鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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地下室のその扉を僅かに開いた瞬間、爆音が響き渡った。
バァン!!
耳をつんざくような轟音に、とっさに克哉は鼓膜を守ろうと両手で
耳を塞いでいく。
予想もしていなかったものに突然遭遇して…半ばパニック
あまりに驚いたおかげで、悲鳴すら出なかった。
その場に硬直していきながら…微かな隙間から中の様子を
眺めていくと…その奥には射撃場が広がっていた。
(な、何でこんな処に…射撃場なんてあるんだ…?)
それを射撃場、と一目で判ったのは…古い外国の映画とか、刑事ドラマ
とかでそういう場面を何度か見た事があったからだ。
奥に設置されている一定時間で、50m程先に的がランダムでスライドしていく
システムのもののようだった。
当然、普通の家の中に設置されている訳がない施設である。
特に日本の場合、警察とか軍隊以外で拳銃を扱う場合は必ず許可が
必要であるし…訓練所も携帯を許可されているアメリカなどと違って
一般的な代物ではない。
バァン! バァン!
克哉が固まっている間にも、爆音は続いていき…全部で7~8発は
小気味良く続いた処で一旦、止まっていく。
(終わった…のか…?)
驚きながら、ようやく両手を耳から外していくと…そうっと中の様子を
改めて伺っていく。
「えっ…?」
信じられない光景を見て、克哉は硬直していく。
ヒアリングプロテクターと言われる耳を守るヘッドフォンのような器具を
装備している眼鏡の傍らには鮮やかな金髪の、黒衣の男が立っていた。
(な、何でMr.Rが…ここに…?)
Mr.Rは拍手をしながら…ゆっくりともう一人の自分の傍に近づいて
いくと…何やら親しげな様子で会話しているようだった。
当然、部屋の奥にいる二人のやりとりが…克哉に全て聞き取れる
訳がない。
それでも…断片だけでも聞き取りたくて、必死に耳を澄ましていった。
(あの二人は一体…何を話しているんだ…?)
頭の中がグルグルしていく。
いきなり目覚めた途端にもう一人の自分が存在していて、この二週間を
共に過ごし続けて。
どんな事を話しているのか、その部分は聞けなかった。
そうしている間に…いきなり、もう一人の自分は怒ったようにMr.Rを
振りほどいて、突き放していった。
その途端、射撃場内いっぱいに響き渡るように高らかに…黒衣の
男は言葉を紡いでいった。
おかげで、克哉もこれ以後の会話は…全て聞き取る事が出来た。
―ふふ、何をそんなに怒っておられるのです? そんなに…御自分の手で
克哉さんの記憶を奪う薬を与え続けたことに後悔なさっているんですか?
―黙れ。何でそんな結論になる!
―嗚呼…貴方の怒った顔も実に魅力的ですね。けれどその憤りこそ…私が
指摘したことが事実であると物語っていますよ。
あの薬は…説明した通り、「心の蘇生薬」です。心をズタズタにした記憶を
一時的に封じることによって、目覚めさせることが出来る。
ですが…まだ完成品とはとても言えない代物で、その為に…関連した
記憶を一切奪い取ってしまう。まあ…投与を止めればいずれは思い出して
いくでしょうが…それは果たして、どれくらい先の話になるのでしょうか…?
その間、貴方は克哉さんの中に…ご自分を刻もうとしているのでしょう?
だから毎夜、いや…一日の内に何度も何度も、繰り返し…あの人を
抱いているんじゃないんですか…?
―戯言を。ただ単に退屈しのぎに…気まぐれで抱いているだけだ。
それ以上ふざけた口を叩くなら、一発…これを喰らっていくか?
そういって、一発だけまだ弾が残っているベレッタ M92の銃先を
相手の方に向けて威嚇していく。
当然、しっかりと安全装置を掛け直しているから出来る脅しなのだが…
Mr.Rの方もそれはお見通しみたいで、まったく怯む様子を見せなかった。
―ほう? その割には…五十嵐様が刻み続けた所有の証に上書きを
していくように…克哉さんに痕を刻み続けている理由に説明が
つきませんけどね? …くくっ、本当に貴方は御自分の気持ちに
正直ではない方ですね…。必死になって守ろうと、こうやって毎日の
介護の他に拳銃の訓練を欠かさないくらいに想っておられる癖に…
その気持ちを決して、克哉さんに伝えようとなさらないのですから…。
―何を。ただ単にあいつに死なれれば、俺も消えざるを得ないから
仕方なく守っているだけの話だ。お前の勝手な憶測で…戯言を
ほざくな。それ以上…そんな内容ばかり聞かせるというのなら、
俺は向こうに行くぞ。
―おやおや、やはり連れない御方のようですね。そして…簡単に
己の心中を私に語ったりしてくれないようだ。…まあ、良いでしょう。
本日はそろそろ退散させて頂きますよ。拳銃や的の方のメンテナンスも
我が店の優秀なスタッフにでも依頼してやらせておきますから
貴方はお好きなだけ訓練に打ち込んでいて構いません。
食料の方の調達も、定期的にやらせて頂きますから…。
―どうしてお前は、そんなに俺達に入れ込むんだ? この屋敷を
好きなように使って良いとこちらに提供してきたり、資金援助を
したり。この一ヵ月半だけでもかなりの額が飛んでいるにも
関わらずに…そんな真似をしでかす理由は一体何だ?
