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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は以前に高速シャングリラ様が発行した
「克克アンソロジー1」に寄贈した作品です。
一定期間をすでに経ているのでサイトで再掲載を
させて頂きました。
 この点をご了承の上でお読み下さいませ。 

 慰撫(いぶ)   


洗い物を終えて、部屋の方に戻ると…もう一人の自分は、ベッドの上で
悠然と座りながらこちらを待っていたようだった。
上着を脱いで、Yシャツだけのラフな格好になりながら…グラスを片手に
腰を掛けている姿は悔しい事に非常に様になっていた。
 
「終わったか…?」
 
「うん、洗い物は無事に終わったよ…」
 
 そう答えた次の瞬間、実に艶かしい双眸をこちらに向けられていく。
 その瞬間、背筋がゾクっとした。瞬く間に室内に濃密な空気が漂い始めて…
息が詰まるような緊張感が生まれ始めていく。
 
(やっぱり…こういう流れに、なるんだな…)
 
 キュッと唇を噛み締めながら、克哉は確信していった。
 …コイツがこうして、自分の前に現れた以上…こういう流れにならないのは
むしろ不自然である事を頭の端で理解していく。
 だが…それと緊張する、しないは別の次元だ。自分の方は、身体が強張って
しまって…身動き取れなくなってしまっている。
 そんな呪縛を解くかのように…『俺』の唇から、一言…言葉が漏れた。
 
「来いよ…『オレ』…傷心のお前を、俺が慰めてやろう…」
 
 傲慢に、悠然とそう言い放ちながら…ハーフグラスを右手に持ちながら、男は
甘くそうこちらを誘惑していく。
 黒褐色液体で満たされたその硝子の容器から何故か目を離せなくなっていく。
 
「あ…」
 
 たったそれだけの事で、身体の奥が疼いていくのが判った。そして…自覚していく。
 この男が目の前に現れた事で自分も浅ましくもこういう展開を期待していた事実に…。
 
「どうした…? 早く来い…。夜は短いんだ…躊躇っているだけ、時間の無駄だぞ…?」
 
「う、ん…」
 
 まるで何かに操られているかのように…フラフラした足取りで克哉はゆっくりと…
相手が立っているベッドサイドの方へと向かい始めていく。
 顔が火照って…どうしようもなくなる。自分の身体なのに、もう制御不可能に
なってしまっているような気がした。
 自分がすぐに引き寄せられる距離まで近づいていくと…男は、作為的な動作で
自分が持っていたグラスを煽っていく。芳醇な香りがフイに鼻腔を突いていった。
 興味を惹かれながら、グイと腕を引かれて…唇を重ねられていく。
 焼け付くような熱さが、喉の奥に広がっていった。
 
(これは…っ)
 
 驚きながらも、流し込まれた液体をゴク、と嚥下していく。
 その間…唇をたっぷりと舌先で弄られたせいで早くも身体が反応してしまっている。
 暫くして、ようやく解放されていくと…克哉は少しだけ恨みがましい目を
相手に向けていった。
 
「…お前、オレが大事に取っておいた…秘蔵のウィスキーの栓を開けたな…?」
 
「…ケチケチするな。酒とは基本的に飲んで楽しむ為に存在するものだ。
…旨い酒は、落ち込んだ気分を慰めてくれる何よりの薬だろ…?」
 
 そう、もう一人の自分が持っているグラスを満たしていた液体の正体は…
克哉が以前に懇意にしている取引先から貰った貴重なウィスキーだった。
 最初は何度もこんなに高価な物は貰えないと断ったのだが…相手は
下戸らしく、どうせならウィスキーを好きな人間に飲んでもらいたいから…
と強く言われてしまって、半ば押し切られるような形で貰い受けた一品だった。
 後でインターネットを調べて優に一本、三万以上はする一品だったと知って
ぎょっとしたが、とっておきの時にどうせなら楽しませて貰おう…そうして、
長年大事に秘蔵していた物だったのだ。
 
「そう、だけど…。一言くらい、オレに断ってくれたって…」
 
「…断ったら、絶対に貧乏性のお前の事だ。『ダメ』と言って聞かない
だろうからな…好きにさせて貰った…」
 
「…お前なぁ…んんっ…」
 
 文句がつい零れてしまう唇を、また強引に塞がれてしまう。
 もう一人の自分が仕掛けてくるキスは濃厚なのに甘くて…気を抜くと
気持ちが良くてついうっとりしてしまいそうだった。
 口付けは強引の癖に、こちらを抱き締めながら…背中を撫ぜ擦り上げる
掌はとても優しいもので…その落差につい、ゾクゾクしていってしまう。
 
(気持ち良い…)
 
