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全然、サインイン出来ない&出来ても途中で弾き出される
状況で、こちらの更新作業が進みませんでした(汗)
やっと23時近くなって、安定してきたのでこれから書きます。
日付越えるかもですがご了承下さいませ。
これからバーニング書いて来ます。色々立て込んでいて
遅れがちになってすみませんでした。
…まあ、ワードで打ち込んでいる原稿とかコミケの申し込み
用紙の方はおかげである程度完成しましたが。
コミケの申込書はすぐに出せる段階まで完成させた。
カット描くのに殆ど一日掛かりでしたよ…(遠い目)
ちなみに本日、4~5時間ぐらい作業して仕上げた
夏コミのカット…。
今年の目標は絵が上手くなることとフォトショップを使えるように
なることなので…時間掛かったけど、絵を何パターンも描いたり、
フォトショで文字打ちとか、グレースケールでトーンとかベタっぽく
色塗ったりやってみました…。
慣れないので、メチャクチャ時間掛かりました。がくり…。
折りたたんで掲載しておくので、興味ある方だけどうぞ。
すでにその本が発行されて一年が経過しているのと、その本自体が
今は販売されていないこと。
それと…ちょっとした手違いで私の作品が掲載されていないバージョンの
本もあるとの事で掲載しておきます。
…執筆したのは2007年で、ドラマCDの特別な日が出る前でしたが…
か~な~り内容が被っていたので当時はシクシクと泣いたいわくつきの
一作です。克哉誕生日アンソロジーだったからそれにちなんだものと
思ったら本家もそれ来るとは思っていなかったので(汗)
…一応、CD発売前に書いたと断っておきます。パクリじゃないです。
たまたま被ってしまっただけでございます。トホホ~。
…そしてビジュアルファンブックも出る前だったので裏設定その他も
ロクに知らない頃なので今読み返すと色々痛い話ですが宜しくです。
興味ある方のみ、「つづきはこちら」をクリックして読んでやって下さい。
大切なものであったことに気づいた。
あの人がまだ自分の傍にいて微笑んでくれた時、こんなにも早く
会えなくなる日が来るなんてまったく考えていなかったから。
過去を振り返り、太一はつくづく思う。
その時間がどれだけ掛け替えのないものであったかを思い知った
今の自分が…過去に戻れたなら。
―きっと、もっと克哉に気持ちを沢山伝えていただろう
伝えきれない言葉が結晶となり…己の中に積み重なっていく。
それは雪のように純粋で、冷たい透明な想い。
―ねえ、克哉さん。俺は本当に貴方が…好きだったんだ。恋だって
自覚する前から…貴方と、知り合った時から…ずっと…
何度も、心の中で問いかける。
けれどもう想いは伝わらない。
克哉の存在は、今となっては太一の心の中にしか存在しない。
それでも、何回も何回も問いかける。
第三者から見たら、きっと過去に囚われてウジウジしているようにしか
見えないのかも知れない。
けれど引きずるという事は…それだけ、その存在が自分の中に食い込んで
重要な存在だった証だ。
大切でも何でもない相手の為に、人は傷ついたりはしないのだ。
だからどれだけ痛みが伴っても、太一は…克哉に纏わる思い出の一つ一つを
丁寧に心の中に浮かべていく。
―己の心に潜む、透明でキラキラした想いを…見出す為に
次に太一の脳裏に浮かんだのは、克哉に対しての欲望を自覚した日と…
あの事件の間に起こった、他愛無い日常の一コマだった。
プロトファイバーの営業の件に関して、目標値に達するか達しないかの
瀬戸際に立たされていた頃。
克哉は、息抜きの為に仕事が終わった後…喫茶店ロイドの方に足を
向けてくれた日のことだった。
太一もまた、その日は三時には大体のカリキュラムをこなしていたので
夕方の早い時間帯に店の方に入っていた。
17時になった直後ぐらいの時間帯は、あまり客がいない事が多かった。
この店のマスターである太一の実父は、これぐらいの頃にフラリと外に
出てしまうことが多かったからだ。
18時頃の、客が足を向け始めるまでにはほぼ戻ってくるのだが…常連の
方も店主がいない事が判っているのか、太一だけしかいない事が多い
時間帯には、あまり来なかった。
そのおかげで暇を持て余し、仕方なくスプーンやフォークの類を
ピカピカに磨く作業をする事で時間を潰していた。
単調な仕事ながら、くすんでしまった銀製の食器を磨くのは…一度始めると
綺麗に輝き始めるので意外に楽しいものだ。
そうして暫く夢中になっていると…軽く軋み音を立てて、喫茶店の扉が開かれていった。
その向こうからは、会いたいな~と念を送り続けていた存在が少し申し訳なさそうな
表情をしながら、立っていた。
「…こんにちは。太一、今日はいるかな…?」
どこか浮かない顔をして、克哉が扉の向こうからそっと声を掛けてきた。
「克哉さん!」
相手の表情に少し翳りがあるのは少し気に掛かったけれど、克哉の顔を見れて
太一は嬉しそうに微笑んでいった。
そうしてさながら、大好きな飼い主と遭遇出来たワンコさながらに克哉の方に
駆け寄って、ニコニコと笑ってみせる。
「さぁさぁ、早く中に入ってよ! 今の時間帯って客が本当に来ないからさ、
俺…暇を持て余してしょうがなかったんだよね~! だから克哉さんが来てくれて
すっごい嬉しい! 貴方と話していると本当に楽しくて仕方ないからね!」
「た、太一…大げさだよ。オレなんかと話したって、そこまで楽しくはないと
思うんだけどね…」
