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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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オムニバス作品集(CPランダム。テーマは「メッセージ」で共通しています」

※この作品は『メッセージ』を共通項目としたCPランダムの
オムニバス作品集です。
 暫くの期間、出てくるCPはネタによって異なります。
 通常のように一つのCPに焦点を当てて掲載する話ではなく
1話完結から2~3話で纏めて、鬼畜眼鏡ゲーム本編に出てくる一通りの
CPを消化するまで続きます。
 期間中、それらを踏まえた上で作品をご覧になって下さい。
 この形での連載期間はタイトルの部分に扱うCPも同時に
表記する形になります。興味ない方はスルーなさって下さい。

 本多×克哉?  ガムガムメッセージ  1(完)
 眼鏡×秋紀    愛妻弁当                 4(完)
 太一×克哉    二人の記念日          

―激しく愛し合って、再び目を覚ました頃にはすでに窓の外は
白く染まり始めていた
 
 窓から眩い光が差し込んで来た事で克哉は意識を覚醒させていき、傍らに
太一の存在と、自分の身体の奥に愛し合った痕跡が残っているのを思い出し…
いきなり狼狽していった。
 
(ああ、もう夜明けか…。今の時期、確かに陽が昇るのは早くなっているけど、
昨晩は太一とあんなに激しく…うわっ、思い出したら何か恥ずかしくなってきた…!)
 
 自分の言った一言が、余程太一の心に火を点けてしまったのか昨晩の行為は、
いつになく激しくて情熱的なものだった。
 おかげで克哉は途中で意識を手放す結果になり…その事を思い出すと同時に、
カアっと顔が赤く染まっていく。
 それでも身体が思いの外さっぱりしているのは、克哉が気を失っている間に
太一が身体を拭いてくれていたからのようだ。
 その事に気づいた克哉は、自分の傍らで眠りこけている太一を優しく
見つめて、そっと髪を梳いていった。
 
「…ありがと、太一…」
 
「ん…」
 
「あ…起こしちゃった…かな…?」
 
 軽く触れた瞬間、太一が身じろぎをしたので起こしてしまったかと
心配になったが…太一はその後も安らかな寝息を立てていたのでホッとした。
 こんな風にリラックスした感じで彼が眠っているのを見るのは本当に
久しぶりだったからもう少しだけでもそっとしておきたかったのだ。
 そうして愛しい恋人の顔を眺めていきながら、克哉はふとこの四年間を
軽く振り返り始めていった。
 
(…太一と駆け落ちして、もう…四年か。何か本当に…あっという間だったよな…)
 
 そして走馬灯のように、彼との様々な思い出が頭の中に蘇ってくる。
 プロとファイバーの営業を手がけていた頃に、喫茶店ロイドに通って太一と
色々な会話を過ごしていた事。
 太一が当時活動していたバンドのライブに初めて行った夜の事を。
 太一の部屋に上がって、ギターの弾き方を教えて貰った時の事を。
 そして…違法のサイトをやっている事が判明して問い詰めて、ゴタゴタしている間に
四国の実家に彼が連れ戻されてしまい…迎えに行った日の事。
 其れは駆け落ちするまでに起こった三カ月余りの事。
 そして…四年前の今日、自分たちは何もかもを捨てて…体一つでアメリカに渡ったのだ。
 本当にこれから先、二人でやっていけるか不安に思った事は何度もあった。
 
(けど…いつだって、太一は笑っていてくれたから。その笑顔が傍にあったからこそ…
この四年間を過ごして来れたんだなって今は思うよ…)
 
 言葉が通じないアメリカ国内での生活。
 それまで英語はそんなに得意ではなかったが生きていく為に、全力で太一も克哉も
英語を身体で覚えていった。
 最初は食べて行くのが精いっぱいだったが…向こうで新たにバンドを組む事となり、
その活動が軌道に乗ってそれなりの成果を出したからこそ…こうして再び日本の地を
踏む事が出来たのだろう。
そして今、思えばMGNの新商品のタイアップ曲を手がけるようになった頃が、
帰国してからの自分たちの転機だったように思う。
 祖父の寅一の事を恐れて、その気配を感じただけでアメリカに帰ろうと
言い出したぐらい、太一は自分の祖父の事を恐れていた。
 だが一度、克哉が誘拐された事で腹を括れたようだった。 
 祖父から逃げ続けている限り、自分を跡継ぎにしようと決して諦めることなく
追いかけてくる事を彼はきっと思い知ったに違いない。
 だから彼は初めて、祖父と向き合い…啖呵を切った。
 
―俺は絶対にあんたの後なんて継がないからな!!
 
 あれだけ恐れて逃げ回っていた祖父に対して、あんな風にきっぱり言うなんて…
恐らく物凄い勇気がいっただろう。
 けどそれでも太一はあの時、初めて正面切って祖父と対立も辞さない覚悟で…
自分の夢を選びとったのだ。
 