―貴方達が、私にとって魅力的な存在ですから。非常に不安定で…
同時に見ていて飽きる事がないですから。
特に五十嵐様と貴方の争いを見るのは…とても楽しそうですからね。
その芝居を見る為の舞台を整える為の資金援助…とでも解釈しておいて
下さい。それを見届ける為なら…私は多少のお金など、全然
惜しくはないんですよ…。
そうして、男は踵を返して…入り口の方へと向かっていく。
(ヤバイ…このままここにいたら、見つかってしまう…!)
あまりに衝撃的な内容ばかりを聞かされて、その場から動けないままに
なっていた克哉は…黒衣の男が動くと同時に正気に戻り…慌てて
その場から駆け出していく。
何を、どうすれば良いのか判らなくなってしまった。
(な、何なんだよ…今の、会話…! 心の蘇生薬とか、拳銃の訓練とか
あいつがオレを好きなように抱く理由とか…お金を出してくれているのは
Mr.Rだったとか…信じられない内容、ばかりで…)
何も情報がなかった状態から、一気にパンクしそうな量の内容を
唐突に知ってしまって、克哉はどうすれば良いのか判らなくなって
しまった。
動揺の余りに心臓がバクバクして、そのまま壊れそうだった。
だが克哉は懸命に、ガクガクと震えてしまいそうな足を動かして地下室から
一階を繋ぐ階段を駆け上っていった。
(一体…この空白の一年で、オレの身に何が起こっていたんだ…。
命を狙われているとか、何とか…。どうすれば、良いんだよ…!)
その瞬間、鮮やかな映像が浮かんでいく。
―克哉さん
誰かの呼び声が、頭の中に再生されていく。
「だ、れ…なんだ…?」
それはとても優しい声。温かみのある呼ばれ方だった。
思い出した瞬間…胸が締め付けられたように痛んでいく。
「あ…れ…?」
それが誰だか、判らなかった。
けれど…知らない内に、克哉は涙を流していく。
ポロリ…ポロリ、とまるで涙腺が壊れてしまったかのように。
「何で、オレ…泣いて…?」
階段を昇りきった地点で、呆然と立ち尽くし…克哉はただ…
涙を零し続ける。
何故、こんな状態になっているのか…まだ、薬の呪縛が強くて肝心の
記憶を思い出せない克哉にはまったく判らなかった―
バァン!!
耳をつんざくような轟音に、とっさに克哉は鼓膜を守ろうと両手で
耳を塞いでいく。
予想もしていなかったものに突然遭遇して…半ばパニック
あまりに驚いたおかげで、悲鳴すら出なかった。
その場に硬直していきながら…微かな隙間から中の様子を
眺めていくと…その奥には射撃場が広がっていた。
(な、何でこんな処に…射撃場なんてあるんだ…?)
それを射撃場、と一目で判ったのは…古い外国の映画とか、刑事ドラマ
とかでそういう場面を何度か見た事があったからだ。
奥に設置されている一定時間で、50m程先に的がランダムでスライドしていく
システムのもののようだった。
当然、普通の家の中に設置されている訳がない施設である。
特に日本の場合、警察とか軍隊以外で拳銃を扱う場合は必ず許可が
必要であるし…訓練所も携帯を許可されているアメリカなどと違って
一般的な代物ではない。
バァン! バァン!
克哉が固まっている間にも、爆音は続いていき…全部で7~8発は
小気味良く続いた処で一旦、止まっていく。
(終わった…のか…?)
驚きながら、ようやく両手を耳から外していくと…そうっと中の様子を
改めて伺っていく。
「えっ…?」
信じられない光景を見て、克哉は硬直していく。
ヒアリングプロテクターと言われる耳を守るヘッドフォンのような器具を
装備している眼鏡の傍らには鮮やかな金髪の、黒衣の男が立っていた。
(な、何でMr.Rが…ここに…?)
Mr.Rは拍手をしながら…ゆっくりともう一人の自分の傍に近づいて
いくと…何やら親しげな様子で会話しているようだった。
当然、部屋の奥にいる二人のやりとりが…克哉に全て聞き取れる
訳がない。
それでも…断片だけでも聞き取りたくて、必死に耳を澄ましていった。
(あの二人は一体…何を話しているんだ…?)
頭の中がグルグルしていく。
いきなり目覚めた途端にもう一人の自分が存在していて、この二週間を
共に過ごし続けて。
どんな事を話しているのか、その部分は聞けなかった。
そうしている間に…いきなり、もう一人の自分は怒ったようにMr.Rを
振りほどいて、突き放していった。
その途端、射撃場内いっぱいに響き渡るように高らかに…黒衣の
男は言葉を紡いでいった。
おかげで、克哉もこれ以後の会話は…全て聞き取る事が出来た。
―ふふ、何をそんなに怒っておられるのです? そんなに…御自分の手で
克哉さんの記憶を奪う薬を与え続けたことに後悔なさっているんですか?