「ううん、俺はすっごく楽しい。克哉さんは俺がどんな話題を振っても知っている
範囲で丁寧に応えてくれるし、耳を傾けてくれるから。俺…克哉さんのそういう
所、すっごく好きだよ」
「…っ! ありがとう…」
太一の大歓迎モードに、克哉は逆に腰が引けてしまっているようだった。
だが一切構わず、克哉の手を引いて強引にカウンター席に座らせていく。
今の言葉に照れてしまったのか、克哉は軽く頬を赤く染めていた。
それをこちらに見られたくなくて、顔を俯かせている仕草は本当に…自分よりも
4歳も年上の人なのに、可愛すぎると思ってしまった。
(あぁ…今日も、克哉さんってば本当に可愛いよなぁ…)
ポワーンとなりながら、手早くテーブルを拭いて…冷たい水をそっと差し出していく。
「克哉さん、今日の注文は…? また、いつもの奴で良い」
「うん、それで…。確か、卵のサンドイッチだけだったらマスターがいなくても太一が
作れるようになったって言っていたから、その腕前を確かめる意味でもお願いするね」
「うわ! 克哉さん酷い! 前回に来た時に…その腕前をちゃんと披露して、キチンと
実証したじゃんか! 俺の言葉と実力を疑うつもり?」
「はは、疑っていないよ。信用しているって。そうじゃなければマスターがいないって
判っている時間帯にわざわざ来たりしないし。午後五時から六時の間に来れば
太一の特製のサンドイッチが食べられるんだろ? だからわざわざ時間調整して
直帰にして…そのまま此処に来たんだしね…」
今の克哉の一言に、太一はジ~ンと幸せな気持ちを覚えていった。
自分が以前に伝えたことを、きちんと克哉が記憶してくれていたことが判って
半端じゃなく嬉しくなる。
この頃の太一はすでに、克哉への想いを自覚し始めていた。
だからこんな日常の他愛無いやり取りや、一言から…とても幸せな気持ちに
なっていたのだ。
「…マジ? うん! それなら…腕に寄りを掛けて、とびっきり美味しいサンドイッチを
克哉さんに食べさせてあげるよ! だから少し待っていて!」
そういって瞳を輝かせながら、太一は克哉の為に精一杯美味しいものを
作ろうと気合を入れていった。
エッグサンドの下ごしらえをしている時間すら、今思えば嬉しくて仕方なくて…
幸せな一時だった。
そうして太一が意気揚々と、仕上げたばかりの自信作を克哉の前に出していくと
翳っていた克哉の顔が、嬉しそうに輝いた。
「はい! 克哉さん…俺の自信作出来たよ! 早速食べてみてよ!」
「ん、ありがとう太一。それじゃあ早速食べさせてもらうね」
そういって会話をしている間は、克哉は柔らかい笑みを浮かべている。
だがこっちが熱中して作業をして口を閉ざしている間、やはり克哉の方の
表情はどこかぎこちなくて硬いものだった。
そこから…太一は、克哉の気持ちが今日は重いものになっていることを
読み取っていった。
(克哉さん、きっと今日…何かあったんだろうな。何か表情が浮かないみたいだし…
俺と話していない時は表情も硬い。…前にも、今やっている営業は結構大変
みたいな事を言っていたしな…)
克哉はあまり、自分の事を語らない。
そして愚痴めいたこともあまり言おうとしない。
けれど…最近は親しくなってきたので、断片的にだが会社でのことも少し
話してくれるようにはなっていた。
太一が知っている範囲で判ることは、克哉が今…営業を担当しているプロトファイバーは、
御堂とか言う上役のおかげで、結構大変な想いをしているらしいというぐらいだ。
そんな克哉を励ましたい、笑わせて少しでも気持ちを軽くしてあげたかった。
―克哉の為に何かをしたい、と純粋に太一は思った
「ねえ、克哉さん…良かったらサンライズオレンジでも飲む? 今たまたま…在庫に
あるんだ~。この間、特売で安かったから勢いでつい買っちゃったんだけど…」
ぶはっ!
サンドイッチを摘む前、軽く喉を潤そうとグラスに口をつけて、冷たい水を喉に
流し込んでいた最中の克哉が盛大に吹いていく。
「サンライズオレンジ」は克哉が取引しているMGNの、現在メインとなっている
「プロトファイバー」の前に大々的に売り出していた商品だ。
美容と健康を歌っていたが、身体にどれだけ良い成分を配合しても味があまりに
微妙すぎた為に…一般層には受け入れられず、大量の在庫を抱える羽目になった
いわくつきの商品である。
克哉からしたらこの状況でその単語が出たのは、予想外も良い所だった。
意表を突かれる形になった為に、盛大に水を吹いてむせる羽目に陥った。
「うわっ! 克哉さん大丈夫!」
「うっ…ケホ、ケホ…だ、大丈夫…ちょっとあまりに懐かしすぎる単語を耳に
して驚いただけだから…。けど、遠慮しておく。あれは一応…うちの部署も
営業扱っていた商品だけど、味は本当に微妙というかマズイっていうのは
よ~く判っているから…」
「ゴメン、克哉さんを和ませようと思って軽口を叩いていたんだけど…苦しい
思いをさせちゃったね…」
「いや、良いよ。オレ…正直言うとちょっと本当にこのままで目標値を達成出来るか
凄く不安になっちゃってさ…。だから、つい此処に足を向けてしまっていたから。
太一の傍にいると、安心出来るっていうか…自信が少し持てるようになるから。
だから気にしなくて良いよ。太一が気遣ってくれているだけで…オレは充分、
気持ちが暖かくなっているからさ…」
「えっ…」
真正面から、予想外のことを言われて…太一の頬が一気に赤く染まっていく。
何というか、あまりに嬉しいことを言われて顔が火照り始めていった。
(うわうわっ! 克哉さんってばもしかして無自覚…? 今の言葉、すっげ~俺…
嬉しかったんだけど…!)
