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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※ ようやく『バーニングクリスマス!』の再開です。
    非常に間が開いてしまってすみません。
    過去のログのリンクも話のトップに繋げる形で読み返しがしやすい
   ようにしておきます。
   
    バーニングクリスマス!                
 
    お待たせしてしまって本気で申し訳ないです。
    これから、一月末までには終わらせるぐらいの気持ちで頑張ります(ペコリ)

 ―本多にとっての救い主、それは…この喫茶店の主でもあるマスター
 その人だった。

 太一が作ったラーメンに、大量のニンニクを投下して嫌がらせをするという
暴挙に出たおかげで…本多の理性は限界寸前だった。
 そして終始、太一に振り回されてやられっ放しの状態だった。
 だがしかし…その横暴を、今回に限って…天はどうやら見逃さなかったらしい。
 この店のオーナーでもあるその人が、店の入り口から堂々と入って来た瞬間…
太一の顔は「げっ!」という感じで思いっきり引きつり始めていた。

「おう、ただいま…! って何だこりゃ! 店中がニンニク臭いじゃねえか! 
太一…てめえ! 以前にあれだけ俺が言っていたにも関わらず…店の厨房を
使ってニンニクたっぷりのラーメンを作ったな!」

「おや、いや…マスター! それは…」

「言い訳は良い! ったく…ここは俺の城だと以前から散々言っているだろうが!
こんなにニンニクの臭いが強かったら、客商売をしている身としちゃ致命傷だって
散々言っているにも関わらず…またやりやがって。そんなに、お仕置きして
欲しいのか…?」
 
 その瞬間、全員が…マスターの眼光が鋭く物騒に輝いているのに気づいて
背筋に汗が伝うのを感じていった。

―マスターの目がマジだ…!

 と、全員が心の中で叫んだ瞬間だった。

「い、いや…マスターからのお仕置きは受けたくないから! っていうか…本気で
謝りますから、それだけは勘弁して下さい! ニンニクの臭いは明日までには
全力で落としますから!」

「…ほほう? こんなに強く残ったら並大抵のことでは…店内から臭いは
消えねえぞ? それでもか…?」

「は、はい! だからそれだけは…!」

 太一がここまで狼狽しているのは正直、珍しかった。
 だが…普段は非常に彼に関しては甘い部分があっても自分の実父である
この男性が、こんな剣呑な眼差しを浮かべて「お仕置き」と口にしている時は
本気で怒っている時だけだというのは身に沁みて知っていた。
 現在の太一は辛うじて…この父が味方になってくれているから今、大学にも
通っているし好きで堪らない音楽活動も出来ている状況な訳である。
  この怒りを放置しておいたら…父の気持ちが大きく変わってしまった場合、
それらの全てを失い兼ねないぐらい…太一の立場というのは微妙なものなのだ。

(…親父を本気で怒らせたままにしておいたら、絶対にシャレにならない事に
なりかねないし…じっちゃんに対しての押さえが利かなくなる…!)
 
 因果応報とは、まさにこの事だ。本多を貶める為にやった行動が全て
自分に返って来てしまっている状態だった。
 目の前で起こっている展開に、克哉と本多は思いっきり置いてけぼりに
されている状況だった。
 だが…傍から見ている限り、太一が相当必死になってこのマスターの
機嫌を回復させようとしている事だけは伝わった。
 
「あ、その…太一。オレ達、そろそろ時間だから…お暇するね。ニンニクの
臭い消しの件…頑張ってね」

 太一とマスターの間に流れる、緊迫した空気を感じ取って…克哉はオズオズと
席から立ち上がりながらそう告げていった。
 こんな息が詰まりそうな場に、延々と残り続けるなど流石に御免だったからだ。

「えぇぇ~克哉さん! もう行っちゃうの? まだ今日は全然…克哉さんと
話し足りていないっていうのに…!」

「ゴメン、太一…また来るから…。今日の埋め合わせは、次に顔出した時にね…?」

 そうやって克哉が太一に向かって謝っている姿を見て、チリリと…本多の胸が
痛んでいった。
 マスターにやり込められて、必死になって頭を下げている姿を見て少しは
溜飲が下がったけれど…やっぱり惚れて仕方がない相手が、他の相手に気を遣って
いる姿を見るのは若干心が痛んでいった。

「…判ったよ。克哉さんもお仕事だもんね…俺だって、まだバイトあるし。
けど…絶対に約束だかんね、克哉さん…」

「ん、約束するよ…」

 …という感じで、完全に本多の存在はスルーされた状態で話は進められて
いってしまっていた。

(…この場における、俺の立場は一体何なんだ…)

 と、本気で拳を握り締めながら号泣したい衝動に駆られていったが…ここで
妙な発言をすると、絶対にややこしいことになりそうな気がしたので…本多は
沈黙を保っていた。
 …もう一つの理由として、今の本多は非常にニンニク臭かった。
 口を開けば、一層激しい臭気を撒き散らすことは必死だったのだ。
 惚れた相手が目の前にいるというのに、そういう臭いをプンプンとさせるのは
若干…恋する男として躊躇いがあったのだ。
 まさに不憫もここに極まれり…な状況に追いやられていた。

「…佐伯さんもすみませんね。…こいつがニンニクなんて使って調理なんて
してしまったものだから…臭ったでしょう?」

「いえ、その件はあまり気にしていませんから大丈夫です…。それじゃあ、太一…
失礼するね」

「バイバ~イ、克哉さん。また来てね~」

「俺もそろそろ失礼させて貰うぜ。…ラーメンは旨かったけど、これだけ
ニンニクを入れられるのはもう勘弁させて貰うぜ。御代は幾らだ」

 本多が心底、不機嫌そうな表情を浮かべながら…上着のポケットから自分の財布を
取り出していくと、マスターはそれを静かに制していった。

「あぁ、こいつの給料から適当に差っ引いておきますから二人とも払わなくて
結構ですよ。今回、お二人に大しての迷惑量という事で…」

「…って親父! つか…マスター! ただでさえここの給料、信じられないぐらいに
薄給だって言うのに…また引かれちまったら俺、貧乏まっしぐらじゃんか!」

「うるせぇ! お客さんに迷惑を掛けたら減給だっていうのは今まで口が
すっぱくなる程言って来ているじゃねえか! 文句言えた義理か!」

「あたっ!」

 その瞬間、マスターの拳が思いっきり太一に向かって炸裂していった。
 ここら辺はある意味、ロイド名物というか風物詩に近いものがあるので
克哉もまったく動じた雰囲気はなかった。
 むしろ微笑ましい表情を浮かべながら、二人の様子を見守っている。

「…ん、それじゃ本多…行こっか。幾ら営業がどれくらい働くか自由裁量に
任されている部分が大きいって言っても、これ以上はちょっと問題が
出そうだしね…」

「あぁ、そうだな…」

 そう言って、克哉の言葉に頷きながら…本多は彼の後に続いて
喫茶店ロイドを後にしていく。
 カウンター席の周辺では、マスターと太一はまだまだ言葉での応酬を
続けていたが…敢えて気にしない事にした。
 
 バッタン!

