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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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真っ暗闇の中で…眼鏡の手が怪しく蠢く。
   その度に克哉の唇から、甘い声が漏れていった。
 
(何か…明かりが消えてから、触れ方が変わって来ているような…
気が、する…)
 
 時々、稲光がする時以外は殆ど視界が聞かない状態になっているせいか
彼の手はこちらの存在を確認するような動きになっていた。
 荒々しいキスはいつしか解かれて、自由に息が出来るようになると…
克哉は忙しい呼吸を繰り返していく。 
 激しく上下している胸元をやんわりとに掌全体で揉みしだくように愛撫を
施されていくと、硬い胸の突起から強烈な快感が走り抜けていった。
 
「やっ…だ…あんまり、其処…弄る、なよ…」
 
 まったく相手の動きが見えないせいだろうか。
 逆に普段よりも相手の与えてくる感覚に鋭敏になってしまっているような気がした。
 
「こんなに硬くしている癖に…嘘を言うな。嫌がっている割には、
どこもかしこも…気持ち良いって訴えているみたいだがな…」
 
 ふいに低い声音で、耳元で囁かれてズクン…と背筋に悪寒めいた感覚が走っていく。
 
「そ、んな事…ない…」
 
 頭を振って、否定していくが…相手が静かに触れていく度に全身が
小刻みに震えていった。
 
(何で…こんな触れ方、するんだよ…)
 
 いつだって、眼鏡の抱き方は強引で…こちらの事なんてまったく
配慮している風じゃなかった。
 けれど明かりが消える直前に見た泣きそうな顔…それがどうしても
気になってしまって…全力で嫌がれないし、拒む事が出来なくなってしまった。
 
 チュッ…パッ…!
 
 そうしている間に首筋から鎖骨に掛けて再び吸い上げられて…
その赤い痕を舌先で舐め上げられていく。
 先程の痛みが伴うような荒っぽい愛撫ではない。
 一つ一つの動作が…まるでこちらを慈しみ、労わるような優しさが
込められていて…困惑、するしかなかった。
 
(どうして、こんなに…穏やかに触れられているだけで、普段とまったく
違って感じられるんだ…?)
 
 強引に快楽を引き出される抱き方ばかりされていたせいで、こんな
風に全身を撫ぜ擦られるような愛撫をされると…逆にどんな反応を
していけば良いのか判らなくなってしまった。
 足から下着とパジャマのズボンが引き抜かれていくと…大きく足を
開かされて、熱い身体が割り込んでくる。
 
「はっ…ぁ…」
 
(コイツ…興奮、している…?)
 
 いつも、一方的に抱かれているから…気づかなかった。
 こいつがこちらを抱いてこんな風に息を荒げている事なんて。
 まったく見えないからこそ…普段は気づけない、そんなささやかな事すら
感じ取れてしまう。
 声で弄ることもせず、不規則な荒い呼吸だけが闇の中で響き渡る。
 
「…もう、抱くぞ。力を…抜いて、いろ…」
 
「えっ…ちょっと、待てよ…まだ…」
 
 満足に慣らされているとは言えない状態で、眼鏡は己のペニスに大量の
ローションを塗りたくっていくと…そのまま、一気に克哉の中に侵入を
開始していった。
 幾ら最近は毎晩のように抱かれているとはいえ、本来は男の身体は
性器を受け入れるように作られていないのだ。
 いきなりの挿入は…セックスに慣れていてもかなりの負担が伴う。
 それでも強い圧迫感だけでどこかが切れたりするような事はなかった
のだが…。
 
「ひっ…んんっ…うっ…あぁ!」
 
 熱い滾りが克哉の蕾に宛がわれていくと…一気に最奥まで、その塊が貫いていった。
 克哉の喉から、高い嬌声が漏れていく。
 苦しくて頭の奥がキーンとなりそうだった。
 入ってから間もなく、緩やかにだが身体を揺さぶられ始めて…克哉の身体の奥に

妖しい疼きが生まれていく。
 それがいつもと少し違う感覚で、一気に…怖くなってしまった。
 
(なん、か…今夜はいつもと…少し、違う…。上手く、説明出来ないけれど…)
 
 まず、眼鏡の抱き方が乱暴でなかった。
 むしろこちらの身体を労わるように緩やかで…時間を掛けたものに変わっていた。
 そのせいで…ジワリジワリ、と追い上げられていく。

 …逆に頭の芯まで快楽でボウっとなってしまいそうだ。
 相手の熱に、翻弄されて…訳が判らなくなる。
  いや、そもそも目覚めてからずっと…自分の事なのに、今の状況は
判らないことばかりで…どうすれば良いのか見当もつかなかった。
 
