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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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「…お前はバカか?」

 冷えピタを貼られて、第一声がそれだった。

「…顔合わせた早々、人をそんなバカ呼ばわりしなくたって良いじゃないか…」

 少し怒っている風な相手に気後れして…弱々しくしか言い返せなかった。

「…風邪なんて、自己管理が出来ていない証拠だ。…まったく、そんな状態で
俺を呼ぶとは…イイ根性をしているな。お前は…」

「よ、呼んだって…俺が…?」

「そうだ」

 …確かに、さっき少しだけ…もう一人の自分の事が頭を過ぎっていた。
 しかし…柘榴の実を齧る事なく、彼が自分の目の前に現れたのは初めての
経験だったので…克哉は軽いパニック状態に陥っていた。

「…そんな空腹の状態で俺を起こしてくれたもんだから…おかげで
俺も強烈な空腹感を覚える羽目になった。…いつまでもそんなのは御免
だからな。…仕方なくこうして作ってやる事にした。感謝するんだな…」

「えっ…?」

 こちらが驚いている間に、眼鏡は台所に向かって…お粥が入った皿を
乗せたお盆を運んで来た。
 一杯の水が入ったグラスに、スプーンが添えられていた…それを見て
克哉は再び、驚くしかなかった。

「これ…本当に、お前が作ってくれたのか…?」

「…不本意だがな。食えるか…?」

「…ん、けど…起き上がるの辛い、かも…」

 丸一日以上食べていない身体は、熱っぽい上に力も入らない。
 ベッドから起き上がって食べるのも何となく億劫な気分だ。

「…仕方ない。俺が食わせてやる」

「えぇ!!」

 今日の眼鏡は、通常からかけ離れた言動ばかりするので本気で
こちらは驚かされっぱなしだった。

「…お前がそのまま空腹でいると、俺もその苦痛を味あわされるんだ…。
仕方がないだろう…」

 溜息をつきながら、眼鏡が…克哉の枕元にお盆を載せて、スプーンで
一口分のお粥を掬い取ると…何とそれを吹いて冷ましてから克哉の口元に
運んでくれた。

「…毒、とか変な薬は入ってないよな…?」

「酷い言い草だな…<オレ> 今はお前と若干感覚を共有させられている
状態だから、そんな真似したら…俺の方にも被害が出るからな。
 そんな馬鹿な真似はしないさ…」

「そうなのか…? 判った…頂きます…」

 何となく眼鏡が不機嫌そうなので、それ以上は余計な事は言わずに
お粥を口に運んでいく。
 うっすらとオレンジ掛かった色のタマゴ粥は…ほんのりとした酸味と、コショウの
風味が良く効いていて…とても美味しかった。

「あれ…ちょっとほんのりと酸味があって…美味しい…」

「香り付けに柑橘類を少々入れたからな。悪くないだろ…」

「へえ…うん、良い香り。こういう使い方もあるんだね…」

 そういえば昔読んだ本の中にそんな小技が載っていた気がするが
眼鏡を掛けた状態の自分はしっかりとそれを生かしているらしい。
 何口かスプーンでそうやって、お粥を運んでもらうと…やっぱりこの相手が
そんな優しいことをしてくれるのが信じられなくて、けど…嬉しくて…克哉は
目を細めて笑んでしまう。

「…何を笑っているんだ…?」

「いや…何か、一人で今日は心細かったから…。何かこういう風に優しくして
もらうと…凄い、嬉しいなって…そう思って…」

「…優しい? 俺がか…? 俺は止むを得ずにこうしているだけだとさっき話したと
思うが…?」

「うん…それは承知の上なんだけどね。でも…やっぱり、俺は嬉しいんだよ…」

 そう言われて、不可解だと言いたげに眼鏡の顔が不機嫌そうになっていく。
 
「…相変わらずおめでたい思考回路をしているみたいだな…お前は。
俺が自分の利益や愉しみに繋がらない事を喜んでやる性分とでも
思っているのか…?」

「…思ってないけど…さ。それでも少しぐらいは…お礼言ったって良いだろ…
ありがとな…」

「っ…!」

 熱っぽく潤んだ瞳で、克哉にお礼を言われて…眼鏡の顔が一瞬、強張って
いった。
 慌てて口元を手で覆って顔を背けていくと…一瞬、大きく脈動した自分の鼓動に
不機嫌そうに眉を顰めていく。

(一体…どうしたというんだ…? 俺ともあろうものが…)

 一瞬でも可愛い、とか感じてしまった自分に…動揺するしかなかった。

「…どうしたんだ…?」

 不思議そうな顔を顔をして、克哉がこちらを見上げてくる。
 弱々しく…どこか頼りない、性格もまったく正反対な…自分。
 それを見て…眼鏡は酷い苛立ちを感じていた。

「…別に。そろそろ…お前にこうしてやっているのも飽きたから・・・俺の好きに
させて貰おうと考えていただけだ…」

 しかし、内面の動揺を一切漏らさずに…相手の顔を不敵な笑みを刻みながら
見つめていく。
 瞳の奥に宿る、獰猛さと冷淡さが同居している輝きに…克哉の背中はビクンと
強張っていった。

「ほう…察しは良いみたいだな…これから、俺がどうするつもりか…読めたのか…?」

「ちょ、と待て…こんな、時まで…もしかして…」

「…俺がお前の前に現れて…何もしなかった事があったか…?」

「っ!!」

 その一言を言われて、克哉の顔が一気に赤く染まっていく。
 今までの快楽の記憶が一斉に喚起されて…ベッドの上で身体を強張らせていく。

「お前に奉仕する時間は終わりだ…せいぜい、後は楽しませてもらおうかな…?
なあ、<オレ>…?」

 そう言いながら眼鏡はベッドの上に乗り上げて…克哉の唇をそのまま深く塞ぎ…
ギシリ、と大きくベッドが軋む音が部屋の中に響いていった―。
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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