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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※  この話はN克哉が事故で昏睡して記憶を失っている間、夢の世界で眼鏡と
十日間を過ごすという話です。それを了承の上でお読みください(終盤にやっと入りました…)


 この八日間の間にこの人の存在がここまで自分の中で大きくなっていた事を
こうして抱き合って、初めて克哉は自覚していた。
 鼓動が、吐息が重なって…自分の中に、もっと欲しいと求める強い衝動が湧き上がって
どうしようもなくなる。
 荒々しい動作で着衣に手を掛けられて、脱がされる。
 暖炉の火が煌々と燃えて…ほんのりと赤く染め上げられている室内で、克哉の
引き締まった身体が相手に晒されていく。

(…死ぬ程、恥ずかしい…)

 喰い入るほど相手に裸体を見つめられて、黒革のソファの上で克哉は
顔を真っ赤にしながら目を閉じていく。
 けれど…この人に抱かれる事を受け入れたのは、紛れもなく自分の意思だ。

「…お願いですから、兄さんも…脱いで。貴方の肌に…ちゃんと、触れたい…」

「…あぁ」

 眼鏡は短く頷くと、愛撫の手を止めて…こちらが望む通りに今度は己の服に
手を掛けていく。
 こちらからもそっと手を貸して…脱がすのを手伝っていくと…相手の均整の
取れた身体が眼前に晒されていった。
 お互いに全ての衣服を脱ぎ去っての交歓は…これが初めての経験だった。

「…これで、良いか…?」

 余裕の無い光を瞳に宿しながら、眼鏡が問いかける。
 その獰猛さと真摯さが織り交じった瞳の色に…こちらの心臓が早鐘を打って
止まらなくなっていく。

「はい…」

 赤くなりながら頷けば…いきなり足を大きく抱えられて、蕾に熱い塊を
押し当てられた。
 愛撫も殆ど無く、いきなり直球で求められて…流石に克哉も慌てていく。

「ちょっ…と、待って! いきなりっ…!」

「それくらい、我慢していろ…! 俺が…この数日、どれくらい…お前を抱きたくて
我慢し続けて来たと思って、いる…っ!」

 余裕の無い声で、そんな発言を言う眼鏡にびっくりして…こちらが反論を失って
いる間に容赦なく彼の熱いペニスが克哉の中に侵入してくる。

「ひぃ! あぁぁ!!!」

 ズブリ、と根元までいきなりねじ込まれて…克哉の身体が悲鳴を上げる。
 きつい際奥を無理やり押し開かれる感覚に…苦しくて、息が詰まりそうだった。
 けれど…それ以上に、己の心が満たされているのを感じた。

「くっ…あっ…! 克哉…!」

 余裕のない声で、初めて…眼鏡は克哉の名を呼んだ。
 『克哉』は彼自身の名でもあったが…この世界においては、自分達は別々の心を
持った「二人」の人間として存在している。
 自分の延長戦ではなく、一人の人間として呼びかけながら…際奥まで一気に
己の熱いモノを穿っていった。

「ん・・・うぅ…凄い、深いっ…!」

 克哉もまた必死にその身体に縋り付いていきながら、強烈な感覚に耐えていく。
 彼はまだ…かつて眼鏡に抱かれた時の記憶を取り戻していなかったが、今回は…
今までの彼の抱き方とは明らかに様子が違っていた。
 焦らすことも、言葉で詰って追い詰めることもなく…ただ克哉の身体を激しく揺さぶり
夢中で突き上げて来る。

「兄…さ、ん…にい、さん…っ!」

 うわ言のように何度も、克哉がそう呼びかけてくる。
 少し身体を離して、眼鏡の顔を見つめれば…その瞳に、激情の色が濃く見えて…
それだけで背筋がゾクゾクしてきた。
 荒い吐息も、快楽によって顰められた眉根も…身体と一緒に揺れるくせっ毛も、
しなやかな筋肉で覆われた肢体も…今、求めてくるこの人の全てが…愛おしくて堪らない。
 
「あっ…あっ!!」

 相手のモノが己の内部ですぐにはち切れんばかりになって…自己主張をしているのが
判って、それだけで全身の血液が沸騰しそうになった。
 お互いに信じられないくらいに興奮している。
 丁寧な愛撫も、焦らしもすでに必要がない。
 ただ純粋に相手が欲しくて、感じ取りたい気持ちでいっぱいで…一度目の抱合は
すぐにその想いだけで二人とも高みに登り詰めていった。

「…くっ…! もう、イクぞ…っ!」

「は、い…! 貴方を…オレの、中に…くだ、さい…!」

「っ!!」

 快楽でトロンとなった瞳を浮かべながら、そんな殺し文句を言われたのでは堪らない。
 間もなく眼鏡は…克哉の中に熱い精を勢い良く解放して…送り込んでいった。

「…あああぁっ!」

 克哉と、眼鏡の身体がほぼ同時に頂点に達して小刻みな痙攣を繰り返していく。
 荒い吐息を繰り返していきながら…余韻に浸っていくと…すぐに顎を捉えられて
激しいキスを求められていく。

「ふっ…ぅ…」

 イッたばかりの身体に、荒々しいキスの刺激は強烈過ぎた。
 まだ体内に眼鏡のモノを納めている身体が…たったそれだけの刺激で再び緩い
収縮を始めていく。

(…うわ、うわっ…!)

