鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※ この話はN克哉が事故で昏睡して記憶を失っている間、夢の世界で眼鏡と
十日間を過ごすという話です。それを了承の上でお読みください(やっと中盤…)
深夜遅く、眼鏡がしっかりと寝静まった頃を見計らって…克哉はコソコソと自分の
部屋から毛布を持ち込んで、彼の部屋に侵入していった。
目的は出来るだけ傍で眠る為だ。記憶は基本的に…眼鏡と一緒にいる時にしか
思い出せないから、克哉としてはもう少し近づきたいのだが…あんまり寄りすぎると
今度は襲われかけるから、かなりスリリングな毎日を送っていた。
(よ、良かった…兄さん、起きてないみたいだ…)
毎晩の事ながら、酷く緊張していた。
ドキドキと心臓を荒立たせながら、ベッドの上に横たわっている眼鏡の隣に自分も
横になっていく。
ベッドサイズはどの部屋に置かれている物でもダブルサイズはある。
身長180を超える自分達でも、中心辺りにいるように心がければある程度寝返りを打っても
大丈夫な大きさだった。
自分の身体がベッドのスプリングに沈むのを感じて…克哉は溜息を突く。
(…本当にこの人は、オレと顔が良く似ているな…)
今夜は外も穏やかなようだった。
雪や風も殆ど降る事なく、高い位置に備え付けられている窓からはもうじき満月に
なろうとしている白い月が静かに浮かんでいる。
その月光に照らされた顔立ちは整っていて、長い睫が目元に微かな陰影を作り…微かな
色気を醸し出していた。
陶器めいた、白い肌につい触れてみたくて…そっと頬に手を伸ばしていく。
軽く滑らせていくと、肌の表面は滑らかで触り心地は良かった。
「う…ん…」
こちらの手に反応したのか、微かに呻き声を漏らしながらモゾモゾと眼鏡が身動きする。
それに一瞬、起こしてしまったかとビクリとなったが…相手が起きる気配がないのが判ると
ほっと溜息を突いていく。
(何で…こんなにこの人は、オレに似ているんだろう…。オレに兄さんなんて…
いない筈、なのに…)
今の克哉は20歳前後までの記憶を取り戻していた。
だからこそ、確信もって言えた。佐伯克哉には…双子の兄なんて存在しない事を。
少なくとも育つ過程において、まったく一緒に過ごしてきた記憶はない。
けれど…自分に瓜二つ過ぎる容姿は逆に双子以外では有り得ない気がした。
他人でここまで似ているのは可笑しすぎる。
だからこそ…克哉は混乱していた。
「…兄さん、貴方は一体…本当はオレにとってどんな存在なんですか…?」
その答えは、この七日間で思い出せた20歳までの記憶の中には存在しない。
だからこそ…余計に、この人に対しての興味は尽きなかった。
人には知りえない謎を解きたいという欲求がある。
好奇心、知識欲は時に強い衝動で人を突き動かす力があるのだ。
克哉にとって、こうして彼の隣で眠ることは相手に襲われて良いようにされる危険に
満ちた行為である。
けれどそのリスクを犯してでも、毎晩聞こえる『声』と…この人の正体に関して知りたいと
いう気持ちを抱いていた。
『克哉…克哉…』
静寂の中、また今夜も…切なく自分の事を呼ぶ声が脳裏に響いてくる。
その声はとても優しく…同時に切ない色合いを持っていた。
ただ静かに自分に対して呼びかけてくる声。
―目覚めた日から、一日も途切れる事のない…哀切を帯びた声掛けだった。
(また今夜も…貴方の声が聞こえる。…早く、知りたい。貴方が一体誰なのかを…)
克哉は目を閉じて、その呼びかけに耳を澄ませていく。
毎日、夜から朝に掛けての間だけ聞こえ続ける謎の声は…一日も早く記憶を
思い出さなければと克哉を掻き立てる原動力となった。
だから…身の危険を感じながらでも、眼鏡の傍を離れないように必死にくっついて
いるのだが…。
ふと、今は便宜上…兄と呼んでいる人の顔を見つめていく。
それを見て…少しだけ不思議な気持ちになった。
目の前で安らかな顔を晒して眠りこけている姿を見て、少しだけドキドキしている
自分がいた。
(まあ、あれだけ…セクハラされまくれば、多少は意識もするだろうけどな…)
