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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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エイプリル・ライアー(タイトル後で修正しました)

   

 何度も啄むようなキスを交わし合って、穏やかな時間が戻って来る。
 こうして抱きあっていると、やっぱり安心出来た。
 さっきの「好きな人が出来ました」発言は、エイプリールフールの
嘘だっていうのが判って御堂も複雑ながらも…安堵を覚える事が
出来たらしい。
 そうしてそっとこちらの頬を御堂が撫ぜて来ると…バツの悪そうな
顔を浮かべながら呟いていった。

「…さっきは、取り乱してしまってすまない…」

「いいえ、オレの方こそ…。どうせ嘘をつくなら…もうちょっと笑える
感じのものにすれば良かったですね。…けど、オレは結構嬉しかった
ですけどね…」

「え、どうしてだろうか…?」

「…貴方が、嫉妬している姿を見る事が出来ましたから…」

「…嫉妬しない訳がないだろう。…今まで、君程執着した存在はいないし…
絶対に別れたくないと切に思っているのだから…」

「ええ、オレも…同じ気持ちです…。今まで、孝典さん程に好きになった
存在はいませんでしたから…」

 そう、御堂と克哉はルックスは結構良い方だ。
 だから今まで…お互いにそれなりの数の異性とも交際経験はあった。
 しかし出会った頃は二人とも恋人のいない状態だったのは…克哉の方は
優柔不断な部分が、御堂の場合はワーカーホリック的な部分が強くて
恋人よりも仕事を優先する傾向にあったので…そこら辺が原因で破たんして
しまう事が多かった。
 けれど二人はお互いと付き合い始めた頃から…仕事の方でも良い
流れを生み出すようになった。
 お互いの相性が良い、と最も強く実感するのがその部分だ。
 克哉は御堂と出会って、仕事上で必要なものを肌で多く感じ取らせて
貰って成長出来たと思っているし…御堂もまた、克哉と出会った事で
厳しいだけではなく、時に人に穏やかに対応したり寛容である事も
必要である事を自然と学んでいった。
 その事をふと自覚すると…胸の中が暖かくなる。
 そして、普段言えない言葉が自然と口から零れていった。

「…貴方とこうして恋人関係になり、一緒に仕事をする事になって本当に
オレは成長する事が出来たと思っていますから…。貴方の厳しさ、前に
進もうとする意思の強さ、妥協を許さない真摯な姿勢に…どれだけオレは
啓発されたか判りません。孝典さんを好きなのは…そういった、生きる
姿勢や態度も含まれていますから…。そういう意味でも、貴方はオレに
とって特別な…かけがえのない人ですから…」

「…反則、だな…。まさに飴と鞭だな…」

「えっ…それは、どういう意味…ですか…?」

「…あんな嘘を言われた後で、そんな風にこちらを悦ばすような事を
言われてしまったら嬉しくて仕方なくなる…。なるほど、エイプリルフールの
嘘にはこんな効能もある訳か…」

「えっ…ええっ…?」

 その瞬間、御堂が実に狡猾そうな笑みを浮かべていったので密着した
体制にある克哉はドキっとせざるえなかった。
 そうして耳元に唇を寄せられて…ゾクっとするような事を言われてしまった。

―来年のエイプリルフールが楽しみだな…

 そんな言葉を、耳元で低く甘い声でささやかれてしまったら…嫌な予感と
同時に妙に甘い期待も覚えてしまっていた。

「あっ…た、孝典さん…。一体、どんな嘘をつく…つもりなんですか…?」

「さあな、それは来年になってからの楽しみにしておいてくれ…。そうしたら、
君もまた再来年に嘘をつき返せば良い。一年先でも、二年先でも…
私達の関係はずっと続いていく訳なんだからな…」

「は、はい…」

 その言葉の意味を感じ取って、ジワリと胸の奥が暖かくなるのを
感じ取っていった。
 来年も再来年も…それは、御堂の方には自分との関係を長く続けていく
ビジョンが存在しているという事実で。
 其れを自覚した途端…ホワリ、と胸が温かくなっていった。

(どうしよう…凄く嬉しい…。来年のエイプリルフールにどんな嘘をつかれるか
想像すると不安もあるけど…この人が、一年先も二年先もずっとこの関係を
続けていく気があると知っただけで…涙が出そうなぐらい、嬉しい…)

 だから嬉しくて嬉しくて、克哉はギュっと御堂の背中にしがみついていく。
 小さな嘘から生まれた、とても幸福な一時。
 基本的に、二人の関係を良好に保つためには…相手に対して誠実に応対して、
嘘などつかない方が良いに決まっているけれど。
 時に…嘘もまた、相手の本心を映し出す指標になる事はあるから。
 自分がついたウソによって、御堂の心がはっきりと映し出された事に…
心から喜びを覚えて、克哉はその幸せを噛みしめていく。

「大好きです…孝典さん…」

 そして、真実の気持ちを相手に静かに告げていきながら…
克哉は徐々に口づけを深いものにしていき。
 御堂もまた…抱き締める腕の力を強いものにしていきながら…
その想いにしっかりと答え始めていったのだった―

 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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