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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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 ※ 今回は途中、かなり間が開いてしまったので過去のログのリンクも話のトップに
繋げる形で読み返しがしやすいようにしておきますね。
   
    バーニングクリスマス!                  
 
    お待たせしてしまって本気で申し訳ないです。
    これから、一月末までには終わらせるぐらいの気持ちで頑張ります(ペコリ)


―佐伯克哉は、一日の業務を無事に終わらせると…どこか浮かない
表情を浮かべながら自分のマンションへと帰って行った。
 帰宅早々、一日の疲れをシャワーを浴びて流していっても…本日の
克哉の顔はどこか憂いを帯びたままだった。

「はあ…疲れた、な…」

 深く溜息を吐きながら、パジャマに袖を通して…ベッドの上へと
ダイブしていった。
 ギシ、と大きな軋み音を立てながら…克哉の身体はシーツの上へと
沈んでいった。
 そのまま幾度もゴロゴロと転がってみせたが、まったく気持ちが晴れる
気配を見せない。
 むしろ…心の中のモヤモヤは、刻一刻と広がっていくような気がした。

(何か気持ちが…すっきりしないよな。原因は…判り切っているけれど、
オレからはどうしようもない事だし…)

 心の中に、くっきりと浮かぶ面影がある。
 …その存在は、最初に出会った時は…好意とかそういうものと無縁な
筈だった。なのに…今では、克哉の中から決して消えることはない。
 それが悔しくて堪らなくて…つい、無意識の内に唇を噛み締めてしまっていた。

「…お前は、いつまでオレを放っておくつもりなんだよ…。気まぐれに
顔を出して、オレを好き放題に扱って…。もうじきクリスマスだっていうのに
全然音沙汰もなくて…会いたい時に会うことも、連絡手段も一切ないままで…」

 このベッドの上に寝っ転がっていると…どうしてもあいつのことばかり
鮮明に思い出してしまう。
 何度も、このベッドで抱かれた。だから…横になると、どうしたって…思い出すのは
あいつとの情事の記憶ばかりで。
 吐き出されないイライラが…即物的な欲望へと変換されて、知らない内に…
身体の奥が疼いて堪らなくなってしまった。

「はっ…あっ…」

 ジリジリジリ、と身の奥を焼く衝動が背骨の辺りから競り上がってくるようだった。
 悩ましい声を零しながら、克哉はゆっくりと…己の下肢へと指先を伸ばしていく。
 まだ柔らかみを帯びたペニスの先端をゆっくりと握り込んで、自分の欲望を
徐々に育てていく。

「んっ…あっ…『俺』…」

 もう一人の自分がこちらを抱く時の手順を、ゆっくりと思い出しながら
己の性器を弄っていく。
 だが…彼に扱かれている時のような、鮮烈な快感はどれだけ指を激しく
蠢かそうとも感じることはなかった。
 まるで性質の悪い麻薬のようだ。
 あいつがこちらを抱く、あの強烈な快感は…克哉の理性をいつだって強烈に
焼いて…決して忘れさせてくれない。
 抱かれる度に、募っていく想い。そして…苛立ちが、少しずつ克哉の心を
日々苛んで…荒ませていく。

―以前と変わらない笑みを浮かべているつもりでも、無意識の内に
それは男を誘う色香へと変わっていく

 自らを慰めて、呼吸を乱していく克哉の顔が…耳まで朱に染まって実に
艶かしいものへと変わっていく。
 それをきっと…本多や太一が見ていたら、きっと虫が甘い花に惹かれるように
彼を貪るまでその手が止まることはないだろう。
 それぐらいに…強烈な色気を、今の克哉は醸すようになっていた。
 以前であったなら…克哉が男である事が歯止めが掛かっていた。
 だが…思い悩み、そして強烈な快楽をもう一人の自分の手によって知ってしまった
今の克哉は…男女問わずに、他の人間を惹き付けるようになってしまった。

 彼の掌の中で、グチャグチャ…と厭らしい音を立てながら、熱いペニスが
徐々に育って硬度を増していく。
 夢中になって、胸の中に巣食う…ドロドロしたものを、快楽と一緒に
吐き出して少しでも楽になりたかった。
 けれど…浮かぶのは、もう一人の自分の顔ばかり。
 会いたくて気が狂いそうなぐらいなのに…どうやってコンタクトを求めれば
良いのか判らない存在。

「会いたい、よ…『俺』…! もう、一ヶ月も…お前に…」

 半分、切なさの余りに涙を浮かべながら…克哉がどこか苦しそうに
眉を顰めていった。
 唇は仄かにピンクに染まり、口元から覗く舌先が妙に淫らな匂いを
発していた。
 去年は、こんな想いを抱くことはなかった。
 11月の下旬ともなれば…都内ではあちこちで、クリスマスの気配を
漂わせ始めていく。
 それを目の当たりにしたから…今年は、克哉の中で不安が生じて
しまったのかも知れない。
 
 都内の各所で灯る鮮やかなイルミネーション。
 そして夜、街を歩くと…楽しそうに寄り添い歩く恋人たちの姿。
 それらを連日、見かけるようになって…日増しに強まっていく想い。

