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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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―オレを壊しても良いよ

 相手の耳元で、そう小さく呟いていく。
 それはある種の、殺し文句にも近い言葉。
 眼鏡が瞠目したまま、その場に硬直していくと…更にあの濃厚で妖しい香りの
密度が増していった気がした。

―はあ、はあ…はあ、はあ…!

 もう頭の芯が痺れて、どうしようもなくなる。
 御堂と再会してから一年、いや…それ以前からも燻り続けていた嗜虐的な本能。
 それが出口を求めて、荒れ狂い、眼鏡を翻弄させていった。

(ダメ、だ…もう…!)

 先程の口淫が効いたのか、もう理性は限界寸前だった。
 目の前の強烈な誘惑に抗えなくなっていく。
 我慢を押し殺して、克哉を貪りつくしたい。この衝動を吐き出して楽になりたいという
想いが頂点に達していくと…ふいに身体が動くようになった。

 ―かなり荒々しく、乱暴な形で!

「くそっ…!」

 苦々しげに呟くと同時に、腕の中の相手を豪奢なソファの上へと組み敷いて首筋に
顔を埋めていく。
 その身体をしなる程に強く掻き抱き、かなり強い力で首筋から鎖骨に掛けて
吸い上げていった。

「いっ…っ…!」

 あまりの鋭い痛みに、克哉は軽く呻きながらビクン…と身体を撥ねさせていく。
 だが乱暴にYシャツのボタンを外されて、滑らかな胸板が晒されると胸の突起にも
性急な愛撫を施されていった。

「あっ…んっ…!」

 硬くなっている胸の尖りを、指で摘まれて痛いぐらいに刺激されて…痛覚の入り混じった
甘い快感が全身に走り抜けていく。
 そうしている間に、首筋に歯を思いっきり突き立てられていった。

「うあっ…!」

 其処から、うっすらと血が滲んでいくのが判った。
 灼けるような感覚と、そしてズキズキと脈動する度に僅かながらに血が流れ出ていく
感覚を自覚していった。
 眼鏡は、その血を舐め取っていきながら…首筋から、鎖骨に掛けても強く吸い付いたり
噛み付いていったりを繰り返していく。

(痛い…けど、オレ自身が言った事、何だ…。御堂さんを、壊すぐらいなら…いっそ、オレを
壊せば、良い…!)

 御堂は、公私ともに眼鏡にとって欠かすことが出来ない大切なパートナーで。
 逆に自分は…この男から人生を奪わなければ、自分の生を得る事も出来ない―今と
なっては亡霊に過ぎない存在だ。
 この衝動を解き放たなければ、眼鏡はいつかはまた同じ過ちを犯してしまう。
 それなら…自分を避雷針代わりにすれば良い。
 最初からそれを覚悟して、彼の前に現れて昨日から傍にいたのだ。
 だからどれだけ痛めつけられようとも、克哉の方から…その腕を放すつもりなどなかった。

(もう…あんなお前を、見続けるのは御免、だ…)

 御堂と再会するまでの一年。
 自分は恐らく一番傍で、かつての傲慢で自分勝手だった男が…徐々にその想いによって
変わっていく様を誰よりも近い位置で見守り続けた。
 あの頃に生まれた、コイツの為に何かをしてやりたいという気持ち。
 その感情に殉じたい。今の克哉には…愛されたいとか、優しくされたいとか見返りを求める
心は一切ない。ただ、そんな想いしかなかった。

「熱い、な…」

 そんな考えが過ぎっている間に、眼鏡の手が…ジッパーを引き下げて克哉の性器を
握り込んでいく。
 痛み交じりの愛撫でも、身体の方はすっかりと反応しきっていて…熱い雫を先端から
零し続けて、ヒクヒクと震えている。
 それを目の当たりにして…克哉は一気に頬を染めていった。

「…やだ、見るなよ…。恥ずかしいから…!」

 眼鏡の視線が、欲情に滾って…ギラギラと輝いているのが判る。
 その眼差しで、自分の痴態を眺められてどうしようもなく身体が熱くなっていく。
 覆い被さる相手の下肢に、硬く張り詰めたペニスが息づいているのが目に入って…
ゴクン、とつい息を呑んでしまう。
 身体が熱くて、そのまま気が狂ってしまいそうなくらいだ。
 けれど慌しくペニスを扱かれている内に…もうどうでも良くなってしまう。