 と喫茶店の扉を閉めていくと…急に現実に戻ってきたような気持ちになった。
 店の外に出た瞬間、克哉は自分のカバンから透明な黄色いカプセルが
何個も詰められているブレスケア商品を、そっと本多に手渡していった。

「はい、本多…これ。カプセルタイプのブレスケア商品だけど…これを幾つか
飲んでおけば少しはマシだと思うよ」

「あぁ…サンキュ! 克哉…すげぇ助かるよ」

「ん、でも…やっぱり気休めに過ぎないから…近くのコンビニとかで歯磨き
セットとかそういうのを買って歯磨きもしておいた方が良いと思う。やっぱり…
これから取引先に向かうならね…」

「あぁ、そうだな。けどこれだけでも有難いぜ。…ありがとうな、克哉」

「ん、どう致しまして…」

 そうして二人は駅の方までゆっくりと進み始めていく。
 駅までは目的地が共通している筈だからだ。
 しかし…その後、両者とも言葉もなく足を動かし続けていた。

(…無理やり、ついてくるべきじゃなかったのかもな…)

 と、相手が無言のまま先を進んでいる姿を見て…本多は思い知った。
 全ての動機は、「克哉と少しでも長くいたいから」というものであったけれど…
その結果、自分は克哉と太一が…友人同士として語らう時間の邪魔をして
しまっただけのような…そんな苦い気持ちを覚えていった。

(克哉は優しいから…俺に対して、グチャグチャと何も言わないで…
黙って許してくれるんだろうけどな…)

 けれど、今…克哉の方から、太一のことを咎める言葉は何一つ
出て来ない。それは本多に関しても同様だった。
 そして…言わない克哉を前にしているからこそ、静かに本多は…自分が
先約があったにも関わらずに、ついて来てしまった事を反省していく。
 その沈黙こそが…何かの答えのように、感じられてしまった。
 無言のまま…駅までの道を二人で進んでいった。

「…俺はここから、この近くの取引先まで直で向かうことにするな。
克哉も仕事…頑張れな」

「ん…ありがとう。じゃあここで…」

 と言って、フっと克哉が遠くを眺めていく。
 その表情を見て…一瞬、本多はぎょっとなってしまった。

(克哉…?)

 本多は、長年の友人のその顔を見て…驚きを隠せなかった。
 その瞬間の克哉の表情は、まるで別人のように冷たく…同時にひどく
艶やかなものだったからだ。
 本当にそれは克哉の表情だったのか…と疑いたくなるぐらいに
印象の異なる顔を見て、本多の胸の中に落ち着かない気持ちが
強く宿っていった。
 長年一緒に過ごして来た相手の、見知らぬ一面を再び垣間見て…
男の心は落ち着かなくなっていく。

「じゃあ、ね…本多…」

 そう告げて、踵を返した克哉の背中に…何か嫌な予感を覚えた。

(なあ…克哉。お前はどうして…最近、そんな顔を時々…浮かべているんだ?
ひどく色っぽいような…荒んでいるような、そんな相反した表情を…)

 克哉の背中から、奇妙な色香が立ち昇っている。
 それを見送った時、本多の胸の中に…言いようの知れない不安が一層強く
その胸に宿っていったのだった―
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 たった今、克哉が本多に向かっていった「大食い大会」という単語に
太一は目ざとく反応していった。

「克哉さん、大食い大会って何? この人…そんなのに出るの?」

「あ、うん…今年、会社の方で開かれるクリスマスパーティーにはそういう
催しが開かれるみたいでね。…最初はオレの方が誘い掛けられたんだけど
本多が代わりに出てくれる事になってね。まあ…オレよりも絶対に本多の
方が沢山食べれるし、場も盛り上げてくれるだろうからその方が
良いんだろうけどね…」

「克哉さんの、代わりに…この人が参加するって事か…」

「あぁ、確かにな。何か気づいたらその話が俺の方に振られていてなぁ…。
気づいたら乗せられちまっていたんだ。まあ…出ると一度言った以上は
最善を尽くすつもりであるけどな」

 微妙に唇と口の中が火傷でヒリヒリした状態で本多が答えていく。

「…ふ~ん…そうなんだ。ねえ、克哉さんが勤めている会社のクリスマス会って
外部の人間が入っても平気なの?」

「えっ…うん、一応大丈夫だよ。結構大きな会場を貸しきってやるし…一応、事前
申請すれば社員の家族とか、知人とかが出入りしても大丈夫だけど…」

「なら、その大食い大会に俺も参加しちゃ駄目かな?」

『『…! えぇ!!』』

 その瞬間、僅かな間が空いてから…本多と克哉の驚愕の声がほぼ同時に
ハモっていった。
 
「た、太一! 一体何を考えているんだよ! 大食い大会に参加って…」

「ん~俺、お祭りごととかそういうのって大好きなんだよね。特に目立ったり、その場を
盛り上げるようなパフォーマンスとかをしたり考えたりするのも。それに俺、見た目は
細いけど結構食べれる方だから…優勝までは行かなくても、イイ線いく自信は
あるからね」

 そういって瞳を軽く伏せながら、何かを企んでいるような表情を浮かべていくと
いきなり本多の耳元に唇を寄せて、克哉には聞こえない音量で告げていった。

―ねえ、本多さん。その大会の優劣で…克哉さんを諦めるか否かを決めない?

 と…どう考えても宣戦布告としか思えない一言を呟かれて、本多はぎょっとなった。

「ってっ…お前…!」

「…今の提案、どうかな~? 俺…いつまでもこんな曖昧で不毛な状態を続けているよりも
そういう大会で優劣をつけてしまったほうが良いと思うんだよね?」

「…た、確かにな…」

 その瞬間、本多と太一の間に見えない火花がバチバチと散っていた。
 少し観察していれば、どちらも克哉に対して気がある事は明白だった。
 だからこそ…本来は克哉の友人同士という間柄でも限らず、自分たちはどこか
ぎこちなかったし…敵意も存在していた。
 これはいわば、太一からの宣戦布告のようなものであり…こちらに対しての
牽制みたいなものだ。
 その大会で負けたなら、もう克哉を口説いたりするなという意図で…太一がこの話を
持ちかけて来たのは確かだった。
 なら、男としては決して引けない。
 …本多とて、克哉に本気なのだから。

「…良し、お前が参加出来るように俺がエントリーしてやるさ。その代わりこちらが
買ったなら…諦めてもらうからな」

「よしっ…交渉成立だね。という訳で…本多さん、だっけ? 俺の参加することに関しての
手続きとかそういうのお願いすんね~」

 そういって意味深に克哉の方を見遣りながら太一にそう宣言していくと、太一は
愉快そうに瞳を細めながら返事をしていった。

「って二人とも何を勝手に話を進めているんだよ! いきなり外部の人間を大会に
参加させるって、そんな…!」

「…それで会が盛り上がるっていうのなら、断られる事はないと思うぜ。やる気ない
人間が無駄に集まるよりも積極的に参加する奴が多い方が催し事も…絶対に
盛り上がるからな」

