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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  翌日の早朝。
  克哉はコンビニの袋を片手に、自分の部屋の扉の前で携帯を
片手に会話をしていた。

『ん、今日は…会社に行けると思う。昨日休んだ分の埋め合わせは
するから…宜しくな。じゃあ、後で会社で…」

 本多からの電話をそういって切っていくと、克哉は玄関のドアノブに
手を掛けて自分の部屋の中に入っていく。
  
―そこには、恨めしそうな顔をした眼鏡を掛けた自分がベッドの上で
身体を起こして待っていた。

「…あ、起きていたんだな」

「…おかげさまで、な。お前が移してくれた風邪のせいで…こちらは
安眠を妨げられたぞ。どうしてくれるんだ…?」

 じっとりと、射殺されそうな眼差しで見つめられるが…今朝の克哉は
それに動じる様子はなかった。
 
「そんなの、自業自得じゃないか。俺が風邪引いているって知ってて
好き放題やらかしてくれた天罰じゃないのかな?」

「…イイ根性しているじゃないか。お前…誰に向かってそんな事を
言っているんだ…?」

「ん~けど…昨晩、 お前に俺の風邪を移してやるって…散々、言って
いただろ? その上でオレを…お前は抱いたんじゃなかったのかな?」

「……まあ、な。だが何で、お前の方はピンピンしているんだ。この風邪は
元はと言えばお前が引いていたものだろうが…」

「さあ? 風邪って人に移すと治るっていうからね。…お前に移したから
治ったのかも知れないね…?」

 そういって、不敵に克哉は笑っていく。
 昨晩の死にそうだった容態が嘘のように、今朝は身体が軽かった。
 むしろ…昨日一日、高温が出ていたからこそ…克哉の風邪は全快
したとも言えた。

 風邪というのは、ウイルスが大量に体内に侵入してきたり…疲労物質
などの老廃物が過剰になっている時に起こる体内の浄化反応である。
 身体に害があるものを鼻水や痰などで体外に排出し、発汗して燃やし
尽くす事で完治する。
  
 昨晩、眼鏡に好き放題されて…克哉の身体は興奮でかなり長い時間
高温状態になっていた。
 その状態で大量に発汗したせいで…結果的に風邪の原因だった老廃物を
出し切ったので治った…が正解なのだが、二人にそこまでの知識はない。
 理不尽な結果に眼鏡は心底不機嫌そうにしていたが…相手のそんな顔を
初めて見れた事で克哉の方は愉快そうに笑っていた。

「…理不尽だな。どうして俺がお前ごときに風邪を移されて、寝込まなければ
ならないんだ…」

「ほらほら、拗ねないで。一応…コンビニでレトルトのお粥とか、弁当とか
買ってきておいたから…お腹空いたらこれ食べてて。今日は出来るだけ
早く帰ってくるから…な」

「…ちょっと待て。お前…俺に風邪を移しただけじゃなくて、俺を一人にして
会社に行くつもりか…?」

 かなり眼鏡は不機嫌そうな表情で尋ねていく。

「うん…そのつもりだよ。昨日は当日に欠勤して迷惑掛けてしまったし。
自分の分の仕事はちゃんと片付けに行ってくるよ」

 それがまったく悪びれる様子もなく、ニコニコ笑いながら言ってのけられた
ので…眼鏡は瞬間、相手に殺意を覚えていた。
 自分自身でも、何故こんなに苛立たしいのか…原因はまったく
判らなかったが。

「帰って来たら、ちゃんと昨日…お前がしてくれたみたいに、俺も
お粥作るからさ。今朝はちょっとギリギリだから…これで勘弁して
くれな。昨日の残りの粥と、レトルトの粥二食分あれば足りるだろうけど
足りなかったらカルビ弁当も食べてて良いから」

「…お前はバカか? 病人がカルビ弁当なんぞ食える訳がないだろうが…」

 ワナワナと震えながら、シーツを握ってとりあえず怒りを逃していく。
 気に入らない。
 いつもなら自分の方が相手を手玉に取って翻弄し続けてきたというのに
今回に限っては、克哉の方にいつの間にかリードを取られてしまっている
状態が非常に気に食わなかった。

「ん? カルビ弁当は元々オレの夕食のつもりで買ってきているんだけどね。
足りない場合は…ってちゃんと言ったろ?。それじゃ台所にはお湯ですぐに作れる
生姜湯とかホットレモンとかあるから…好きに飲んでてくれ。じゃあね!」

 会話をしている最中も、克哉はバタバタと身支度をして…会社に行く
準備を進めていく。
 よっぽど、無理やり組み敷いて会社に行くのを阻止してやろうかとも
考えたが…悲しい事に、熱で身体がダルくて、イマイチ動くのも億劫に
なっている状態だった。

「あ、そうだ…」

「まだ何か…あるのか…?」

 玄関を出る手前、思い出したように立ち止まって…眼鏡の方に
振り返っていく。
 玄関のドアから微かに差し込む朝日が…克哉の顔で反射して
白く輝かせていた。

「今日、絶対に早く帰ってくるから…待ってて…な?」

「っ!」

 一瞬、心臓が止まるかと思った。
 滅多に見た事がない、はにかむような可愛い表情を浮かべられて
眼鏡はあっけに取られていた。
 自分とこいつは、基本的な顔の造作はまったく一緒の筈なのだ。
 それなのに、思ってもいなかった予想外の表情を浮かべられて…眼鏡は
相手から顔を背けて…咳払いを一つして、答えていった。

「…絶対だな。…約束はキチンと、守れよ…」

「うん、じゃあ…行って来る。じゃあね…<俺>」

 そうして、克哉はとびっきりの…子悪魔のような魅力的な笑顔を浮かべて
朝日が降り注ぐ中、出勤していったのだった―。


 
 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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