 勝手に大事にしていたウィスキーを開けられてしまって腹立たしい筈なのに、
そんな事がどうでも良くなってしまうくらい…もう一人の自分が与えて
くれる感覚は心地よくて。
 こちらからも…相手の身体に縋りつくように、その首元に腕を回して
抱きついていった。
 唇が離れる度に、男は持っていたグラスを煽って…こちらの口腔に流し込んでくる。
 酔いしれてしまうくらいに、極上の味わいの酒をこんな風に酌をされながら
飲まされてしまうと…次第に何もかもがどうでも良くなってしまった。
 
「はっ…ん…ほんっと、信じられない奴…」
 
 完全に、相手のペースに流されてしまっている。
 その事実が少し癪だったので…そんな憎まれ口を叩いてみせるが、相手は
まったく意に介した気配はなかった。
 
「そんなの…判りきった事だろう?」
 
 男は傲然と微笑みながら、グイと自分の方にこちらの腰を引き寄せていく。
 瞬く間に、淫らな指先がこちらの身体を辿り始めていった。
 自然とベッドの端に座っている相手の上に乗り上げるような体制になっていった。
背中から臀部の掛けてのラインを更に丹念に擦り上げていく。
 いつもの彼ならば、こちらの弱い場所…性感帯ばかりを責めてくるのに、今夜に
限っては背中から腰に掛けてを念入りに擦られているので少々、勝手が違っていた。
 
「んっ…はぁ…」
 
 相手から啄ばむようなキスを幾度となく受けていくと…克哉の唇から、
悩ましげな声が漏れていく。キスをされて、撫ぜられているだけなのに早くも
身体のあちこちの部位が眼鏡を求めて反応し始めていくのを…否でも自覚していった。
 尻肉をスーツのズボン生地の上から揉みしだかれて、妖しく蕾が蠢いていく。
 
―そんな刺激じゃ、足りない。
 
 無意識の内にそんな衝動に突き動かされて、ギュっと克哉の方から相手の
身体にしがみついていった。すでに上質の酒で酔いしれたおかげなのか…先程まで
少しはあった抵抗感がいつの間にか霧散していく。
 相手が欲しい、とその事実を認めて…克哉は自分の方から積極的に
相手の唇を求めていった。
 
 クチュ…ピチュ…チュク…チュル…
 
 こちらが舌を蠢かす度に、淫靡な水音が頭の中で響き続けていった。
 そんな音すらも今は感じてしまって…堪らなくなっていった。
 
「…どうした? 今夜は積極的じゃないか…?」
 
「…そうだね。お前の気持ちが…嬉しかったから、ね…」
 
 多少強引ではあったけれど、落ち込んで帰って来た日に家に明かりが
灯っていて…暖かくて美味しい夕食が用意されている。
 それはもしかしたら、家庭を持っている人間には当たり前の光景なのかも
知れない。けれど…大学時代から長年、一人暮らしを続けていた克哉にとっては
半ば忘れかけていた喜びで、だからこそ嬉しく感じたのだ。
 
「ご飯、美味しかったし…凄く、嬉しかったから…」
 
「だから俺に、こういう形で対価を払おう…と思っているのか…?」
 
「っ…どうだって、良いだろ…! そんな事…!」
 
 瞬く間に顔を真っ赤に染め上げていく所から察するに、今の眼鏡の言葉は
図星だったらしかった。だがそんなもう一人の自分の様子を見て、男はククっと
喉の奥で笑いを噛み殺していった。
 
 
「そうだな…とりあえず理由や動機など、確かにどうでも良いな…。この時間を
たっぷりと堪能出来るかの方が…重要だ…」
 
「あっ…」
 
 相手の手が、こちらの下肢をゆっくりと弄り始める。フロントの部分を探られて、
あっという間にジッパーを引き下げられていくと…早くも熱を帯びて硬くなっている
性器が引きずり出されていった。
 
「お前のコレは…本当に正直だな。俺にもっと気持ち良くして欲しいって…強請って
いるみたいに小刻みに震えているぞ…」
 
「だ、から…口に出して、説明するなよ…! 本気で、恥ずかしいんだから…!」
 
「…断る。どうせ俺に食われるなら、腕の中でトコトン恥ずかしさに悶えて感じていろ。
その方が俺も存分に愉しめるからな…」
 
「うっ…わっ…! お前、本当に意地が、悪い…んはっ…!」
 
 そうしている間に、相手の手はドンドンとこちらの衣類を剥き始めた。このままだ
と自分だけが裸にされてしまうかも知れない…と焦った克哉は、慌てて相手の
衣類も脱がしに掛かっていった。
 
「こらっ…お前も、ちゃんと服…脱げよ! オレばかり毎回脱がされるのは…
本当にフェアじゃないし…!」
 
 文句を言いながら、やや性急な動作で眼鏡のスーツの上着とYシャツを
脱がしに掛かる。均整の取れた薄い筋肉に覆われた胸板が露になる。
自分と同じ造りをしていると判っていても、見惚れてしまうのは少し不思議だった。
 
(うっ…わっ…! こうやって正面で向かい合って、電気が点いている中で…
抱かれるのってかなり恥ずかしいかも…!)
 
