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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 眼鏡が余裕たっぷりに微笑むのと対照的に、克哉の方は困惑を隠し切れない
ようだった。
 瞳に惑いの色を濃く浮かべて…逃げようと身体を少しずつ…ズラしていくが、しっかりと
腰を押さえ込まれて阻まれていく。

「んっ…ぁ…」

 そうしている内にもう一度、唇を塞がれる。
 先程よりも深いキスだった。浅い処を舌先でくすぐられて背筋に悪寒に似た感覚が
走り抜けていった。

「ちょっと待って…! あの…何でこんな事をっ?」

 眼鏡の腕の中でもがきまくるが、一向に逃げられそうな気配はない。

「…お前に欲情したからだが?」

 あっさりととんでもない事を言ってのけて…そんな克哉の混乱を更に強めていく。

「よ、欲情って…うわっ…!」

 眼鏡の手が服の隙間から侵入し…背骨から腰のラインを怪しく撫ぜ回される。
 そのまま両手が尻房の処に回されて、捏ねくり回されれば…何とも妙な疼きを
覚えていった。

「…な、んで…こんな、事…」

「…言っておくが、お前とこういう事をするのは…今回が初めてじゃあないぞ? 今まで
だって何回があった訳だし…な?」

「そ、うなの…?」

 その一言を聞いて、克哉の抵抗が少しだけ緩んだ。
 お互いの下肢を押し付けあう格好になると…先に眼鏡の方が兆しを見せ始めて
硬く熱を帯びてくるのが…ズボン越しでも伝わって来ている。
 相手が間違いなく自分に欲情していると…はっきりと伝わってくると、克哉の方は
耳まで真っ赤にしながら…疑問を口にしていった。

「…じゃあ、その…オレと貴方って…恋人同士、だったの…?」

 ぶはっ!!

 その発言を聞いた瞬間、眼鏡は思いっきりむせていった。
 まさかそんな事を聞かれるとは予想もしていなかったので…こちらも動揺するしか
なかった。

「…さあ、どうだろうな…? お前の想像に任せておく。ただ…俺と何回かセックスをした事が
あるのは…事実だがな…」

 どうにか30秒くらいで体制を整えて、嘘じゃない範囲で答えていった。
 自分とこいつが恋人同士である訳がない。
 外の世界では、不本意にも同じ身体を共有している間柄なのだから。
 こいつの…恋人は…。

(…これ以上は考えるのは、止めておくか。つまらない事だ…)

 眼鏡が思考を中断させている間、克哉の方は色々とグルグル考えていたらしい。
 悩んで、迷って…瞳に困惑の色を滲ませている。
 それから…キッと唇を結んでいくと…自分から、眼鏡に口付けていった。

「っ!」

 今度は、眼鏡の方が驚かされる番だった。
 それは触れる程度のたわいないものであったけれど…向こうの方からされた、という
事が信じられなかった。

「…やっぱり。貴方に触れる度に…少しずつだけど、何かを思い出していく…」

 自分から触れてみた時、はっきりとそれを自覚した。
 それはどれも大した事がない思い出ばかりだったが…眼鏡の傍にいればいるだけ
近くにいればいるだけ、触れれば触れるだけ…自分の中の知識とか、記憶とかそういう
ものが流れ込んでくる。

 例えるならば今の克哉は初期化したばかりのパソコンで、眼鏡の方は外付けのハード
ディスクのようなものなのだ。
 克哉の方から記憶が消えていても、衝撃を受けた時に深層意識の中にいた眼鏡の方は
今までの記憶を保持している。
 この世界では、近くにいればいるだけ…克哉は色んな事を思い出せる。だから克哉は
彼に嫌われるのが恐い…と本能的に感じていたのだ。 

 ジワリ、と彼に触れる度に…記憶のカケラが、浮かんでくる。
 昨日目覚めたばかりの時は…何も思い出せなくて、不安だった。
 けれど…兄と呼んでいるこの人が自分の近くにいる時だけ、何かを思い出すのが
多かった事は昨日から何となくは感じていた。

「…どんな事を思い出しているんだ?」

「…えっと、今は…子供の頃の時の記憶の方が多い、かな…? 幼稚園の頃に…仲の
良かった奴と一緒に遊んでいたりとか、泥だらけになって帰って来て母さんに怒られたりとか
そんな他愛無い事ばかりだけど…んっ!」

 ふいに腰骨をやんわりと撫ぜられて、ピクっと身体を震えさせていく。
 その度に、頭の中に軽い電流が走って…自分の中の回線が一つ一つ、繋がっていく
感覚がした。
 それで…克哉は覚悟を決めた。
 この人と恋人であるかどうかなど…今は判らない。
 だが、今の自分にとって…彼と一緒にいる事は必要なのだと、本能的に察したのだ。
 自分にはどうしても、思い出さなければいけない事がある。 
 それは目覚めてから、ずっと強く感じていた事なのだから…。

「…兄さん。オレにとって…今は、貴方が…必要、なんです…オレには…どうしても、
思い出さないといけない事が…あるみたい、だから…」

 無意識の内に、感じていた。
 自分の中に大切な記憶があると。決して忘れたままでいてはいけないものが存在
していると。記憶の断片を思い出して、更にその確信は強まっていった。

「…ほう?」

 しかし、克哉の言葉を…どこか興味なさげに眼鏡は相槌を打っていく。

「…だから、離れないで下さい…今、だけは…っ!」

 泣きそうな顔を浮かべて…克哉が訴える。
 瞳にうっすらと涙を浮かべて…懸命に気持ちを伝える様は…どこか冷淡だった
眼鏡の心境に…変化を齎していった。
 克哉の頬にそっと静かに手を伸ばしていくと…相手の頬を撫ぜながら、先程とは違って
少しだけ優しさが篭ったキスを落としていく。

「…そんなにお前が言うなら、傍にいてやるよ…」

 面倒だとは思ったが…こうまで言われると、邪険にする気も無くなっていた。
 そうして、もう一度だけ…キスを落としていった。

 ―今度は、克哉も拒む事はなかった。

 大切なものを思い出したいと願いながら、強く強く…。
 記憶を失くして、不安に満たされている心をどうにか宥めようと…目の前の
温もりに縋り付いてくる。
 そんな克哉を、眼鏡は溜息をつきながら…先程とは違う意味合いで、自分の腕の中に
閉じ込めていった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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