「そうそう、俺が参加すれば…絶対に大食い大会は盛り上がるよ。壇上で
客を楽しませるトークとか、パフォーマンスとかは…バンドを長年やっているから
経験あるしね。損はさせないと思うよ」

「うっ…まあ、確かに…太一はそういうトークとかは上手いなって以前から
思っていたけど…」

「ならそれで良いっしょ? …やるからには俺も精一杯頑張るからさ。
克哉さん是非とも俺を応援してね?」

 人懐っこい笑みを浮かべながら太一がいけしゃあしゃあと言い放っていくと
流石にこの言葉には本多も無視は出来なかったらしい。
 明らかに気分を害したような表情で言い返していく。

「待てよ、おい…! 一応克哉は俺の同僚であり親友だぞ。こっちを差し置いて
部外者が応援してくれとか言うのは図々しいんじゃないのか?」

「俺だって克哉さんの友人だよ。それなりに深い付き合いのね…そっちの
方こそ…『単なる』友人の割には、色々としゃしゃり出て来すぎじゃない?」

 そのまま場の雰囲気が一気に悪くなって…二人の間が険悪になりかけると
克哉は思いっきり叫んでいった。

「あ、もう…本多! そろそろ昼休みが終了する時間だよ! ここへの移動
時間とかそういうのを含めるといくら営業がある程度の自由裁量が許されて
いると言っても厳しいんじゃないか?」

「…げっ! 確かにそうだ! そろそろ昼休みを切り上げて取引先とか
営業とかに向かわないとヤバイ、な…」

 何か太一に主導権を握られっぱなしの言われっぱなしの状態で立ち去るのは
非常に悔しい部分があったが…その辺がサラリーマンの悲しさである。
 仕事を疎かにしてまで、恋敵と延々と争っている訳には行かなかった。

「ん、お仕事はちゃんとこなした方が絶対良いと思うよ。という訳で
本多さん行ってらっしゃい~」

 と清々しい勝者の笑みらしきものを浮かべながら太一がにっこりと笑みを
向けていった。
 …こんな状況で、相手の満面の笑みなんか見せ付けられても悔しさを
覚えるだけであった。

(こ、このガキ…いつか必ず絞めてやる…)

 それなりに度量が広い方の本多でも、ここまで良いようにされっぱなしだと…
額に青筋が浮かんで怒りを覚え始めていった。
 しかし仮にもこちらは年上であり、立派な社会人でもある。
 辛うじてその憤りを抑えていくと、深く深呼吸をしていって…席を立ち上がっていく。

「…確かに二人の言う通りかもな。俺はそろそろお暇させて貰うぜ」

「太一…オレの方もリミットだから、失礼させて貰うね。また食べに来させて
貰うから宜しく」

「ん、いつでも大歓迎だよ克哉さん。あ、本多さん…一つ、良いすか?」

「何だ?」

「…さっきの黒いスープ、結構ベースにニンニク使ってあるから…ブレスケア
きちんとやっておいて下さいね」

「………何だと?」

 その瞬間、血管がプチと焼き切れそうな気がした。
 営業をやっている人間として、それはある意味致命傷にも近い嫌がらせに
等しかった。
 これから取引先に向かうというのに…ニンニクの臭いを漂わせて交渉なんぞ
間違っても出来る訳がない。

「てめえ! 営業をやっている人間に向かって真昼間からニンニクを
使用するなんて良い根性をしているじゃねえか!」

 ついに本多が限界を迎えて吼えた瞬間、彼にとって救いの主となる
存在が…入り口の方から静かに現れていったのだった。

 

 ―本多の前に置かれたのは、真っ黒な色をしたスープを湛えている
大盛りのラーメン丼だった。
 普通の二倍ぐらいのサイズがある上に、漆黒の液体からは殆ど
湯気が出ていない。
 何で喫茶店に来ているのにラーメンをいきなり出されるのか脈絡が
判らなくて克哉と本多はお互いに目を白黒させながら困惑していくと。

「お、おい…これ、何だよ! どうしてラーメンなんて…!」

「あ~…今、店のメニュー用に使う食材、どれも切れ掛かっていて買い出しに
行かないと危険な状態なんだよ。でも、克哉さんがいる時に他の客が
来たからって外に出たくなんかないし。だから…まあ、俺がラーメン用に
確保してある材料なら使っても平気かなって思って特別に作ったんだよ。
ラーメン、あんた嫌いなの?」

「いや、普通に好きだが…けど、この真っ黒のスープなんだよ! こんな不気味な
モン…今まで見た事ないぜ!」

「あ~それね、ラードを特殊な方法で味付けして香ばしく焦がした奴を海鮮系を
ベースにしたスープと合わせて作った奴。油膜で蓋をする事で…熱が逃げにくく
なって熱々のまま最後まで食べれるって奴なんだ。俺…色んなラーメン屋を
食べ歩くのが趣味でさ。で、気に入った店のは再現出来るように色々試行錯誤を
繰り返しているって訳。それは試作品のほぼ完成バージョン。都内じゃなかなか
食べれない代物だから、心して味わってくれる?」

「へえ…太一にそんな趣味があった事も、この黒いスープも初めて
知ったよ。…こんなラーメンってあったんだね。ねえ、本多…一口
食べてみても良い?」

「お、おう…良いぜ。幾らでも食えよ!」

 興味深そうに克哉が丼を覗き込んでいくと、ちょっとだけその端整な顔が
こちらに寄せられる感じになって少しドキマギしてしまう。
 その瞬間、太一がムっとしたような表情をして制していった。

「ちょっと待ったー! 克哉さんはこっちを食べてよ! そのラーメンも確かに
俺の自信作だけど、結構味濃い目だから…まずこの試作品の方を絶対に
先に試して欲しいんだ!」

 そうして、太一は空かさず克哉の分として確保してあったサンドイッチの皿を
カウンターの影から取り出して目の前に置いていった。
 それは一見すると普通の卵を使用した何の変哲もないサンドイッチにしか
見えない。
 だが…克哉は薄切りのパンに挟まっている卵ペーストの中に、卵以外の
具材が入っているのを目ざとく気づいていく。

「うわ…これ、太一が作ったんだ。何かとても美味しそうだね…。で、これ…
卵の所に、何か細かくカットした物が挟まっているのかな?」

「さっすが克哉さん! ご名答だよ! それね…うちの定番の卵ペーストに
俺が自分で作った自家製のピクルスを混ぜ込んであるんだ。外国だと
そういう卵サンドがあるってこないだ知ってさ、それで自分なりに試行錯誤して
美味しい! と思った物が出来たから…是非克哉さんにも食べて貰いたくてさ。
さ、早く試してみて!」

 そうしてワンコさながら、非常に明るい笑顔を浮かべていきながら太一は
克哉に熱烈にサンドイッチを薦めていく。
 太一の目線は真っ直ぐに克哉だけに注がれていて、完全に本多は
アウトオブ眼中に等しかった。

(…何かここまで完璧にいないものとして扱われて話を進められていくと
ある意味…恋敵ながら、天晴れとしか言えなくなるぜ…)