「んっ…あぁ…!」

 蜜を滴らせている先端に濃密に指を這わされていると思えば、ふいに鋭く爪を突きたてられて
切羽詰った声で啼いていく。
 一気に鈴口から、トロリとした先走りが滲み出て来て…それだけで恥ずかしくなって耳まで
赤く染めていった。

「はっ…ぁ…」

 二年ほど前に余裕たっぷりに自分を抱いて弄り続けた男の表情は、今はまったく余裕
なさげに荒い息を漏らし続けていた。
 その手が乱暴に克哉の下肢の衣類をも取り去っていく。
 足を大きく開かされて、いきなり…その滾りを押し当てられていった。

「…っ!」

 まったく慣らされる気配もなく、蕾にガチガチに硬くなった性器を押し当てられて克哉は
息を呑んでいく。
 流石にこの瞬間は緊張してしまう。
 一瞬だけ怯えた表情を浮かべると…ふいに相手の眼差しと、視線がぶつかりあった。

(怖い…けど、構わない。オレは…覚悟の上で、来たんだから…)

 竦みながらも、どうにか微かな笑みを浮かべて…相手の首筋に抱きついていく。
 密着する上半身。相手と自分の荒い鼓動が重なり合う。
 口付けは、しない。これは心を通わせる為にする行為ではないのだから。
 最初から何も求めない。ただ…自分の中で、その荒れ狂う凶暴な衝動を発散してくれれば
それで良い。
 だから…オレを壊してでも、どうか…!

 其処まで想った瞬間、克哉の瞳から涙が零れていく。
 それを見て…一瞬だけ眼鏡の動きが、止まった。
 暫しの沈黙、互いに身動きとれずにその体制のまま硬直し。

 ―そして、着信音が部屋中に響き渡っていく。

「御堂っ…?」

 ハっとなったように眼鏡が身体を撥ね起こし…自分が脱ぎ捨てたスーツの方へと
駆け寄っていった。
 そう…恋人である御堂だけは、専用の着信音が設定されているのだ。
 それは眼鏡も、克哉もかつて好きだったバンドの古い曲だった。
 だが、コールの回数はたったの三回。上着から取り出して彼が受話器を取った
時にはもう通話は切れていた。

 次の瞬間、彼の意識は…現実に引き戻されて、理性が戻っていたようだった。
 互いの乱れた着衣、無残な姿の克哉。そしてたった今…貫こうとしていた事実に…
猛烈な後悔を抱き、そして…。

「ちょっと…! どこへ行くんだっ!」

 無言のまま、眼鏡はシャワー室の方へと駆けて向かっていった。
 克哉が後を追ってその部屋に飛び込んでいくと…其処には冷たいシャワーの水を
浴びてタイルに手をついている眼鏡の姿が在った。
 真冬のこの時期に冷たい水を浴びるなど、かなりの自殺行為だ。
 それでも男は敢えて、それを被っていく。
 上り詰めた衝動を押さえ込む為に。そして、理性を取り戻す為に…!

「だ、大丈夫…? 『俺』…?」

「…お前は、もう出て行け…」

 静かな声。だが…同時に強い怒りが篭った声でそう告げられる。

「…俺の財布から、必要な分の金やカードは自由に持っていって構わない。だから…もう
俺の前から姿を消してくれ。俺はかつて…御堂を好き放題に犯して監禁までして、あいつを
廃人寸前にまで追い詰めた。
それでもあいつは、俺を許して…今もこうして傍にいてくれているんだ。そんな相手を…
俺は、裏切りたくない。だから消えて、くれ。お前が傍にいたらきっと…同じ事をして
しまうかも…知れない、から…」

 そう答えた眼鏡は、怒っていながらもどこか切なげだった。
 多分…たった一本の電話だけでも、彼がこの一年…ずっと持ち続けていた理性を
取り戻すには十分で。
 …その言葉に、克哉は小さく頷いて了承していった。

「…判った。お前がオレを必要としないのなら…潔く消えるよ…」

 そう、短く告げて踵を返していく。
 眼鏡からの言葉は何も無い。ただシャワーの水音だけが辺りに響き渡っていた。
 それは、相手からの決定的な拒絶の言葉でもあった。
 だが…克哉は、一言も詰りもせずに受け入れる。
 興奮しきった身体をどうにか宥めて、身支度を整えて最小限の金額だけ彼の財布から
抜いていくと…克哉はそのまま、玄関へと向かっていく。

「…バイバイ、俺…」

 相手の耳にはきっと届かない事を承知の上で最後にそう呟き。
 克哉は―眼鏡の部屋を静かに後にしたのだった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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