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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 少し緊張気味に夕食を無事に終えると…相手がシャワーを
浴びている間に片付けと…チョコレートの用意をしていった。
 バスルームの方から、水音が聞こえている間…自分の鼓動が
ドキドキしているのが判った。

(…本当に喜んでくれるかなぁ…)

 先程、店で買ってきた生チョコレートの入った四角い箱を眺めて
いきながら溜息を突いていく。
 …この日に自分から本命チョコを挙げるなど、初めての経験だ。

(去年…本多があまりにうるさくせがむから、仕方なく…コンビニで
100円で売っているガーナチョコレートを買って義理チョコとして
挙げたけど…あの時と全然違うよなぁ…)

 そういえば去年は、太一と本多がこのくらいの時期にやたらと
うるさかったので…買って贈っていた事を思い出す。
 確か本多が100円程度で、太一のが…その年に新商品として出た
250円程度のプレミアムチョコレートだったことを思い出す。
 だが、克哉にとってはやはり…それらは相手から望まれたから贈ったもので
あって…本命に贈るという緊張感はまったくなかった。
 実際、今朝…眼鏡にあんな風に言われるまでは、克哉はこの日にチョコレートを
贈ろうなどとまったく考えたこともなかった。
 だからこそ余計に、色々と考えてしまう。

―やっぱり、手作りした方が良かったのかな…

 いざ、贈る段階になると…買って来たもので済ませてしまうのは凄く
罪悪感が湧いてしまった。
 あんなに期待しているようだったら、不安でも何でも…自分は手作りチョコを
作るべきでなかったのか。
 昼間にテレビで何回も、手作りチョコの作り方とか…講座が開かれている
のを見て、薄々とそう感じてはいたが…手渡す瞬間が近づけば近づくだけ
その想いは強まっていく。

―買って来たものでも、あいつは喜んでくれるかなぁ…

 本当に、もう一人の自分が好きだからこそ…余計なことを考えて
ドキドキしてしまっていた。
 暫く、赤いベルベッドを思わせる包装紙に包まれたチョコレートを眺めて
いきながら…逡巡していく。
 眼鏡のシャワー時間はあまり長くない。大体、10~15分もあれば上がって
来るのが通例だった。
 …今から手作りしたって、間に合う訳がない。
 最低でも30分から一時間は見ておかなければ…手作りを相手に贈ることは
無理だった。
 ガラリ、と硝子の引き戸が開かれる音が奥の方から聞こえていく。

「あっ…もう、あいつが来る頃だよな…」

 一瞬、このまま食堂にいるか…それとも、ベッドルームに向かうか
考えていった。
 …風呂から相手が上がったら、後はいつどこで押し倒されてしまっても
おかしくない状況になる。
 …後始末の事や、身体の負担を考えたら寝室に移動した方が良い。
 そう思って移動しようとした瞬間、風呂から上がったもう一人の自分と
ばったり廊下で遭遇した。

「うわっ…!」

 克哉は思いっきり顔を赤らめて、声を漏らしていった。
 もう一人の自分は…腰にバスタオルを巻いただけで、上半身は
裸のままだったからだ。
 すでに見慣れている姿の筈なのに、やっぱり明るい照明の下で相手の
裸を見てしまうと…妙に意識をしてしまう。

「…相変わらず初心な反応をするな。…俺の裸など、散々見慣れて
いる筈なのにな…」

「そ、そんな事言われたって…」

 そう言いながら、相手の脇をすり抜けて…チョコを胸元で大事そうに
抱えていきながら…寝室に向かおうとした。
 しかしもう一人の自分は、それを見逃してはくれなかった。
 相手の脇を抜けようとした瞬間、がっちりと手首を掴まれてしまって強引に
引き寄せられていく。

「わわっ…!」

 そして問答無用で、ペロリと口元を舐められていった。
 気分は瞬間沸騰だ。
 克哉は本気で、憤死するんじゃないかと疑いたくなるぐらいに…顔を
紅潮させてジタバタと暴れていく。

「い、いきなり何をするんだよ! 心臓に悪いだろ…!」

 それでもびっくりしても、これから相手に贈る予定であるチョコは
しっかりと胸元に抱きかかえていた。
 けれどバクバクバクと荒い脈動を繰り返しているのが自分でも
充分に判ってしまった。
 
