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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 以前に書いた残雪を、改めて構成し直して再アップ
したお話。太一×克哉の悲恋です。
 1話と2話は以前にアップしたものの焼き直しですが…
3話目以降からは一からの再編成になります。
(一部、必要と思われる部分を掲載している箇所があります)
 書き掛けで止まっている話の方は(不定期連載)の方に
あります。

 残雪(改) 
                



―さあ、ここからは佳境に入りますよ…

 佐伯克哉と五十嵐太一との間に起こった出来事を、奇妙な男に
夢という形で見せられながら…太一の父はぼんやりと頷いていく。
 恐らくまだ夢は続いていく予感があったが、様々な場面を
見せられている内に…少しずつ彼の中で組み上がっていくものがあった。
 だがそれは半分程度、完成したジグソーパズルのようなもの。
 残り半分、肝心の部分を示した絵柄はまだ彼の前に現れていなかった。

―さあ、憎しみあっている二人が…これから火花を散らして決別する様を
ご覧になって下さい…。対岸の火事ならば、それもまた一種の見物でしょう…?

 黒衣の男の声は弾んでいて愉しそうだった。
 だが、それに不快感を示すことも反論することも特になく…身体の
力を抜いて、再び夢の世界に意識を集中していく。

(…この後、どうやって…お前は救われたんだ…太一…?)

 まだ、現時点では男の目にはどうやって救いが存在したのか
その道筋は見えて来ない。
 けれど少しずつ…その答えに近づいていると信じて…愉快そうに
笑うRの声を聞いていきながら…彼の意識は再び闇に落ちていく。

 浮かんでは沈み、沈んではまた浮かび上がって…現と夢の中を
繰り返し彷徨いながら…再び、二人の佐伯克哉と五十嵐太一の
物語は進行していく。

―次は彼らの、決別の場面だった―

                         *

 先程まで儚げに笑う方の…白の克哉の夢を続けて見たことで
幸せな気持ちで満たされていた。
 だが、目覚めて間もない頃に…玄関先に眼鏡を掛けた克哉が
立っている気配を感じて、太一はベッドの上で不快感を露にしていった。

(…せっかくさっきまで克哉さんの夢を見て幸せな気持ちになって
いたのにさ…何もかもがぶち壊しだ…何か嫌な感じ…)

 時計の針をチラっと眺めれば、午前四時を指していた。
 冬の寒い時期であるせいか…この時間帯はまだ真っ暗で、起きるに
しても寝るにしても中途半端だった。
 眼鏡を掛けた克哉が、部屋の中にズカズカと上がりこんでくる気配を
感じて…太一は起きるかどうか迷った。

(いいや…あいつを起きて出迎えてやる義理なんてないし…このまま
寝たふりをしていようっと…)

 太一は、この不毛な生活がまだ続くとどこかで信じていた。
 きっと眼鏡を掛けた克哉は…こちらが寝ているのなどお構いなしに
自分の隣に滑り込んで来て、何でもない顔で眠るのだろう。
 そうなった場合、下手に起きていたら変なチョッカイを掛けられかねない。
 だから寝た振りを決め込んだ訳だが…眼鏡は、太一の隣に横たわることはなく、
何やらゴソゴソと派手にやっているようだった。

(…? 何だ、あいつ…何をやっているんだ…?)


 疑問に思って太一が寝返りを打ちながら…相手の方を振り返っていくと
彼はぎょっとなった。
 大きなボストンバックに、眼鏡が色んな物を詰め込んでいる光景が
飛び込んで来たからだ。
 それは荷造りをしているように見えて、思わず太一は跳ね起きていった。

「ちょ…! あんた、何をしているんだよ…!」

「…起きたのか。チッ…そのまま寝ていれば良いものを…。見て判らないのか…?
荷造りをしているんだ…?」

「…どっか、出張にでも行くつもりなのかよ…」

「いいや、ここを出ていくんだ。もう帰るつもりはない」

「なっ…!」

 唐突に突きつけられた三行半に、太一は言葉を失っていく。
 無理やり抱かれた時も嫌悪感や苛立ちでいっぱいだったが、それでも普段と
大きく変わる処など見られなかった。
 なのに帰って来る早々に『出て行く』と突然言われて…太一は半ば
パニックになりかけた。

(…こんな奴、好きでも何でもないけど…こいつが出て行ったら、克哉さんとの
接点が何にもなくなっちまう…!)

