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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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  以前に書いた残雪を、改めて構成し直して再アップ
したお話。太一×克哉の悲恋です。
 1話と2話は以前にアップしたものの焼き直しですが…
3話目以降からは一からの書き直しになります。
 書き掛けで止まっている話の方は(不定期連載)の方に
あります。

 残雪(改) 
                  10

―自分の息子が愛情のカケラもなく一方的に陵辱されている光景に
父親は耐えられなかった

 夢、という形で息子に起こった事を疑似体験している最中…二人が
決別する場面を見て、男は耐えられなさそうに何度も歯軋りと
爪が手のひらに食い込むぐらいに激しく拳を握っている。
 そのせいで夢は一旦途切れて、男の目は虚ろに開いていく。

『…やはり、ご子息が犯されている場面の全てを見るのは精神的に
辛そうですね。やはり…此処はある程度、端折った方が良さそうですね…』

「あ、たり前だ…息子のこんな場面を見たいと思う親がいる訳、が…
ねえだろうが…!」

 弱々しい口調ながらも、激しい憤怒を顔に浮かべて男は
訴えていく。
 それを聞いて…Mr.Rは考え込んでいた。

『…ですが、この場面は佳境なのです。此処を見なければ救いの道に繋がる
もっとも重要な場面を見落とすことになります。…真実というのは知るのは
得てして辛いものです。…汚かったり辛い現実を直視する勇気がなければ…
痛みを必ず伴うものです…。貴方のその苦しみは、真相を知る為には
欠かせないもの…。別のカケラに差し替えることは可能ですが…それで
本当に宜しいですか…?』

 口調こそ相手を叱咤激励して励ましているように見えるが…ぼんやりした
視界の中で、太一の父ははっきりと見た。
 黒衣の男の口元に、こちらを嘲るような笑みが浮かんでいたことを。
 その表情を見た瞬間…男は腸が煮えくり返るような怒りが湧き上がって
くるのを感じていった。

「…チクショウ、見届けてやろうじゃねえか…! 太一が、俺の息子が
この後に救われるのを知っている…! なら、こんなクソみたいな場面でも
しっかりと見てやるさ…!」

『…判りました。なら、続きをお見せしましょう…。けれど、貴方の負担を少し
和らげる為に必要な場所だけにしておきますね…』

 男がにっこりと微笑んでいるのを見て、今の表情が挑発であった事に
ハっと気づいた。
 だが…その事で反論しようとしても、すでに脳裏に白いモヤが掛かった
ようになって…まともに舌も回らなくなっていく。

―男のいう通り、真実を知る事は時に激しい痛みを伴うことになる

 全てのものから背を背けて逃げれば確かに楽だろう。
 だが、そうやって逃げている限り、知りたいことは決して得られない。
 単純だがそれは真理でもあった。

(…太一、お前に起こった事を…俺は、見届けてやる…。お前がドブネズミのような
目をして腐っていた時に…何にもしてやれなかった分、せめてお前がどんな道を
辿ったのか…理解したいんだ…)

 それは親のエゴとも、愛情とも言い換えられる想い。
 その熱い気持ちを胸に抱いていきながら…太一の父親である喫茶店のマスターは
再び男の紡ぐ夢の中に堕ちていったのだった―

                      * 

 もうじき夜が明けようとする深夜の時間帯。
 苦痛なだけの行為を続けられている内に…窓の外は白く染まり始めていた。
 突き刺すような寒さと、行為によって望んでもいない熱が身体の奥に
生まれていくのを感じていた。
 太一は余裕なく何度目の絶頂になるか判らなくなりながら…一方的に
上り詰められていく。
 服を着ながら、ただ顔を見ることも甘い口付けを交わすこともなく…
好き放題に犯されるだけのセックス。
 ただ、相手の欲望と鬱憤を発散するだけの行為に嫌悪しながら…
今夜もいつものように一方的に蹂躙されていく。
 
「はっ…あっ…! くっ…!」

 激しく喘ぎながら、太一は上り詰めていった。
 それとほぼ同時に…相手の熱い精を身体の奥に感じて、嫌悪を
覚えていった。
 
(克哉さんと、同じ顔をしているのに…どうして、こんなに違うんだ…)

 そう感じていきながら、相手の精を受け止めて…ガクリ、と膝をついて
その場に崩れていった。
 これが最後の行為になるのだと…すでに判っていた。
 自分達の間にやはり何もなく、愛情のカケラも存在しないのだと改めて
思い知らされて…虚しいものが心の中に広がっていく。

「克哉、さん…」

 それでも太一が呼び続けるのは…もう一人の克哉の方だった。
 決して今、自分を背後から抱いている男の方を彼が求めることはない。

「…お前はそれでも、あいつの方ばかり…求めるんだな…」

「っ…?」

 だが、その瞬間…眼鏡の口から漏れたのは…いつもと響きが
異なる一言だった。
 この男から、こんなに悲しそうな声を聞いた事なんてなかった。
 その事に違和感を覚えた瞬間…顎を強い力で掴まれて、強引に
後ろを向かされていく。
 アッと思った時にはすでに遅かった。
 相手から深く舌を差し入れられて…今度は口腔が犯されていく。
 
(てめえと、キスなんてしたくねぇよ…!)

 心の中で強い反発を覚えていきながら、身体に力がまったく入らない
状態なので…早く終われと念じていきながらそれを受け止めていく。
 だが、何かがいつもと違った。
 男はたまにこちらにキスしてくることがあったがそれはいつもこちらを
屈服させるだけのものだった。
 だが…初めて、何かそれ以外のものを感じさせる口付けをされて
太一は…軽く混乱していく。

(いつもと、何か…違う…?)

 優しさのようなものを感じて、混乱しかけていくと…。

「さよなら…太一…」

「っ…!」

 一瞬だけ、憎い筈の男の表情に…愛しい人と同じ儚い微笑を見て、
太一は言葉を失っていったのだった―

                        
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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