太一がつい、無言で口元を覆って顔を赤くすると…どうやら克哉の方も自分が
恥ずかしいことを言ってしまった自覚が出たらしい。
二人して…何か居たたまれない気持ちになって、お互いからソッポを向いてしまう。
何というか、微妙な空気が流れていく。
甘酸っぱいような、恥ずかしいような…そんな雰囲気だった。
(な、何か話した方が良いよな…この流れを変えないと。俺の部屋とかでこういう
空気になるなら大歓迎だけど…もうじき親父が帰ってくる頃だし、他の客もこれから
押し寄せてくる時間帯だしな~)
心底残念に思いながらも、太一はどうにか…この流れを変える為の口実を
どうにか探していった。
本音言うと、克哉を引き寄せて抱きしめたりキスしたりしたい衝動に駆られていた。
だが…いつ、第三者が踏み込んでくるか判らない状況で、実行に移すわけには
いかなかった。
だからポケットをゴソゴソと探していくと…先日、気まぐれに購入した品の包みが
指に当たって…太一は反射的にそれを克哉に向かって差し出していった。
「か、克哉さんこれ…良かったら貰って! 大したものじゃないけど…!」
「えぇ?」
唐突な展開に、克哉もまた…素っ頓狂な声を漏らしていた。
どうやら頭と場面の切り替えが上手く行っていないようだった。
それでも太一は現在の流れを変える為に半ば強引に、紙製の包装をされていた
その品を押し付けていく。
「それ、パワーストーンだから。俺の今の髪の色に近いからつい気になって買っちゃった。
確かサンストーンって言って…人の眠っている才能を目覚めさせたり…生命力や
活力を与えてくれる力があるんだってさ。俺もそんなに詳しくはないけど…今の克哉さん
落ち込んでいるみたいだしさ。俺は元気一杯だし、きっと力になると思う。
…お守り代わりと思って、受け取ってよ。それで少しでも克哉さんを励ましたり
力づけられるなら…俺、すっげ~嬉しいからさ…」
「えっ…でも、これ…太一が買ったものなんだろ? 貰って…良いのかな…?」
「うん、克哉さんに持ってて欲しい。俺の髪の色に近い石って言ったでしょ? だから
俺が傍にいて貴方を見守っているんだって…そう思って大切にしてくれたら…俺も
すっごく嬉しいからさ…」
「あ、うん…! ありがとう太一…嬉しい…」
この日の克哉は、本当に落ち込んでいた。
だからこそ…この太一の気遣いを、本当に心から感謝していた。
嬉し涙をうっすらと浮かべて、微笑んでいる克哉の表情はとても可愛くて…自分よりも年上で
身長も高い人だっていうのに、男の保護欲を酷く掻き立てられた。
太一が渡した、サンストーンは…古来より、「太陽」を意味する名称をつけられてきた石だ。
オレンジ色にキラキラ輝く姿は、太陽を連想させるからだろう。
―今思えば、この日に…二人は密かに両想いになっていたのかも知れない
まだ告白をしていなかった。
それぞれの気持ちを口にしなかったし、出来なかった。
太一はすでに己の気持ちを自覚していたけれど…同性同士である、という壁がどうしても
高く感じられてしまって、率直に特別な存在として克哉を「好き」だとは言えなかった。
(あぁ…本当に、克哉さんは可愛いなぁ…。本当に、俺…この人の事が好きなんだな…)
その事をしみじみと実感した瞬間、店の入り口の扉が開いて…マスターが帰って来た。
瞬間、さっきまで流れていた甘い空気は霧散していく。
二人は平静時の表情を浮かべて、変に気取られないように…普通の態度へと
戻っていった。
だが克哉は、自分のポケットに今貰ったばかりのパワーストーンを収めていくと…
時折、それを確認するように愛おしげに握り締める仕草を繰り返していったのだった―
この予定調和を崩す、この日の克哉の来訪。
そして太一が贈ったサンストーン。
その二つの要素が、本来彼らが辿るべきだった道筋から、皮肉にも新たな道筋を
生み出す原因になってしまっていた。
この日の二人は、幸せだった。
けれど不幸にも…大きな事件が起こる前に、克哉が太一への自らの想いを自覚したことが、
彼らにとって、最大の不幸へと結びついてしまった。
どれだけ想いあっていても、ほんの僅かな歯車の狂いや…すれ違いで、人は思いも寄らない
運命を引き寄せてしまうことがある。
この日は、いわば…振り返ってみれば最大のトリガーだったのだ。
―そして、この日より二週間後。
太一は、もう一人の克哉に屈辱的な目に遭わされ…永遠に克哉を喪ったのだった―
その会の最中に酔っ払い三人が実に賑やかというか手が
つけられないというか暴走したというか、そんな感じに仕上がったので
楽しかったですが、非常に疲れました(汗)
それで疲れで眠気が襲って来たので本日は日付変わる頃辺りで
寝ておきます。
起きれたら、この続きを明日の朝の内にアップ。
早朝に起きれなかった、夜に掲載する形にしますね。
ちなみに最近、春コミの原稿も少しですが始めました~。
現時点で締め切りまで一ヵ月半ぐらいの状況です。
克克新婚本の続き、というかほぼ対になっている本です。
次の本は最初の本で収録出来なかった4話に、書き下ろしが相当入るかと。
5~6話ぐらい書き足して、そっちも全十話ぐらいになると思います。
タイトルはすでに決まりました。「Luna Soleil」です。
フランス語で「月と太陽」という意味です。
W克哉の回想という形で、INNOCENT BLUEの最終話の夜に
克哉が新婚生活中の三ヶ月を振り返って、そしてその夜に今まで
語られなかった眼鏡側の本音、裏事情も明かされる。
そんな内容に仕上げます。次の本は甘い6:シリアス4ぐらいの
割合になるかもです。
まだ構想段階で、形にするには一ヵ月半頑張らないとあかんの
ですけどね(汗)
まあ近況報告としてはそんな感じです。ではでは~。
今晩はこの辺で失礼します(ペコリ)
非常に時間掛かります。ですので不定期連載扱いにしました。
本日からは太一×克哉の悲恋、残雪を連載します。
これは本編のEDの№29「望まれない結末」を前提に書いております。
その為に「眼鏡×太一」的な要素を含んでいます。
