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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ―その日は結局、微妙な雰囲気が夜まで続いていた。
 
 早朝に聞いた話が尾を引いていたのか、克哉は眼鏡に対してどんな態度を
取れば良いのか判らなくなってしまったのが最大の理由だった。
 いや、妙にそのせいで意識をしたから…と言う方が正しいだろう。
 聞いた内容に対して、整理が全然出来ないのと考察しようにも現在の
彼の覚えている範囲では少なすぎるからだ。
 
(結局今日は…日中に一度も手を出されなかったな…)

 夕食を終えて、今…自分に宛がわれている部屋に戻っていくと
克哉はゴロン、とベッドの上に横になっていく。
 …何かここ二週間は、隙あればチョッカイを出されて、抱かれ続けて
いたから妙な気持ちだった。

 ただ、自分も何か引っ掛かる想いがあるから…変に手を出されても
素直に応じられなかったと思う。
 目覚めてからずっと、なし崩し的に抱かれ続けていて。
 特に最初の数日間に関しては、こちらは自分の意思で身体を動かす
事が殆ど出来なかったから抵抗しようがなかった。
 その内に…慣れてしまったから、あいつが触れても「またか…」と思う程度で
以前のように、ただ…こいつが愉しみたいから抱いているのだと。
 散々言っているように、面倒を看ることに対しての対価を求めていると…
克哉はそれ以上の事は考えていなかった。

(…あいつが、オレの為に銃の訓練までしているなんて…予想も
していなかった…)

 何でそんな物騒な事になってしまっているのだろう。
 その理由がまったく判らなくて、正直…怖くなる。
 記憶の存在しない期間、自分がどんな事に巻き込まれていたのか。
 せめて背景だけでも知る事が出来たならもう少し心理的にマシだろう。
 だが、まったく糸口も掴めない状況では悪戯に不安が育っていくだけだ。

「…どうしよう…」

 ギュっと自分の身体を抱き締めていきながら呟いていく。
 窓の向こうには漆黒の闇が広がっていて、降り始めた雨音がザーザーと
響き渡って室内にも届いていた。
 時期的に雷雨にもなるかも知れない…そんな事を考えている間に、部屋の
扉が勢い良く開け放たれていく。
 ノックも必要ないだろう。
 今、このやたらと広い金持ちが建てた別荘らしき建物の中には…自分達
二人しか存在していないのだから。

バァン!

 扉が壁に思いっきり叩きつけられて、轟音が響いていった。
 それに一瞬、身を竦ませていると…あっという間に眼鏡は間合いを詰めて
こちらのベッドの上まで歩み寄る。
 問答無用で圧し掛かられて、シーツの上にこちらの身体を縫い付けられて
いくと…強引に唇を塞がれていった。

「ちょっと、待てよ…いきな、り…むぐっ…!」

 両手首を強い力で掴まれて、反撃を封じられていきながら…性急な動作で
相手の舌先がこちらの口腔を犯し始めていった。
 グチュグチャ…と厭らしい音を立てながら、荒々しく歯列や頬肉の内側、
そして顎の上の部分までも執拗に擦り上げられながら…舌を絡め取られていく。
 息が詰まりそうになるくらい、ねっとりとした濃厚なキスだった。

「はっ…んんっ…。ちょっと、待って…苦し、…あっ!」

 こちらも白いYシャツとライトブラウンのスーツズボンを纏っているだけの
格好だったが、あっという間にボタンを外されて胸元を晒す羽目に陥って
しまっていた。
 乱暴な指先が、こちらの突起を容赦なく弄り上げていくと…両手は自由に
なっている筈なのに、一気に身体中から力が抜けていってしまう。
 深い口付けだけですでに硬く張り詰めてしまっている其処を、クリクリと
指先で押し潰されていく。
 やや強めの刺激ですらもすっかりと反応して、妖しい快感と疼きが
身の奥で渦巻き始めていった。

「や、だ…ヤメ、ろよ…! お前は…いつも、強引…過ぎるってば…! んぁ…!」

 相手の唇が、こちらの首筋に強く吸い付いてくると鋭い悲鳴が漏れていく。
 反射的に相手の袖をぎゅっと握って、その感覚に耐えていくが…すぐに
はっとなって押しのける仕草へと変えていった。

「…黙っていろ。お前は…大人しく俺に抱かれていれば良い…」 

「な、んだよ…それっ! 何で…そんな、事…」

 と反論しようとして相手の顔を見上げた瞬間…克哉はそれ以上の言葉を
続ける事が出来なかった。
 眼鏡の顔が、どこか苦しそうに歪んでいたからだ。

(何だよ、どうしてコイツ…こんなに苦しそうで、切ない表情をしているんだ…?)

 いつもの通り、愉しげな笑みを浮かべてこちらを弄るような…そんな顔を
浮かべていたのならば、自分は拒んで見せただろう。
 さっき一瞬だけ思い出した声の主。それが記憶に引っ掛かっていたから。
 それだけで…これ以上、安易にもう一人の自分と身体の関係を続けるべきじゃない。
 そういう想いが生まれ始めていた中で…この顔は、反則に近かった。
 今にも泣きそうな危うい様子だった。
 
「どう、して…?」

 知らず、そんな呟きが漏れていく。
 そんな顔をされたら…突っぱねられない。
 そうしている間に、背中がしなるくらい…強い力で掻き抱かれていった。

「あっ…」

 それはまるで、全身で縋られているような…そんな抱擁だった。
 強く、強く…痛いぐらいにしがみ付かれて。
 無言のまま、もう一度唇を重ねられていく。
 強く吸い上げられて、呼吸すら満足に出来なくなってしまいそうな激しく
濃厚なキスだった。
 その勢いに、眩暈すらする。
 あまりにその口付けが情熱的過ぎて。

「んんっ…あっ…ふっ…」

 ようやく唇を解放された時には、銀糸が互いの口元から伝っていて
今のキスが執拗なものであった事を示していく。
 それでも…どうにか苦れようと相手の身体を押し返そうとしていくと…。

「逃げるな…」

 それはどこか、懇願しているような声音だった。

「どこにも、行くな…」

 命令しているような口調。
 けれどこの声もどこか、悲しげだった。

(どうして…こんな声、しているんだよ…)

 混乱していく。
 訳が判らなくなる。
 もう一人の自分の、思いがけない姿を見てしまって…克哉は呆然と
するしかなかった。
 窓の外から聞こえる雨の音が一層大きなものへと変わっていく。
 その瞬間、ピカッ! と辺りに閃光が走っていって…周囲を鮮明に浮かび
上がらせていった。

 その瞬間、周囲に雷鳴が響き渡って…爆音が聞こえた。
 同時に落ちる、照明。
 瞬く間に世界は闇に満たされ、視界が利かなくなった。

「うわっ…!」

 暗転した世界の中、改めてもう一人の自分に組み敷かれていく。
 その時にはすでに克哉には、抵抗することは出来なくなってしまっていた―
 



 
 
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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