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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※ 今回は途中、かなり間が開いてしまったので過去のログのリンクも話のトップに
繋げる形で読み返しがしやすいようにしておきますね。
   
    バーニングクリスマス!                    
 
    お待たせしてしまって本気で申し訳ないです。
    これから、一月末までには終わらせるぐらいの気持ちで頑張ります(ペコリ)

  克哉は電話を受け取った後、もう一度改めてベッドの上へと横になって
仰向けになって寝そべっていった。
 室内の明かりは完全に落としていたので辺りは真っ暗だった。
 だがどれだけ長く目を瞑っていても一向に眠気が訪れてくれなかった。
 そうしている内に…克哉の脳裏に、一つの出来事の記憶が浮かび上がっていった。

 ―それは一ヶ月前の出来事だった。

  克哉は、暫くもう一人の自分が現れてくれなかった事に焦れ始めていた。
  秋の初め、人肌が心地よくなり始めた頃からは…気まぐれにしか現れない
眼鏡のことに、不満を覚え始めていた。
  会いたい、と自分ばかりが思っている現実に苛立って。
  そのモヤモヤした感情をどう発散させれば良いか…判らなかった。
  太一だけではなく、その時期…御堂からも、何かと接触を求められるように
なっていた。
  本多と協力して、バイヤーズの契約を勝ち取ったことがキッカケで…
プロトファイバーの営業が終わっても、MGNとの繋がりは残り続けた。
 その後、御堂が新しいプロジェクトを立ち上げることになって、新しい商品を
引き続き営業八課の方で担当して貰いたいと…そう申し出があってから、克哉は
御堂と仕事上での付き合いは続いていたのだった。
 その関係が、丁度変化を迎えた日のことだった。

 珍しく御堂に食事に誘われ…ワインを飲みながら会話を楽しんだ。
 タクシーを手配して、こちらを自宅のマンションまで送ってくれた帰り…
克哉は、御堂にさりげなくキスをされた。
 それは唇に、一瞬掠める程度のものだったけれど…それが、どういう意図で
されたものなのか判らないほど…克哉は鈍くなかった。

 どうして、ととっさに口を開きかけた。
 『私の意図が判らないほど、君は鈍いのか…?』とその前に逆に
問いかけられた。
 そして…両手首を掴まれて、深いキスをされた。
 …抵抗は、殆ど出来ないままだった。
 久しぶりに誰かの腕に包まれた瞬間…自分がどれだけ、人肌を求めて
いたのかを思い知らされた。
 背筋がゾクゾクとするぐらいに官能的なキスを施されて…克哉は限界寸前まで
焚き付けられていった。
 腰が砕けそうになりながら、「今夜はここまでにしておこう…」と告げて御堂は
さっさと待たせていたタクシーの元へと戻って、帰っていってしまった。

―もう一人の自分が、克哉の部屋の前で待っていたのは…そんな夜の事だった

 部屋の中には明かりが何も灯っていなかった。
 暗い室内に…彼が愛用しているタバコの紫煙だけが静かに立ち昇っていた。

『…どう、して…』

 自分のベッドの上に腰をかけて待っていた眼鏡の姿を発見した瞬間、
克哉は後ろめたさの余りに…眩暈すら感じてしまった。

『…俺がお前に会うのに、いちいち事前にアポでも取らなければ
ならないのか…?』

 不愉快そうに、もう一人の自分が答えていく。
 たった今、別の男に深く口付けられた直後に…もう一人の自分と遭遇
してしまったせいで、克哉はその夜…真っ直ぐに相手を見れなかった。

(何で、よりにもよって…今夜、オレの部屋にいるんだよ…!)

 心の底から克哉はその事実に呪いたくなってしまった。
 ずっと会いたいと焦がれていた。喉から手が出るぐらいに…相手が目の前に
現れてくれることを願い続けていた筈だったのに…さっき、御堂にキスをされて
感じてしまったという事実が、克哉の胸に深く影を落としていた。
 きっと…あんな深いキスをされた直後でなければ、もっと…口でなんだ
かんだ言いつつも…もう一人の自分が現れてくれた事を喜べただろう。
 だが、今の克哉は素直にそれを喜べなかった。
 逆に胸が締め付けられそうになるぐらいに…苦しくて、仕方なくなっていた。
 もう一人の自分が…こちらの心を射抜くように、瞳を見つめてくる。

