鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は記憶を一部欠落した状態で生活している設定の
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。
忘却の彼方に 1 2 3 4
激しく抱かれた後、泥のように一時…克哉の意識は深く眠りに
ついていった。
それから数時間後…緩やかに現実に浮上してきた際に
様々な断片を垣間見ていった。
一人の男が立っている。
だが影で黒く覆われてしまって…顔も、体型もはっきりしない。
その男の片手には血に濡れたナイフが握られていて、生々しく
血が滴っている。
そしてその傍らには…最初は何かの黒い塊というか、物体が
横たわっている。
どちらの人物も、顔も見えない。
けれど…それはまるで、ナイフで殺害した場面を再現している
模型とも、抽象めいたオブジェのようにすら見えた。
―この光景は何を指しているんだろう…?
これは自分が見た記憶なのか、それともこのナイフを握っている
男性こそが実は自分自身なのか、はっきりしなかった。
黒いオブジェは、悲しそうに笑っていた。
はっきりと何を言っているかは聞きとる事が出来ない。
けれど…其れは胸の中に溜まっている全てを吐き出す為に
マシンガンのように言葉を発射しているようにも見えた。
その中に冷たい雨がゆっくりと降り注いでいく。
まるで何かの映画のワンシーンのように。
誰かの流している涙の代わりであるかのように…最初は緩やかに、
そして徐々に強くなり、視界をぼやけさせていった。
(此処に立っている二人は一体…誰と、誰なんだろう…?)
これが誰かの殺害現場を指しているのか、まだ判らない。
陰惨なものに違いないとしても…見知らぬ人間同士のものなのか、
被害者と加害者のどちらか、もしくは両方が自分の知っている人物の
ものなのかによって克哉が受け取る衝撃は段違いのものになる。
顔が判らない状態だから、どこか冷静にこの情景を眺めていられる。
(どうして、思い出せないんだろう…?)
知っている人物であるなら、涙を流すべきなのに。
まるで黒いインクか何かに塗りつぶされてしまっているかのように…
被害者も加害者も、顔が見えない。
「教えてくれよ…これは一体、誰が殺された場面なんだよ…?」
いや、殺されていると断定出来ない。
もしくは刺されただけで、まだ被害者は息がある状態かも知れないし…
大急ぎで病院に搬送されれば、間に合う可能性だってあるのだから。
その僅かな可能性に縋りたい気持ちはあった。
例えそれが見知らぬ誰かのものであったとしても、人が死ぬという事は
とても悲しく…強い喪失感の伴う悲劇であるのだから。
とっさに、倒れている人物がまだ生きている可能性があるかも知れないと
思って、克哉は駆け寄ろうとした。
しかしその二人と、今…自分が立っている場所の真ん中に、透明な
壁が存在して…近づく事を阻んでいく。
克哉を拒むように、もしくは其れはもう過去の出来ごとなのだから
今の彼には介入出来ないと訴えかけるように見えない透明な壁は
静かに存在して、否が応にも克哉を傍観者の立場に追いやっていった。
―ドンドンドン!
克哉はその見えない壁を必死に叩いていく。
真相を知る為に。
その二人が誰なのか、答えを得る為に。
しかし拳が痛くなるぐらいに力を込めて叩き続けても…防弾ガラスか
何かのようにその透明な壁は強固で。
ひび割れ一つせずに、無常にもこちらと向こう側を隔てていった。
「ねえ、教えてくれよ…。この場面は一体なんなんだ…!
どうしてオレは、こんなのを見せつけられないといけないんだよ…!」
そして泣き叫びながら訴えかけると、克哉の心に大きな声で
先程の人物の声が響いていった。
『今は忘れろ、全てを…。それが、今のお前には必要な事なのだから…!』
その言葉に、克哉は硬直していき…壁を叩く手を止めていった。
瞬間、フワリと意識が浮上していくのを感じる。
それはまるで深海から緩やかに慈しみを持って引き上げられているような
感覚だった。
そして間もなく、頬に優しい指先の感覚を感じていった。
「起きたか…?」
「えっ…?」
目覚めた克哉の傍らには、先程の眼鏡を掛けた男性が存在して…
こちらの顔を覗きこんでいた。
その瞳が思いがけず優しいものだったので克哉は言葉を失いながら…
茫然と、暫く相手の顔を見つめ続けていったのだった―
ノマと、真実を隠している眼鏡と閉ざされた空間で生きると
いう内容のものです。
一部ダークな展開や描写を含むのでご了承下さいませ。
忘却の彼方に 1 2 3 4
激しく抱かれた後、泥のように一時…克哉の意識は深く眠りに
ついていった。
それから数時間後…緩やかに現実に浮上してきた際に
様々な断片を垣間見ていった。
一人の男が立っている。
だが影で黒く覆われてしまって…顔も、体型もはっきりしない。
その男の片手には血に濡れたナイフが握られていて、生々しく
血が滴っている。
そしてその傍らには…最初は何かの黒い塊というか、物体が
横たわっている。
どちらの人物も、顔も見えない。
けれど…それはまるで、ナイフで殺害した場面を再現している
模型とも、抽象めいたオブジェのようにすら見えた。
―この光景は何を指しているんだろう…?
