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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※お待たせしました。
 6月25日から新連載です。
 今回のCPは御堂×克哉となります。
 テーマは酒、(「BAR」&カクテル)です。
 鬼畜眼鏡Rで、太一×克哉ルートで克哉が軌道が乗るまでアメリカで
BARで働いていたという設定を見て、御堂×克哉でもカクテルやバーを
絡めた話が見たいな~という動機で生まれた話です。
  その点をご了承で、お付き合いして頂ければ幸いです。

 秘められた想い    

後、今回の連載の作中に使用されているミュージックのリンク。
どんな曲なのか知りたい方はどうぞ~。

 『A列車で行こう』
 『いつか王子様が』

 ―次の演奏と演奏を繋ぐ音楽は、『いつか王子様が』を
柔らかくスローテンポにアレンジされたものだった。

 前半の演奏と、後半の演奏を繋ぐ小休止の間は…先程までは
ピアニストが紡ぎ出す音楽に耳を傾ける方に集中していた観客が
ひそやかな声とは言え、談笑を楽しみ始めていた。
 カウンターに立っていたバーのマスターや、ボーイ達も目まぐるしく
動き続けている。
 再び後半の演奏が始まれば、大きく動くことが出来なくなるからだ。
 前半の三十分の内に大抵の客は一杯の飲み物を片づけてしまって
いるらしく追加のドリンクをオーダーしていた。
 …克哉は御堂に手を握られている間、その恥ずかしさを少しでも
紛らわそうと、そんなジャズバーの店内の様子に目を向けていく。

(…御堂さんの指が絡んで、どうしても意識してしまう…)

 こういう時、この人にたっぷりと調教されてしまった自分の
淫らな肉体が恨めしくなった。
 …この人から与えられるものならば、どれだけささいなもので
あっても過敏に反応してしまう。
 こちらの指の股を、くすぐるように手を絡まされた状態で握られて
しまって…其処だけ、神経が鋭敏になっているようだった。

「…御堂さん、手を…離して、下さい…」

「駄目だ…」

「…ここはバーの中です。誰かに見られたら…」

「もうじきコンサートが始まれば照明も落とされる筈だ。…問題はない」

 傲岸不遜に微笑みながら、御堂は小声で言い切っていく。
 元来押しが弱い性格の克哉には、その傲慢なまでの自信が時々
羨ましくなる。
 けれどこのまま…御堂に手を繋がれた状態で、指先の性感帯を
責められ続けたらそれだけで勃起をしてしまいそうだった。
 …こんな処で自分だけが盛り上がる訳にはいかない。
 
(…しかも店の中でテーブルの下で手を握られて…オレだけ勃起するって…
どれだけもの欲しげな反応なんだよ…それって…)
 
 想像しただけ居たたまれなくなって、この場から消えたくなって
しまいたくなった。
 けれど御堂からの緩やかで甘い拘束は止められる気配はない。
 克哉の顔は…すでに耳まで赤くなって、心臓が忙しく脈動を
繰り返していた。
 すでに自分でも半分ぐらいまで性器が勃ち上がり掛けているのを
自覚して…泣きべそを掻きたくなった。
 混乱しつつある頭で、それでもこの状況を打破する為に…
克哉は苦し紛れにある一点を指摘していった。

「御堂、さん…。そろそろ一杯ぐらい…何か頼まないと喉が
乾きますよ…?」

 そう、御堂はこの店に入ってからまだ水しか口にしていなかった。
 一敗目のグラスの水も…すでに空になりつつある。

「…そうだな。一杯ぐらいは確かに酒を頼んだ方が良いな…。
克哉、君のオススメのカクテルはあるか…?」

「…御堂さんは確か赤ワインが好きでしたよね? 次は白ワインを好まれて、
行きつけの店では良く飲んでらっしゃいますよね?」

「あぁ、そうだ。この店でも何種類かイタリアワインがあるようだが…
あまり飲み慣れていない銘柄だから、ピンと来なくてな…」

「…赤ワインを飲みたい気分ならカーディナル、白ワイン寄りのを
味わいたい気分ならキール・ロワイヤルをお薦めします。
この二つのカクテルは確か…赤ワインと、白ワインがそれぞれベースになって
いますから御堂さんでも違和感なく飲めると思います…」

「ほう、君は…カクテルに詳しいのか?」

 克哉がスラスラとカクテルをこちらに薦める姿を見て…御堂は軽く
驚愕を覚えていったらしい。
 軽く目を見開きながら、恋人の方を見やっていった。

「えぇ、趣味で昔…自分で作ったりしていました。ここ最近はご無沙汰に
なっていましたけれど。けど…この二つは、もし御堂さんがカクテルを
飲まれる機会があったら薦めてみようって…そう決めていましたので…」

「そうか、なら…カーディナルの方を頼んでみよう。キール・ロワイヤルの
方が気が効いた高級レストランならメニューに置いてあるし…飲んだ
事もあるからな…」

「…そうですね。せっかくいつもと違う場所に来ているんですから…
新しい味に挑戦してみるのも良いと思いますよ…」

 会話している間に、御堂の意識もそっちに向いていったらしい。
 手は離される事はなかったが…こちらを煽るような挑発的な蠢き方を
しなくなっただけ…克哉の精神衛生上、大変ありがたかった。

「それでは…頼んでみようか」

 そうして御堂は片手を上げて、ボーイにオーダーを告げている間…
こちらの手をテーブルの下では変わらず握りしめていて…胸が
ドキドキしていた。

(どうか、気づかれませんように…)

 その事にばかりヒヤヒヤしてしまって…克哉は気が気じゃなかった。
 なのに相変わらず、御堂はポーカーフェイスを貫いていて…平然とした
態度をとり続けている。
 その肝の太さに心から感嘆を覚えていく。
 ようやくボーイが目の前から遠ざかっていくとそれだけでジワっと背中に
冷や汗が伝っていった。

「…緊張したか?」

「…当然、です…。どうして、こんな…」

 今、克哉が緊張していたおかげで掌はしっとりと濡れてしまっている。
 それでも意地悪な恋人は、手を離してくれる気配はなかった。
 今の間に、リクエストは完全にとり終わったらしい。
 舞台上ではトリオが三人揃っていて、演奏を開始しようと身構えて
いるのが目に入っていった。
 再び、スポットライトが舞台の上だけに灯されて…周囲の光は
控え目な状態になっていく。

「再び、演奏が始まるみたいだな…」

「…はい…」

 そうして、再び沈黙が落ちていくと…嫌でも、相手の掌の温もりと
感触を意識せざるを得なくなってしまう。
 後半のコンサートの開始に、ピアニストが滑るような指使いで奏でた
最初の曲は…御堂がリクエストした「Fly Me To The  Moon」の
柔らかなメロディラインだった―


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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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