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―あぁー!
達した瞬間、克哉は堪えきれず高い声で啼いていった。
「は、あっ…はぁ…はっ…くっ…!」
欲望を吐き出して、乱れた呼吸を零しながら克哉は回想していた。
どうして、自分がこうして…Mr.Rの提案に乗って身体を伴って現れたのか。
そのキッカケを…。
男は言った。眼鏡と御堂には根本的な欠点があると。
お互いに弱みを見せられない性分なのと、そのプライドの高さによって少しずつ
ズレが生じ始めて、このままでは…一年持たずに最悪の結末を迎える可能性があると。
―何もせずに放っておけば、あの方は最愛の方の心を破壊し…あの方自身も
恐らくその痛みに耐え切れずに崩壊するやも知れません。
そうなれば…貴方は必然的に、もう一人のご自分の死に巻き込まれる事になります。
何もしないで、巻き添えになられるのは…嫌なのではないですか?
それなら…一週間だけ、チャンスを差し上げましょう。
その結末にどうやったらあの二人が回避出来るか、必死に考えて足掻いて見ては
如何ですか? そうすれば…もしかしたら、その結末を変えられるかも知れませんよ…?
そう提案されてから、翌日まで…自分は必死に考えた。
二年近く、内側で見守り続けていた彼を見殺しにする事など…克哉には出来なかった。
過ちを犯して、そのまま彼の命まで失われてしまう。
そんな結末は嫌だと思ったから、克哉は男の提案に乗る事を決意した。
そして出した最初の結論は、御堂の代わりに自分が彼の激しい衝動を受ける…と
言うものだった。男はそれに協力し…こっそりと欲望を解放しやすくなるフレグランスを
部屋に設置し、そしてその夜に…自分は彼の前に現れて実行に移される筈だった。
―だが、その浅はかな計画はその当日に御堂が彼の自宅を訪ねるという予想外の
行動によってあっさりと打ち砕かれてしまった。
それからは答えなど、判らなくて…想いは空周りしてばかりで。
根本的に彼らを救うにはどうすれば良いかなど…そんな視点は、男に指摘されるまで
克哉は全然、思い至らなかった。目先の事しか、見えていなかった。
(あいつが抱えている根本的な問題…それを、指摘しなきゃ…駄目、だったんだ…。
恐らく、その答えは…)
そこまで考えた時、再び陰茎に指が絡まってきた。
「や、止めて下さい…! もう…嫌です…!」
必死にもがきながら、抵抗をしていくが…両手の拘束は外れる気配がない。
そうしている間に、Mr.Rの手が…スルリと椅子と、自分の背中の間に差し込まれて…
背面から直接臀部を撫ぜ回し始めていく。
「止めて下さい…! そんな、処は…!」
『…ずっと、弄って欲しかったんじゃないんですか…? ほら…もう此処は私の指に
吸い付いて来ているようですよ…?』
男が嘲るように耳元で囁くと、スルリと克哉の内部に…皮手袋で覆われた指が
容赦なく入り込んで来た。
「はぁ…ううっ…!」
克哉は苦しげに呻くが、相手が言う通り…其処はあっという間に男の指先を
飲み込んで妖しく蠢き始める。
自分の意思と裏腹に反応する身体が、恨めしかった。
だが…そんな彼の意思などお構いなしに、Mr.Rは前立腺の部位を探り当てると
其処を執拗に弄り上げていった。
『ほら…身体の方は正直なようですよ…。こんなに貪欲に私の指先を飲み込んで…
キツく締め付けているのが、ご自分でも判るでしょう…? この様子なら…指だけでも
イケそうですよね…?』
「ヤメ、ろ…! 嫌だ…オレは、こんなに嫌だぁ…!」
早く自分は伝えないといけないのに…言わないと、アイツの為にしっかりと
言っておかないといけない事があるのに…快楽に溺れたくなどなかった。
ポロポロと涙を流しながら、必死に抗っていく。
その様子を見て…Mr.Rは心底愉快そうに…だが少しだけ哀れむような口調で
告げていった。
『何が、そんなに嫌なんですか? …私はただ、この数日疼き続けていた貴方の
身体を慰めて差し上げているだけ、ですよ…』
「そんな、事…オレは一切、望んでいない…! この瞬間だって御堂さんは…
今にも死にそうになっているのに…! アイツは、それを苦しんで…耐えているのに
オレが、こんな事をしてて…良い訳が、ないでしょうが…!」
激昂しながら叫んでいくと…もう言葉は止まらなかった。
「オレはあの二人を救いたくて、現れる決意をしたのに…! 何も出来ないで、引っ掻き
回す事しか出来なくて…! そんな時に、こんな行為に没頭したくない…!