 しかも本多の前に出されたのは二人前は余裕であるラーメンである。
 早く食べないことには伸びてしまって…どんどん増量体制に入る上に
まずくなる代物だ。
 …物凄い文句を言いたい心境だったが、太一の作ったラーメンは確かに美味しく
これの麺を悪戯に伸びさせて味を落とすのは勿体無い出来だった。
 こちらの口を封じる為にラーメンをチョイスしたのなら…相手の企みは
見事に成功していると言える。
 …二人が話している最中、本多が麺を啜っているズズズズ~という音だけが
喫茶店中にBGMのように響き渡っていた。

「うん…じゃあ食べさせて貰うな。頂きま~す」

 そうしてサンドイッチを前に手を合わせていくと…克哉は太一が作った
サンドイッチを口に運んでいった。
 暫くモグモグと口を動かして咀嚼していき、ゴクンと飲み込んでいくと…
花も綻ぶような笑顔を浮かべていった。

「…克哉さん、どうかな…?」

「うん…これ、とても美味しいよ。ここの卵サンドの味ってオレ好みで前から
凄い気に入っていたけど…それに丁度良く浸かっているピクルスが混じった
事によって味にアクセントが出て、良い塩梅に調和している。
 少し黒胡椒が効いているペーストとの相性も抜群だと思う。これならすぐに
新メニューに出しても大丈夫なレベルだと思うよ」

「やった! やっぱり克哉さんってこういうのの説明とかすっごい上手いよね。
前からたま~に俺が趣味で買っているコンビニの新商品とかも一緒に
飲んでもらったりすると…克哉さんの味の表現、的確だなっていつも
思っているし。営業やっているからかな~」

「そ、そんな事ないよ。率直に味の感想と分析をしただけで…」

「またまた。克哉さん、自分の能力低く見すぎ。克哉さんの感想を
聞きたいって思ったからこそ…今日、誘ったんだしさ。けど、克哉さんが
そうやって気に入って貰えたなら自信持てるな! 早速おや…いや、マスターに
提案を持ちかけてみようっと」

 …すっかり本多置き去りにした状態で二人で盛り上がっていて少し
寂しささえ覚えていった。
 ジト…とした目で克哉と太一のやり取りを見守っていたが、これだけの
時間が掛かっても…このラーメンはいつまで経っても温度が下がらないので
早くは食べられなかった。

(何か克哉の説明を聞いていると、向こうも凄い旨そうだな…しっかしこの
ラーメン、いつまで経っても冷めないから…凄い食うのに時間が掛かるぜ…)

 箸とレンゲをそれぞれ左右の手に持って食べ進めていくが…湯気が出ない
真っ黒なラーメンスープは思いの他、手強かった。
 何せ常に火傷しそうなぐらいに熱いので冷ましてから食べないと…口の皮が
ベロベロになりそうなので…絶対に早く食べれないのだ。
 …ここまで見越した上で、このラーメンを出して来たのというのならあいつは
物凄い策士か、性格が悪いかのどちらかだとつくづく思った。
 だが完食しないで残して切り上げるのも何か悔しい気がしたので…本多は
黙々とただ、食べ続けていた。

「…けど、このピクルスは美味しいね。単体で出しても充分にメニューに
なる価値があると思うよ。そう考えると太一って料理上手いよね」

「まあ、ね。克哉さんに美味しい物を食べて貰いたいからね。最近は特に
努力するようにしているよ」

「えっ…?」
 
 そんな発言を、はにかむような笑顔を浮かべながら太一は平然と伝えて来た。
 克哉もその言葉の意図を少しして察したのか、少し恥ずかしそうに頬を染めていた。
 …この瞬間、自分が箸をへし折らないで済んだのは奇跡だと、本多はつくづく
思い知った気がした。

(このガキ…! 俺が目の前にいるのに、堂々と克哉を口説きに掛かるなんざ…
良い度胸しているじゃねえか…!)

 本多は思いっきり額に青筋を浮かべながら肩を大きく震わせていく。
 だが、二人の間に流れている良い雰囲気をこれ以上黙って見守ってなんか
いられなかった。

(火傷ぐらいなんだ…! 目の前で他の男に克哉が口説かれているのをこれ以上
黙って見続けるぐらいなら俺も男だ…! 覚悟を決めて…!)

 そうしてフーフーと冷ます行程をギリギリまで削り、かなり熱い状態のまま
黒いラーメンの液と麺を胃に流し込み続けた。
 たまに涙が出そうになるくらい熱いものが口の中と食堂を通り抜けていくが
今は気にしない事にした。
 あんまり辛い時は冷たい水を流し込んで瞬間的に冷やしていきながらペースアップを
してラーメンを啜り、そして…。

「よっしゃあ!! ラスト…!」

 太一と克哉が二人で言葉もなく見詰め合っている最中、本多は盛大な
声を上げながら特大ラーメンドンブリを持ち上げて、そのスープを飲み干し
始めていった。
 これには二人もかなり驚いたらしい。
 本多の剣幕に呆気に取られたような表情を浮かべながらつい見入ってしまうと
ドン! と大きな音を立ててカウンターの上に器を置いていった。

「よっしゃあ…完食!」

 多少口の中がヒリヒリして痛かったが、そんなのは克哉への愛への前では
気にする事ではなかった。
 この瞬間、達成感の為…確かに本多は無駄に輝いていたのだった。

「わっ! 本多…あの量のラーメンをこの短時間で食べ終わったの?
大学時代から思っていたけど…つくづく、本多って大食漢だよね。
…流石大食い大会に出るだけの事はあるよ」

 克哉が心からの賞賛を込めながら、そう呟いていくと…その瞬間、
太一の目がキラリと不穏に輝いたような…そんな気がした―
 
  その日、本多憲二は…気合満々の表情で喫茶店ロイドの扉を
克哉と一緒に潜っていった。
 この店は、いわば本多にとっては一種の鬼門に等しいものがあった。
 何故ならば…。

「あっ! 克哉さん! やっと来てくれたんだ! 俺、すっげー克哉さんの
事を待っていたよ! 今日も来てくれてありがとう!」

 店に入ると同時に、オレンジ色の髪をした青年が…先に入った克哉を
物凄い勢いで歓迎していく。
 その笑顔は正に、蕩けるかのように優しく…同時に克哉がこの店に来た事を
全身で喜んでいるのが伝わってくるかのようだ。

(…この野郎。俺の克哉に馴れ馴れしくしやがって…!)

 そしてその態度に、本多は非常に憤りを覚えていた。
 
「あっ…うん。今日は太一と約束したからね。ここでお昼を…
太一の自信作である新メニュー候補のサンドイッチの試食を
させて貰うって」

「そそ! この店、卵サンドが主力製品だけど…やっぱりいつまでも
メインが一品だけだと、しかもマスターの商品だけだと弱いじゃん?
それならそれにアレンジを加えて、味のレパートリーを広げておいた方が
良いと思ってさ。それでお得意様の克哉さんに味を見て貰って判断
して貰いたかったんだけど、マジで来てくれて嬉しかった。
今から用意するから、ちょっと待っててね」

「あ、うん…そうだ、本多の分も良いかな…? 今日、オレと一緒にご飯
食べたいからって一緒に来たんだけど…」

「へっ…本多さん? あ、其処にいたんだ」

 克哉に対する態度との余りの違いっぷりに、本多は一瞬…米神の
辺りに青筋を浮かべて内心、突っ込んでいった。

(俺と克哉の扱い、全然違うじゃねえか! 相変わらずだな…
この五十嵐って奴は…!)

