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鬼畜眼鏡の小説を一日一話ペースで書いてますv
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『君を…私は凄く大事に想っている…心、から…』
 
 掠れた声音で囁かれた言葉は酷く甘くて、克哉を酩酊させるには十分な
威力を持ち合わせていた。
 まさかここまで言ってくれるとは予想外だった為に克哉は想いっきり瞠目して
驚いていってしまう。
 それに連動するように、瞬く間に御堂の顔が朱に染まっていった。
 
「…た、かのり…さん…」
 
 嬉しくて胸が詰まりそうになりながら…愛しい人の名前を呟いていく。
 それと同時に、更に御堂は照れ臭そうな表情を浮かべていた。
 
「…これは、君の特効薬に…なった、だろうか…?」
 
「あ…はい、凄く…嬉しかったです。貴方に…そこまで、言って貰えるとは…
思っていなかった、ですから…」
 
 お互いに繋がった状態のまま、至近距離で相手の顔を見詰め合っていく。
 本来なら恥ずかしくてすでに居たたまれないレベルで照れ臭かったが…ジワリ、と
相手に対する愛しさがこみ上げてくるせいでどうしても…顔を逸らす事が出来ない。
 まるで何かの魔法に掛かってしまったかのように…お互いの瞳を真っ直ぐに見つめあう。
 
 ドックンドックンドックンドックン…。
 
 一番深い処に、相手を受け入れているせいだろうか。
 御堂の鼓動まではっきりと其処から感じ取れて…羞恥を覚えるのと同時に、
嬉しくて仕方なくなってしまう。
 
「た、か…のり、さん…」
 
 このまま死んでも構わないと思えるくらいに…幸福で、胸が満たされていく。
 自然と唇を寄せ合っていくと…触れるだけのキスを交わしていく。
 くすぐったくて、甘い一時。
 けれど…二人の胸を満たすのは紛れもない暖かな感情だった。
 
「嬉しい…」
 
 うっすらと喜びの涙すら浮かべながら、克哉は恋人の背中に腕を
回してぎゅうっと強く抱きついていく。
 お互いの汗ばんだ肌が、しっとりと吸い付いていくようだった。
 御堂のいつもつけているフレグランスの匂いが、汗に混じって…フワリと
克哉の鼻腔を突いていく。
 今ではすっかりと馴染んでしまった、彼の香りそのものだ。
 それを胸いっぱい吸い込んでいきながら…克哉は、チュっと相手の首筋に
赤い痕を刻み込んでいった。
 
「おかえし…です。さっき…オレも、貴方にいっぱい…つけられ…ました、から…」
 
 悪戯っぽい眼差しを浮かべながら、克哉が呟いていくと…一瞬、驚いたような
表情を浮かべて…それから徐々に苦笑めいたものに変わっていく。
 御堂の方から克哉に痕を散らした事は数え切れない程あっても…克哉の方から、
彼に痕を刻む事は滅多にない。
 けれど…珍しく、彼の方から独占欲や所有欲の表れであるキスマークを刻
まれるというのは悪い気分ではなかった。
 むしろ、普段穏やかで何を考えているのかイマイチ掴みにくい自分の恋人にも…
こちらに対しての執着心を抱いてくれているのが判るから、むしろ喜ばしい気持ちすらあった。

 お互いにクスクスと笑いあっていくと…ふいに克哉が、小さくクシャミをした。
 それを見て…克哉の容態が本日は優れなくて、ここに連れ込んだという事実を
思い出していった。

 お粥を作っていた時点ではその気持ちの方が勝って、出来るだけ色めいた方向の事は
考えないようにしていたんというのに…つくづく、自分は精神修行が足りないと思い知らされる。
 深く溜息を突きながら…御堂は克哉に問い尋ねていった。

「克哉…平気か? 冷やしてしまっただろうか…?」

「あ、はい…どうやら、汗を沢山掻いたせいで…冷えたみたいですね…」

 照れ臭そうに呟きながら、克哉は慌ててタオルケットを手探りで探り当てて…自分の
身体の上に掛けていった。
 抱かれている最中は、熱に浮かされて熱いくらいだったのに…今はあっという間に
汗が冷えて寒く感じられてしまう時期なのだ。
 
 クチュン…。

 そう答えている間に、もう一回小さく克哉がクシャミをしていく。
 御堂は、恋人の様子を見て小さく溜息を突いていった。

「随分と冷やしてしまったみたいだな…。今夜は、このまま…責任を取って君の
湯たんぽ代わりにでもなるとしよう…」

 そうすると、一旦克哉の中から性器を引き抜いていくと…そのまま克哉の身体を
しっかりと抱きすくめて、腕枕をしていくような態勢になっていく。
 克哉も御堂も、同じくらいの立派な体格をした人間同士なので…その図だけでも
かなりの圧巻ものだった。