だからもう止めて下さい…! オレは、これ以上は嫌です…!」
自分の最奥は確かに貪欲に快楽を求めて、疼いている。
あのフレグランスの芳香が漂う中、それでも飲み込まれずに…このような綺麗事を
言える克哉に、Mr.Rは少しだけ感心していった。
その意思の強さに敬意を示して…一つだけ救いの道を提示してやろうかと…男は
気まぐれを起こしていった。
そう、かなり残酷で…正しい方を選ぶには、決意が伴う選択肢を。
『おやおや…貴方は本当にお人好しみたいですね。このフレグランスの効能は常人なら
容易に抗えない程…強いものなんですけどね。ですが…そこまで申されるのでしたら、
貴方に選択肢を与えて差し上げましょう…?』
そうして、男は一度…弄るような指の動きは止めてこちらに問いかけてきた。
『…確かに、この瞬間…あの方の最愛の方の命は脆くも消えようとしています。
このまま放っておけば…助かるか、命を落とすかは五分五分と言った処でしょう。
しかし…今、貴方を現実に存在させているエネルギーと…貴方自身の命を注ぎ込めば
確実に助けられる事でしょう…。
ですが、そうすれば…貴方は私の力を持ってしても、二度とこのように一つの身体を
纏ってこの世に現れる事は叶わなくなります。
…このまま放置すれば、貴方にとっては…最大の恋敵はいなくなる可能性があります。
さあ…貴方は、どちらの道を選択しますか?』
その選択肢を聞いた時、克哉は驚きを隠せなかった。
彼の目は大きく見開かれて…その後、深く溜息を突いていく。
考えるまでもない。
自分が選ぶべき道など…最初から決まっている。
だが、決意するまではやはり…緊張して、少し時間が掛かった。
―その選択肢なら、オレが選ぶべき道など最初から決まっています。
オレはすでに…この世界に存在しない亡霊のようなものに過ぎない。
比べるまでもありません…どうか、御堂さんを助けて下さい!
そう告げた時、Mr.Rは少しだけ驚いた顔を浮かべ…そして悠然と微笑んでいく。
それは克哉にとっては、自分を死に導く…死神の微笑に等しかった。
だが決して目を逸らさずに…対峙していく。
背後に覆い被さる相手の方に向き直り続けるという苦しい体制であったが…
克哉は怯まなかった。
『判りました…貴方の決意に敬意を称して、その願いを叶えて差し上げましょう。
ですが…最後のこちらからの慈悲として、午前零時まで…貴方に猶予を差し上げます。
その間に…自分がされたい事をなさって下さい…』
そうして…腕の拘束がパラリ、と解かれていった。
突然の解放に…克哉自身が呆然としていると、更にとんでもない事を男はあっさりと
口にしていった。
―其処に立っている貴方様も、私たちのやり取りをずっと聞いておられたのでしょう。
いつまでも扉の前に立ち尽くしていないで…この部屋に入って来られたらどうですか…?
その一言を聞いた時、背筋が凍るかと思った。
だが…間もなくして、ガチャと音を立てて扉が開かれていく。
其処に立っていたのは…眼鏡だった。
「な、んで…どうして…!」
「………」
克哉が動揺を隠せずに青ざめていくのと対照的に…もう一人の自分の表情は
冷ややかで…同時に、信じられないという眼差しでこちらを見つめていた。
そして二人は、見詰め合っていく。
克哉に残された時間は後僅か。
先程まで喘がされていた事や、たった今…命を投げ出そうとしていたそのやり取りを
全て聞かれていたという混乱が襲う中…最後の二人の邂逅が、ゆっくりと始まろうとしていた―
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当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。