…そして、ぶっちゃけ言ってしまえば太克版の「雪幻」のような
お話です。今回以降は切なく痛い話になります。
ラブラブでない眼鏡×太一が苦手な方はお読みにならないで下さい。
それを承知の上で、お読みになるかを決めて下さい。では…
―あの人と一緒にいると、無邪気で優しい自分のままでいられた
正に、白い世界に。血、暴力、殺人、そういう事柄から無縁で
いられるような…そんな気がした。
遠くからずっと見ていたあの人は…優しくて、穏やかで。
この人の傍でなら、自分もきっと同じように振舞っていられるんじゃないかと…
そんな風に感じていた。
大学に進学してから三年目。
その秋頃に、太一は喫茶店を訪ねて来た克哉と正式に知り合った。
以前から遠目で、出勤中の克哉を見守っていた。
いかんせん、パンを口に咥えながら全力疾走という漫画の中では良く見かけるが
現実には滅多に遭遇しない事を体現しているような人だった。
最初はびっくりしたけどおかしくて、そんな自分の気持ちが優しくなっている
ことに太一は気づいた。
遠くから克哉を眺めていて、どんな人だろうって考える度に…幸せで
満ち足りた気持ちになって。
ただ、見ているだけでもあの人は太一に温かいものを齎してくれていた。
だから…知り合えた当初はとても幸せだった。
―けれど、長く一緒にいればいるだけ…次第に、克哉と一緒にいても
黒い自分の欲望は、鎌首をもたげるようになってしまった―
それは、太一が初めて克哉をバンドのライブに招待した翌週の
平日の夜だった。
曲作りに詰まってコンビニにフラリと立ち寄ったら…遅めの夕食用の
弁当を購入しようと先に来店していた克哉とばったり遭遇して、結局もう少し
一緒にいたいと我侭を言って…自分のアパートに克哉を招いたのだ。
克哉をアパートに招いたのは、ギターを教えた時以来のことだった。
コンビニで買ったスナック類と、弁当、おにぎりを摘みつつ…雑談を
していたら、仕事で疲れていた克哉は、さっきまでは頑張って睡魔と
戦いながら太一と会話を続けていたが、たった今…それに負けて
重く瞼を閉ざしてしまっていた。
その頃の克哉は、プロトファイバーの当初の目標を引き上げられて…
会う度に、どこか辛そうだった。
けれど太一は…克哉ならそれでも出来ると思っていたし、良い方向に
進んで欲しくて必死になってさっきも励ましていた。
それで安心したのだろう。目の前の克哉は…とても穏やかな顔を浮かべていた。
「…あ~あ…克哉さんってば、相当に疲れているみたいだな…せっかく俺と
会えたっていうのに…こ~んな無防備な寝顔を晒しているんだもんな~」
克哉の瞼がしっかりと下ろされてしまってから2分ぐらいした後、
どこかのメーカーの新商品の「ドロリ濃厚!カボチャシェイク」なるものを
喉に流し込みながらぼやいていった。
太一としてはまだまだ克哉と話したりないので…思いっきり肩を大きく掴んで
揺さぶって起こしたい衝動に駆られたが…疲れているのも、態度と言葉の端々から
感じ取っていたので、このまま寝かしておいてやりたい…という感情と戦っていた。
まずは気持ちを落ち着ける為に、味見に購入した品をグビグビと飲んで…
冷静な批評を下していく。
「…ん~やっぱり、このメーカーの新商品ってピントがどっかズレてしまって
いるというか…まずくないんだけど、何か微妙な感じだな。
カボチャの風味が濃厚で甘くて…何ていうかカボチャの煮物に牛乳を
混ぜて、それをシェイク状にしたってそんな感じだなぁ。一度飲めば
もう充分だな…。ほんっと、ここって伝説に残るようなイマイチ商品
ばかりをリリースする所だよな。ここのを一度は試す俺も充分な
チャレンジャーだけど…」
そういって、全てを一応飲み干すと机の上に缶を一旦置いて、太一はその場から
立ち上がっていった。
そんな事をやっている間に、余裕で五分は過ぎた。
さっき、克哉の寝顔を見た瞬間…動揺してしまったが…それもどうにか収まって
太一は冷静な判断をし始めていった。
…とりあえず克哉をベッドの側面に背を凭れさせながらの格好で一晩寝かす
訳にはいかなかった。
今日は平日で、克哉はさっき…明日も仕事と確かに言っていたからだ。
本当ならベッドの上に克哉を上げて、寝かしつけてやりたかったけれど…太一の
体格は克哉のものより若干小柄だ。
起きている状態ならともかく、すっかりと眠っている克哉をベッドまで
上げるのは相当に苦戦することは間違いなかった。
「…まったく、克哉さんってば…。こんな無防備な姿を俺の前に晒しちゃってさ…。
本当、警戒心なさすぎ…」
そうやって、一旦…太一は克哉の目の前に屈んで、身体を密着させるような
体制になって相手の脇に両腕を回していった。
「ほら…克哉さん、とりあえずベッドで寝てよ! 今の時期は夜は冷えるし…
床でなんか寝たら、身体を痛めてしまうからさ…」
「ん…ぅ…」
そう言いながら克哉がうっすらと目を開いて、とりあえず半分寝ぼけながらも
ベッドに上がる為に…太一の動作を自ら手伝ってくれた。
その寝ぼけてトロンとなった瞳に、一瞬鼓動が高鳴っていく。
抱き上げる際、密着していたので…服越しとはいえ克哉の体温と肌の
感触を意識しない訳にはいかなかった。
(克哉さんの寝息と、鼓動だ…)
それを自覚した瞬間、何故か鼓動が早まっていった。
だが今は…太一はそれを意識しないように努めていった。
それだけでも随分と楽になり、結構あっさり…克哉の身体はベッドシーツの
上に沈んでいった。
自分のベッドの上で、クークーと安らかな寝顔を晒している克哉を見て…
太一は呆れ半分に微笑んでいった。
「克哉さん…まったく、こんな無防備な姿を俺の前で晒して…克哉さんみたいな
良い人はきっと、俺がどんな風な目で…貴方を見ているか、きっと想像したり
しないんだろうな…」
そう呟きながら、瞬間…克哉のうなじが猛烈に魅惑的に見えた。
その整った唇に、己の唇を重ねたらどんな感触がするのだろうか…という
黒い欲望が湧き上がっていく。
―止めろよ。そんな目で…克哉さんを、見るなよ…!