これは自分が見た記憶なのか、それともこのナイフを握っている
男性こそが実は自分自身なのか、はっきりしなかった。
黒いオブジェは、悲しそうに笑っていた。
はっきりと何を言っているかは聞きとる事が出来ない。
けれど…其れは胸の中に溜まっている全てを吐き出す為に
マシンガンのように言葉を発射しているようにも見えた。
その中に冷たい雨がゆっくりと降り注いでいく。
まるで何かの映画のワンシーンのように。
誰かの流している涙の代わりであるかのように…最初は緩やかに、
そして徐々に強くなり、視界をぼやけさせていった。
(此処に立っている二人は一体…誰と、誰なんだろう…?)
これが誰かの殺害現場を指しているのか、まだ判らない。
陰惨なものに違いないとしても…見知らぬ人間同士のものなのか、
被害者と加害者のどちらか、もしくは両方が自分の知っている人物の
ものなのかによって克哉が受け取る衝撃は段違いのものになる。
顔が判らない状態だから、どこか冷静にこの情景を眺めていられる。
(どうして、思い出せないんだろう…?)
知っている人物であるなら、涙を流すべきなのに。
まるで黒いインクか何かに塗りつぶされてしまっているかのように…
被害者も加害者も、顔が見えない。
「教えてくれよ…これは一体、誰が殺された場面なんだよ…?」
いや、殺されていると断定出来ない。
もしくは刺されただけで、まだ被害者は息がある状態かも知れないし…
大急ぎで病院に搬送されれば、間に合う可能性だってあるのだから。
その僅かな可能性に縋りたい気持ちはあった。
例えそれが見知らぬ誰かのものであったとしても、人が死ぬという事は
とても悲しく…強い喪失感の伴う悲劇であるのだから。
とっさに、倒れている人物がまだ生きている可能性があるかも知れないと
思って、克哉は駆け寄ろうとした。
しかしその二人と、今…自分が立っている場所の真ん中に、透明な
壁が存在して…近づく事を阻んでいく。
克哉を拒むように、もしくは其れはもう過去の出来ごとなのだから
今の彼には介入出来ないと訴えかけるように見えない透明な壁は
静かに存在して、否が応にも克哉を傍観者の立場に追いやっていった。
―ドンドンドン!
克哉はその見えない壁を必死に叩いていく。
真相を知る為に。
その二人が誰なのか、答えを得る為に。
しかし拳が痛くなるぐらいに力を込めて叩き続けても…防弾ガラスか
何かのようにその透明な壁は強固で。
ひび割れ一つせずに、無常にもこちらと向こう側を隔てていった。
「ねえ、教えてくれよ…。この場面は一体なんなんだ…!
どうしてオレは、こんなのを見せつけられないといけないんだよ…!」
そして泣き叫びながら訴えかけると、克哉の心に大きな声で
先程の人物の声が響いていった。
『今は忘れろ、全てを…。それが、今のお前には必要な事なのだから…!』
その言葉に、克哉は硬直していき…壁を叩く手を止めていった。
瞬間、フワリと意識が浮上していくのを感じる。
それはまるで深海から緩やかに慈しみを持って引き上げられているような
感覚だった。
そして間もなく、頬に優しい指先の感覚を感じていった。
「起きたか…?」
「えっ…?」
目覚めた克哉の傍らには、先程の眼鏡を掛けた男性が存在して…
こちらの顔を覗きこんでいた。
その瞳が思いがけず優しいものだったので克哉は言葉を失いながら…
茫然と、暫く相手の顔を見つめ続けていったのだった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
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