自分がここで目覚めて、初めてキスされた日から数えて、この五日間は…本気で
貞操の危機を感じたか数え切れないくらいだった。
こっちがアワアワするような振る舞いや発言を平気でしでかしてくるし、すぐ押し倒したり
際どい処に触ってくるし…一緒にいて本当に気が抜けない。
本当に兄弟なら、そんな真似をする筈がない。それでも…。
「…貴方の事、嫌いじゃないんだよな…。むしろ、好きと嫌いのどちらかだとしたら…好き、
なんだと思う…」
克哉の胸に、この人の胸の中で泣きじゃくった日の記憶が蘇る。
…本当に兄弟なのか、疑う気持ちがあっても…記憶の事を差し置いても出来るだけ傍に
いたいと望むのは…あの日、不安を抱いていた自分に優しくしてくれたからだと思う。
「っ…わっ…!」
ふいに、眼鏡の腕が伸びて…その胸に引き寄せられる。
もしかして起きたのか、と思ってヒヤっとしたが…どうやら無意識の内にこちらを
抱き寄せただけらしい。
思いがけず、強い力で相手の胸元に顔を埋める格好になって…耳まで赤くなっていく。
(うわ…うわ、うわっ…)
相手の鼓動を間近に感じて、赤面していく。
それでも…この雪で覆われた世界は、空気すらも酷く冷たく澄み切っていて。
…そんな中で、この温もりはとてつもない引力となっていた。
どうしようもなく、意識をしている自分がいる。
夕食の時のように…あんな風にチョッカイを掛けられたら、一応反撃して…拒むけれど、
もし…この人が真剣な顔をして自分を求めてきたら、多分拒めないような気がしていた。
幸い、今の処…そんな事態にはならないで済んでいるけれど。
『克哉…克哉…』
そう、顔も思い出せない声の主のように…こんな切ない声で自分の事を呼びかけてきたら―
きっと…許してしまう気がする。
そんな自分に呆れながら、克哉はそっと瞳を閉じていく。
傍に寄り添って眠る…相手の体温はとても暖かく。
心地よさを感じていきながら、静かに眠りの淵に落ちていった―
十日間を過ごすという話です。それを了承の上でお読みください(やっと中盤…)
深夜遅く、眼鏡がしっかりと寝静まった頃を見計らって…克哉はコソコソと自分の
部屋から毛布を持ち込んで、彼の部屋に侵入していった。
目的は出来るだけ傍で眠る為だ。記憶は基本的に…眼鏡と一緒にいる時にしか
思い出せないから、克哉としてはもう少し近づきたいのだが…あんまり寄りすぎると
今度は襲われかけるから、かなりスリリングな毎日を送っていた。
(よ、良かった…兄さん、起きてないみたいだ…)
毎晩の事ながら、酷く緊張していた。
ドキドキと心臓を荒立たせながら、ベッドの上に横たわっている眼鏡の隣に自分も
横になっていく。
ベッドサイズはどの部屋に置かれている物でもダブルサイズはある。
身長180を超える自分達でも、中心辺りにいるように心がければある程度寝返りを打っても
大丈夫な大きさだった。
自分の身体がベッドのスプリングに沈むのを感じて…克哉は溜息を突く。
(…本当にこの人は、オレと顔が良く似ているな…)
今夜は外も穏やかなようだった。
雪や風も殆ど降る事なく、高い位置に備え付けられている窓からはもうじき満月に
なろうとしている白い月が静かに浮かんでいる。
その月光に照らされた顔立ちは整っていて、長い睫が目元に微かな陰影を作り…微かな
色気を醸し出していた。
陶器めいた、白い肌につい触れてみたくて…そっと頬に手を伸ばしていく。
軽く滑らせていくと、肌の表面は滑らかで触り心地は良かった。
「う…ん…」
こちらの手に反応したのか、微かに呻き声を漏らしながらモゾモゾと眼鏡が身動きする。
それに一瞬、起こしてしまったかとビクリとなったが…相手が起きる気配がないのが判ると
ほっと溜息を突いていく。
(何で…こんなにこの人は、オレに似ているんだろう…。オレに兄さんなんて…
いない筈、なのに…)
今の克哉は20歳前後までの記憶を取り戻していた。
だからこそ、確信もって言えた。佐伯克哉には…双子の兄なんて存在しない事を。
少なくとも育つ過程において、まったく一緒に過ごしてきた記憶はない。
