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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この話は結ばれて結構経過した眼鏡と御堂のお話です。
ふとした瞬間に、黒い欲望を克哉は覚えてしまい…それを
どう抑えるか、忠実になるか眼鏡が葛藤を覚えるお話です。

『刻印』  

 職場の戸締りを終えた後、御堂と共に自宅に向かう途中…
何度も、かつて自分が犯した過ちと…Mr.Rの誘惑の声が
聞こえて来た。

(うるさい…何故、今さらこんな事を思い出す…!)

 瞼の裏には、御堂を鞭で打って赤黒く痛々しい痕を愉快そうに
つけている場面が浮かんでくる。

―ほら、かつての貴方はこんなにも愉しそうに…御堂様に対して、痕を
刻んでいたんですよ…。己の所有の証をね…。それなのにどうして、
今更己の欲望を抑えなくてはいけないんですか…?

(…違う! 俺はもう…変わったんだ…! 二度とこんな真似を御堂に
しないと誓ったんだ。過去の過ちを見せつけるような真似をするな…!)

 本来なら、恋人と二人でゆっくりと過ごす週末に心を弾ませている
筈だったのに…先程から脳裏に響く声と徐々に浮かんでくる過去の
記憶のせいで克哉の心は大いに揺れまくっていた。
 
―いいえ、貴方の本質は全く変わっていませんよ…。心の奥底では、
己の証を御堂様に刻みつけたいという…強い想いが渦巻いている筈…。
あの方を引きとめたい、ずっと手元に置いておきたいという欲求が
強ければ強すぎるだけ…証が欲しいと願う気持ちもまた強い筈ですよ…

「っ!」

 其れは、図星だった。
 あまりに的確に心の奥底に沈めていた感情を突かれて…克哉は
悲鳴を上げそうになった。
 瞠目して…思わず足を止めてしまうと、後ろを歩いていた御堂が
怪訝そうに眉をひそめていった。

「…克哉、どうしたんだ…? こんな処で足を止めて…?」

「あ、ああ…ちょっと冷蔵庫の中にどれだけ食材が残っているか
気になったんでな…。つい…」

「…そんなのは毎回の事だろう。君は基本的に食べる事に執着が
ないから…冷蔵庫の中は、基本的にアルコールか、肴になりそうな物
ぐらいしかせいぜい置かれていない事などしょっちゅうだろうに…。
私も似たようなものだが、もう少しキチンとした食事をするように
心掛けないとその内体調を崩すぞ…。まあ、週末を一緒に過ごすなら…
予め一緒に買い出しに行くのも一つの手だ。先にそちらに向かうか…?」

「いや、良い。とりあえず…パンと、チーズと卵とサラダに出来そうな野菜が
何種類かぐらいはあった筈だから、明日の朝食ぐらいはどうにかなるだろう。
それよりも…早く行こう。夜は…短いからな…」

「…ああ、そうだな。モタモタしていたら確かにあっという間に朝を迎えて
しまうな…」

 御堂はどこか、いつもと様子が違う恋人に対して釈然としないものを
感じつつも…気持ちを切り替えて、彼の部屋の中に向かっていく。
 そうしていつしか御堂の方が先を行くようになり…合鍵を使って
扉を開けていけば二人は一緒に室内に足を踏み入れていった。
 電灯を点けていけば…部屋の中がまるで命が灯ったかのように
暖かさを取り戻していく。
 この段階になって…お互い、今日一日無事に仕事を終わらせて
帰ってきたのだという感慨に浸れるようになった。

「…やっと一息つけるな。…ふふ、最近仕事が軌道に乗って来たは良いが…
日中はそのせいで目が回る忙しさだしな。今日もやるべき事を片付けて
いたらあっという間に終わってしまったな…。まあ、日々充実しているから
文句言う気は全くないがな…」

「ほう、充実しているのか。確かに働いている時のあんたは輝いて
見えるからな…。ちゃんとあんたの日々を充実させている事が
出来るなら…強引にでも引き抜いて来た甲斐があったというものだ…」

「…ああ、そうだな。君に誘われた当初は正直迷いもあったが…
今は君の誘いに乗って良かったと本当に想っているよ…。
MGNの時も、知人の会社に在籍した時もやりがいのあるポストや
仕事を与えて貰っていたが…今程の充実感は確かに得られて
いなかったように思うからな…」

 そうして、御堂は思いがけずフワリ…と優しく微笑んでいった。
 いつもは硬質で隙を滅多に見せない恋人が、ふと見せるそんな表情に
克哉は釘付けになっていく。

―あんたが、欲しい…!

 その瞬間、その想いが堰を切ったように溢れていく感じだった。

「…柄にもない事を言ったな。克哉…夕食は、どうす、る…うわっ!」

 食事を作るか、それとも外食をして済ませてしまうか…そう問いかけようと
した矢先に…いきなり噛みつくように克哉に口づけられて、抱き締められて
いて…御堂は完全に面喰っていた。
 久しぶりに荒々しく、相手の舌先を奪い尽くすような…そんな感じで
唇を重ねていった。
 御堂の方は完全に混乱しきった状態に陥っていた。
 以前は確かに克哉がこんな風に強引にこちらにキスして…貪るような
キスをしてくるのは珍しくなかった。
 恋人関係になる以前など、ほぼ毎回であったと言っても過言ではない。
 けれど最近は彼も穏やかになってきたし…久しくなかっただけに…
困惑を隠しきれなかった。

「ふっ…うううっ…!」

 御堂はつい、軽く抵抗するように頭を左右に振ってしまっていた。
 呼吸すら奪われるような激しく力強い口づけに、こちらの舌先を
貪られてしまう感覚に…急激に欲望を刺激されてしまって、どうして
良いのか判らなくなる。
 そして唐突にキスを解かれていけば、久しぶりに凶暴な光を宿した
克哉の目とぶつかりあっていく。

「っ…! かつ、や…! ああっ!」

 そうして、問答無用で首筋に顔を埋められていくと…強烈な痛みが
肩口に走り抜けていった。

「克哉、痛い…止めて、くれ…!」

 だが、御堂が懇願していっても…克哉の行動は止められる事は
なかった。
 彼が唇を離していけば…肩にはくっきりと歯型が刻まれてしまっている。
 キスマークと違って、ここまでしっかりと噛みつかれてしまったら何日も
其れは残り続ける事だろう。
 
「克哉、何故…」

 そう、御堂が声を少し震わせながら問いかけていくと…克哉は、
久しぶりに凶暴な笑みをたたえながら…こちらを見つめて来たのだった―



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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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