「ど、うして…」
 
 ギュっとシーツを握り締めていきながら、本気で克哉は悔しそうに顔を
歪めていった。
 泣きそうな顔を浮かべながら…ただ、もう一人の自分が与える感覚に
耐えていくしかない。
 
(こんな…抱かれ方、したら…心が、引き寄せられてしまいそうで…
怖い…)
 
 自分の身体が、まず…いつもとまったく反応が異なっていた。
 半端じゃなく気持ちがよくて、おかしくなりそうだ。
 いつものセックスが身体の快楽だけを引き出されたものならば…そう、
この快楽は精神的な要素も入り始めていて、まず…快感の性質が違っていた。
 
(…コイツを、好きになって…何に、なるっていうんだよ…。同一、人物…
なのに…そんなの、不毛…過ぎる、よな…)
 
 認めたくなくて、必死に頭を振っていく。
 なのに裏腹に身体は反応してしまって…歓喜に震えていた。
 その身体と精神の著しい乖離した反応に、余計に混乱が酷くなっていく。
 
「どうして…オレを、こんなに…抱く、んだよ…! お前の行動は…
訳が、判らなすぎるよ…!」
 
 泣きそうになりながら訴えていくと、相手が憮然とした声で…どこか
怒ったような顔をしながら返事していく。
 
「お前は…バカか…?」
 
「なっ…ん、だよ…それっ…。そんな、言い草…ん、むぐっ…」
 
 そうしている間に、再び強引に唇を塞がれていく。
 ねっとりとした息苦しいキスに…再び呼吸困難になっていく。
 それでも必死になってもがいて解放されていくと…相手の、熱くて
鋭い眼差しに真っ向から晒されて…つい、ゾクっとなってしまった。
 
「本当に、判らないのか…?」
 
「な、何を判れって言うんだよ…っ!」
 
 そう言うが、克哉は実際は薄々とは感じ取っている。
 けれどそれを…認めたくない気持ちの方が勝っていた。
 その事実を受け入れてしまったら、自分達は限りなく不毛な道に
突き進むしかなくなってしまうような気がして…だから無意識の内に
否定するしかなかった。
 だが、克哉の希望と異なり…男は答えを口にしていく。
 完全ではない、けれど充分にその理由の回答になっている発言を―
 
「…幾らお前と一蓮托生と言っても、何とも想っていない相手をこれだけ
頻繁に抱いたり、甲斐甲斐しく世話してやる程…俺はお人好しではない。
こう答えても…お前には、判らないのか…?」
 
「あっ…うっ…!」
 
 根元まで深く押し入られて、感じるポイントを探られていく。
 そんな状況で…熱っぽい声音でこんな事を告げるなんて…反則に近い
事だと思った。
 
(判ってしまったから…どうすれば良いのか、判らないんだよ…オレ、は…)
 
 そう訴えたかったが、すでに身体はギリギリまで追い上げられしまって…
満足に言葉を紡げなくなってしまっていた。
 
(お前の想いに気づいたら…オレは…コレから先、どうしていけば…
良いんだよ…! 判らない、よ…!)
 
 そう逡巡した瞬間、鮮やかな桜の情景が過ぎっていった。
 
(な、んだよ…これっ…!)
 
 それはまるで、こちらに忘れるな…と訴えかけるかのように鮮やかに
圧巻するように迫ってくる記憶の情景だった。
 漆黒の闇の中で舞い散る桜吹雪。
 そして同時に鮮やかに降り注いでいたのは…。
 
「あぁ、あっ…うあっ…!」
 
 その瞬間、記憶の扉が開き始めていく。
 決して忘れてはいけない記憶が、頭が真っ白になる程の強烈な快感と
共に急速に押し寄せて克哉の意識を飲み込んでいく。
 
「た、いち…っ!」
 
 ようやく、思い出す。
 先程の会話に出て来た「五十嵐」という人物の下の名が何であったのかを…
無意識の内に思い出して呟いていくと同時に、一層激しく最奥を突かれていった。
 
「お前…思い、出したのか…?」
 
 相手の声が大きく動揺の色を滲ませながら、問いかけてくる。
 けれどもう…克哉には答えられなかった。
 
「うっ…あっ…そ、だよ…! はっ…あぁぁ…!」
 
 必死になって相手に縋りつきながらその感覚に今は身を委ねるしかなかった。
 やっと記憶の糸口を掴めた夜。
 自分の失われてしまった空白の一年の記憶を取り戻していく。
 全てを叩きつけるかのように、眼鏡が腰を穿ち込んでいく。
 克哉はただ、それに翻弄されていくしか術がすでになかった。
 
 そうして互いに絶頂を迎えて達した後、克哉は意識を失い…眼鏡の顔は酷く
蒼褪めてたまま、そっともう一人の自分を静かに見つめ続けていたのだった―
 
 

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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