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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この作品は『メッセージ』を共通項目としたCPランダムの
オムニバス作品集です。
 暫くの期間、出てくるCPはネタによって異なります。
 通常のように一つのCPに焦点を当てて掲載する話ではなく
1話完結から2~3話で纏めて、鬼畜眼鏡ゲーム本編に出てくる一通りの
CPを消化するまで続きます。
 期間中、それらを踏まえた上で作品をご覧になって下さい。
 この形での連載期間はタイトルの部分に扱うCPも同時に
表記する形になります。興味ない方はスルーなさって下さい。

 本多×克哉?  ガムガムメッセージ  1(完)
 眼鏡×秋紀    愛妻弁当             



 屋上に飛び込んできた人物は、現在の克哉の直属の上司に当たる
御堂だった。
 本多にとっても本日午後から開かれる打ち合わせで顔を合わせる
予定の人物だった。
 その突然の乱入に空気がピリピリするのと同時にその場に
御堂の大声が響き渡っていった。

「佐伯君! ちょっと本多君を借りて構わないか!」

 扉をバァンと強く打ちつけながら登場されたので二人の視線も
自然と其処に釘付けになった。
御堂はどう見てもすごい剣幕だった。

「あ、あの…御堂部長。俺、何かしましたか…?」

 基本的に御堂に敵意を持って、反発心を抱いている本多も相手の
剣幕に自分は何か大きな失敗をしてしまったと察したようだ。
 恐る恐る尋ねていくと、御堂の切れ長の双眸がキっと一層つり上がっていく。

「何をしたか、じゃない! これから打ち合わせに使用する予定の書類一式が
まったく違う物と間違って入っていたぞ! これは前回、君の会社に営業を
任せた製品に関する資料ではないか! これでは打ち合わせなど出来ないだろう!
 即刻取りに戻ってくれ! 二時の打ち合わせ開始までには何が何でも
間に合わせてくれなければこの仕事の話は無かったことにさせてもらう!」

「ええええええっ!」

 矢つき早に、自分がやってしまった失敗を羅列されてついでに命令も
下されてしまった為に本多はみるみる内にに顔面を蒼白させていった。

(そ、そういえば今日は…久しぶりに克哉と一緒に昼飯が食えると思って
会社を出る前、すっげー浮かれていたかも…)

 本多はさっきまでの自分の様子を思い出して、心臓が不安で脈動を
激しくさせているのを感じていった。
 人間、何か他の事に大きく気を取られている時は得てして小さなミスを
しやすいものだ。
 克哉に会えると浮かれて、昼飯を何を買っていくかに意識を取られて
しまっていたから、本多は書類の確認という初歩的な行為をつい忘れて
会社を出て来てしまったのだ。
 その事に気づいた瞬間、本多はその場に立ち上がり…大慌てでこう叫んでいった。


「す、すみません! 今から大急ぎでキクチまで戻って…必要な書類一式を取ってきます!」

「ああ、必ず間に合わせてくれよ。君たち営業八課の力を見込んでもう一度
頼むことにしたんだから…その期待をこんな事で裏切る真似だけはしないで
もらいたい」

「わ、判ってます! じゃあ今から急いで帰社します!」

 もうさっきまでの克哉の一言一言に傷ついて泣きそうになっていた
面影は全くなかった。
 大急ぎで仕事をしている男の表情に戻って、きっぱりとそう宣言していく。
 そして慌てて克哉の方を向きかえり、最後にこう告げていった。

「わりっ…克哉! キクチに戻らないといけなくなった! この埋め合わせは
いずれさせて貰うから…またな!」

 そう残して、電光石火の勢いでその場から本多は消えていった。
 そしてポツリと、友人が残って聞いていたのなら確実に傷つけそうな一言を
呟いていった。

「…別に埋めわせなどしなくて良いが。むしろ俺は一人で今日は飯を食えて
嬉しいぐらいだがな…」

 そうしてさっさと、乱入してきた本多と御堂の事を頭の隅に追いやって
克哉は秋紀が作ってくれた弁当に集中していく。
 御堂は用事が終わったらさっさとその場から立ち去って行ったようなので
彼は心おきなく、昼食を食べるのに専念していった。
 秋紀の初めて作ってくれた弁当は正直、味付けがまだ未熟な部分が
時々感じられた。
 だが付き合い始めた当初は…全く料理が出来なかったことを思えば、
恋人の少年がどれだけ努力してここまで作れるように持って行ったのかが
感じられてつい微笑ましい気分になっていく。

(頑張ったな…秋紀…)

 食べ終わった頃には米粒一つ残すことなく、弁当箱の中身は
綺麗に平らげられていた。
 そして青空を見て、年下の恋人の顔を思い描いていく。
 丁度その同じ頃に…通っている高校の屋上で秋紀もまた同じ行動を
取っている事など想いもよらず…。

『大好き』

 弁当のご飯の上に象られていたメッセージ。
 それを見て、心が暖かくなっていく。
 ふと声を聞きたい気分になり…克哉は携帯を取り出していった。

(繋がるかどうかは判らないがな…)

 そう思いながら恋人の番号をダイヤルしていくと、ワンコールですぐに
繋がっていった。

『克哉さん! お弁当どうでしたか!』

 どうやら、秋紀は克哉の感想がどうだったかずっとやきもきしながら
携帯を手に持っていたのだろう。
 そうでなければこれだけのレスポンスの早さは望めないだろう。
 相手の心情が手に取るように判ってしまって、つい微笑ましい気分に
なってしまう。
 そして克哉は優しい声音でこう告げていった。

「ああ、とても旨かった…。そして俺も、お前のことが『大好き』だぞ…秋紀…」

『あ…』
 
 克哉からその一言を聞いただけで、電話口の向こうで秋紀が嬉しさで
泣いているのが伝わってくる。
 本当に彼が、克哉のことを好きでいてくれているんだと思って…自然に
笑みがこぼれていった。

「…今夜は早目に帰る。たっぷりと可愛がってやるから…覚悟しておくんだな」

『か、克哉さん! は、はい…僕、待っていますから…。お仕事、
頑張って下さいね…』

「ああ。お前もな…じゃあ、そろそろ切るぞ…」

 そうして短いラブコールの時間は終わっていく。
 そして今から恋人に会えることを心待ちにしていった。

―ありがとうの言葉は、帰宅して直接顔を合わせた時に言うとしよう…

 そう心に決めて、克哉は恋人からの愛情を感じられる弁当の味を
思い出して…幸福な気持ちに浸っていったのだった―
 


 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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