 本多がこの店に初めて来たのはプロトファイバーの一件が片付いて
暫く経った頃辺りで…ついでに言うと今回で4回目になる。
 そして例に漏れず、本多がこの店に訪れるのは今日のように
克哉と一緒にだ。
 …どうもこの青年も克哉に惚れているっぽいので、こちらに対する態度は
極めて冷淡というか…あからさまに悪すぎる。
 克哉もそれが判っているので苦笑気味に自分達のやりとりを見守っているが
そのせいであまり積極的に本多をこの店に連れて来ようとしなかった。
 だが、仮にもこの男も克哉の友人に当たる訳である。
 …自分は、不本意ながら現在は『親友』扱いをされているが、同じ克哉の
友人として露骨な態度を取る訳にいかない。
 その為、片頬をピクピクと引きつらせながらもどうにか笑顔で挨拶を
していった。

「よっ…久しぶりだな。今日はここで昼食を取らせて貰う事にしたので…
宜しくな」

「あ、そうすか。とりあえずありがとうございます」

 …その瞬間、見ただけでも社交辞令とか、表面上と判るぐらいに
素っ気無い挨拶の言葉が飛び出してくる。
 どこからどう見ても、太一が浮かべていたのはさっきまでの愛くるしい笑顔とは
打って変わって、素晴らしいぐらいの作り笑いだった。

(だから俺と克哉に対してのその態度の違いなんだよ! 一応この店
喫茶店だろ! お前、接客業やっているんだろ! 仮にも客に…その
あからさまな態度をするのはどうなんだっ…?)

 …こんな態度を取られ続けているので、すでに太一と本多はすっかり
克哉を巡って犬猿の仲になりつつあったのだった。

「困ったなぁ…克哉さんの分だけなら、もうとっくの昔に準備してあるけど…
もう一人の分まで想定していなかったから、新しく作るのにすごい時間が
掛かるよ。結構サンドイッチって…中の具が用意してあればパパっと
終わるけど、今日は正午前に結構お客さん来ちゃったかんね…」

「…うん、飛び入りで一つ追加って形になってしまって…太一には本当に
申し訳ないって思っているけど、本多の分もお願いするよ。
何なら即興でお腹が満たせそうなものを作ってくれると在り難いけど
良いかな、太一…?」

「…克哉さんに其処まで頼まれたら、断われないな~。判った、この人の
分までパパっと何か作るよ。あんた…好き嫌いないよな? それならこっちの
お任せで構わないかな?」

「あ、あぁ…構わないが」

「あ~じゃあ、あんたも試作品を食べて貰おうかな。こっちのはこの店の新商品候補
じゃなくて…俺の個人的な研究結果なんだけど…」

 その瞬間、太一が何かを企んでいるような…微妙に黒さが滲んでいる笑顔を
浮かべていたのを本多は見逃さなかった。
 その顔に少し背筋がヒヤリとなるのを感じて…本多は軽く戦慄を覚えていく。

(おいおい、何が出て来るんだ…?)

 心の中でまたもやそう叫びたくなったが、年上としての最後の意地として…
どうにかその言葉を飲み込んでいく。

「わ、判った…待ってるぜ」

「ん、じゃあ…判った。その人の分作るのに十分ぐらい掛かるけど待っててね~」

 そういって明るく言い放ちながら…太一は店のカウンターの中へと入っていった。
 そのままこちらに背を向けるようにして作業を始めていく。
 カウンター席の人間には全てが見えないように視覚になっている部分も
存在しているせいで、詳細の全ては見えない。
 それから暫くしてから…妙に海鮮系の良い匂いと、大量の煙が立ち昇り…。

 ジュワワワワワ―!!

 と水に油を落としたような盛大な音が響き渡っていった。
 何となくその光景は、中華料理屋の厨房に近いような雰囲気が漂って
いたが…ここは一応、喫茶店の筈である。
 何故、こんな匂いが店内に漂っているのか理由が判らない。
 だが、真剣そうな顔で調理をしている太一の姿に…つい、克哉と本多は
目を奪われてしまい…その姿を見入ってしまう。
 そして太一は炎と盛大に格闘していき。

「はい! その人の分…出来たよ! 克哉さんの分もすぐに用意するから
もうちょっと待ってて!」

 そういって明るく笑いながら、ゴン! と大きく音を立てて…何か大きな
ドンブリみたいな物を置いていく!

「うわっ! 何これ…!?」

「何だこりゃ!」

 喫茶店という枠の中ではまったく予想もしていなかった物が目の前に
出されて、二人は心の底から驚きの声を漏らしていったのだった―

※これは本多の親友ルート前提のお話です。本多×克哉? と表記して
ありますが…御堂さんとか他のキャラとかが絡んでくるノマ相モテ状態の
お話です。本多か、御堂さんか…他の人とくっつくかは現時点では正直
未定なので『?』マークを語尾つけておきます。
 初めての本多主役の話です。序盤は彼の視点がやや多めになります。
(他キャラの視点もチョコチョコ混ざります)
 ちょっとコメディ風というか、ギャグっぽい話です。
 それを承知の上でお読み下され…(ペコリ)

  始業して間もない頃に…まったく想定もしていなかった大食い大会に
参加が決定してしまったので、本多はそれこそ熱く燃え上がっているような
状態で日中の仕事をこなしていた。
  元々、長年バレーをやってきたおかげで生粋の体育会系な男である。
  勝負事といったら基本的に勝つ為に努力するのが当たり前であり…
彼のモットーでもあった。
 自分の机に座りながらバリバリと苦手なディスクワークをこなし、あちこちに
電話を掛けて仕事のやりとりをしている本多の姿は、片桐から見たら
相当に頼もしかったに違いなかった。

新規取引先として見込める企業への電話をどうにかこちらのペースに
引き込んだ状態で終えて、本多が一息を突いていくと…すでに時刻は
昼の休憩時間間際にまで迫っていた。

「ふう…もうこんな時間か。本気で仕事やると、やっぱり時間が過ぎるの
早くなるよな…」

 本多の頭の中に、一瞬だけさっきの克哉の笑顔が浮かんでいく。
 最初は克哉に振られていた大食い大会の参加の話がどうして自分が
出る事になったのかちょっと疑問があったが…惚れている相手からその後に
「本当に助かったよ、ありがとうな」とか一言言われたら漢としては絶対に
断わる事など出来なかった。
 そして…意地でも負ける訳にもいかなかった。

(…ここで大食い大会優勝とかしたら、ちょっとは男らしさを克哉に
アピール出来るかも知れないしな…)

 キクチ本社で毎年開催されるクリスマス会は、結構大きな会場を貸し切って
やる大規模なものである。
 会社側からの社員に対してのサービス…という一面と、社長が会場を提供
してくれるホテルのオーナーと懇意にしているという二点のおかげだった。 
 だからこの不況に傾きつつあるご時勢でも、どうにか毎年中止にされる事なく
続けられている。
 結構豪華な料理の類をタダで食べれる為、参加者の数は結構多く…
社内でも意外に注目されているイベントであった。

