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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この作品は『メッセージ』を共通項目としたCPランダムの
オムニバス作品集です。
 暫くの期間、出てくるCPはネタによって異なります。
 通常のように一つのCPに焦点を当てて掲載する話ではなく
1話完結から2~3話で纏めて、鬼畜眼鏡ゲーム本編に出てくる一通りの
CPを消化するまで続きます。
 期間中、それらを踏まえた上で作品をご覧になって下さい。
 この形での連載期間はタイトルの部分に扱うCPも同時に
表記する形になります。興味ない方はスルーなさって下さい。

 ―克哉さん、いってらっしゃい! 今日もお仕事、頑張って下さいね!

 昼休みを告げるチャイムがMGN本社内に鳴り響く頃…克哉はふと今朝、
朗らかな笑顔を浮かべて、秋紀が今朝は見送ってくれた時のことを
思い出していった。
 彼の脳裏にはクリーム色のシンプルなデザインのエプロンをつけてそうやって
出ていく直前に声を掛けられていく直前の光景が鮮明に再生されていった。
 克哉の部屋に秋紀が宿泊した日はこうやって朝、見送ってくれることは
珍しいことではなかったが…今朝は一つだけ思い返すと違う点があった。
 午前中いっぱい仕事に集中して、一区切りがついた頃に昼食を取ろうと思い立ち…
自分のディスクの上に弁当箱を並べていくと小さく微笑みを浮かべていった。

「まったく…まるで愛妻弁当だな…。それに俺に対してこんな風に弁当を
作れるぐらいまで成長を遂げるとは感慨深いものがあるな…」

 この水色の包みは、今朝出ていく直前に渡された。
 ずっしりとした重さとこの大きさと形状を見て、秋紀が作ってくれた物に
間違いないだろう。
 最初、克哉のペット…というか関係を持ったばかりの頃は家事の類は
殆ど出来なかったことを思い返すと、恋人の成長ぶりに目を細めていく。
 だが克哉はこれが手作り弁当であることは察していたがまだ蓋を開けて
中身は確認していない。
 果たして秋紀は自分に対して、どんな物を作ってくれたのか初めての事
なので全く予想がつかない。
 自分よりも一回りは年下の少年が、妙に可愛い代物をもし作ってくれて
いたのなら人に見られるのは抵抗がある。
 食べるなら屋上で一人が無難だろう、そう考えた瞬間に克哉が働いている
オフィスに、ズカズカと一人の立派な体格の男が入り込んできた。
 手には何やらずっしりとした物が入っているスーパーのビニール袋が
下げられていた。

「オース! 克哉…そろそろ昼飯だよなっ! 良かったらこれから一緒に
屋上で飯でも食おうぜ!」

「本多か、ここに来ていたのか」

「ああ、これからMGN本社が新発売するビオレードの販売もまたキクチが
担当する事になったからな。その打ち合わせの為に一時間前ぐらいに
こっちに来ていたんだが…それなら久しぶりにお前と昼飯くらい食べようと思ってな」

「断る、今日は一人でゆっくりと食べたい気分だ。他を当たってくれ」

「ええええええっ! おい、克哉なんだよその態度は! せっかく誘いを
掛けたっていうのにその一刀両断ぶりはないだろ! 仮にも俺、元同僚で
お前の友達だっていうのに!」

「ああ、お前が友人である事は認めている。だが、今日はどうしても一人で屋上で
食べたいんだ。そういう気分の時だってある。そんなに駄々をこねられても
迷惑なだけだ。さあ、回れ右をして他に食べられそうな場所を探すんだな…」

 眼鏡とて、本多の事はそれなりに大切な友人だとは認識している。
 だが、秋紀の作った弁当を見られたくないという照れくささから厳しい言葉を
つい浴びせてしまっていた。
 それが予想以上に本多には堪えてしまったらしく、今にも泣きそうな
表情を浮かべていった。

「…お前、それが久しぶりに一緒に飯を食べようって誘いを掛けた友人に対して
言うセリフかよ! お前がMGNに引き抜かれて以来、働く場所が同じじゃなくなって
から俺がどんなに寂しい想いをしているかお前は考えた事があるのかよ!」

「っ…!」

 本多の予想外の剣幕に克哉は言葉を失っていく。
 それでつい、毒舌も止まってしまった。
 その瞬間…本多はようやく、水色の弁当の包みの存在に気づいていった。
 克哉のディスクの上にある事から見ても…これが恐らく、彼の本日の昼食で
ある事に間違いないと確信した途端、本多は暴挙とも言える行動を
取っていった。

「…お前がそんな風に言うのなら、この弁当俺が食べてやる! 昼飯抜きになって
冷たい言葉を吐いたの少しは後悔しろよ。このバカっ!」

「貴様、何をする!」

 克哉が叫んだ時にはすでに遅かった。
 本多はその巨体からは想像もつかないぐらいに俊敏な動きで間合いを詰めて
友人の机の上から弁当の包みを奪取していった。
 
「はっ…! 少しは反省しろっ! 俺はなぁ…久しぶりにMGNに来てお前と一緒に
飯を食うの本当に楽しみにしていたんだからな! 離れちまったからと行って
大事なダチと思っている奴に冷たい態度を取られたら俺だって辛いんだからな!
だからお前の弁当、食ってやる! ハラペコ状態で午後から克哉なんて
働けば良いんだ!」

「お前な、言っている事とやっている事が支離滅裂だぞ!」

 人間、好意を抱いている相手に対してはささいな事で心が乱されて冷静に
判断出来なくなるものだ。
 本多という男は今の克哉には恋愛感情の類は抱いていないが…大学時代から
相当に強い好意を抱いているのは間違いなかった。
 それゆえに照れから来ていたとは言え容赦ない言葉でそのハートは大いに
傷つきまくっていた。
 だから子供っぽいと判っていても、本多はつい衝動のままに動いてしまっていた。

「どうしても取り返したいなら、追いかけて来な! じゃあな!」

 そうして自分が持っていたスーパーの袋と水色の弁当の包みを抱えて、
本多が突然オフィス内で全力疾走を開始していく。
 周囲の人間の目がさっきから何事かと、突き刺さるようだった。
 本多のKY…周囲の空気の読めなさりはあまりに健在すぎて、涙さえ
出てきてしまいそうだった。
 さっきまで秋紀の愛情を感じてくすぐったいような甘酸っぱい嬉しさを覚えていたのに
本多の暴挙のせいで何もかもがぶち壊されそうになってしまって…
克哉は苦々しく呟いていった。

「あのバカが…! しかしあの弁当だけは絶対に返して貰うぞ!」

 そうして周囲の人間の目を振りきって克哉も全力で弁当を持って逃走した
本多を追いかけ始めていったのだった―


 
 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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