鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※久しぶりの克克新婚ネタでのバレンタインものです。
そして時間の関係上、二~三回に分けて掲載します。
良かったらお付き合い下さいませ~。
―克哉は、結婚してから初めてのバレンタイン当日を迎えていた
すでに時計の針は、もう一人の自分が帰ってくる午後七時を指そうと
していた。
食卓の上には、今晩のおかずがキチンと並べられている。
その前に座っていきながら…ソワソワした様子で、克哉は何度も
膝の上に置いてあるラッピングされたチョコレートを眺めていた。
(ううっ…何か今までのバレンタインの中で、一番緊張しているかも…)
克哉は何度も、しっかりと包装されたチョコを眺めていきながら一人で
百面相を繰り返していた。
今まで、克哉は基本的に貰う側の人間としてこの日を過ごして来た。
だが、今年は…もう一人の自分と結婚をしてしまったが為に、初めて
贈る側になったのだ。
昼間に、ケーキ屋さんで…それなりに上等な生チョコレートを買って
丁寧に包んで貰った時のことを思い出して、更に顔から火を噴きそうに
なってしまった。
…あんなに、バレンタイン当日に男がチョコを買うことが恥ずかしい
事だったなんで、今まで知らなかった。
(何であいつにチョコを贈るのに…こんなに恥ずかしい想いをしなくちゃ
いけないんだよ…!)
けれど、この日を無視するということも克哉にはどうしても
出来なかった。
ふと、今朝の見送りのシーンが頭の中で再生されてしまって…
克哉は思わず、口元を覆ってしまっていた。
―今夜、お前からどんなチョコを贈られるのか楽しみにしているぞ…?
いつものように玄関先で、いってらっしゃいのキスをした直後に
耳元に唇を寄せられて、そんな風に甘く囁かれてしまったのだ。
多分、その一言がなかったら2月14日という特別な日を意識
しないで終わっていただろう。
(…ううっ、あんな風に言われてしまったら無視する事も出来ないしな…。
本当にあいつって、意地悪だ…)
そんな事をグルグルと考えていきながら、一人で顔を真っ赤にしたり
慌てた表情を浮かべたりして逡巡していく。
もうすでに時刻は19時から随分と過ぎてしまっている。
しかし…もう一人の自分が帰ってくる気配はない。
「遅いな…あいつ…」
そんな事を呟きながら、克哉は机の上で頬杖をついていく。
せっかく19時丁度に合わせて暖かいままで夕食を準備したというのに
二十分も経過してしまっては…一部、冷めているものも出始めていった。
克哉としては、この妙に甘酸っぱいような気恥ずかしいような一時が
じれったくてしょうがない。
延々と待たされ続けるのもそれなりに落ち着かない気分だった。
それならいっそ早く帰って来てほしい…そんな事を考えた瞬間に、
玄関の方から物音がしていった。
「…帰って来たのか?」
ドアの開閉音が聞こえた瞬間、弾かれるように克哉はその場から
立ち上がっていった。
そのまま勢い良く…音のした方向へと駆け出していく。
ドタバタドタバタ…!
足音を大きく響かせながら、相手を出迎えに行くと…其処には
愉快そうに口角を上げているもう一人の自分の姿があった。
「ただいま、良い子に待っていたか…?」
いつものように傲岸不遜な物言いで、こちらに語りかけてくる。
相手の顔を見た瞬間、キュン…と何故か胸が締め付けられるような
甘酸っぱい思いを感じていった、
「…いつだって、オレは大人しく家を守っているってば…。おかえり、『俺』…。
今日も一日、お仕事お疲れ様…」
それでも、にっこりと微笑んで…自分の夫に対して労いの言葉を
かけていく。
瞬間、とても穏やかに…眼鏡が微笑んでいった。
その表情は一瞬しか浮かべられないものであったけれど、ある時から
こうやって彼を出迎えて暖かい言葉を伝えていくと…優しい顔を見せて
くれるようになった。
(…この瞬間の、『俺』の顔って優しいから…好きだな…)
きっと、その事を伝えてしまったら…意地っ張りで天邪鬼な性格をしている
彼のことだ。きっと…そのごく自然に浮かべている優しい表情を引っ込めて
隠してしまう事だろう。
「あぁ、無事に帰った…。夕食の支度は出来ているのか…?」
そんな事を問いかけながら、もう一人の自分が克哉の髪先をそっと
くすぐっていく。
その感覚に軽く肩を震わせていきながら…クスクスと笑っていった。
「ん…準備、してあるよ。後…その、もう一つの物も…」
気恥ずかしくて、耳まで赤く染めていきながら克哉は相手に
告げていく。
だが相手は面白そうに笑いながら、こちらの耳元でからかうように
言葉を紡いでいった。
「…楽しみにしているぞ…」
「あ、うん…」
甘く、そんな一言を囁かれて克哉がうっとりと仕掛けていくと…
そのまま、優しく唇を塞がれていく。
チョコと、夕食を用意してくれているのを考慮してくれたのだろう。
それは触れ合うだけの…思いがけない優しいキスだった。
「んんっ…」
深いキスをされないことの方が珍しいので、そのくすぐったいような
唇の感触に…つい、クスクスと笑ってしまう。
「こら…あまり、笑うな…」
そんな事を眼鏡は呟きながら、啄ばむようなキスを繰り返されていく。
…その心地よさに、そっと身体の力を抜いていきながら…暫く克哉は
相手の肩口にそっと凭れかかっていったのだった―
そして時間の関係上、二~三回に分けて掲載します。
良かったらお付き合い下さいませ~。
―克哉は、結婚してから初めてのバレンタイン当日を迎えていた
すでに時計の針は、もう一人の自分が帰ってくる午後七時を指そうと
していた。
食卓の上には、今晩のおかずがキチンと並べられている。
その前に座っていきながら…ソワソワした様子で、克哉は何度も
膝の上に置いてあるラッピングされたチョコレートを眺めていた。
(ううっ…何か今までのバレンタインの中で、一番緊張しているかも…)
克哉は何度も、しっかりと包装されたチョコを眺めていきながら一人で
百面相を繰り返していた。
今まで、克哉は基本的に貰う側の人間としてこの日を過ごして来た。
だが、今年は…もう一人の自分と結婚をしてしまったが為に、初めて
贈る側になったのだ。
昼間に、ケーキ屋さんで…それなりに上等な生チョコレートを買って
丁寧に包んで貰った時のことを思い出して、更に顔から火を噴きそうに
なってしまった。
…あんなに、バレンタイン当日に男がチョコを買うことが恥ずかしい
事だったなんで、今まで知らなかった。
(何であいつにチョコを贈るのに…こんなに恥ずかしい想いをしなくちゃ
いけないんだよ…!)
