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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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※この作品は『メッセージ』を共通項目としたCPランダムの
オムニバス作品集です。
 暫くの期間、出てくるCPはネタによって異なります。
 通常のように一つのCPに焦点を当てて掲載する話ではなく
1話完結から2~3話で纏めて、鬼畜眼鏡ゲーム本編に出てくる一通りの
CPを消化するまで続きます。
 期間中、それらを踏まえた上で作品をご覧になって下さい。
 この形での連載期間はタイトルの部分に扱うCPも同時に
表記する形になります。興味ない方はスルーなさって下さい。
 そして今回は初めて扱う、本多×松浦です。
 …個人的に本多って松浦とくっつのが一番ベストなんじゃないのかって
気持ちから発生したものです。
 呼んでやっても良いという方だけお読みくださいませ。

 本多×克哉?  ガムガムメッセージ  1(完)
 眼鏡×秋紀    愛妻弁当                 4(完)
 太一×克哉    二人の記念日                   4(完)

―自分という存在は、本多という男にとって一体何なのか…再会してから
ずっと松浦は悩み続けていた

 再会してから早半年、一度は破たんした関係は本多の必死な説得により
復活し…徐々に修繕しつつあった。
 そして以前のように本多の前で笑えるようになったことを自覚したある日…
松浦は本多の自宅に呼び出され、その道の途中で…ふとそんな事を
考えたのだった。
 仕事帰り、辺りは陽が落ちてすっかりと暗くなってしまっている。
 それでも煌々と街灯が照らしだしてくれている道筋を松浦は一人で
歩き続けていた。
  
『本多の事は一生許せない』
 
 自分の将来が閉ざされた時、その真相も本音も事前に決して
打ち明けてくれなかった事が本当に許せなかった。
 当時はきっと、本多の傍にいたらいつか自分は彼を傷つけたり…
殺してしまうだろうと思った。
 だから本多という人間を自分の中から抹殺して、二度と接点を持たずに
思い出さないようにしようとしていた。
 
(それがどうしてか…何で、こういう形で俺とあいつは復縁して
しまったんだろうか…)
 
 今夜は松浦は、本多の自宅に出張先からの土産を直接渡したいという
理由で招待されていた。
 大学時代以来、何年ぶりかに訪れるかつてのチームメイトの部屋に
向かう途中…それまでに起こった事がふと走馬灯のように脳裏を過ぎって、
彼は苦笑したくなった。
 
「…まったく、こういうのをほだされたっていうんだろうな。まったく…俺は
とんでもない事をしでかしたというのに、それでもあいつはこっちを必要と
いうんだからな…。大したお人好しだな…」
 
 本多と友人関係が復活してから早半年が経過していた。
 其れは松浦にとって、信じられないぐらいに早く過ぎてしまった
時間のように思う。
 バレーボールの事など、もう考えないようにしていた。
 かつて注いでいた情熱が強ければ強かっただけ、最後の最後で全てを
台無しにされて将来を閉ざされた事は松浦にとっては耐えがたく、自分の全てを
賭けていたといっても過言ではなかったからこそ、思い出すのも
辛くなってしまっていた。
 けれど今の松浦は、本多の誘いに乗って…再びチームメイトとして一緒に
バレーボールをするようになっていた。
 本多が十日余り、仕事で出張に出ている間は共に練習する事は叶わなかった。
 
「あいつの顔を見るのも十日ぶりか…。ああ、ついたみたいだな…」

 交流を復活させて結構な時間が流れていたが、本多の部屋にこうして足を
向けるのは大学時代以来…何年ぶりかの事だった。
 家の周りの風景は殆ど変わっておらず、ここだけ時間が止まっているかのような
錯覚を覚えていく。

(そんなのは感傷に過ぎないけどな…)

 自嘲的に微笑みながらインターフォンを押して行くドカドカと盛大な
足音が鳴り響き、バァンと大きな音を立てて扉が開かれていく。
 其処には本多の満面の笑みが輝いていた。

「うわっ!」

「よぉ、宏明! わざわざ来てくれてありがとうな!さ、早く上がれよ」

「本多! お前…扉を開けるにしてももう少しゆっくりと開けろ。今、いきなり勢い良く
開いたものだから正直、びっくりしたぞ」

「おう、悪かったな。次から気をつけるよ…ほら、早く上がれってば。いつまでも
玄関先でダベっていても仕方ないだろう」

「…まあ、確かにそうだけどな。お邪魔する…」

 何か釈然としないものを感じつつも松浦は仕方なく言われた通りに
本多の家に上がっていった。
 部屋の内装も、松浦の記憶に残っている状態と殆ど変わっていなかった。
 数々の健康器具と、身体を鍛える為の道具。

(全くこの男の神経の図太さだけは感心するな…)

 実業団に入った訳ではなく、本多も自分も結局は普通の企業に採用されて
務める事になった。
 サラリーマンをやるなら、ここまで身体を鍛える為の道具を持ち続けたり…
身体を作る必要性などない。
 だが、それでもこの男は愚直にそれをやり続けたのだろう。
 部屋に置かれているトレーニングマシンが使いこまれているのに気づいて
そこまで察する事が出来てしまった為、松浦は苦笑せざる得なかった。

―本当に、本多は何一つ変わっていなかったのだと今さらながらに思い知っていく

 復縁するまでの間は、そういう処が癪に障って仕方なかったが今となっては
それこそがこの男らしさなのだと流せるようになっていた。

「そこら辺に適当に座ってくれよ。今、飲み物でも用意してくるから。コーラと
ミネラルウォーター、宏明はどっちが良いんだ?」

「ああ、じゃあ水の方を頼む。出来るだけ冷たくして持ってきてくれ」

「判った、じゃあ氷を入れてくるよ。少し待っててくれな」

 そうして本多の姿がキッチンの方に消えていく。
 その後ろ姿を眺めていきながら…松浦はまた深く溜息をついていった。

「…本当に貴様は、全然変わっていないな。見ていて腹立たしくなるぐらいだ。
…ま、もうお前に怒りを覚えても何にもならない事は理解出来たから…
イチイチ俺も怒らないけどな」

 そう憎まれ口を叩きつつも、心のどこかでは嬉しく思う気持ちもあった。
 社会人となって、色々な壁にぶつかっている内に理想や理念を見失って
しまう事は良くある。
 そんな中で本多だけは…学生時代の時のまま、心の中に熱い気持ちと
キラキラした希望のようなものを変わらず抱き続けている。
 其れが松浦には最初、許せなかった。
 自分が無くしてしまったものを、同じ体験をしておきながらずっと抱き続けていた
あの男に憤りすら覚えた。
 だが…今日の昼に掛けられた電話の一言を思い出すと、信じられないくらいに
易々とその怒りは溶けていった。

『おう、久しぶりだな。今朝、出張先から帰って来たんだが…お前に直接
渡したいものがあるからもし都合つくなら、今夜俺の自宅に来てくれないか?』

 そう明るく言われた時の事を思い出したら、ジワジワと湧き上がっていた
苛立ちが氷解していくのが判った。
 それを自覚した途端、困ったように松浦は苦笑していく。

「本当に困った男だ…」

 そして彼がそう呟いた直後、本多は飲み物を持ってリビングに戻って来て…
松浦に本題を切り出し始めていったのだった―
 

 
 
 



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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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