自分の中に眠る、黒い自分が…ゆっくりと目の前で安らかに眠る
克哉を目の前にして…目覚めていくのが判った。
それを自覚した途端、心臓がバクバクと言い始めていく。
―例えば、その唇に舌を捻じ込んで、グチャグチャと音が立つぐらいに
激しいキスを交わしたら
きっと、脳髄が蕩けるぐらいに気持ちよくなるだろう…そんな夢想に、
太一は…目の前で眠る克哉を見て、浸り始めていく。
―克哉さんが俺の手で感じたら、どんな痴態を見せてくれるんだろう…。
感じさせたら、凄く可愛い筈だよね…。俺に懇願して、涙を浮かべながら
必死になって縋ってくる姿なんて見たら、きっと堪らないだろうな…
黒い自分がそんな事を言い始めた瞬間、太一の頭の中で…克哉は
衣類の一枚、一枚を剥がされて…淫らな表情を浮かべ始めていった。
相手の弱い所を攻め立てて、トロトロになるまで…感じさせたら
どれだけ艶かしい姿になるのだろうか…。
そんな妄想が、堰を切ったように溢れ始めていった。
(止めろよ…そんな事を、考えるなよ…! 克哉さんは俺の大切な友人だ…!)
―本当にかよ? お前は…こいつを好きで好きで仕方なくて、それで…
壊してしまいたいと思っているんじゃないのか…?
黒い自分が、ねっとりとした口調で…こちらに問いかけてくる。
あの人を刺してしまった日から存在していると自覚した…黒くて
冷たくて、酷いことを平気で考える自分が怖かった。
そうしている間に…自分の脳裏で、克哉は更に乱れ始める。
硬く張り詰めたペニスを弄ってあげると、淫蕩な眼差しを浮かべて
こちらに懇願するような表情を浮かべている。
自分の手の中で、克哉の性器が大量の蜜を零してヒクヒクと
震えている。そんなリアルな感覚までも一瞬、思い浮かんでしまって
太一は性的な興奮と、そんな事を考えている自分に戦慄する…
相反する想いを抱いてしまっていた。
(そんな事をだから考えるなよ…!俺と克哉さんは、そんなんじゃ…!)
心の中で叫んだ瞬間、自分の目の前で…克哉がベッドの上で艶かしく
首筋を仰け反らしていった。
伏せた睫の影は長く…元々整った顔立ちの克哉に、艶めいた印象を
与えていく。
―正直になれよ。お前は…こいつを抱きたくて、仕方ないんだろ…?
グチャグチャにして、啼かせて自分の事だけしか考えられないように
したい…支配して、屈服させてやりたいって…そんな歪んだ欲望を
感じているんだろ…?
もう一人の黒い自分が、時折悪魔のように感じられた。
そんな事を自分が考えているなんて、自覚したくなかった。
自分はこの人に優しくしたい、そう思っている筈なのに…相手が自分の
脳裏で黒い笑みを浮かべて、言葉を続ける度に…そんな思いが
まるで儚い蜃気楼のようにすら覚えてしまう。
ズクン、と下肢が熱を帯び始める。
それは雄として…目の前の存在を貪りたいという即物的な欲望。
太一は、そんな自分を…認めたくなかった。
克哉は大切な人の筈なのに、雪のように白くて純粋なこの人に対して
欲望の眼差しで見てしまっている自分を、自覚なんてしたくなかった。
「違う…違う!」
太一は必死に頭を振って、そんな思考回路を否定していく。
彼が拒めば拒むだけ、もう一人の「黒」い自分は…歪んだ笑みを
浮かべていった。
―認めろよ。自分の正直な気持ちを…
「嫌だぁ!」
自分の夢は、アーティストで、日の当たる場所で生きることの筈なのに
この自分の中に巣食う悪魔が否定すればするだけ、日増しに大きくなって
どうしようもなくなっていく。
己の中のどす黒いシミ。それに侵食なんてされたくないのに…克哉と
過ごしている間だけは、そんな想いなど今まで感じないで過ぎたのに…
その聖域のような気持ちすら、今晩…否定された気がして、太一は
とても苦しかった。
暫くその後、太一はハア、ハア…と乱れた呼吸を繰り返しながら
克哉の目の前で葛藤し続けた。
貪りたい想いと、友人としての克哉を大切にしたい感情がせめぎ合って
太一の中でぶつかっていた。
そしてその晩…悩んだ末に太一が出した結論は、自分がこの部屋から
出て行って克哉を守るというものだった。
「克哉、さん…ゴメン。きっとこんな俺が貴方の傍にいたら…きっと
貴方をどうにかしてしまう…。傍にいられなくて、ゴメン…」
眠っている友人を置いて、部屋を出るのは少し苦かったが…今、自分は
この人に対して欲望を抱いているのを自覚してしまった。
だからもう、今夜はここにいてはいけない気がしてしまった。
…けれど自分を正に留めたくて、克哉の頬にそっと指を這わせて…
一瞬だけ触れる儚いキスをした。
―どうか貴方が今晩、安らかに眠ってくれますように…
そう素直に祈れたことだけが、この夜の太一にとって…自分がまだ
『白』い世界に属していると実感出来る、唯一のことだった―
本日、全員送信しました。
通販利用者の方宛てに軽く連絡しておきます。
23日に発送した方については、関東から近い所に在住の人に
ついては荷物が届いていると思います。
1月23日に発送した方にはこちらの発送報告メールが若干
遅れてしまっています。
今夜に個別に書かせて頂きますので、もう少しお待ち下さい。
どうも手際が悪くて申し訳ございません。
24日、25日と日中出かけておりましたので色々と取りこぼしが
出てしまっておりますが…本日分については夜、改めて
書かせて頂きますね。
…まあ、太克をいきなり始めた事に関してはバーニングを楽しみに
して下さった方にはがっかりさせてしまったかもですが…出来ない~と
頭抱えて身動き取れないより、一旦棚に上げて気分切り替えた方が
良いでしょう、という判断も含まれております。
バーニングの方は週に1~2回程度、折り曲げていくという感じで
掲載していきます。
良かったら太克と合わせて、こちらもお付き合い下さいませ(ペコリ)
※バーニングは時間掛けて、全体を見通していかないと書けないので
非常に時間掛かります。ですので不定期連載扱いにしました。
本日からは太一×克哉の悲恋、残雪を連載します。
これは本編のEDの№29「望まれない結末」を前提に書いております。
その為に「眼鏡×太一」的な要素を含んでいます。
…そして、ぶっちゃけ言ってしまえば太克版の「雪幻」のような
お話です。今回以降は切なく痛い話になります。