けれど、この日を無視するということも克哉にはどうしても
出来なかった。
ふと、今朝の見送りのシーンが頭の中で再生されてしまって…
克哉は思わず、口元を覆ってしまっていた。
―今夜、お前からどんなチョコを贈られるのか楽しみにしているぞ…?
いつものように玄関先で、いってらっしゃいのキスをした直後に
耳元に唇を寄せられて、そんな風に甘く囁かれてしまったのだ。
多分、その一言がなかったら2月14日という特別な日を意識
しないで終わっていただろう。
(…ううっ、あんな風に言われてしまったら無視する事も出来ないしな…。
本当にあいつって、意地悪だ…)
そんな事をグルグルと考えていきながら、一人で顔を真っ赤にしたり
慌てた表情を浮かべたりして逡巡していく。
もうすでに時刻は19時から随分と過ぎてしまっている。
しかし…もう一人の自分が帰ってくる気配はない。
「遅いな…あいつ…」
そんな事を呟きながら、克哉は机の上で頬杖をついていく。
せっかく19時丁度に合わせて暖かいままで夕食を準備したというのに
二十分も経過してしまっては…一部、冷めているものも出始めていった。
克哉としては、この妙に甘酸っぱいような気恥ずかしいような一時が
じれったくてしょうがない。
延々と待たされ続けるのもそれなりに落ち着かない気分だった。
それならいっそ早く帰って来てほしい…そんな事を考えた瞬間に、
玄関の方から物音がしていった。
「…帰って来たのか?」
ドアの開閉音が聞こえた瞬間、弾かれるように克哉はその場から
立ち上がっていった。
そのまま勢い良く…音のした方向へと駆け出していく。
ドタバタドタバタ…!
足音を大きく響かせながら、相手を出迎えに行くと…其処には
愉快そうに口角を上げているもう一人の自分の姿があった。
「ただいま、良い子に待っていたか…?」
いつものように傲岸不遜な物言いで、こちらに語りかけてくる。
相手の顔を見た瞬間、キュン…と何故か胸が締め付けられるような
甘酸っぱい思いを感じていった、
「…いつだって、オレは大人しく家を守っているってば…。おかえり、『俺』…。
今日も一日、お仕事お疲れ様…」
それでも、にっこりと微笑んで…自分の夫に対して労いの言葉を
かけていく。
瞬間、とても穏やかに…眼鏡が微笑んでいった。
その表情は一瞬しか浮かべられないものであったけれど、ある時から
こうやって彼を出迎えて暖かい言葉を伝えていくと…優しい顔を見せて
くれるようになった。
(…この瞬間の、『俺』の顔って優しいから…好きだな…)
きっと、その事を伝えてしまったら…意地っ張りで天邪鬼な性格をしている
彼のことだ。きっと…そのごく自然に浮かべている優しい表情を引っ込めて
隠してしまう事だろう。
「あぁ、無事に帰った…。夕食の支度は出来ているのか…?」
そんな事を問いかけながら、もう一人の自分が克哉の髪先をそっと
くすぐっていく。
その感覚に軽く肩を震わせていきながら…クスクスと笑っていった。
「ん…準備、してあるよ。後…その、もう一つの物も…」
気恥ずかしくて、耳まで赤く染めていきながら克哉は相手に
告げていく。
だが相手は面白そうに笑いながら、こちらの耳元でからかうように
言葉を紡いでいった。
「…楽しみにしているぞ…」
「あ、うん…」
甘く、そんな一言を囁かれて克哉がうっとりと仕掛けていくと…
そのまま、優しく唇を塞がれていく。
チョコと、夕食を用意してくれているのを考慮してくれたのだろう。
それは触れ合うだけの…思いがけない優しいキスだった。
「んんっ…」
深いキスをされないことの方が珍しいので、そのくすぐったいような
唇の感触に…つい、クスクスと笑ってしまう。
「こら…あまり、笑うな…」
そんな事を眼鏡は呟きながら、啄ばむようなキスを繰り返されていく。
…その心地よさに、そっと身体の力を抜いていきながら…暫く克哉は
相手の肩口にそっと凭れかかっていったのだった―
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HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
鬼畜眼鏡にハマり込みました。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
当ブログサイトへのリンク方法
URL=http://yukio0201.blog.shinobi.jp/
リンクは同ジャンルの方はフリーです。気軽に切り貼りどうぞ。
…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)
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…一言報告して貰えると凄く嬉しいです。
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