(克哉…)
 
 隣の席の仕事をしている克哉の姿を見ながら、本多は一つ…大きな
溜息を突いていった。
 正直、一年前に克哉に「本多はオレの親友だよ」とにっこりと微笑まれながら
宣言されてから、こちらが猛プッシュをしているにも関わらず…その仲は進展
する事はなかった。
  それ以前なら、ベッドに押し倒したりキスしたりぐらいは出来たのだが…
『親友』宣言をされてからは克哉もしっかりと警戒しているのか、まったく仕掛ける
隙も…タイミングも伺えないまま、気づいたら一年近くが経過していた。

 しかもその間、もしかしたら本多の気のせいかも知れないが克哉はどんどん色っぽく
なって綺麗になっていた。
 最近は時々、憂いげな表情を浮かべるようになって…見ていてその色香みたいな
ものに目を奪われることも多くなってきた程だ。
 つい、チャイムが鳴るまでの数分間…仕事を必死にしている克哉を目で追って
しまっていた。

(やっぱり…一年前に比べて、格段に克哉…色っぽくなっているよな。
たまに見てて…凄いドキドキするからな…)

 相手の方から目を逸らせない。つい…食い入るように見てしまっている事で
克哉の方も気づいてしまったらしい。

「…何だよ、本多。人の事をジっと見て…そんなにオレを見てたって…
楽しくないぞ?」

「いや、充分見ていて楽しいぜ。お前が真剣に仕事している姿を見ていると…
俺も頑張らなきゃなって思うし。なあ克哉…今日、良かったら一緒に飯でも
食いに行かないか? こうやって部署内に二人でいるのも…久しぶりな
訳だしな」

「…あ、うん…一緒にご飯食べるのは良いんだけど、今日はその…先約が
あるんだ。お店の方は…指定しちゃって良いかな…?」

 克哉がこちらの提案に言いよどむのを見た時、本多はすぐにピンと来た。
 しかも悪い意味の方でだ。
 相手がこんなに歯切れの悪い言い回しをするという事は…該当する店は
たった一件しか存在しない。
 
「…もしかして、あの…喫茶店ロイドとか言う処か? お前の自宅の傍に
あるっていう…昼休みの間に出て戻ってくるにはちょっと厳しい処だろうに…」

「あ、うん。そうだけど…今日はたまたま、午後からその付近にある取引先に
足を運ぶ予定だからね。だからオレはそのままご飯を食べたら…その会社に
直接向かう予定だから良いんだけど…本多はそうでもないだろ? だから
今日は、その…」

「…あの店、お前の自宅の周辺にあったよな。ちょっと待ってろよ…」

 本多は若干、嫉妬の炎をメラメラと燃えさせながらスケジュール表と
携帯のアドレス表を睨めっこしながら午後からの予定を即効で立てていく。
 今日はアポを取れた企業へ直接向かうのは午後4時前後になる為…
昼から三時ぐらいまでは本多の自由裁量で融通が利く状態だった。
 
(えっとその周辺だと…幾つか下調べを済ませていた新規取引先が
あった筈だよな。其処に電話でアポを取ってから飛び入りで参加するって
形にすれば…成果さえ取れれば無駄にはならないな…)

 運よく、スケジュール表のメモ欄にはその周辺で交渉が望めそうな
企業の名前と住所、電話番号等が何件か並んでいる。
 これなら…本多も午後から無駄に過ごしたりはしないで済みそうだった。

「あぁ…確認終わったぜ。俺もお前の自宅周辺の駅で幾つかの目星は
つけてあるから…そっちに付き合っても大丈夫だ。という訳で一緒に
食べようぜ…克哉」

「あ、そ…そうなんだ。判った。じゃあちょっと机の上を片付けたら一緒に
向かおう。少し待ってて貰えるかな?」

「あぁ、気長に待っている。だから焦らなくて良いぜ…」

「ん、ありがとう…本多もその間、ちゃんと準備をしていてな…」

 と快く言ったが言ったのだが…克哉の顔は若干引きつり気味に
返答していった。それから机の上の整理を始めていった。
 無理もない。何度かついていった事があるが…喫茶店ロイドのあの茶髪の
バイト、太一とかいう青年と本多は若干…犬猿の仲に等しいものがあったのだ。
 本多もまた、克哉に恋しているから判る。
 あのバイトもきっと…同じような意味で克哉を見ていると、初めて連れていって
貰った時に察してしまったので…本多は太一に非常に敵意を覚えていた。
 無意識の内にこいつは「恋敵」だ! と悟ってしまったのかも知れない。
 それから何度かこんな風に強引についていったのだが…行けば必ず本多は
太一と言い争いというか、口喧嘩みたいなのを繰り広げるので克哉は
積極的に連れていこうとはしなかった。
 だが、本多からしたら…恋敵と克哉が一緒の時間を過ごすという事が
すでに見過ごせない。

(あいつが…克哉が急激に色っぽくなった理由だなんて絶対に考えたく
なんかないけどな…)

 恋する男としては、見過ごすことなど出来なかった。
 克哉に迷惑をまた掛けてしまうと判っていても…こちらの我侭だと
承知の上でも、どうしても黙っていられなかったのだ。
 克哉が綺麗になった原因。せめてそれだけでも判明しない限りは
とても本多の気持ちとて収まりそうになかった。

 待っている間、こちらも簡単にディスクの上を整理していく。
 性格が出てしまっているのか…本多の片付け方は克哉のやり方に
比べて極めて大雑把で乱雑に近い。
 必要書類の細かいファイリングや整理などまではしないから…たまに
効率が悪くなってしまう時もあるが、この辺は性格だからある意味
仕方ないだろう。

「はい…整理終わったよ。それじゃ一緒に行こうか?」

「おう! じゃあ行くか!」

 躊躇いがちな克哉に対して、本多は元気一杯に答えて、こちらの
ペースへと引き込んでいく。
 その際、克哉の手を軽く掴んでいったが…ちょっとだけ困ったような
笑みを浮かべながら、とりあえず振りほどくような真似はしないでくれた。
 そのまま本多は克哉と一緒に、喫茶店ロイドへと向かい始めていく。

―お互いに一抹の不安を覚えつつ…

 

※これは本多の親友ルート前提のお話です。本多×克哉? と表記して
ありますが…御堂さんとか他のキャラとかが絡んでくるノマ相モテ状態の
お話です。本多か、御堂さんか…他の人とくっつくかは現時点では正直
未定なので『?』マークを語尾つけておきます。
 初めての本多主役の話です。序盤は彼の視点がやや多めになります。
(他キャラの視点もチョコチョコ混ざります)
 ちょっとコメディ風というか、ギャグっぽい話です。
 それを承知の上でお読み下され…(ペコリ)