「…太一、本当にこの四年…頑張ったよね。オレ…本当に太一は偉かったし、
凄かったと思うよ…」
 
 そして慈しむように優しく太一の頬を撫ぜていった。
 その瞬間、眠っている相手にまつ毛が静かに揺れて…その瞼が開かれて、
明るい鳶色の双眸が表れていった。
 
「おはよ…克哉さん…」
 
「あ、御免…太一、起こしてしまったみたいで…」
 
「ううん、良いよ。それに外はもう明るくなっているみたいだし…そろそろ起きないと
せっかくの記念日が勿体ないから」
 
「あ、そうだね…もう、今日なんだよね。四年前…オレ達が駆け落ちしたのって…」
 
「うん、そう。俺達の運命の転機の日。ジジイの元から逃げ出して…新しい一歩を
踏み出した記念すべき日だよ…」
 
「うん、そう思う…。あの日、決断して…全てを捨てる覚悟で太一の傍にいる事を
選んだから…今のオレ達がいるんだよね…」
 
「そうだよ、克哉さん…。四年前に、オレの手を取ってくれてありがとう…。今でも
それを心から感謝している…」
 
 そうして目を焼くような眩い太陽の光が差し込んでくる中…太一が本当に
嬉しそうに笑顔を浮かべていった。
 其れを克哉は愛しげに見つめていく。
 ごく自然に二人の手は重なり合い、瞳を見つめあう。
 そうしている間にごく自然に微笑みあい…そして、柔らかく唇は重なり合っていった。
 太一の手が、克哉の手を確認するかのように強く握りしめていく。
 軽く痛みすら走るぐらい力を込められていても…克哉にはそれだけ太一が
こちらを求めてくれているような気分になったから、むしろ嬉しかった。
 そして静かにキスを解いていくと…太一の言葉に対しての返事をそっと呟いていく。
 
「ううん、礼を言うのはオレの方だよ…。オレ、この四年間でいろんな事を体験して…
見てきた。その経験の全ては、あの日…太一の手を取ったから得られたものだって
思っているから。自信がなくて、いつも俯いてばかりいたオレを変えて…自分に自信が
持てるようになったのは、太一がこんなオレを愛してくれたからだよ。だから…
オレの方こそ、太一に感謝しているよ…」
 
「克哉さん…うわっ、すげぇ嬉しいかも…。克哉さんにこんな事言って貰えるなんて…
感激のあまりに、俺…泣いちゃうかも知れない!」
 
「わわっ! お願いだからこんな事で泣かないでくれよ! ただでさえ太一は
ウソ泣き以外で泣いている処を今まで見た事がないんだから…今、涙を見せられたら
どんな顔をして良いのか判らなく、なってしまうから…わっ!」
 
「隙あり!」
 
 太一の『泣いちゃうかも』発言に克哉が狼狽している間に、いきなりガバっと
強く抱きつかれて身体の上に覆い被さられていった。
 さっきまでは克哉が身体を起こして、太一が寝そべっている体制だったのが
一瞬で逆転されていく。
 吐息が掛かりそうな距離に、太一の顔が存在していて克哉の心臓が思わず
大きく跳ねていった。
 
(うわ…何で今更、こんなにドキドキしているんだよ…! 恋人同士になって
数え切れないぐらい抱き合っているのに…今日の太一は何となく違って見えるから…
凄い、ときめいちゃっているよな…)
 
 今度は太一の方が上になる体制になったせいか、窓から差し込む太陽の光が…
太一の明るいオレンジの髪を透かして、まるで炎のように克哉の目には映っていった。
 何となく恋人の胸の奥に潜んでいる情熱的な面をチラリと垣間見たような気がして…
再び体温が上昇していくのを感じていった。
 
(こんなに密着していたら…太一に、心臓がバクバクしているの聞かれて
しまうかも知れない…!)
 
 其れが何となく恥ずかしくて、真っすぐにこちらを見つめてくる恋人の顔を
まともに見つめ返せなくなり…視線を逸らすように横を向いていく。
 
「こっちを見てよ…克哉さん。そんな態度されていたら…用意していた贈り物、
そっちに渡せなくなっちゃうから…」
 
「えっ…贈り物、って…?」
 その単語が不意に、意識に引っ掛かっていく。
 そういえば…さっき、玄関先で抱きあう直前にも太一は何かを用意している
ような発言をしていたような気がした。
 
「あ、そうか…この体制でも十分に伝えられるか。ちょっと待ってて…」
 
「えっ…わっ! な、何をするんだよ…! どうしてうつ伏せになんて…!」
 
 太一が何かを思いついた途端に、克哉の身体は思いっきり反転させられて…
うつ伏せにさせられていき、背中にノシっと太一にのしかかられる格好に
させられていった。
 そのおかげで相手の表情や行動が、全く判らない状況にされていく。
 克哉は思わずもがいたが、太一の体重が掛かっているせいで思うように身動きが
取れなくなってしまう。
 そうしている間に太一は背後から何かを探っているようにゴソゴソと音を立てていき…
そしてゴトン、と音を立ててベッドの傍にあるテーブルに何か重量がありそうな
品を置いていった。
 
「克哉さん…良ければ、そのまま聞いて…。これが今の俺の気持ちだから…」
 
 そう囁かれると同時に、ジージーと何かを回す音が耳に届いていく。
 そして部屋の中に澄んだ旋律が響き渡り…その音に合わせるように、太一が
己の声を重ねて優しく耳元で歌い始めていったのだった―
 
 



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続き、ありますよね…
久方ぶりにお邪魔したら、創作活動続けられていて嬉しかったです。皆さん、別のジャンルに行かれてしまい…(笑)私はCDがでるのでそわそわして、お邪魔してみました。やはり香坂さんは文章上手ですね!!う~!情景が浮かぶ…(〃▽〃)記念日の続きが気になって仕方ありません♪お待ちしております!
木村 2010/07/04(Sun)14:38:30 編集
ありますよ~
 こんにちは、コメントありがとうございます。随分長い事、こっちに残す方がいなくなっていたので凄く嬉しかったです。
 創作活動、しぶとく続けておりますよ。何というか三年は一先ずやってみようと密かに目標を立てていましたので…それまでは確実に活動しているかと(笑)
 知り合いの方の多くが別ジャンルに行ってしまったので寂しく思う部分ありますが、私は当分ここに残っていると思います。
 記念日は、後一話で完結します。
 何というか純粋に甘い話って久しぶりに書いた気がします。
 少しでも楽しんで頂ければ幸いですv
香坂@管理人 2010/07/05(Mon)21:33:29 編集
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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