 己の身体の浅ましい反応に、内心で克哉は焦り捲くったが…戸惑う隙も与えて
くれず…舌の根まできつく吸い上げられながら…激しい口付けは続けられた。

「やっ…だ、め…! これ以上されたら・・・また…っ!」

 どうにか顔を振って、いやいやするような動作をしていくが…眼鏡は両手で
克哉の頬を包み込みながら短く告げていく。

「まだだ…。俺は…こんなのじゃ、足りない…! もっと…お前が、欲しい…っ!」

「…あっ…!」

 その言葉に、再び身体の奥で欲望の火が灯っていくのを感じた。
 首筋から鎖骨に掛けて、幾つも赤い痕を刻み込まれていきながら…胸の尖りを
両手で弄り上げられたら、堪ったものではない。
 眼鏡の性器が熱を持って…己の中で硬く張り詰めてくるのが伝わってくる。
 それに呼応するように…克哉の蕾の内部も、怪しい収縮をしながら…熱く
疼き始めていた。

「はい…オレも、貴方の全てが…欲しい。今、この瞬間…だけでもっ…!」

 眼鏡の熱い気持ちに触れて、克哉もしっかりと己の意思を伝えていく。
 …この時だけは、毎晩の声の主の事を頭の隅に追いやっていた。
 あの人の声が聞こえる度、胸が引き連れそうな痛みを覚えていく。
 しかし…大切な人だった、という想いは残っていても…まだ、顔も名前も
思い出していない存在よりも、記憶を失ってからの八日間…ずっと自分の傍に
いてくれた眼鏡の方が…今の克哉にとっては大きかったのだ。

 眼鏡にとっても同じだ。
 この数日で…内心は愛しくて仕方なくなっていた。
 けれど…これ以上、感情が育てば…決して相手を帰してやれなくなる。
 だから気づかない振りをしていた。冷たい態度を取っていた。
 だが…こうして、一度失ったと思い込んだ後に…克哉がもう一度自分の
元に戻って来た事で全てがどうでも良くなった。
 今はただ…素直な想いだけが、口を突いていった。

「…あぁ、この瞬間だけでも…俺は全力で、お前を…愛して、やるよ…」

 初めて、優しい顔で…眼鏡が微笑む。
 それだけで…どうしようもなく克哉は幸せでしょうがなかった。
 相手をもっと確かに感じ取りたくて、彼の手に…己の指を絡めてしっかりと
握り締めていった。
 …この行為が、恐らく…後で自分達にとてつもない痛みを齎すであろう事は
お互い覚悟の上だった。
 それでも…これ以上、嘘をつく事も誤魔化すことも出来なくなるくらいに…
相手の存在が大きくなってしまったのだ。

「…はい、愛して…下さい。オレも…貴方を、愛したいから…」

「っ…!」

 その言葉を聞いて、驚愕していた眼鏡を…克哉は優しい瞳を浮かべながら
そっとキスして、気持ちを伝えていく。
 それを合図に再び眼鏡が、腰を蠢かして律動を始めていく。
 すでに一度頂点に達した身体は…彼の熱く滾ったものを再び受け入れて
深い処まで包み込んでいく。
 深く唇と身体を重ねて、想いを確かめ合う。
 揺さぶる腰の動きも、克哉のペニスを追い上げる手の動きも…どちらも酷く
性急で…代わりにそれだけ、眼鏡にも余裕がない事が伝わってきた。

「ん…すご、く…気持ち…いいっ…! あっ…はぁ…んっ!!」

 深いキスの合間に、相手と目が合えば…お互いに情熱を瞳の奥に宿して
宝石のように揺らめいている。
 ぎゅっと手を重ねて…穿たれて、相手を刻み込まれて…克哉はただ
その熱に翻弄されるしかない。
 相手の掌に包まれた性器からは、とめどなく先走りの蜜が溢れ出て…
亀頭から幹に掛けてびっしょりと濡れていた。

「…お前の中、凄く…いやらしく収縮して…俺を求めて、いるな…。
動かなくても…搾られて、しまいそうだ…」

「…やっ…ぁ…! お願いだから…そ、んな事は…言わない、で…くだ、さい…」

 言葉で辱められれば…首を仰け反らせながら必死に眼鏡の下でもがいていく。
 しかしそれを許さずに、己の腰を叩きつけながら相手の深い場所に己の
情熱を送り込み続けていく。

 グチャグチャグチュ…グプッ…!