ラブラブでない眼鏡×太一が苦手な方はお読みにならないで下さい。
それを承知の上で、お読みになるかを決めて下さい。では…
―昔のことを思い出すと、真っ先に浮かぶのは高校時代のあの出来事だった。
それは太一が克哉と出会う、何年も前の話。
今から七年以上前のことだった。
―生まれて初めて、人を刺した日の記憶
あれは、親父を守る為には仕方なかったと思っている。
けれど…まだ未成年だった自分には重過ぎた。
自分の就職した会社へと走って向かっている最中、まるで走馬灯の
ように太一の脳裏に苦痛の記憶が蘇っていく。
今思えば…自分が克哉に執着したのも、原点はここなのかも知れなかった。
そうして…太一は、七年前の実家で起こった大事件をゆっくりと意識の上に
浮かべていった―
それは五十嵐組の本邸、父に宛がわれた部屋でのことだった。
その場に居合わせたのは、偶然だった。
久しぶりに実家に顔を出した父親と、少し話したいなと思ってフラリと
立ち寄っている最中に、太一はとんでもない光景に出くわしてしまった。
―父親が二人の男に襲撃されて、片方の男を撃退している最中に…もう一方に
銃を向けられている現場だった。
それを見た瞬間頭が真っ白になった。
同時に、自分が助けなければ…親父が危ないと、心底思った。
今までの人生に、ケンカや暴力沙汰の方はそれなりの経験を積んで来ている。
だが、命のやりとりの現場に遭遇したのは…その時が初めてだった。
太一は、知らぬ間に叫びながら…護身用にいつも肌身離さずに持ち歩いていた
ドスを懐から取り出していた。
幼い頃から、この家に身を置くのなら絶対に身体から武器を離すな…と言われて
育ってきた。
五十嵐の本邸は、大きなグループの総帥である母と…五十嵐組の頭目である
祖父がいるせいで、いつその恨みを持つ者が襲撃してもおかしくない環境だったから。
だから物心をついた時には、幾つも護身術を学ばされた。ドスや、ナイフの類を持ち歩く
習慣も、小さい頃からのものだった。
けれどその習慣を、その時ほど感謝したことはなかった。そしてその教えの意味を
この瞬間ほど、理解した瞬間は今までなかった。
『親父から、離れろぉ!!』
父は、好きだった
だから考えるよりも早く…身体が動いていた。そして太一は…父の命を狙っていた男の
背面…右脇腹の部分に、ドスを突き刺していった。
あの手ごたえは忘れない。そして…動脈に触れる部分を刺したおかげで…
見る見る内に、刺した部位から血が溢れて来て…自分の手が汚れていった。
人を刺した時の、あの鈍くて重い感触、苦い感情。
それが知らない誰かであっても…自分の中の良心が、酷く疼いた。
―その瞬間に、太一の中で…何か黒い自分が目覚めていった
太一は、人を刺した瞬間…笑っていた。
現場にいた誰もが、目の前の光景があまりに凄惨すぎて…太一のその表情の
変化に気づいたものはいなかった。
けれど…生まれて初めて、血と殺戮を悦ぶ感情が己の中に存在しているのを
自覚してしまった。
それが冷静な部分では怖くて仕方なくて…けど、そんな太一の内心の怯えと
裏腹に…自分の顔は、冷笑を浮かべてしまっていた。
返り血を、血飛沫を浴びて…全身を汚した状態で、太一は冷たく言い放った。
『親父からさっさと離れろよ…あんたも、こうなりたくはないだろ…?』
その瞬間の太一の様子を見た父親からは、「あの時のお前は別人みたいだった。
怖すぎてちびっちまうかと思ったぞ…」と称していたけど、内心で自分も
そう感じていた。
自分がこんなに冷たい顔と声音が出来るなんて、今まで知らなかった。
氷のように冷たい眼差し。そして…本気の殺意を向けながら、太一は
冷然と…微笑んでいた。
その凄味は…とても十代の少年のものとは思えなかった。
自分の肉親を守る為なら、全力を持って戦う…その時の太一には
その気概があった。
そして父親もまた、裏の世界では凄腕の殺し屋として名を馳せている男だ。
二対一の状態で、不意打ちを突ければ男たちにも勝算があっても…
今は逆の立場となってしまっている。
男は、舌打ちをしながらその場から隙を突いて逃げ出していった。
―現場に残されたのは自分達親子と、たった今…この手で刺した男だけだった
危機を脱したと自覚した瞬間、太一は…ドっと疲れを感じて呼吸を乱していった。
その時点になってやっと正気が戻って、今…自分がした行為の恐ろしさを自覚
していった。
『良く、やった…お前のおかげで、命拾いしたぜ…ありがとうな…』
そういって父親は労いの言葉を掛けてくれた。
だが、太一は…平然と人を刺して殺そうとした自分が…怖かった。
『親父、無事で…良かった…』
太一はその時、泣いていた。
父親を助けられた安堵と、緊張が解けたせいで…その場に膝を突いてしまった。
それだけなら、感動のシーンだっただろう。
だが、太一は…この時に初めて、自分が育っていた環境の恐ろしさというものを
五十嵐組のトップになるという事がどういう事なのかを思い知った。
この時点では、太一の中では…祖父の跡取りとなることと、音楽の道に進みたい
という夢は半々ぐらいだった。
けれど…五十嵐組を継ぎたくない。そういう想いが生まれたのは…自分の
中にドロドロと黒い、狂気めいたものがあると初めて自覚したこの日からだった。
泣きながら、歯の音が合わなくなっていた。
生まれて初めて、人を刺して返り血を浴びた…その強烈な体験は、まだ
未成年の子供だった太一には強烈な体験過ぎたのだ。
そんな自分を、父親は抱きしめてくれた。
子供の頃以来の、父親からの抱擁だった。それが辛うじて…『白』い世界に
自分を繋ぎとめてくれた。
―親父、俺…怖いよ。生まれて初めて…人、を…
泣きながらそう訴えると、父親は黙って太一を抱きしめ続けた。
任侠の世界に身を置けば、裏の世界に生きるという事はこんな事が起きる
危険も承認しなければならない。
それを思い知った瞬間、怖かった。
―自分の中に、血を見て興奮して喜んでいる自分がいる。どうしようもなく
黒くて…それを愉快に思う部分がある
それは今までの人生で、気づくことはなかった己の闇。
…自分は、堅気の世界に身を置きたかった。日の当たる場所で行きたいと
この瞬間に痛烈に思った。
