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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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現在連載中のお話のログ

※この話は結ばれて結構経過した眼鏡と御堂のお話です。
ふとした瞬間に、黒い欲望を克哉は覚えてしまい…それを
どう抑えるか、忠実になるか眼鏡が葛藤を覚えるお話です。

『刻印』                         

 ビデオカメラは長い間、御堂にとっては苦い思い出がつきまとう
アイテムだった。
 かつて味合わされた絶望の日々の始まりが、無理やり強姦された場面を
克哉に撮影された事がキッカケだったから。
 けれど…彼から解放され、長い年月が過ぎて行く内にかつて抱いたいた
負の感情は自然と洗い流され…自分と克哉の関係も大きく変化していった。

―嫌な思い出を上書きしたかったのは私も同じだ…

 先程、こちらに対して撮影したいと申し出て来た克哉の表情が
夢うつつに浮かび上がったので、そう胸の中で呟いていく。
 どれだけ後悔したとしても過去を変える事は出来ない。
 けれど人間は嫌な思い出を忘れたり、他の思い出に上書きする事が
出来るのだ。
 だから許可をして…自分達が抱きあう光景を残すのを許可した。

―身体に残すだけではなく、他の媒体を用いて…自分達が共に過ごした
刻印を、この世界に残したいと思ったから…

 そんな自分の本心にうっすらと気づいていきながら御堂はそっと
目覚めて…傍らに眠る克哉を眺めていった。

「…全く、良く眠っているな…。良く考えてみればアクワイヤ・アソシエーションを
立ち上げてからずっと…君は誰よりも働きづくめになっているからな…。
少しぐらいそっとしておいてやるか…」

 御堂がこうして目覚めて上半身を起こしても、克哉が目覚めない時は…
彼が疲れきっているのだという何よりのサインである事を知っている。
 そういう時はそっとしておいてやって…あまり見る機会のない克哉の寝顔を
眺めるのが密かな楽しみでもあった。

(良く眠っているな…。こうして、君の無防備な姿を見れるようになったのは…
冷静に思い返してみると…つい最近までなかったように思うな…)

 克哉と御堂はお互い、睡眠時間は4~5時間程度で大丈夫という
タイプだし…あまり隙のある姿を人に見られたくないという意識が
共に強い方だった。
 それに克哉は未だにかつて御堂にした仕打ちに対して強い罪悪感を抱いて
いたせいか…なかなか、こちらにこうやって無防備に寝顔を晒す事は
滅多になかった。
 激しく抱きあって、御堂が意識を手放してた時は大抵…克哉は先に
目覚めてこちらの身体を気遣ってくれていた。
 それと何カ月か付き合っている内に…御堂の傍では、克哉はあまり
眠っていないというのも判って来た。
 最初の内は本当に彼の寝顔を見る事はなかったからだ。
 けれど…どうして、自分の傍で深く眠れないのか何となく理由を察した
時に、御堂は一言だけ克哉に向かってこう言ったのだ。

―たまには私の傍で、ゆっくり眠ってくれても良いだろう…?

 御堂が克哉に告げたのは、たったその一言だった。
 けれど…その言葉が引き金になったのか、それからたまにだが…
克哉は御堂の傍で熟睡するようになった。
 だからこそ御堂は良く判っている。
 お互いに過去のあの忌まわしい日々の事は口に出して蒸し返したり
しないようにしているが…こちらが思っている以上に、その後悔は
克哉の中で強い事を…。

「全く…私に酷い事をし続けた男と同一人物には見えないな…」

 ふと、今の優しくなった克哉を見ていると…かつての冷酷な目をして
こちらを弄り続けた頃の彼とは別人のように思える事があった。
 あの頃の克哉は御堂にとって、畏怖と恐怖と絶望を与えるだけの…
長年掛けて築き上げたものを破壊する忌まわしい略奪者だった。
 けれど…彼は、一旦決別する際に優しい一面を見せてから…
大きく変わったように思う。
 だからこそ御堂は彼の犯した罪を許し、こうして共にいる事を
選んだ訳なのだから…。

(だから、君は…もう過去に縛られなくて良い…。忌まわしい思い出は
こうして上書きして、少しずつ消していけば良いだけなのだから…)

 安らかな寝息を立てて、朝日を浴びて眠っている自分の恋人を
そっと見つめていきながら…御堂は、克哉の腕を軽く掴んで…
手首に赤い痕を刻みつけていく。
 流石に、その痛みによって克哉の目がうっすらと開かれていく。

「…痛いぞ、孝典。オイタにしては…それは眠っている身には
少々キツい気がするぞ…」

「ああ、起こしてしまったか…。いや、何…昨晩君は私の身体に散々
痕を残してくれたからな…。少しぐらい、そのお返しをしないと済まないと
思っただけだ…。悪かったな…」

「…いや、良い。あんたから痕を残されるなら男の勲章だからな…」

「…全く、君は本当に減らず口だな…」

 そうしてお互いにクスクス笑っていきながら、そっとキスを交わしていった。
 眩い朝の光がそっとベッドに差し込んでくる中…お互いに柔らかく笑みながら
口づけを交わしているシーンは、映画の中の一幕のようでもあった。
 お互いの髪や背中にさりげなく指先を這わせていき。
 ごく自然な感じで相手に触れ、労わり続けていく。
 たったそれだけでも…優しくて、穏やかな時間が紡がれていくようだった。
 暫くそんな戯れを楽しんでいたが…お互いに身を寄せ合って、体温を分かち合い
ながら…御堂はふと、昨日から感じている疑問を口に出していった。
 
「それで克哉…質問だが。昨晩撮影したあの映像は…一体どうする
つもりなんだ…?」

 そう問いかけた時、目の前の克哉は…悪戯っ子のようなそんな笑みを
浮かべていった。
 その表情に御堂は思わず、視線が釘付けになっていく。
 そうして…グイ、と御堂の身体を引き寄せていけば…耳元で甘く
彼は囁いていった。

―それは後日、嫌でも判るさ…

 そう意味深に微笑んでいきながら、克哉は強引に御堂の唇を
奪っていって…深い口づけをしながら、強くこちらの身体を胸の中に
抱きこんでいったのだった―

 


 


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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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