―自分も、あんな風にもう一人の自分と過ごしたい。楽しそうに
笑いあいながら…彼と、クリスマスを過ごしたいと…そんな気持ちが
ここ数日、膨らんでしまっていた…


(そんな事…あいつに求めたって、無駄だって判っているのに…。
どうして、オレは…こんな事を願ってしまっているんだろう…)

 克哉は、悔しくて…うっすらと目元に涙を浮かべていく。
 あいつは、気まぐれに自分を抱いているだけなのだ。
 セックスにそれ以上の意味なんて、きっとない筈なのに…何度も
身体を重ねていることで、自分の意思と関係なく…この想いは育って
しまって、いつしか制御が効かなくなってしまっていた。
 楽になりたくて、克哉は夢中で己の性器を扱いて…快楽を引き出していく。
 彼の手の中ではち切れんばかりに膨張し、大量の先走りが幹を
伝って…彼の手をグショグショに濡らしていった。

「はっ…うぁ! 『俺』っ…!」

 ついに限界を迎えて、大量の白濁を己の掌の中に吐き出していった。
 荒い呼吸を漏らして、暫くベッドシーツの上でぐったりとなっていく。
 頭に昇っていた血がやっと下がってきて…理性が戻ってくると、克哉は
余韻に浸るよりも…虚しさだけを痛烈に感じていった。

「…どうして、会いに来て…くれないんだよ…」

 力ない声で、克哉が呟いていく。
 こんな宙ぶらりんの不安定な気持ちでは…本当に自分は、
近い内に間違えてしまいそうだった。
 最近、無意識の内に…身近にいる人間を誘いそうになる自分に
ゾっとなりそうだった。
 …誰でも良い、自分を抱きしめて欲しいと。何もかも忘れるぐらいに…
あいつがしているみたいに、自分をグチャグチャに犯して欲しいと…そんな
浅ましいことを考え始めている自分が、確かに存在している。

(いつまで…オレを放っておくつもりだよ…。お前の顔も見れないまま…
クリスマスを迎えたら、きっと…オレ…耐えられない気が、する…)

 ポロポロと…克哉の意思と関係なく、透明な雫が頬を伝っていく。
 きっと、本多や太一、そして…御堂にまで、思わせぶりな態度を取っている
自分の行動はきっと、最低なことなのだろう。
 けれど…自覚はあっても、今は克哉は…自分のそんな暗い感情を
コントロールする事が出来なくなる時があった。
 必死に笑って、その一面を表に出すまいと努力はしている。
 けれど…それでも、もう一人の自分を求めて飢えている我侭な心が…
寂しさのあまりに暴れて、徐々に制御を失いつつあった。

「…どうしよう。オレ…このままだったら、間違えてしまうかも…知れない…」

 ブルっと肩を震わせながら、その予感に戦慄を覚えていく。
 やっと荒い呼吸が平静なものへ戻っていくと…枕元に置いてあった
ウエットティッシュを2枚ほど取って、掌を清めていった。
 それとほぼ同時に…近くの机の上に置いてあった携帯から、呼び出し音が
響いていった。

「電話だ…この、着信音は…」

 克哉は、親しい間柄の人間には一回聞けばその人物から来たとすぐに
判るように専用の着信音を設定している場合があった。
 だから…すぐに彼にはその電話が誰からなのか判ってしまった。
 オズオズとした仕草で、通話ボタンを押して…克哉は声を絞り出していく。

「…もしもし、佐伯ですが…お久しぶりです…」

 そうして、克哉が緊張した声で答えていくと…電話口で相手が、くぐもった
笑い声を噛み殺していくのが判った。
 相手の声に、今までと違って…即物的なものを感じる。
 だがそれでも、克哉は拒む様子を見せなかった。
 恐らく…今夜の相手の誘いに乗れば、どういう流れになるのか…判り切っていても
それでも、克哉は素直に相手の要求に応じて、約束を交わしていく。
 暫く、電話を通して…その人物とのやりとりを続けていく。
 全てが終わると、小さく克哉は頷いてみせた。

「…はい、それで構いません。それでは…来週の週末に、そこで…」

 そう克哉が応えると、相手は満足そうな笑い声を漏らしながら通話を
切っていった。
 それに習って克哉も携帯の通話ボタンを押して会話を断ち切っていくと…
どこか空虚な眼差しを浮かべながら、小さく呟いていった。

「…これは、最後の賭けだな…。もしその日までにあいつが…オレに対して
何の嫉妬もせずに、止めもしなかったら…その、時は…」

 それは、追い詰められてしまったから取ってしまった最終手段に
限りなく近かった。
 どんな形でも、克哉は答えをすぐに欲しいと思ってしまった。
 だから…こんな己を追い詰めるような、愚かしい行動に出てしまったのだ。

―あいつへの想いを、諦めよう…

 そんな悲痛な覚悟すらしながら、克哉の気持ちは来週の週末へと
向けられていく。
 その中で幾人もの想いが…自分を中心に、交差している現実を…この時点では
克哉はまったく自覚していなかったのだった―
 
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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