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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ―気が付けば、椅子の手すりの部分に両手首を縛り付けられて拘束されていた。
 先程、急速に闇の中に落ちていった意識は瞬く間に覚醒し…この事態に
驚いていく。
 室内は、藍色の闇に包み込まれていた。
 内装からして、病院内の診療に使われている一室…のようだった。
 
(ここは、一体…?)

 まだ視界はぼんやりとして、はっきりと物の輪郭を据えられない。
 必死に目を凝らしながら周囲を見渡していく。
 時間の経過と共に、少しずつ状況を理解していく。
 窓の向こうには冴え渡る夜空に浮かぶ真円の月が。
 そして…目の前には闇の中ではくっきりとした存在感を放つ金色の豊かな
髪が靡いていた。

―お目覚めになりましたか?

 まるで芝居の台詞を口にするかのように滑らかに、黒衣の男が告げる。
 その容姿に、歌うような語調。
 間違いはなかった。自分をこうして…実体化させる程の力を持ち、今回の一件の
発端を作った人物が静かに其処に佇んでいた。

「Mr.R…! 何故、貴方が…! どうして、オレを拘束なんてしているんですか…!」

『いえ、ただのお仕置きですよ…後は私の趣味と、貴方に対しての忠告も兼ねて…
このような場を設けさせて頂いただけの話です』

「…オレには貴方にお仕置きされる言われなんて、ありません…!」

『本当にそうですか? せっかく…このような機会を差し上げたにも関わらず、引っ掻き回す
だけで望んでいる事は何一つ出来ず…挙句の果てに、あの方に拒絶されているような貴方が
お仕置きされる謂れはないと…本気でおっしゃるつもりですか…?』

「…っ!」

 図星を突かれて、克哉の表情は硬くなった。
 それを見て…男は心底、楽しそうに笑う。

『…事実を言われて、何も言い返せないという顔をしていますね…。やれやれ、それでは
到底…本来あの方達が辿るべき道筋をひっくり返す事など…出来そうにないですね…』

「そ、んな…! そんなのは…嫌だ! あの二人の内のどちらかが死ぬ結末なんて…
そんなの、オレは認めたくない…!」

『…そうですね。私もそれでは退屈ですから、貴方にこうして肉体を与えて、一週間だけ
存在する事が出来るという機会を差し上げた。それで…少しでもあの方達が大きく翳る
運命を覆すことが出来るなら、というつもりでした。
 特に良心によって本心を押し殺し続けて…欲望を発散されない限りは、徐々にあの方は内側からの
圧迫に押しつぶされていつしか…愛しい方そのものを完膚なきまでに破壊されてしまう、と。
 その本来の流れをどうやって貴方が変えていくのか…見守っていましたが、正直期待外れ
でした…。貴方は、トコトン…人の気持ちも判らなければ、根本的に物事をどうすれば解決
出来るか…そういう事を考える能力が備わっていないようですからね…』

 嘲るように、男が嗤う。
 その整った、人形のような表情に克哉はゾっとなった。
 ツウっと頬の稜線を皮手袋で覆われた指先で辿られて…その妖しい感覚に背筋に
冷たい汗が伝っていく。

『…欲望をご自分の身体で発散させる、などという真似をされたら…その後に残された
二人がどのような想いを抱くか…まったく想像が出来ない。佐伯克哉という存在は、
あの方も含め…トコトン、人の気持ちを理解出来ないようですね。
 だからこそ…見守っている私も、退屈せずに済むんですけどね…』

「やめ、ろ…!」

 ふいにシャツのボタンを作為的な手つきで外されて、胸の突起を弄り上げられていく。
 克哉は必死にもがいて抵抗したが…男は背後からぴったりと密着した状態で、
彼の乳首を弄り始めていった。

「嫌、だ…! 離せ…!」

『おやおや…本当に止めて宜しいんですか? この身体は…あの方に抱かれたくて…
この四日間、熱く火照り続けていたんでは、ないんですか…? もうこんなに…硬く
尖らせて、反応させている癖に…』

「ひゃあ…!」

 ふいに硬く張り詰めた突起を指先で強く摘まれて、克哉は鋭い悲鳴を上げていく。

『なかなかの感度ですね…こうされると、もっと貴方のようないやらしくて素敵な方は…
悦ばれるんじゃないんですかね…?』

 クスクスと笑いながら、Mr.Rは今度は胸の突起の先端を、爪先で軽く抉るようにして
痛みが混じった快感を与えてくる。
 それを左右交互にされたら、溜まったものではない。
 瞬く間に克哉は耳元まで赤く染めて…その感覚に耐えていった。
 そうしている間に男の手は更に執拗さを増していく。
 カリ、と耳朶を食まれて…熱い吐息混じりに囁かれると…ビクリ、と身体全体が
震え始めていった。

『…あぁ、人の気持ちが判らないというよりも…貴方はご自分の欲求に正直に
なられただけですね…。ずっと、夢の中で御堂さんの身代わりに抱かれ続けて…いつしか、
貴方の中には欲望が灯ったのでしょう? あの方に愛されたいと…抱かれて、どこまでも
ムチャクチャに貫かれたいと…貴方は、あの二人の為と言いながらご自分の欲求を
満たす事しか考えられなかった。違いますか…克哉さん…?』

「…っ! そ、んな事は…!」

 ―本当にない、と言い切れるのだろうか…?

