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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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   五十嵐太一は、植物の蔓に巻き取られながら…必死になってもがき続けていた。
  父親の経営している喫茶店を、軽い気持ちでサボって公園にブラリと足を向けたら
何故か変な植物に襲われて、うねうねと滑った蔓で全身を撫ぜ回されて、怖気が
走っていた。
 しかし太一が逃れようと足掻いた処で、この謎の植物をどうにか出来る訳でもない。

(くっ…俺、一体どうなってしまうんだ…?)

 普段、ヘラヘラと笑っている事が多い彼が…ようやく切羽詰った表情を浮かべた頃
救いの主は―現れた。

「その人を離せ! えっと…ムーンティアラ! アクション!!」

「な、何だっ!」

 いきなり現れた人物は、ヒーロー物や特撮物くらいにしか出て来ない必殺技っぽい事を
叫びながら、光り輝いていた。
 そして…その人の顔と格好を見て、眼を見開いていく。

(あ、あの人は…!)

 その人物に見覚えがあった。確か…いつも自分の勤めている喫茶店の前を、毎朝通っていく
顔立ちの整ったサラリーマン…の筈だった。
 しかし今の彼は…ヒラヒラしたセーラー服っぽいのに身を包んで顔を真っ赤にしながら
必殺技なんぞを繰り出していた。
  克哉が自分のティアラを手に持って、技名を叫んだその時…ティアラはエアディスクの
ような綺麗な軌跡を描いて…太一の身体に絡んでいた蔓を一網打尽に切り裂いた。

「どわっ!!」

 急に太一の身体が宙に浮き、地面へと落下していこうと…していた。
 しかし…救いの主はそんな太一の元へと駆け寄り、その身体を受け止めて…こちらが
地面に投げ出されるのを防いでくれた。
 そのまま謎の植物から大急ぎで離れて、二人で安全な場所へと避難してから…太一を
地面に安全に下ろしてくれていた。

「だ、大丈夫…っ?」

 一生懸命な顔をしながら、こちらの顔を覗き込んでくる。
 いつも遠くから見ていた。その時から顔立ちが整った人だな…とは感じていた。
 しかし…こんな装いをして、自分を救おうと必死になってくれている姿を見て…太一は
凄く可愛いな…と思ってしまった。

「えっ…うん。いちお~大丈夫っす。その…助けてくれて…ありがとう。克哉さん」

「へっ…何で、俺の名を…?」

「…やばっ! いや…その、たまたま偶然…以前に俺の勤めている店の前でおっきい
身体の人が『克哉』って呼んでいるの聞いていたの覚えていただけだから! 
気にしないで!!」

「…おっきい身体…? あ、もしかして…本多、かな…け、けど…俺の名前を知っている
人に…こんな格好を見られるなんて…死ぬほど、恥ずかしい…」

(って、何でこの人…こんなに可愛いんだよ! 反則じゃん!)

 本当は太一が克哉の名前を知っていたのは…毎朝、喫茶店の前を通っていく克哉が
どうしても気になって…自分が持っているスキルを総動員して…彼のことを最低限
調べたから…が真相である。
 流石にプライベートな情報まではまだ知らないが…克哉のフルネームと、どこの会社に
勤めているか程度までは頭に入っていたのだ。
 だからつい、克哉さんと呼んでしまったのだが…こちらはすでに彼のことを知っていたので
まだ正式に知り合ってなかった事は失念していた…が真相であった。

「あ、俺…あんまり気にしてないから! 今の克哉さんの格好…マジで可愛いって思っているし
似合っているからさ!」

「…25歳の男がこんな格好して、似合うって言われても複雑なんだけど…」

「…あの、もしかして…止め刺しちゃったのかな…? 俺…」

 克哉のあんまりしょげている姿を見て、余計に太一はどう言えば良いのか迷ってしまっていた。

 シュル!!!

 その時、まるで鞭を振り下ろす時のような鋭い音が…周囲に響いていく。
 先程、克哉の手によって蔓を切り落とされた謎の植物が…再び自分の獲物を取り戻そうと
蔓を伸ばして、再度太一を捕獲しに来たのだ。

「うわぁ! また来たっ! ほっんと…しつこい!」

 慌てて太一は身を翻して、蔓から逃れようと地面を転がっていく。
 
 シュル!! ヒュッ!! シャッ!!!