けれど…自分に瓜二つ過ぎる容姿は逆に双子以外では有り得ない気がした。
他人でここまで似ているのは可笑しすぎる。
だからこそ…克哉は混乱していた。
「…兄さん、貴方は一体…本当はオレにとってどんな存在なんですか…?」
その答えは、この七日間で思い出せた20歳までの記憶の中には存在しない。
だからこそ…余計に、この人に対しての興味は尽きなかった。
人には知りえない謎を解きたいという欲求がある。
好奇心、知識欲は時に強い衝動で人を突き動かす力があるのだ。
克哉にとって、こうして彼の隣で眠ることは相手に襲われて良いようにされる危険に
満ちた行為である。
けれどそのリスクを犯してでも、毎晩聞こえる『声』と…この人の正体に関して知りたいと
いう気持ちを抱いていた。
『克哉…克哉…』
静寂の中、また今夜も…切なく自分の事を呼ぶ声が脳裏に響いてくる。
その声はとても優しく…同時に切ない色合いを持っていた。
ただ静かに自分に対して呼びかけてくる声。
―目覚めた日から、一日も途切れる事のない…哀切を帯びた声掛けだった。
(また今夜も…貴方の声が聞こえる。…早く、知りたい。貴方が一体誰なのかを…)
克哉は目を閉じて、その呼びかけに耳を澄ませていく。
毎日、夜から朝に掛けての間だけ聞こえ続ける謎の声は…一日も早く記憶を
思い出さなければと克哉を掻き立てる原動力となった。
だから…身の危険を感じながらでも、眼鏡の傍を離れないように必死にくっついて
いるのだが…。
ふと、今は便宜上…兄と呼んでいる人の顔を見つめていく。
それを見て…少しだけ不思議な気持ちになった。
目の前で安らかな顔を晒して眠りこけている姿を見て、少しだけドキドキしている
自分がいた。
(まあ、あれだけ…セクハラされまくれば、多少は意識もするだろうけどな…)
自分がここで目覚めて、初めてキスされた日から数えて、この五日間は…本気で
貞操の危機を感じたか数え切れないくらいだった。
こっちがアワアワするような振る舞いや発言を平気でしでかしてくるし、すぐ押し倒したり
際どい処に触ってくるし…一緒にいて本当に気が抜けない。
本当に兄弟なら、そんな真似をする筈がない。それでも…。
「…貴方の事、嫌いじゃないんだよな…。むしろ、好きと嫌いのどちらかだとしたら…好き、
なんだと思う…」
克哉の胸に、この人の胸の中で泣きじゃくった日の記憶が蘇る。
…本当に兄弟なのか、疑う気持ちがあっても…記憶の事を差し置いても出来るだけ傍に
いたいと望むのは…あの日、不安を抱いていた自分に優しくしてくれたからだと思う。
「っ…わっ…!」
ふいに、眼鏡の腕が伸びて…その胸に引き寄せられる。
もしかして起きたのか、と思ってヒヤっとしたが…どうやら無意識の内にこちらを
抱き寄せただけらしい。
思いがけず、強い力で相手の胸元に顔を埋める格好になって…耳まで赤くなっていく。
(うわ…うわ、うわっ…)
相手の鼓動を間近に感じて、赤面していく。
それでも…この雪で覆われた世界は、空気すらも酷く冷たく澄み切っていて。
…そんな中で、この温もりはとてつもない引力となっていた。
どうしようもなく、意識をしている自分がいる。
夕食の時のように…あんな風にチョッカイを掛けられたら、一応反撃して…拒むけれど、
もし…この人が真剣な顔をして自分を求めてきたら、多分拒めないような気がしていた。
幸い、今の処…そんな事態にはならないで済んでいるけれど。
『克哉…克哉…』
そう、顔も思い出せない声の主のように…こんな切ない声で自分の事を呼びかけてきたら―
きっと…許してしまう気がする。
そんな自分に呆れながら、克哉はそっと瞳を閉じていく。
傍に寄り添って眠る…相手の体温はとても暖かく。
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HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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