―運命とは画して、予想もしない方向に常に流れるものである

 その朝、八課に来訪してきた社員は…中肉中背の、ハキハキとした
若くてフレッシュな雰囲気を漂わせていた男性だった。
 その社員は確か営業三課とか四課とかに所属していたと思う。
 本多の記憶も定かではないのは…サンライトオレンジをこの課で
扱っていた時期ぐらいしか三課の連中とは接点がなかったからだ。
 以前は他の課の人間達から、この八課は正直見下されていたというか
馬鹿にされていた部分があったが…プロトファイバーの一件から
随分と扱いが変わっていた。
 今、片桐の前に立っている社員も随分と丁寧な対応をしている。

「あぁ、上原君ですね…お久しぶりです。それで…年末に向けての
企画というのは何でしょうか…?」

「はい! 年末に開催される社内でのクリスマスパーティーで…
今年は大食い大会を開催しようという話が出たんですよ。それで…参課
してくれる人材さえ良ければ必ず盛り上がると思いまして…。
それで今、社内でも人気が鰻上りである佐伯さんに是非参加して
頂ければと思いまして…」

「えぇ…! オレは、そんなに大食いではないですよ! それにそんな…
目立つ場になんて…」

「いえ、佐伯さんなら壇上に上ってアピールするだけで、女子社員が
相当に喜んでくれますから…是非! 例のプロトファイバーの一件以来…
社内外問わず、佐伯さんの注目度は半端じゃないですから! 聞きましたよ…
この一年間で沢山の女子社員がアプローチしたり、告白しているにも
関わらず誰にも落とされない難攻不落の城だと!」

「そ、そんな事は…あの…」

(沢山の女子社員がアプローチしたり…告白しているだと?)

 今の世間話は本多にとっては聞き捨てならなかった。
 本多はこの一年以上もの間、克哉を想って積極的にアプローチを仕掛けて
いた第一人者でもあった。
 だから克哉に言い寄る人間は、男女問わず本多にとってはライバル以外の
何者でもない。

(…克哉の奴、そんな事一言も言っていなかったじゃねえか…。あいつ、本当に
俺に言ってくれない事って多すぎるよな…)

 以前の本多だったら、女子社員に克哉がモテまくりとか聞かされたのならば
「モテモテで羨ましいな~」とか「よっ、色男!」みたいな感じで軽口で
囃し立てたりする程度はやったかも知れない。
 だが、今の本多にはそんな事をやる余裕などない。耳をピクピクピクと
動かしながら克哉の返答を一言も聞き逃すまいと身構えていくと…。

「そ、それより…大食い大会なら、オレよりもずっと適任者がいますから!
彼に話を振った方が良いですよ! なっ…本多っ!」

「なっ…何だと!?」

 しかし克哉は本多が気にしている内容を詳しく話したりはせず、むしろ
大食い大会の話の方を思いっきりこちらに振ってくるような真似をしてきた。

「だって…絶対に大食いなら本多の方が上じゃないか。大学時代だって
カレーを一人で三杯ぐらいは平らげていたし。しかも大盛りで…」

「本当ですか? 本多さんってそんなに大食漢なんですか…?」

「いや、俺はそこまで大食いって訳じゃないつもりだが…ごく当たり前の
量を食べているだけだぞ?」

「…本多の普通の量は、通常の男の人の1.5倍から2倍ぐらいは
常に行っているって自覚した方が良いよ。ついでに言うと良くお前はオレの
事を『少食だな』とか言っているけど…オレの方が成人男子の標準量だから」

 惚れている相手にきっぱりと言い切られてしまって、ちょっとだけ
本多は切なくなってしまった。
 そうか…自分は克哉の中では立派に大飯喰らいと認識されていたのだと
新たな事実が判って本多の心中は少々複雑になっていた。

「おおっ! それなら…本多さん是非参加して下さい! 絶対に沢山食べて
くれる相手がいた方がビジュアル的にも盛り上がりますから…!」

「えっ…でも、俺…」

 通常の本多ならば、恐らく二つ返事で快く引き受けただろう。
 だがこの日の彼は…長年、自分を可愛がってくれた人を失ったばかりで
少しだけ暗くなっていた。
 だから少しだけ迷いの表情を浮かべていくと…片桐と克哉、そして八課の面々が
口々にメッセージを口頭に上らせていった。

「…本多君。君の事情は察していますが…今はちょっと、そういう事に乗り気に
なれないっていうのは判りますが…ですが、このような企画には僕は本多君は
とても適任だと思っています。君なら…きっと、社内のクリスマスパーティーを
大きく盛り上げてくれる力を持っていると…。
 僕は君のその姿を見たいです…ですから、出て貰えますか?」

「うん、オレも同じ意見…。ご近所の方の事はとても残念だけど…だからと
言っていつまでもお前が暗いままでいちゃいけないと思うんだ。明るくて、
豪放磊落なのが、お前だろ? そんなお前なら必ず会を大きく盛り上げてくれる
ってオレも信じている。だから…本多が参加して欲しいな」

 さりげなく克哉は自分が参加したくないものだから…柔らかく微笑みながら
本多にお鉢を回しているのだが、好きな相手にこう言われて…断りなどしたら
男が廃ると思った。

「…片桐さん、克哉…」

「本多さん! 僕からもお願いします! 佐伯さんにもどうせなら一緒に出て
頂きたいですけど…本多さんの人気も充分ありますし! 貴方が大食い大会に
参加して下さればきっと場は盛り上がります! ですから…!」

 そんなに面識がない若い社員でさえ、こうやって自分を買ってくれているのだ。
 克哉が…期待するような眼差しでこちらを見ているのが良く判る。
 この状況で断わることは、漢としては絶対に出来なかった。

「よっしゃあ! 任しておけ! 絶対に優勝するぐらいのつもりで参加させて
貰うぜ…宜しくな上原さん!!」

 そうして本多は体育会系の男子らしく、盛大に吼えながら自らの胸を
叩いて承諾していく。
 その場にいた全員が「おおっ!」と言いながら本多のその一言を歓迎して
くれていた。

―しかしこの時、彼はまだ…この後に予想外の参加者がこの会に飛び込んで
来る事をまったく予測してもいなかったのだった―
 

※これは本多の親友ルート前提のお話です。本多×克哉? と表記して
ありますが…御堂さんとか他のキャラとかが絡んでくるノマ相モテ状態の
お話です。本多か、御堂さんか…他の人とくっつくかは現時点では正直
未定なので『?』マークを語尾つけておきます。
 初めての本多主役の話です。序盤は彼の視点がやや多めになります。
(他キャラの視点もチョコチョコ混ざります)
 ちょっとコメディ風というか、ギャグっぽい話です。
 それを承知の上でお読み下され…(ペコリ)

 それは11月の下旬、街中を吹き抜けていく風が若干冷たくなり始めた
頃ぐらいの話であった。
  本多はその年の秋の初めくらいから、子供の頃にお世話になり
慕っていた近所の実の祖父同様の人が倒れ…やや落ち込み気味であった。
 だが、血の繋がった家族に負けないくらいに頻繁にその人の下に
看病に行き…先日その死を見届けると、少しだけ成長したような表情で
キクチ・マーケティング内のオフィスに顔を出していった。