―黙れ。何でそんな結論になる!
―嗚呼…貴方の怒った顔も実に魅力的ですね。けれどその憤りこそ…私が
指摘したことが事実であると物語っていますよ。
あの薬は…説明した通り、「心の蘇生薬」です。心をズタズタにした記憶を
一時的に封じることによって、目覚めさせることが出来る。
ですが…まだ完成品とはとても言えない代物で、その為に…関連した
記憶を一切奪い取ってしまう。まあ…投与を止めればいずれは思い出して
いくでしょうが…それは果たして、どれくらい先の話になるのでしょうか…?
その間、貴方は克哉さんの中に…ご自分を刻もうとしているのでしょう?
だから毎夜、いや…一日の内に何度も何度も、繰り返し…あの人を
抱いているんじゃないんですか…?
―戯言を。ただ単に退屈しのぎに…気まぐれで抱いているだけだ。
それ以上ふざけた口を叩くなら、一発…これを喰らっていくか?
そういって、一発だけまだ弾が残っているベレッタ M92の銃先を
相手の方に向けて威嚇していく。
当然、しっかりと安全装置を掛け直しているから出来る脅しなのだが…
Mr.Rの方もそれはお見通しみたいで、まったく怯む様子を見せなかった。
―ほう? その割には…五十嵐様が刻み続けた所有の証に上書きを
していくように…克哉さんに痕を刻み続けている理由に説明が
つきませんけどね? …くくっ、本当に貴方は御自分の気持ちに
正直ではない方ですね…。必死になって守ろうと、こうやって毎日の
介護の他に拳銃の訓練を欠かさないくらいに想っておられる癖に…
その気持ちを決して、克哉さんに伝えようとなさらないのですから…。
―何を。ただ単にあいつに死なれれば、俺も消えざるを得ないから
仕方なく守っているだけの話だ。お前の勝手な憶測で…戯言を
ほざくな。それ以上…そんな内容ばかり聞かせるというのなら、
俺は向こうに行くぞ。
―おやおや、やはり連れない御方のようですね。そして…簡単に
己の心中を私に語ったりしてくれないようだ。…まあ、良いでしょう。
本日はそろそろ退散させて頂きますよ。拳銃や的の方のメンテナンスも
我が店の優秀なスタッフにでも依頼してやらせておきますから
貴方はお好きなだけ訓練に打ち込んでいて構いません。
食料の方の調達も、定期的にやらせて頂きますから…。
―どうしてお前は、そんなに俺達に入れ込むんだ? この屋敷を
好きなように使って良いとこちらに提供してきたり、資金援助を
したり。この一ヵ月半だけでもかなりの額が飛んでいるにも
関わらずに…そんな真似をしでかす理由は一体何だ?
―貴方達が、私にとって魅力的な存在ですから。非常に不安定で…
同時に見ていて飽きる事がないですから。
特に五十嵐様と貴方の争いを見るのは…とても楽しそうですからね。
その芝居を見る為の舞台を整える為の資金援助…とでも解釈しておいて
下さい。それを見届ける為なら…私は多少のお金など、全然
惜しくはないんですよ…。
そうして、男は踵を返して…入り口の方へと向かっていく。
(ヤバイ…このままここにいたら、見つかってしまう…!)
あまりに衝撃的な内容ばかりを聞かされて、その場から動けないままに
なっていた克哉は…黒衣の男が動くと同時に正気に戻り…慌てて
その場から駆け出していく。
何を、どうすれば良いのか判らなくなってしまった。
(な、何なんだよ…今の、会話…! 心の蘇生薬とか、拳銃の訓練とか
あいつがオレを好きなように抱く理由とか…お金を出してくれているのは
Mr.Rだったとか…信じられない内容、ばかりで…)
何も情報がなかった状態から、一気にパンクしそうな量の内容を
唐突に知ってしまって、克哉はどうすれば良いのか判らなくなって
しまった。
動揺の余りに心臓がバクバクして、そのまま壊れそうだった。
だが克哉は懸命に、ガクガクと震えてしまいそうな足を動かして地下室から
一階を繋ぐ階段を駆け上っていった。
(一体…この空白の一年で、オレの身に何が起こっていたんだ…。
命を狙われているとか、何とか…。どうすれば、良いんだよ…!)
その瞬間、鮮やかな映像が浮かんでいく。
―克哉さん
誰かの呼び声が、頭の中に再生されていく。
「だ、れ…なんだ…?」
それはとても優しい声。温かみのある呼ばれ方だった。
思い出した瞬間…胸が締め付けられたように痛んでいく。
「あ…れ…?」
それが誰だか、判らなかった。
けれど…知らない内に、克哉は涙を流していく。
ポロリ…ポロリ、とまるで涙腺が壊れてしまったかのように。
「何で、オレ…泣いて…?」
階段を昇りきった地点で、呆然と立ち尽くし…克哉はただ…
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何故、こんな状態になっているのか…まだ、薬の呪縛が強くて肝心の
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
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