 顔を真っ赤にしながら、男が自分のスーツズボンを下着ごと引き下ろして
いくのを自ら手伝いながら…現状に気づいていく。
 相手の腹部周辺に、勃起した自分のペニスが突きつけられる形になっていた。
眼鏡の太股の部分に乗り上げて、ヌルっと滑った液体を其処に塗りつけられて
いくと…一層、身体全体の体温が上がっていく気がした。
 
「んっ…ふっ…」
 
 眼鏡の指先が、粘ったジェルのような液を纏いながらこちらの内部に侵入
し始めていく。其れに的確に内部をくじられていけば…甘い疼きが全身に
走り抜けていった。
 前立腺の部位を指の腹で丹念に弄られればもうダメだ。こちらの意思とは
関係なく、そこは淫らに蠢いてもっと確かな刺激を求め始めていく。
 
「イイ声だな…お前の啼き声は、聞いていてこちらも存分に…愉しめる…」
 
 そうして、男の目が真正面からこちらの双眸を覗き込んでいく。
 蒼く澄んだ双眸がこちらを射抜くように見据えてくる。
 欲情に濡れてギラギラとした、獣の瞳。それが視線でも克哉を犯すように
鮮烈に見つめ続けていく。
 
「あっ…ぁ…」
 
 その眼差しにすらも感じてしまって、甘い声が知らずに漏れてしまう。
 そうしている間に…腰をいつの間にか両手で掴まれて相手に誘導されるままに…
眼鏡の剛直の上に腰を落とす形となった。
 
「はぁ…んんっ…!」
 
 ビリビリビリ、と強烈な電流に晒されたみたいだ。もう…その快楽に
抗えなくなる。
 挿れただけでこれだ。…更に腰を突き動かされて、厭らしく腰を使われて
いったらどんな結果になるのか…半ば恐怖を覚えながら、その身体を
ゆすり上げられていった。
 
「んんっ…やっ…あんまり、激しく…する、なよ…」
 
 自分の固く張り詰めたペニスを片手で弄られながら、克哉があえかな
息を漏らしていく。
 だが男は容赦などしない。一層こちらを追い詰めていくように…腰を乱暴に
使ってこちらの内部を抉り続けていった。
 
「…嘘を言うな。お前の本心は…もっと、じゃないのか…?」
 
「そんな、事…な、い…んんっ…!」
 
 理性では、確かに恐怖を覚えて否と言っているかも知れないが…身体は
本能的にもっと強い感覚を求めていた。だから嘘つきな唇を強引に
塞がれていく。
 忙しない呼吸を繰り返して、涙をうっすらと浮かべていく。
 だが…男は一切の手加減などしてくれない。克哉がもっとおかしくなるように…
一層深くペニスを根元まで突き入れて、快感を引きずり出していくだけだ。
 
「ふっ…やっ…! やだ…そんなに、其処を突かれたら…オレっ…!」
 
 ベッドシーツをきつく掴みながら懇願するが、決して聞き遂げられる事はない。
 円を描くように腰を使われて、荒々しく内部を掻き回されていく。その度に理性に
ひびが入り…終いには、快楽を追い求めること以外考えられなくなった。
 
「…セックスは最大のリフレッシュ効果があるって…良く言われるしな…。
お前の中の憂いが全て晴れるくらいに…ただ、俺だけを今は、感じろ…!」
 
「あぁ…!」
 
 ギュウ、と相手の背中に強くしがみ付いていきながら…強烈な快楽の波が
押し寄せてきているのを感じた。克哉のペニスの先端が、相手の指を
グチョグチョに濡らしながら大量の先走りを滲ませてヒクヒクと震えている。
 
「ん、あっ…もっと、『俺』…」
 
 夢中で、こちらからも唇を求めていく。
 すでに相手を貪ることしか考えられなくなって、自分の中が彼の熱さ
だけで満たされる。
 裸の胸板同士がぶつかりあい、荒く激しい鼓動を伝え合っていた。
 もっと近くに、相手が欲しくて仕方がなくなっている。
 だから珍しく素直に求めていくと、相手も満足そうな笑みを刻んでいった。
 
「あぁ…俺で、お前の中を…満たして、やるよ…」
 
 熱っぽく掠れた声音で眼鏡がそう告げると同時に、最奥を壊すかのような
勢いで熱いペニスが穿たれていった。
 
「ひぁぁぁっ…!」
 
 克哉が耐え切れずに高く啼くのと同時に…堰を切ったように熱い精液が
その内部で解放されて勢い良く注ぎ込まれていく。
 ビクンビクン…と自分と相手の身体が、快楽の余韻で大きく震えているのを
感じながら…克哉は、相手の方からもしっかりとこちらを抱き締めてくれて
いるのを感じた。
 
(あったかい…)
 
 その温もりを心地よく思いながら…克哉は、スウっと安らかに意識を遠ざけていった―
  

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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