その事件の記憶が少し遠くなって、高校卒業後の進路を決めなくては
ならない時期に差し掛かった頃には、太一は己の進みたい道筋を
見出していた。
その当時の太一は、己が『白』の世界で生きる為には…何を犠牲にしても
構わないと思った。
上京して、都内の大学に通う際に祖父が出した交換条件。
それは犠牲になる人間たちのことを思えば、本当なら許されるものでは
なかったけれど…音楽をやりたいという気持を持って、まっとうな世界に居続けたい
太一は、その条件を飲み込むしか…当時は道を見出せなかった。
―今、思えば自分があの人に執着したのは…『白』い自分のままで
いたいという…その想いから発したものかも、知れなかった―
送信して下さった方は全員メール便にて発送致しました。
数日中にお手元に届きますのでご確認下さいませ。
本気で通販のお申し込みをして下さってありがとうございますv
そして最初の発送で受け取り報告をして下さった方、どうも
ありがとうございました。
一応作った側として、読み手の方に後悔させないだけの物を
作ったつもりでも…実際はどうなのか、という点は結構不安を
抱いているので、たった一言でも「面白かったです」とか
「買って良かったです」と言って貰えると非常に励みになります!(感涙)
年明けてから自信喪失するようなことばかり続いていましたので…
正直、とても励みになりました(ヨヨヨ)
そしてバーニング、不定期連載にした件について。
…はい、あれ…一話書くの現在非常に時間が掛かる状態です。
ラストが決まっている為に色々と調整したり、終わりの展開と
繋げるように意識しなきゃいけないのでめっちゃ時間が掛かっていまして。
通常の一話なら一時間~一時間半あれば書けるんですが、現在の
バーニングは3~4時間は集中して向き合わないと書けない状態です。
しかもそうやってもテンポ悪ければボツにしているので、正直…
自信喪失が激しくて。
これに拘って、ヨレヨレな運営状態になる→謝って言い訳ばっかりという
スパイラルを断ちたかったので決断しました。
…それでも三月ぐらいまでには完結させます。週に1~2本、投下
ぐらいのペースでやっていく予定です。
23日から始めた太一×克哉悲恋は…とりあえず自信を回復させる為の
リハビリ作扱いです。
太一…というキャラを通して、二つの人格を持つ「佐伯克哉」を掘り下げて
書きたいという動機で着手しました。
「望まれない結末」をベースに書いているので、眼鏡×太一要素も含んでいる
太克扱いです。
二話目からは切なく、痛い展開になるので…呼んでいて辛いと思う方は
その期間はお逃げ下さい。
全部で6~10話ぐらいの長さになると思います。二週間前後をメドに
完結させます。
とりあえず注意書きとお詫び文はそんな感じで。
付き合っても良いという方だけ、宜しくお願いします(ペコリ)
※バーニングは時間掛けて、全体を見通していかないと書けないので
非常に時間掛かります。ですので不定期連載扱いにしました。
本日からは太一×克哉の悲恋、残雪を連載します。
これは本編のEDの№29「望まれない結末」を前提に書いております。
その為に「眼鏡×太一」的な要素を含んでいます。
…そして、ぶっちゃけ言ってしまえば太克版の「雪幻」のような
お話です。二話目以降は切なく痛い話になります。
ラブラブでない眼鏡×太一が苦手な方はお読みにならないで下さい。
それを承知の上で、お読みになるかを決めて下さい。では…。
―太一にとって東慶大学を卒業して最初の春が訪れようとしていた。
大学在学中に、とある大企業の内定を得た太一にとっては本日が
初出勤に当たる日だった。
慣れないリクルートスーツに身を包み、五十嵐太一は緊張した面持ちで
必死に自分の髪を撫で付けていく。
「うっへえ…やっぱり、サラリーマン風の髪って俺には本気で似合わないよな。
髪も一応…初日だから黒に戻したけど、早く会社に慣れて…オレンジに
戻したいよなぁ…。何で日本のサラリーマンって、髪の色が黒とか薄い茶色とか
じゃないと認めないんだろ…本っ気でナンセンスだよな…」
中学の頃から、大学を卒業してほんの数日前まで…太一の髪は明るい
オレンジ色に染め上げられていた。
だが、流石に就職活動中と…初出勤の日は流石に黒くしなければヤバイと
判断して染め直したので、鏡の中には思いっきり見慣れない黒髪で
ダーク系の色のスーツを着た自分が映っていた。
このスーツの色と…ダークレッドのネクタイの色は、自分にとって今も
忘れがたい存在が良くしていた服装だった。
「…やっぱり俺に、サラリーマンって絶対に似合わないよなぁ…。薄々とは
判っていたけど、こうやってスーツとか着てみると…思い知らされるっていうか。
…けど、何年かこういう経験をしてみるのも悪くないって…自分で決めた
道だし、仕方ないか。ライブとかの時は、スプレーか何かで以前の髪色に
染めるかカツラを使うかすればどうにかなりそうだしね…」
そういって、シャツの襟を整えて…太一はネクタイをぎこちない動作で
絞めて整えていく。
どうしてこんな苦しいものを首に絞めるのが、現代のサラリーマンの
正装なのか、堅苦しいものが大嫌いな太一には殺意すら覚えてしまう。
「はは…俺にはやっぱり、貴方と同じ服装は…似合わないね。けど…
俺…貴方のことを忘れたくないから。もう二度と会えなくても…それでも、
克哉さんのことを忘れたくないし、サラリーマンをやっていた頃の貴方の
気持ちを少しでも知りたいって、そう思ったからさ…」
その色合いのスーツを着た自分を眺めている内に、今も鮮明に自分の
脳裏に刻まれている愛しい人の面影が蘇る。
鏡に映っている自分の姿が霞み、代わりに…今も焦がれて止まない
優しい笑顔を、その向こうに思い浮かべていく。
「克哉、さん…」
その瞬間、鏡の向こうで…その面影が優しく笑ってくれたような気がした。
―太一なら、大丈夫だよ…
そう一言、幻聴かも知れないがあの人が言ってくれたような気がした。
―そうだね。貴方が今でも…傍にいてくれているからね…
そうして、あの日からずっと…肌身離さずに持ち歩いているお守りを
上着のポケットから取り出していく。
このお守りの中に入っているのは、ただ一つ…愛している人が残して