 痛みと、快感が入り混じりながら責められていくと…ふと、そんな想いがじんわりと
彼の中に広がっていく。
 そうだ…指摘されるまで、気づかないようにしていた。
 抱かれたい、というよりも…自分はあいつの傍にいたい…と願っていた。
 だからその想いを常に優先してばかりで…本当にあの二人が、大きくすれ違いながら
互いに自滅しあっていく…その悲しい流れをどうやったら変える事が出来るのか。
 その根本的な解決方法を…自分は一度でも、考えた事があったのだろうか…?

『…どうやら、否定し切れないみたいですね。どうせ…貴方の事ですから、ご自分の
身体を投げ出してあの方の欲求を発散させるくらいしか…思いつかなかったのでしょう?
 それを盾にした方が…貴方も、この淫らな身体を満足させられますからね…』

 言葉で辱めながら、男の手はゆっくりと…克哉の下肢へと向かっていく。
 スーツズボンの上からやんわりと性器を撫ぜ擦られて…ビクリ、と下肢が反応していく。
 認めたくなかった。
 だが…身体は如実に示している。
 この四日間、克哉の身体は…ずっと飢え続けていたのだと、ほんの僅かなチョッカイだけで
これだけ身体を熱くしている。
 それは紛れもない事実なのだから―

「止めて、下さい…! これ以上、オレを無理矢理暴かないで下さい! そんな本心は…
気づくたくなかったし…見たく、ない…!」

 必死に頭を振りながら、克哉は訴えていく。
 だが男は一切容赦するつもりなどなかった。
 フロントの部分に手を這わせると、ジッパーを引き下げて…硬く張り詰めている
克哉のペニスを外気に晒し始める。
 しっかりと自己主張をしている己の欲望の証を目の当たりにして、克哉は居たたまれない
気持ちになっていった。

『駄目ですよ…これはお仕置きと言ったでしょう…? 人の気持ちが判らない、理解出来ない
結局…本質的にはあの方と同じ欠陥を抱えている貴方に…じっくりと言い聞かせる為に
私は親切で…このような機会を設けて差し上げているんですよ…?』

「これの、どこが…親切なんですかっ! …人を拘束して、辱めて…こんな酷い行為を
している…癖、に…あぁ―!!」

 ペニスの先端の、先走りを滲ませている部分を滑らかな皮手袋で弄られて…鋭い
快感が全身を走り抜けていく。
 ここは男にとっては殆ど急所に近い部分だ。
 瞬く間に身体全体から力が抜けて、荒い吐息を漏らしながら喘ぐしかなくなる。

『親切、でしょう? …貴方がやろうとしていた行為では…一時しのぎにしかならない。
数ヶ月、半年単位では回避出来ても…根本からの解決には至らない。その回答を…
今、貴方に教えて差し上げているんですから…。
 あの方を救いたいのなら、貴方が言わなくては…しなくてはならなかった事が…
他にあります。それを…今日、貴方は薄々と…本当は気づかれているんで
はないんですか…?』

 その一言を言われた時、真っ先に思い浮かんだのは…泣けない、あいつの姿だった。
 ショックを受けている癖に…感情を表に出せない。
 本当は涙を零して取り乱したいだろうに…アイツは、決してそんな弱さを自分にも…
いや、恐らく他の誰にも見せようとはしないのだろう。
 
(…もしかして、根本的な解決っていうのは…)

 ようやく気づく…この男が示唆しているものが、何なのか…その輪郭だけでも。
 だがしかし…すぐにねっとりとした愛撫が齎す悦楽によって、克哉の思考は霞みが
掛かっていった。

「ヤダ…もう、離して下さいっ…! こんなのは、嫌です…!」
 
 必死に頭を振りかぶりながら再びもがき始めるが、拘束はまったく緩む気配がなかった。
 そうしている間に男の手は一層熱が込められていき。

―冷静に貴方が判断出来るように、一度…その熱を吐き出させて差し上げましょう…

 そう告げて、ペニスを的確な愛撫によって追い詰めて…克哉を容赦なく…絶頂へと
導いていったのだった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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