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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 寝室に辿り着くと同時に、バタンと扉を閉じて…眼鏡は即座にベッドの上に
横たわって不貞寝をする。
  いっその事、残りの日数をこうして過ごしてしまおうか…などとかなりネガティブな考えが
頭を過ぎっていく。

「…何とも非生産的な話だな…」

 しかし、それでは自分が退屈で死ぬ方が先になるような気がした。
 シーツの上を何回か転がって、やりきれなさを逃がそうと足掻いてみる。
 深呼吸すれば、ある程度は精神が安定するなんて嘘だと思った。
 幾ら深く溜息を突いても、胸の奥にあるイライラは一向に無くなってくれない。
 余計に黒い染みのように広がっていくばかりだ。

 コンコンコン…

 そうしている内に、ドアを三回ノックする音が聞こえた。
 誰が来たか何て見なくても判る。
 今、この世界には自分達ただ二人しかいないのだから―

『兄さん、入って良い?』

「…断る。今は一人にさせておいてくれ…」

『…オレ、そんなに…怒らせるような事をしたのなら、謝るよ。だから…』

「…謝ってどうにかなると思っているのか? お前が何かしたから怒っているんじゃなくて
お前と一緒にいると、俺は腹が立って仕方が無くなるんだ。
 だから暫く一人にさせろ。ある程度落ち着いたら下に戻ってやるから…」

 段々取り繕うのも面倒になって、素で接し始める。
 こういうやや冷たい物言いをしている方が余程、本来の自分らしく感じられて
やっと少し安心出来た。

 …この夢の中で最初に目覚めた頃の佐伯克哉は、Mr・Rが言っていた通り…無垢な
状態になってしまっていた。
 ようするに…物言いから何から、かなり子供っぽくて…いつも通りに全然接せられる
雰囲気ではなかったのだ。

 一方的に懐かれて、甘えられて…まさにインプリティングとでも言うのだろうか?
 Mr・Rに自分が兄だと嘘を吐かれても、一切疑う事無く信じ込んで…こちらに
懐き倒して来たのだ。
 一晩寝起きしたら、幾分か精神年齢が上がってまともに会話出来るようになっていたから
ほっとしたが…ようするに眼鏡のイライラは昨日からの積み重ねの結果である。
 今はこいつの顔を見たくない、もう限界だ。
 それが正直な眼鏡の心境であった。

『やだよ。オレは…兄さんの傍にいたいんだから…』

「子供じゃないんだ。ちゃんとこちらの意見くらいキチンと汲み取れ。落ち着いたら
ちゃんと戻ると言っているんだから…その通りにしろ」

『……………』

 扉越しに、やや大きな声を出して言い返すと…暫くの間、沈黙が落ちる。
 その静寂を破ったのは…克哉の方だった。

 バァン!!

 大きな音を立てて扉を開いていく。
 その顔は…少し怒っているようであった。
 ズカズカとこちらの方に歩み寄ってくると、いきなりベッドシーツに横たわっている
眼鏡の上に乗り上げて、必死の形相で…訴えかける。

「ねえ! そんなに…オレ、兄さんを怒らせる真似をした? それなら何をしたのか
キチンと言ってよ! 一方的に怒られて無視されるような事されるのは…嫌、だよ…!」

(…お前に兄さん、何て言われている事自体が俺の苛立ちの原因なんだが…な…)

 実際は自分達は兄弟でも何でもなく、同じ肉体を共有する存在である。
 ここは彼の心の世界だから、こうして二人で在れるが…これは言わば、特殊な
状況以外の何物でもない。
 …何と言えば良いのか、少し考えている内に…この状況が、何とも珍しい事になっている
事にふと…気づいた。

(…これじゃあ、俺がこいつに組み敷かれているみたいだな…有り得ない話だが…)

「ねえ、兄さん! 何か言ってよ…! 貴方に嫌われたら…オレ…!」

 今の克哉には、記憶が一切ない。
 何も判らないし、思い出せない状況で…ただ二人きりで過ごしているのだ。
 だから眼鏡に頼るしかないし、目の前にいる存在に嫌われたらと思うと恐くなって
とてもじゃないが落ち着いていられないのだ。

「うるさい奴だ…少し黙れ…」

 悲痛な表情を浮かべている克哉の顔を見て、ふと…触手が動いた。
 相手の腕を強引な力で引き寄せていくと…身を起こして、自分の唇で相手のそれを
塞いで黙らせていく。
 いきなりのキスに、今度は克哉の方が驚く番だった。
 思ってもみなかった行動を取られて…呆気に取られて、言葉を失っているようだった。
 その顔を見て…少しだけ、眼鏡の嗜虐心が満たされていく。
 やっと自分のペースを取り戻せたような感じだった。

「…って、兄さん…今の…何…?」

「…ただのキスだが?」

「…兄弟で、そういう事って…するものだっけ…?」

「普通は、しないな」

 と、答えながら面倒なのでもう一回唇を塞いでいく。
 少なくともこうしている間は…ゴチャゴチャとうるさい事を言わなくなるのなら
押し問答をしているよりはこんな振る舞いをしていた方が何万倍もマシだった。
 触れるだけのキスだったが…時間を重ねていく内に幾度か吸い付いていったり
軽く唇の輪郭を舌先で舐め上げたりしてやる。
 その間…克哉の方は呆然と、その口付けを受けているだけだ。

 唇が離れた頃には…腰や腕の力が抜けたせいか…ガクンと、眼鏡の身体の上に
倒れ込む形になった。
 距離があって、兄さん呼ばわりされている内はイマイチ…気が乗らなかったが、
こうやって呆然とした顔で…こちらに密着しているのなら少しは手を出しても良いと
いう気分になった。

「な…に、今の…どうし、て…?」

「お前がゴチャゴチャとうるさいからだ…。気が変わった。…俺を苛立たせた責任は
お前にキチンと取って貰おうじゃないか…なぁ…?」

 そうして、愕然とした表情を浮かべている克哉の腰と背中に両腕を回して
自分の方へと引き寄せていく。
 その時、この世界に来て初めて…眼鏡はいつも通りの強気な笑みを口元に
浮かべていった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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