くれた物だった。
今となっては、佐伯克哉はどこにもいない。
本当にあの人が存在していたのか…どこに消えてしまったのか、
克哉と同じ会社に勤めていた人間すらも足取りを掴めないままだった。
太一も、克哉との思い出の品など…携帯で2~3枚、ライブの時に
撮影した写真画像と、一枚の写真。そして…このお守りの中に
収められているものぐらいだ。
自分にとって、憎んで止まない眼鏡を掛けた方の克哉も…完全に
消えてしまった。
五十嵐組の力を持ってしても、生死は判らない。
生きているのか死んでいるのか…どこで何をしているのかも
どうやってもこの数ヶ月、掴めないままだった。
―けれど、愛憎を抱いた存在が幻のように消えてしまった現状でも
それでも太一を支えてくれたのは、最後に残してくれたこの愛情の
結晶だった
太一は強く、お守りごとそれを握り締めていく。
その度に愛しいという気持ちと…力づけられるような気がした。
人との繋がりは、想いは…例え目の前からその存在がいなくなって
しまっても―喪っても消えないのだと、あの人と知り合ったからこそ
太一は初めて知ることが出来た。
「克哉さん…愛している」
ごく自然に、あの人に向かって声を掛けていく。
己の中にある負、黒くてドロドロとした感情。
どんな時も渦巻いて苦しくて仕方なかったその闇を払って
くれたのは…心から自分を愛してくれたあの人と出会えたからだった。
だから、この先…別の人間と結ばれ、その人間と手を取り合って
生きていく日もあるかも知れない。
だが、このお守りの中にある物だけは…太一が絶対に生涯手放すことは
ないだろう。
―これは彼を、『白』い世界に留めておく鍵のようなもの
自分と同じ、光と闇を…黒と白の、二つの異なる魂を持つあの人が…
『今』の自分を留めさせる為に与えてくれた『光』そのもの。
自分の弱さが、愚かしさが儚く脆い存在だったあの人を消してしまった。
それでもただ一度だけ…あの日に出会えて、これを与えてくれた。
そして…残してくれた。
「克哉さん…」
あの日を思い出すと、涙がうっすらと浮かんでくる。
けれどその痛みもまた…大切なものだから。
どれだけの痛みが伴おうとも、決して忘れたくないあの雪の日。
苦しくても辛くても、切なくても…自分は、貴方を…。
「…俺、一旦サラリーマンをやるよ。それで貴方の気持ちを少しは
理解したい。けど…夢は諦めるつもりもないから。いっそ国外逃亡して
どっかの国で音楽活動でもした方が…俺って天才だから、早くトップ
アーティストの仲間入り出来そうな気するけどね。
けど、あの時の俺って弱くてガキで…一緒に過ごせたあの短い期間、
貴方のことを理解出来なかったし、否定ばっかしていた。
だから…今からでも、俺は克哉さんのことを知りたい。どんな気持ちで
働いて来たのか…肌で感じたいんだ。それで少しでも解りたいんだ…。
俺にこんなの似合わないって判っているけどね、それでも…」
鏡の中におぼろげに思い描いている、克哉の幻影に…沢山
語りかけていく。
こんなの、第三者がいて見られたら危ない人間以外の何物でも
ないだろう。危険な独り言でしかない。
けれど仕方ないだろう…自分が傍にいて欲しかった存在、色んな
想いを伝えたい存在はもうこの世にはいないのだから。
それでも伝えたかったら、独りよがりでもなんでも…こうやって対話
する以外にないのだ。
「…だから、見守ってて。克哉さん…ここで…」
そうして、お守り袋をそっと自分の胸ポケットの中に納めていく。
それだけで…ホワっと心が温かくなった気がした。
「…貴方が俺を見守っていてくれているなら…『黒』い俺に、
負けないでこれからも生きていけると…そう、思うから…」
そう祈るような真摯な声音で、告げていく。
気づけば…もう家を出なければならない時刻が迫っていた。
「おっと! そろそろ家を出ないと…幾らなんでも初出勤の日に
遅れるなんて真似はしたくないよな~」
そういって、明るい様子で太一は身支度の全てを整えてアパートを
飛び出していく。
外は、清々しいくらいの快晴だった。
桜が舞い散る風景を、風を切るように走り抜けていく。
こんな暖かな日は気分が良い。
去年の春はどれだけ陽気が良い日でも、こんな風に感じられる
ことはなかった。絶望の淵に、太一はいたからだ。
けれど…今の太一は、その世界の暖かさをしっかりと感じられている。
その世界の受け止め方の違いの全てが、お守り袋の中にある。
―克哉さん、貴方のおかげで…今、俺はこんなに暖かく世界を
感じられるようになったよ…
そう感謝しながら、太一は…克哉を喪った日からの一年以上に渡る
切なく苦しかった記憶を、ゆっくりと蘇らせていく。
今までは辛くて振り返れなかった。だが…今の自分なら少しは
客観的に見ることが出来るだろう。
必死に走る最中、青年は…佐伯克哉という存在に纏わる記憶を
ゆっくりと意識に上らせていった。
―彼にとって、もっと絶望に満ちた時代と、救いの記憶を―
「僕と某Yさん、最近貴方が克克を描いてくれなくてすっごく寂しく思っているんだから!
たまには描いてやって下さい!マジでお願いします!」
とプライドも何もかも捨て去って、正直な心の叫び(という名の告白)をありったけ
ぶつけてしまいました。(そしたら大爆笑されちゃった)
そしたら応えてもらったー! ひゃっほ~!
…そしてその絵を見て、こっそりとSS浮かんだので投下します。
O様、良ければ受け取ってやって下さい。
気に入らなかったらスルー方向でOKですので。
以下、そのSSになります。
連載やれよ、と確実に突っ込まれそうですが…バーニングの中盤、マジで
難産で毎日、頭がショートしそうです。
…バーニング、不定期連載にして毎日やれそうな話の連載を
始めた方が良いんじゃないかって思い始めた今日この頃。
がおがお~(雄叫び)
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
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1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。