 次第に先程に放った精と…新たに滲んだ先走りのせいで、腰を動かす度に
いやらしい接合音が部屋中に響き渡っていく。
 身体を動かす度に黒革のソファの中のスプリングや針金が軋んで、ギシギシと
音を立てていた。
 ―そんな音すらも、今は快楽を高めるスパイスにしかならなかったのだが。

「…克哉、かつ、や…っ!」

 余裕無く、自分の名前を呼んでくる眼鏡の声の響きが…あの人の声と重なる。
 触れ合う度に、揺さぶられる度に…走馬灯のようにここ数年の…最後の記憶の
パーツが克哉の頭の中で組み上げられていった。
 そして…ついに、克哉は思い出す。
 あの日…銀縁眼鏡を謎の男に初めて渡された日の記憶を―!

「あっ…あぁぁぁぁ!!!」

 強烈な快感と、記憶の奔流が克哉の意識に一気に流れ込んで…
耐え切れずに彼は大きな声で啼く事しか出来なかった。
 思い出した、殆どの記憶を…けれど、あの人の記憶にはまだ届かない。
 けれど…今、自分を抱いている男の正体が何なのか…克哉はやっと
思い出した。

「もう…イク、ぞ…っ! 克哉…っ!」

「ん…来て、くれ…<俺>」

 ぎゅっと抱きしめながら、そう告げると…眼鏡は瞠目し…すぐに
切なげに瞳を細めて…己の腰を克哉の中に叩きつけて頂点を目指していく。

(…やはり、思い出したんだな…お前は…っ!)

 近くに寄れば寄るだけ思い出すというのならば…自分と身体を重ねれば
確実に記憶は蘇ることぐらいは薄々とは感じていた。
 眼鏡が克哉に性的なチョッカイを掛けていたのは…強い感情が伴わない内に
その行為を済ませてしまいたかったからだ。
 一度抱いてしまえば…佐伯克哉の中に、自分が所有している記憶が流れて
殆どを思い出す。それは…初めから予想済みだった。

 それでも…こうして抱いている男が『兄』ではなく、もう一人の自分で
ある事を思い出しても…克哉は決して、縋りつく腕の力を緩めはしなかった。
 その葛藤も何もかもを叩きつけるように…更に眼鏡の律動は早く、激しい
ものへと変えられていく。

「ん…あっ! お願いだから…今、だけでも…オレを…離さない、で…!」

 泣きそうな声で、克哉が訴えると…深いキスで眼鏡は応えてやった。
 もっとも感じる部位をペニスの先端で執拗に擦り上げられ続けるのだから
堪ったものではない。
 お互いに、今まで感じたことがないレベルの快楽の世界に導かれていく。
 もう…何も考えられない。
 ただ、この快感をどこまでもどこまでも感じていたい。

 上も下も…相手でいっぱいに満たされて。
 苦しいぐらいの強烈な悦楽を覚えながら…頭が真っ白になっていった。
 荒い呼吸と、壊れそうなくらいに早くなった鼓動が重なっていく。
 深く口付けながら…お互い、しっかりと相手の身体を抱きしめていきながら
先程よりも遥かに強い快感の波に、両者とも意識が浚われていく。
 
(あっ…熱い…!)

 もう一度、克哉の中で相手のモノがドクン、と大きく脈動していくと…
期待を込めて、自分の内部がうねっているのが判った。
 其処に勢い良く…眼鏡の情熱が送り込まれていく。

「ひぃあぁぁぁ!!!」

「克哉っ!!」

 二人が叫び声を挙げるのはほぼ同時だった。
 その瞬間、快楽によって…二人の意識はシンクロし、普段は決して消える事のない
心の障壁が…束の間だけ取り払われて…意識が一つに重なっていく。

 その瞬間…白い光が二人に降り注いでいく!

「なっ…!」

 ―その瞬間、世界は一変した。

 快楽の余韻で、眼鏡の意識が白い闇の中に溶けていく。
 それは深い深海から…ゆっくりと地上に上がっていく感覚に
似ているのかも知れなかった。
 ふわり、と意識が浮上すると同時に…ヒヤリとした空気と
藍色の闇が周辺に広がっていた。

 暖炉の火が灯っていた明るい部屋から…冷たいリノリウムの床で
覆われた暗い部屋が、視界に広がっていた。

 ピッ…ピッ・・・ピッ…ピッ…

 情熱が過ぎ去った眼鏡の耳に最初に届いたのは…心拍数を測る機械の
規則正しい音と、誰かの涙が己の頬に落ちる音だった―



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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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