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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は眼鏡×御堂の独占欲をテーマにした
話です。それを承知の上でお読みください。


―あんたに俺を刻みつけたい
 どんな事があっても、俺を決して忘れないように。
 常にあんたが俺のモノであると確信出来るように…
 その肌に、全てに俺の刻印を刻みつけたい…
 けれど、それはどういったものが良いだろうか…?

 アクワイヤ・アソシエーションを設立してから一年余りが経過して…
御堂との関係も良好で、会社も起動に乗り始めた頃…いつしか佐伯克哉は
そんな思いに囚われるようになっていた。
 オフィス内で、自分のディスクに座りながら暫し手を止めて物思いに
耽ってしまっていた。
 今夜は週末。その為に藤田は少し早目に返して、御堂はもうじき出向先から
ここに戻る予定になっている。
 そうなればいつものように、同じビル内にある自分のマンションに御堂を招いて
一緒に過ごす事になるだろう。

(…その事に期待している癖に、どうして最近俺はこんな想いに
囚われているんだ…?)

 御堂の肌に、己を刻みつけたい。
 彼の全てを支配して、独占したいという感情が最近…異様に強く
なっているのを感じていた。
 其れはかつて、狂気に支配されて彼を監禁して凌辱してしまった時のような
激しさを徐々に持ちつつあって…克哉はそれを抑えるのに密かに苦労
する羽目になっていた。

「…俺は、もう二度と御堂を傷つけないと誓った。それなのに…どうして、
こんな想いが消えてくれないんだろうか…」

 そう打ちのめされた気分になりながら、書類に目を戻していった。
 さっきまではそれでも支障なく作業が出来ていたのに…今は、その
自分の中の黒い染みのような感情に振り回されて集中出来なくなっている。
 頭を振って意識を逸らそうとしても、瞼の奥には淫らな御堂の姿が
ゆっくりと浮かび上がり…こちらの心を煽っていく。

―いつまで、己の欲望に…蓋をし続けているつもりですか…?

 ふと、唐突に…脳裏に声が響いていった。
 とっさに弾かれたように顔を上げていくが…周囲を見回しても誰も
いなかった。
 だが…今の声は紛れもなく、聞き覚えのある人物のものだった。

「…どうして、Mr.Rの声が…聞こえたんだ…? 全くどこまでも人外の
奴め…。現実には有り得ない事をごく当たり前のようにやってくるな…」

 そう悪態をつきながら、手に持っていた書類を机の上に荒々しく置いていく。
 今ので完全に気が削がれてしまい…仕事をやる気分ではなくなって
しまっていた。
 其れに先程までには早急に対応しなくてはいけない件に関しては
すでに動いて片付けてしまっている。
 今、やっている書類は言ってみれば早目に動いた方が良いと判断して
先に手をつけている部分なので…急いで今、仕上げる必要はないのも
事実だったので…克哉はふんぞり返る用に自分の椅子の上に深々と
腰を下ろして、天井を見上げていった。

「御堂…いや、孝典か…。もう社員は俺以外は全て帰した訳だし…これからは
あいつと俺だけの時間となる。そう呟いても問題ないだろう…。けど、どうして…
こんな感情を再び持つようになったんだろうか…」

 いや、もしかしたら御堂と穏やかで幸福な関係を築くようになった頃から
この黒い欲望は潜在的に存在していたのかも知れない。
 かつての自分は、歪んでいた。
 御堂から全てを奪って堕としていき…尊厳や誇りまでも叩きつぶそうとしていた。
 あの行為は決して許されるものではない事は、克哉自身にも判っている。
 だからこそ二度と同じ過ちは犯さないと強く誓った訳なのに…どうして、
こんなにもドス黒い感情に翻弄されなければならないのだろうか。

「…全く、俺はどうかしてしまったのだろうか…。もうあいつを傷つけないと
心に誓ったのを忘れてしまったのか? 今…俺が妄想していた事を実際に
あいつにやってしまったら、以前と全く俺は変わっていないという事だろう。
…本当に、バカバカしい…」

 そういって、そんな考えを丸ごと切り捨ててしまおうと試みていった。
 けれど追い出そうとすればするだけ…余計に膨れ上がっていくような
気分になってそれが余計に克哉を苛立たせていった。

「ちっ…一服でもするか…」

 基本的にオフィス内では煙草を吸うな、と御堂にキツク注意を受けているが
それぐらいしなければ気持ちは収まりそうになかった。
 せっかくこれから恋人同士の甘い時間が訪れるというのに、しかめっ面で
最愛の相手と顔を会わせたくない。

(あいつには煙草臭い事ぐらい我慢してもらうか…。こんな苦い顔で
顔を合わせるよりはマシだからな…)

 そう自分に言い聞かせて、上着の内ポケットに収めていた煙草の箱と
ライターを取りだして、火を点けていった。
 紫煙がゆっくりと立ち昇ってフワフワと空気中を彷徨っていく。
 深く煙を吸い込んでいけば、胸の中が煙で満ちていった。
 煙草自身は身体には悪いが、この煙を深く吸う動作は深呼吸をしているのと
同じ効能があり、それが喫煙によって喫煙者がリラックスを得るのだという
学説も存在している。
 自分の好きな銘柄の煙草の煙を吸う事によって、イライラはゆっくりと
消えうせていくのを感じていった。
 そして短くなった煙草を常に持ち歩いている携帯灰皿の中で処理している時に
オフィスの扉がゆっくりと開かれていった。

「佐伯…今、帰った…が、お前…あれだけ煙草をこの部屋で吸うなと言っただろうが!
臭いがつくし、ここは多くの社員が働いている場なんだぞ。経営者ならそれぐらいは
配慮したらどうなんだ…」

「ああ、一本だけだ。今…色々考えてイライラしていたんだな。せっかくあんたと
これから共に過ごす事が出来るのに…しかめっ面で顔を合わせたくなかったので
安定剤代わりに吸う事にしたんだ。おかえり、孝典。お前が帰って来るのを
待ちわびていたぞ…?」

「うっ…君は、本当にずるい、な…」

 そう、甘く微笑みながらスラスラとそんな事を言われてしまったら、御堂に
してもそれ以上強く言う事が出来なくなる。
 言葉に詰まらせて、軽く頬を染めている恋人の姿を見ていくと…つい
おかしくなって克哉は声を立てて笑ってしまっていた。

「…はは、あんたのそういう処は本当に可愛いな。それじゃあ…そろそろ上の
俺の部屋にでも一緒に向かうとしようか。キチンと戸締りをしてからな…」

「…可愛いという言葉は余計だ、バカ。だが私も早く上に行って一息入れたいのは
同感だ。一緒に戸締りをして早く行く事にしよう…」

「ああ、そうだな…」

 そうして二人は協力してオフィスの戸締りを終えて電気を消していけば…
一緒に、克哉の自宅へと向かっていったのだった―


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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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