 決して目の前の相手を必要とする事も、愛することもなく…ただ、求めている
方の克哉と出会うことだけを望んでこの男と暮らしていた。
 傍にさえいれば、必ず彼が求めている方の克哉に会えることを願って。
 なのに…この男が出ていったら、これまでの我慢は完全に無駄になってしまう。
 だから気づいたら太一は叫んでいた。

「ちょっと待てよ…! 何でいきなり、出て行くんだよ! 俺の事を好きにしまくって
一言も相談なしに突然出て行くなんて…訳判らないだろ!」

「…お前を嬲ったり蹂躙したり、屈服させるのも最初はそれなりに刺激的で
面白かったが…今は飽きた。それに…俺はもう、弱い方のオレに主導権を渡す
つもりはない。お前の望みを叶えてやる義理もない。…俺を見ようともしないお前の
傍にいる事にこれ以上意味などないだろう…? もう飽きたから出て行く。
それだけの話だ…」

「ふざけるんじゃねえよ! 俺はまだ諦めるつもりはない! 絶対に克哉さんに…
俺が求めている克哉さんにもう一度だけでも会いたいんだ! だからお前が出て行く
事なんて許さない! 人を舐めるのもいい加減にしろ…!」

 相手の言葉に激昂して、太一は相手の襟首を強く掴んでいく。
 お互いの吐息が掛かりそうなぐらいに近距離で見詰め合っても、両者との
間に甘い感情は一切ない。
 太一が本気の怒りの感情を宿して相手を食い入るように見つめていく。
 だが…眼鏡の表情は酷く冷めたものだった。

「………………」

 何の感情も宿していない冷たいアイスブルーの双眸は、ゾッとするぐらいに
澄み切っていた。
 太一はその目に怯みそうになるが…全力で睨みつけて己の怒りを伝えていく。

「俺はあんたが出て行くことなんて許さない! 俺はまだ諦めない!
克哉さんにもう一度会う…その日まで…絶対に…!」

「…お前のエゴに、いつまで俺を巻き込むつもりだ…?」

「…っ!」

 それは、静かな声だった。
 だからこそ逆に、一瞬…太一の心に冷や水を掛けるような効果があった。

「…いつまで俺は、『俺』を見ようとしないお前の傍で…虚しい日々を
送らないといけないんだ…?」

「…それ、は…」

 どうしてか、言葉が出なかった。
 きっといつものように…相手から憎まれ口か、意地悪な発言が飛び出してくれれば
太一は幾らでも反論することが出来ただろう。
 だが…その日に眼鏡は少しだけ違っているように見えた。
 表情に、何か脆いものが感じられた。

「…あいつばかりを求めるお前の傍に居続けて…俺に何のメリットがあるんだ…?
もう馬鹿馬鹿しいから…お前の傍になど、いたくない。いい加減…無駄な望みを
捨てて…俺を解放しろ。俺はもう、お前に飽きた。だからお前もさっさと…あいつを
諦めることだ…」

 それは眼鏡なりの最終通牒のようなものだった。
 だが太一は力いっぱい否定していく。

「絶対に嫌だ! 俺はあの人を…諦めたくない! もう一度だけでも良い…!
どうしても…会いたいんだ…!!」

 太一は泣きながら、眼鏡を掛けた太一に向かってただ一人への強烈な
想いを告げていく。
 彼の中で決して揺らがない想いを。
 たった一度だけでも奇跡が起こることを信じて。

―だが、その言葉が眼鏡を掛けた克哉の心に大きな亀裂を与えていく

 目の前にいながら…それなりに長い期間を共に過ごしていながら、
決して太一は、彼の方を求めなかった。見ようともしなかった。

「…いい加減に、しろ…!」

 その瞬間、冷め切っていた克哉の表情に激しい怒りの感情が垣間見えた。
 こんな茶番に付き合っていられるか、と心底思った瞬間…般若のような
恐ろしい顔を、男は浮かべていく。

「っ…!」

 その恐怖に、太一は言葉を失って後ずさっていく。
 だが…それを男は許さなかった。
 強引で容赦ない力で青年の身体を引き寄せていくと…そのまま荒々しく
ベッドの上に組み敷いていった。

「…気が変わった。最後に俺を本気で起こらせた責任を…お前自身に
取って貰う…。せいぜい悔やむことだな…」

「何を…悔やむっていうんだよ! うわっ! 止めろ!」

 太一は男の身体の下でジタバタともがいたが、体格の上では相手の方が
勝っている為に無駄な抵抗となった。
 そして衣類を引き剥がすような勢いで再び脱がされ始めていく。
 キスも愛撫もなく、ただ怒りを吐き出す為の排泄行為のようなセックスを
またされるのかと思って太一は嫌悪感を露にしたが、眼鏡はそんな青年を
冷ややかな目で見下ろして…強引に下肢の衣類を完全に剥いていく。

―あいつばかりを求めた罪を…

 そして、そう告げながら…眼鏡は慣らすことも一切せずに、強引に
太一を犯し始めていった―
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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