 瞬間、克哉は頭が真っ白になりかけていき…。

「そんな大金をオレに一言も断りもなく平気で引き落とそうとするなー!」

 という、安月給でこき使われる克哉としては至極まっとうな心の叫びが
その場に広がっていったのだった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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