「…おはようございます」

 今までなら、朝から元気よく「おはようございます!」と大声で挨拶を
していた本多だが…やはりこの日だけは著しくテンションが下がって
しまっているようだった。
 無理もない。子供の頃から面倒を見てくれていた「じいちゃん」と
慕っていた人を失い…昨日、一昨日と会社を休んで通夜と葬式の
両方に顔を出していたのだから。

 本多は基本的に自分の私用を優先して、積極的に有給を使う方では
ない為に…入社してからの彼の有給休暇は余り気味の傾向にあった。
 その事情を聞いた片桐は、今は正直忙しい時期でもあったが
快く休む事を承諾し、本多が会社に出社するのは三日ぶりでもあった。
 八課の全員もその事情を知っている為、浮かべる笑顔は本多の
心中を慮っているせいか、どこか強張ったものになってしまっている。

「あぁ…本多君。おはようございます…。今、お茶を一杯持って来ますから
待っていてくれますか?」

「あぁ、ありがとうっす。いつも…すみません、片桐さん」

「いえいえ…これは僕が好きでやっている事ですから。それに…疲れたり
色々あった時はあったかいお茶の一杯も飲んで気持ちを休ませて
あげた方がずっと良いですからね…」

 そうして、恐らく悲しみに打ちしがれている本多に向かって…片桐は
いつもと変わらない穏やかな微笑みを浮かべてくれている。
 正直。今の彼には…それが凄く在りがたかった。
 本多も…すでに26歳に達していると言っても、人の死に立ち会う
経験は殆どついておらず…今回の事は大きなショックを覚えてしまって
いたからだ。

「…ありがとうございます。気持ち…ありがたく受け取っておきますね」

 そうして自分のディスクに座って、大雑把に机の上を片付けて仕事の前の
準備を始めていくと…隅の方に、チョコンと暖かいお茶の入った湯のみが
置かれていった。
 椅子に一旦座って、それを啜っていくと…ジィンと、どこか冷え切って
しまった気持ちが解れていくような気がした。

(…何かこういう時って、人の優しさって奴が物凄く…身に染みるよなぁ…)

 そんな事を思いながら、八課のオフィス内を何気なく眺めていって
お茶を飲み進めていく。
 時計の針が8時40分を指していくと…室内に、今…本多が一番顔を見たいと
望んでいた人物が飛び込んできた。

「おはようございます!」

 明るく、ハキハキとした態度で…本多の学生時代からの同級生であり
同じ職場で働く同僚でもある佐伯克哉が飛び込んでくる。
 その顔を見るだけでも…本多にとっては元気になるような気がしていた。

(あぁ…こういう時、惚れた相手の顔を見ると…少し、元気が出てくるよな…。
しっかりしなきゃな…とか、みっともない姿を見せれないとかな…)

 八課内のメンバーがその明るい挨拶につられて次々と朝の挨拶の
返事を返していくと…ゆっくりと克哉も自分のディスクの方へと歩いて
向かってきて…ばったりと顔を合わせていった。

「…あ、本多…おはよう。大丈夫…だった?」

 だが、こちらの顔を見るなり…少しだけ曇ったような表情になっていく。
 …まあ、今日に限っていれば皆…事情を知っている訳なのだから
仕方ないのだが…この腫れ物を触るような態度に少し寂しさを覚えていった。

「あぁ…大丈夫だ。あのじいさんももう90歳近くに達していたしな。天寿を
全うした訳だし…運良く、安らかに最後を迎えたしな。だから…そんなに
こちらに気を遣わなくても良いぜ、克哉」

「ん、それなら…良かった。けど…無理に笑ったりはしなくて良いからな?」

「あぁ、判っているって。そんなに無理なんてしないって」

「…うん、そういう時は無理をしちゃダメだからね。本多はいつだって自分
一人で抱え込んでしまうから。…辛ければ、愚痴や弱音ぐらいはオレに
吐き出しても良いからね…」

「…サンキュ、克哉」
 
 その他愛ないやりとりと、気遣う言葉が嬉しくて…片桐の時も嬉しかったが
今の克哉の一言の方がより、本多の心を温めてくれていた。 
 辛いことがあるからこそ、普段見落としがちになってしまう何気ない優しさを
見失いがちになる。
 …確かに、お世話になった人や深く関わった人との死や別離は寂しさと
痛みを伴うけれど…だからこそ、平常時には気づけなかったものを
見つけるキッカケにもなりうる。
 この日ほど…片桐と克哉のさりげない優しさをありがたいと思った日は
なかったように思えた。

(あぁ…本気で、克哉って優しいよな。…だから俺も…いつまで経っても
こいつの事を吹っ切れないんだよな…)

 机の上を片付け、九時の就業開始時間間際を迎えて…チラチラと隣の
克哉の席を見遣りながら、深々と溜息を吐いていく。
 プロトファイバーの営業の一件を担当した事をキッカケに、克哉と
親しくなったのは今から一年前の話だ。
 その件を機に、随分と克哉の本音を知ることが出来て親しくなれた。
 だが…同時に、それで本多の中には克哉への強い想いが宿る形と
なってしまったのだ。
 想いを自覚してからすでに一年以上が経過している。
 そして告白し、『本多はオレの親友だから』と振られてしまっている訳だが…
克哉は最近、艶めいて来たというかちょっとした仕草や表情が色っぽく
なっていた。
 隣の席の、克哉の横顔が…本多にはとても綺麗に映っていく。
 その度に…好きで好きで堪らない、という気持ちが溢れてくるようだった。

(あ~あ、俺はこんなに…今でもこいつの事を好きだっていうのにな…。
こいつにとってはあくまで…こっちは『親友』に過ぎないんだよな…)

 ここ一年は、キスや触れ合う事すらも許して貰っていない。
 そういう事を仕掛けようとすると、敏感に察してさりげなくかわされて
しまっているからだ。
 そこら辺の男のあしらい方をどこで覚えたんだ? と非常に問いかけたく
なってしまうが…見れば見るだけ、想いが募っていく気がした。

―そうしている間に、就業時間間近を迎えていく。

 そろそろ、悲しみをいつまでも引きずっていないで…仕事に専念しようと
決意していった。
 ここ暫くは自分のテンションが落ちてしまっている為に多少、それで
人に迷惑を掛けてしまっていた。
 だが、葬式に出た時点で一つの区切りはついたのだ。
 そういう時だからこそ…しっかりしなくては、と…惚れた相手の顔を
三日ぶりに見て発奮していった。

「よし、やろう!」

 そうして…久しぶりに明るい声を出してそう口に出した瞬間…八課のオフィスの
入り口の扉が開いていって、他の課の社員が顔を出していく。
 まだ年が若い、ハキハキした感じの20代前半の男性社員だった。

「あぁ…片桐さん! おはようございます! あの…一つ…年末に向けて企画が
立ち上がりましたので、宜しいですか?」

 男性社員は入り口付近で、片桐に向かってそう声を掛けていきながら部屋の中に
勢い良く入って来る。
 本多はこの時、まだ知らなかった。

―この男性社員の来訪により、自分が予想もしていなかった大きな出来事に
巻き込まれてしまう形になる事を…
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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