「ゆ、湯たんぽですか…?」

 ふいに腕枕をされる格好になって克哉は顔を真っ赤にしていく。
 殆どされた経験がないせいか…照れ臭いのだろう。
 そんな姿を見て、御堂は更に微笑ましい気分になっていった。

「あぁ…今夜は君の特効薬になりうる労わりの言葉と…暖める役割を果たして
無体な振る舞いをした償いをしていこう…。そういう形にして構わないかな…?」

 ドキン…。

 ふと、悩ましくも優しい眼差しで、御堂に見つめられていくと大きく胸が跳ねていって…
それ以上の反論を封じられていってしまった。

「はい…その、構いません…」

 布団を被り直して、改めて相手の腕の中に納まっていくと…くすぐったいような、奇妙な
ざわめきを感じて…最初は酷く落ち着かなかった。
 意地悪をされる事は数あれど、こんなに甘ったるく優しくされた経験は殆どないせいで
鼓動も荒くて早いままで、ドキン、ドキン…という音がずっと止んではくれない。

「…いつも、君を虐めてばかりだからな…。こういう時ぐらいは、ちゃんと労わって
大事にしないと…いつか、逃げられそう…だしな…」

「逃げる、何て・・・そんなっ…。オレは…意地悪な、御堂さんだって好きですし…それで
貴方の元からいなくなるなんて…在り得ないですよ。それなら最初から…貴方に告白
してまで…この腕に、飛び込まなかった…ですからね…?」

 室内の証明に照らされて、克哉の色素の薄い髪が…キラリと透かされていった。
 その様と透明な笑顔を浮かべられながら、密かに御堂はノックアウトされていく。
 嗚呼…どうして、無自覚にこうも…こちらの胸を掻き回すような事を言ってのけるの
だろうか…。御堂はこの年下の恋人に向かって、深々と溜息を突いていった。

(まったく…私はどこまで、君という存在に振り回され続けるのだろうな…)

 出会った時から、今思えば彼は予測のつかない…御堂の理解の範疇を超える
行動や反応ばかりを返していく。
 最初はそれが不可解で理解の出来ない人種だと思ってむしろ…嫌悪した。
 だが、今となっては相手の全てが見えない事や予想のつかない部分が…今もなお
御堂を夢中にさせて離さないでいる魅力になっているのだと、素直に感じた。

「…参ったな。君からも…言霊を与えられてしまったみたいだな…私は…」

「えっ…?」

「…今の一言、かなり…私にとっては照れ臭くて、嬉しかったぞ…?」

 そうして、克哉の頬に手を触れさせて…ゆっくりと顔を寄せていく。
 彼は、そんな恋人の振る舞いに…瞼を閉じて、素直に受け入れていった。
 
「あっ…」

 甘い声を漏らしながら、その口付けと抱擁を克哉は享受していく。
 今夜、何度目かになるか判らない穏やかな幸福の波に…ゆっくりと呑み込まれて
いきながら、克哉は…御堂の胸の中で そっと目を閉じていった。

 暖かな腕に、抱擁。
 そして…愛されていると実感出来る愛情の篭った『言霊』
 たったそれだけで、人はこんなにも幸せを手に入れる事が出来る。
 普段、言葉が足りない二人だからこそ…時折、こうやって紡がれる想いを確認しあう
一言というのはとても貴重で…。
 少し不安定であった二人の関係を少しだけ確かなものに、補強していく。

 後、どれくらいの言葉を紡げば、安定した地盤を築けるのだろう。
 どれ程身体を紡げば…この想いは愛に昇華していくのだろうか。
 それは誰にも判らない。不安定の極み、と呼べるものが恋愛であるからだ。
 けれど…恐らく、相手にとっては宝石の価値を持つ言葉を必死に考えて、伝え合う
努力をしていけば…恋は、愛に緩やかに変質する日が訪れるかも知れない。 
 その日を信じて、君に気持ちを伝える言葉を伝えよう。

 お互いに…この腕を離さずに済む未来が訪れることを、小さく祈りながら―
 
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プロフィール
HN:
香坂
性別:
女性
職業:
派遣社員
趣味:
小説書く事。マッサージ。ゲームを遊ぶ事
自己紹介:
 鬼畜眼鏡にハマり込みました。
 当面は、一日一話ぐらいのペースで
小説を書いていく予定。
 とりあえず読んでくれる人がいるのを
励みに頑張っていきますので宜しくです。
一応2月1日生まれのみずがめ座のB型。相性の判断辺りにでもどうぞv(待てぃ)

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