 逃げている合間に何本もの蔓が容赦なく振り下ろされていく。
 一本程度なら逃げ切れても、間髪いれずにこんな鋭い一撃を繰り広げられたら
こちらは一溜まりもない。
 捕まる! と観念したその時、思いっきり太一は突き飛ばされていた。

「克哉さんっ?」

 ドン、と鈍い音をしながら…自分の代わりに克哉が蔓に捕らわれていく。

「あっ…!! はぁぁぁ…!!」

 自分が捕まっている時と違い、蔓は克哉の身体を…いやらしく弄り始めていた。
 くねくねと蠢きながら太股や二の腕の辺りを何本もの蔓が絡んで…ゆっくりと性感を
引きずり出していく。
 両腕は纏められて頭上に掲げられて…手首の辺りに細い蔓が絡んで…拘束されていた。
 服の上から胸の突起や…下肢を淡いタッチで擦り上げられて…克哉の顔が、高潮して
先程とは別の意味で顔が赤く染まっていった。

「…お願い、だから…逃げて、くれ…! あ…ぅ…!」

 スカートを捲くられて…太股やその中身の部分が露になっていく。
 その様子を…呆気に取られながらつい見入ってしまう。
 眺めている太一の方が赤くなってしまうような光景だ。

(…やばっ! この人…凄く、エロいっ…)

 助けてくれた人物がこんな事になっている時に…こんな事を考えるのが不謹慎だな、とは
判っていたが…眼をどうしても離せない。
 同時に、ムカムカしてきた。
 こんなに可愛い人が、あんな良く判らない植物に良いように弄られて…感じさせられている。
 その事実が、何故だか非常に腹が立った。

「どうして…俺を助けてくれた克哉さんを見捨てて逃げれるって言うんだよ! 無茶
言わないでくれよっ!」

「け…けど、君は…戦う術…なんて、持ってないんだし…っ! だから…! あっ…」

『戦う手段くらいなら、与えてやっても良いけどな…』

 二人が押し問答をしていたその時、同時に脳裏に一人の男の声が聞こえて来た。
 さっきムーンティアラアクションを克哉に命じてから、沈黙を守っていた…ドレスを
纏ったもう一人の自分の声に間違いなかった。

「な、何だ? いきなり…声が?」

『そんな瑣末な事はどうでも良い。で…どうする? お前が望むというのなら…一応
この俺が戦う為の力を与えてやっても良い。いきなり初っ端から…こいつが敵に
拉致されて幻の銀縁眼鏡が敵の手に渡るのは…俺にとっても好ましくないからな…』

「…何言っているか判らないけど、あんたの言っていることに頷けば…戦う力とやらを
与えてくれるって言いたい訳?」

 太一は、蔓から逃げ回りながら、セレニティ・眼鏡の言葉に答えていく。

『その通りだ。俺からの手助けを受け取るつもりなら…右手をかざして、こう叫べ。
ムーンプリズムパワーメイクアップ、とな…』

「迷う訳ないだろ! 克哉さんを助ける為なら…! いくぞ! ムーンプリズムパワー!
メイクアップっ!!」

 太一は一寸の迷いもなく、その恥ずかしい発言と動作をして…戦いの為の装い、
メイクアップを始めていく。
 その身体は光り輝き、克哉が青いスカートと赤いリボンだったのに対して…太一の
色彩は赤いリボンと淡いライトグリーンのスカートだった。
 基本的な格好は同じだが、微妙にティアラやブーツのデザインが異なっているのが
心憎い演出だった。

(な~んか昔の漫画にあったよな。俺の場合だと…こういう場合、何になるのかな…
あ、そうだ…!)

 ふと思いついて、太一は決めのポーズを決めていく。
 そして高らかに叫んでいた。

「美青年戦士、セーラーロイド見参!! 」

 太一の方は克哉と違って、思いっきりこの事態を楽しんでいるようだった。
 そうして、太一は敵と向き合っていく。 
 自分を助けてくれた克哉を救出する為に、黒い巨大な植物と対峙し、戦いの
構えを取っていった―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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