「…クク、お前がそんなに隙があるのが悪いんだろう…? そんな
無防備な様子で傍をすり抜けようとしているのを見たら…チョッカイを
掛けるなという方が無理だ…」

「…何だよ、その理論は…! 何でそんなに意地悪なんだよ…お前は…!」

 克哉がプイ、と顔を背けて拗ねていくと…ふいに相手の顔が
間近に寄せられていった。
 そんな彼の耳元に、熱い吐息を吹きかけながら囁きを落としていく。

「…そんな顔をするな。ここで速攻で食いたくなる…」

「な、ななななっ…!」

 しかもその瞬間、カプっと耳朶まで甘く食まれてしまったのだから
克哉の動揺は半端ではなくなってしまった。
 そのまま…ねっとりとした甘く尾骶骨にまで響くような官能的な
声音で、眼鏡は際どい発言を紡いでいった。

―お前をこのままグチャグチャになるまで犯して、貪り尽くしたい…

 そんな腰砕けになるような発言を落として、グチャリと…耳孔に熱い舌を
差し込まれたものだから、克哉は混乱状態に陥った。
 腰がマジで立たなくなりそうで…ついでにいうと恥ずかしさの余りに
パニックに陥ってしまった。
 ワタワタワタ…と慌てふためきながら、つい克哉は大声で叫んでしまっていた。

「バカッ! 意地悪! 鬼畜~! そんな行動や言動ばっかりして来て…
オレをからかってばかりじゃないか! もう…お前なんて…知らないっ!」

 せっかくチョコを贈る気満々で…今日一日、頑張って買いに出たり、
悩んだり迷ったりしたのに…相手にからかわれてばかりで、ついに
克哉は憤ってしまった。
 本気で腹立てている訳ではない。
 けれど、やっぱり…意地悪な振る舞いと言動ばかりをされてしまって
いるのに悔しくなったのだ。
 そう叫んで、素早く相手から身を離していくと…すぐ脇にあった寝室の
扉に慌てて身を滑らせていく。

 バッタン!!

 そうして、内側から鍵を掛けて篭っていく。 
 すぐ後にもう一人の自分も慌ててドアノブに手を掛けて中に入ろうと
試みたのだろう。
 ガチャガチャ、とノブを回す音が聞こえていったが…扉が開く気配は
まったくなかった。
 まさに天の岩戸状態だった。

「…おい、マジでお前は篭るつもりか…?」

『お前なんて…知らないっ! こっちがどんなつもりで…今日一日を
過ごしていたかとか、全然考えてもくれてないみたいだし! 意地悪な
発言とか、行動ばっかりだし…!』

「お前が意地悪したくなるぐらいに、可愛い過ぎるから悪い」

 扉越しに眼鏡がきっぱりと言い切っていくと…克哉の方は絶句してしまい…
その後、暫く間があった。


『…うわ~!聞いてて恥ずかしくなった! 『俺』のバカ~!!』


 そして、気恥ずかしさの余りに克哉は思いっきり叫んでしまっていた。
 しかし…扉を開ける気配はまったくなかった。
 その間も何度も眼鏡の方からノブを回していくが…やはり開けられる気配はない。
 このまま…チョコも貰えずに、扉の向こうで引き込まれてしまったら…こちらと
しては抱く気満々だっただけに、溜まったものではない。

(まったく…拗ねてしまったあいつの機嫌をどう回復させるかな…)

 どうやら、ちょっと力を入れて帰宅してからずっとからかい続けてしまった
ツケがここで来てしまったようだ。
 思い返せば、夕食の最中も彼は何度も、克哉を茶化し続けてしまっていた。
 嗜虐性がある性格なので、相手が可愛いと思えば思うほど…ついいじめたくなって
しまうのだが、ちょっと今夜は相手側の限度を越えてしまったらしい。

「…まったく、熱を入れすぎてしまったようだな…」

 溜息を突きながら、その事実を受け入れていくと…暫く眼鏡は
考えあぐねいでいった。
 …どうやって、この扉を開くか。眼鏡は必死に考えていき…ふと、リビングと
すぐ近くの天井の方を見遣っていった。

―良いものがあったな…これを活用するか…

 視線を向けた方向に、相手をいぶり出すのに最適なものがあった。
 そのまま…強気な笑みを浮かべて、一旦リビングに戻っていく。
 …机の上に、必要な道具は置かれたままの筈だ。それを取って戻れば
事は足りていくだろう…。

「まったく、手間の掛かるな…俺の天照大神は…」

 そんな軽口を叩いていきながら、眼鏡は…この重く閉ざされた扉を
開く為の手段を、実行に移す準備を始めていったのだった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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