―夜の闇の中でもゾっとするぐらいに美しく輝くアイスブルーの双眸

 その冷たい輝きに、己の心まで暴かれてしまいそうだった。
 眼鏡は何も言わなかった。
 ただ…その目が、さっきの出来事を責めているような…そんな気がして
克哉は知らず、涙を零していた。

『…どうして、泣いている。そんなに…今夜、俺が現れたことがお前に
とっては…不愉快だったのか?』

『違う…そんな、訳ない…!』

 けれど、顔をクシャクシャにしながら必死になって否定をしても
何も相手には伝わらない。

『…なら、どうして…お前は泣いているんだ…?』

『あっ…』

 相手がこちらの頬をぬぐうような仕草をされた時、克哉自身はやっと
その時に自分が泣いている事に気づいた。

『…そんなに、俺が来るのが…嫌だったのか…?』

『違う…って、言っているだろ…』

 けれど、この夜…今までにないぐらいに…切なくて悲しい雰囲気が
自分達の間に流れた。
 普段のように、嫌がってジタバタと暴れるような真似は克哉はしなかった。
 けれど…微妙に、もう一人の態度も違っているように思えた。
 腫れ物に触れるような、そんな空気がどこか悲しかった。
 否定するように、克哉は自ら必死になって相手の身体にしがみついて
訴えていった。
 それでようやく…もう一人の自分が積極的に、こちらの身体に手を
這わし始めていった。
 だが…その夜はいつもと違って、もう一人の自分は余計なことを
殆どそれ以後…口にする事なく、黙ってこちらを組み敷いていった。

 その後、自分たちは無言のまま…肌を重ね続けた。
 何もお互いに、言えなかった。
 快楽で身体は熱くなっている筈なのに、苦しくて悲しくて。
 ただ克哉は泣きながら…無言で攻めてくるようなもう一人の自分の
愛撫に身を委ねていった。

―その原因となった御堂の誘いに、克哉は一ヵ月後乗ってしまった

 それが間違っていると判っていても。
 けれど…あの日、その事を言わずに黙ってもう一人の自分に
抱かれたことが克哉の中で重荷になってしまった。
 いっそ、その事実が暴かれて何か言われて責められた方がよっぽど
楽だと思った。
 ジクジクジクと…克哉の中で、日増しに黒いものが広がって心の
中を徐々に侵食していく。
 何度もベッドの上で寝返りを打っていく。
 そうして…何度も身体を反転させている内にようやく眠気が
訪れようとしていた。

「ねえ…『俺』…お前にとって、オレは…何なんだよ…。お前は、どうして
そんなに冷たくて…何も言って、くれないんだよ…」

 泣きながら、克哉は脳裏にもう一人の自分の姿を思い浮かべていく。
 あいつは、あまりに言葉が足りない。
 あんな風に自分を抱く癖に、どう思っているのか一言も口に発して
くれない。だから克哉の不安は日増しに強まっていく。
 …自分でも、制御が出来ないぐらいに…。

「好き…なのは、オレだけ…なの、かな…」

 あいつの事を思い浮かべるだけで、涙が最近は浮かぶようになった。
 好きだから、相手の行動が…言動が、ささいなものでさえ気になっていく。
 一言で良い、好きだと言ってくれたら。
 こちらが安心出来るように、暖かい仕草や…優しさを感じることが
出来たのならば、きっとここまで黒いものが広がったりはしない。

「…オレだけが、お前を好きなのは…悲しい、よ…。オレのことなんて、
何とも思っていないのなら、もう…抱かないで、くれよ…」

 抱かれる度に、心が引き寄せられてしまうのが辛い。
 相手の熱をこんなに自分が求めているのに、あいつの中にそういった
想いが何一つないのなら…悲しすぎるから。

「ねえ、『俺』…」

 そう、もう一人の自分の事を思い浮かべていきながら…克哉は
ギュっとシーツを握り締めて、ゆっくりと眠りに落ちていく。
 ようやく訪れた眠気によって、深い所へ意識は誘われていく。

―夢も見ないぐらいに深く、泥のように眠っていった

 そうして…緩やかに、道を克哉は踏み外し始めていく。
 その動機が…もう一人の自分への想いから発しているだけに
とても悲しいものがあった―

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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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